Semua Bab 転生吸血姫: Bab 21 - Bab 30

56 Bab

ep21 氷のリング

「おっちゃん。これはなんだ?」不意にリザレリスが、ある品物を手に取った。それは不思議な薄青色の石を添えたストーンリングだった。「おっ、嬢ちゃん。見る目があるじゃねえか」「なんか特別な指輪なのか?」「それは魔法の指輪だ」「魔法の?」「そうだ」店主のオヤジはニヤリとする。「なかなか手に入らねーんだぜ?」「これでなにができるんだ?」「それは氷のリング。つまり、そいつを使えば強力な氷魔法が使えるってわけだ」「マジか!」「買ってくか?」「欲しい欲しい!」「でも嬢ちゃんは魔法を使えんのか?そんな感じには見えねえが」「えっ、誰でもいいってわけじゃないの?」「魔力持ちの魔法が使える奴じゃないと意味ないんだよそいつは」「魔法ならエミルが使えるぞ」リザレリスはエミルへ視線を投げる。「ほう。にーちゃんは魔法が使えんのか?」「多少は、心得はありますが」エミルは控えめに答えた。そこへリザレリスが即ツッコむ。「多少なんてもんじゃねーじゃん!おっちゃん、こいつはマジでスゲーんだぜ?」「ずいぶんと若いのに、にーちゃんは魔導師なのか?」「まあ、最低限の訓練は受けました」「なあエミル。これ買ってさ、氷の魔法をわたしに見せてくれよ」リザレリスは笑って言ったが、本音だった。二日前にエミルの魔法による凄まじい動きを見せられてから、魔法に興味を持ち始めていたのだ。「かしこまりました。リザさまがご所望ならば」王女殿下が喜ぶならばと、エミルは承諾した。そうしてエミルが店主と売買の手続きを開始しようとした時だった。「おっ、なんだよ。ここもシケてんなぁ」と突然、他の客が店に入ってきた。こんな雑貨屋には到底ふさわしくない、やけにスラっとした背の高い黒髪の美男子だった。身なりも実にきちんとしていて、どこかの貴族の子息かと思われる。歳はエミルよりもやや上だろうか。 「おい店主」黒髪の美男子は店主のオヤジを見つけるなりズカズカと三人へ近づいてきた。「お客さん。申し訳ねえけど今はこっちのお客さんの相手をしててね」店主はエミルから代金を受け取るところだった。「おっ、それって、魔法のリングか?」男は会計カウンターに置かれた指輪に視線を落とした。「よくわかったな。今からこちらのお二人さんが買ってくんだ」「その石の感じだと、氷のリングだろ」「あんた、魔導師なのか?
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-16
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ep23 城に戻ると(1)

【5】城に戻るなり、リザレリスはエミルを連れてディリアスの執務室に押しかけた。先ほど考えたことを伝えるためだ。「本当に、よろしいのですか?」王女の提言を受け、ディリアスは一驚し、確認を求めた。「だって別に、ここまで贅沢しなくたって生きていけんだろ?」リザレリスはふんと鼻を鳴らす。「承知しました。ではそのようにいたします。国民の心がよくおわかりになる、親愛なる王女殿下」ディリアスは深々とお辞儀をした。それは忠誠心だけではない、心の底からの感謝の念がこもっていた。さらにその感謝から、さらなる忠誠が形成されていくようだった。リザレリスの斜め後ろに控えるエミルも、ディリアスと同様の想いでお辞儀をしていた。「そ、そこまで言われることでもねーし」何となく気恥ずかしくなったリザレリスは腕組みして視線を逸らした。彼女の提言とは何だったのか?それは城での暮らし向きについてのことだった。ここまでの贅沢は必要ないし、なんだったら一般国民と同じぐらいの普通の生活でもいい。リザレリスはそう伝えたのだ。「あっ、でもやっぱりご飯は、それなりに美味しいものは食べたいかな〜」言ってから急に惜しくなったのか、リザレリスは頭をポリポリ掻きながら潔くないことも口にした。彼女のその決まりきらない感じは、むしろディリアスとエミルの好感の笑いを誘った。そんな時だった。突然あわただしく部屋のドアがノックされた。何かと思いディリアスは思考を巡らせるが、すぐにエミルに目配せをしてドアを開けさせた。「ディリアス公!」入ってきたのは小太りの重臣、ドリーブとその部下だった。「なんだ、騒がしいな。一体どうした?」ディリアスが応じるとドリーブは、彼の前に立っている若い女に気づいて怪訝な目を向けた。女はボンネット帽子を脱いで反応する。王女の可憐な顔が露わになった。「なんだよ」「こ、これは、王女殿下!」「いいからいいから。それよりなんかあったの?「そ、それが、実は......」と部下の方が言いさした時。「まったくなぜそんな重要な情報を掴めなかったんだ!」ドリーブが部下を怒鳴りつけた。「も、申し訳ございません」「使えないヤツだ。この馬鹿が。よりにもよってなぜこのタイミングで......くそっ!」ドリーブは王女の面前で口汚く部下を罵しった。明らかに何かがあったことを示している。リ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-18
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ep24 城に戻ると(2)

「ウィーンクルム王子がお忍びでブラッドヘルムに来ていた、ですか......」話を終えたドリーブが退室し、三人だけとなった部屋で、エミルはため息をつくように言った。「てゆーかさ」と、事の重大さを理解していないリザレリスは背もたれに体を預けながらのん気に言う。「それのなにが問題なんだ?」エミルの目が点になるが、ディリアスは半ば感心したように軽く吐息をつく。「さすが王女殿下は大物ですね。確かにこうなってしまった以上、焦っても仕方ありません」「だって王様が来たわけじゃないんだろ?」リザレリスはあっさり言ってのける。彼女は深く考えていない。「王子が来たぐらいでさ」「おっしゃるとおりです。しかもお忍びということは非公式ということ。ただ、問題はタイミングなんです」「タイミング?......あっ」「気づかれましたか?」「俺...じゃなくて、わたしと王子の結婚が話題になってたんだ!」やっと理解したリザリレス。「だからその話をぶち上げたドリーブのおっさんが焦りまくってたのか」「さようでございます。もしウィーンクルム王子の機嫌を損ねることになり国交関係にも影響を及ぼすことにでもなれば、ドリーブ卿の政治生命にも関わることになります」「ということは」リザレリスは閃いたようにぽんと手を叩く。「ディリアスの立場はむしろ安泰になって良いじゃん」「いえ。私の立場の問題などは、国家の問題に比べれば瑣末なことに過ぎません」ディリアスは神妙に言う。「〔ウィーンクルム〕との国交関係が悪くなることは、国益に反します。それは由々しき問題です」にわかに部屋の空気が重くなる。さすがのリザレリスも、肘掛けに肘を置いて頬杖をつき、難しい顔をする。エミルは床を見つめて何かを考えていたが、ふと思い出したように口をひらいた。「ディリアス様」「どうした?」「ウィーンクルム王子のお名前を、改めてお伺いしてもよろしいですか?」「長男がフェリックス・ヴォーン・ラザーフォード。次男がレイナード・ヴォーン・ラザーフォード。その下がフレデリック・ヴォーン・ラザーフォード」ディリアスの返答に、リザレリスとエミルは、やおら顔を見合わせる。「ま、まさか......」次の瞬間だった。また部屋の扉が慌ただしくノックされた。ノック音のテンポと強さから、先ほどよりも深刻さが感じられる。なにか急ぎの用であろうか。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-21
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ep26 王子

【6】 ディリアスと王子たちの非公式の会談は、和やかに行われていた。といっても話をしていたのはディリアスとフェリックスで、レイナードは兄の隣で相槌を打っているだけだった。「私はもっと〔ブラッドヘルム〕との貿易は盛んにすべきだと思っています」兄のフェリックスは言った。「貿易だけではありません。文化交流もです。その点は父...陛下よりも、私は柔軟に考えています」「さようでございますか」ディリアスは、フェリックスと向かい合って話しながら、深く感心していた。彼がこちらにとって好意的だからというわけではない。彼が極めて優秀で聡明な人格を備えているからだ。若干十七歳にしてこの品格と知性と自信。それでいてジョークも言えるような柔軟さも持ち合わせている。彼ならば、人心を掌握し、国家をまとめることも難しいことではないのかもしれない。そう思わせる『資質と器』を感じさせる。父のファンドルス王(現国王)のような迫力こそないが、人の上に立つ者の素質があることは間違いない。「......しかし、リザレリス王女がご体調を崩されていらっしゃるとは、残念でした」「申し訳ございません」「ところで......」不意にフェリックスは妙な間を置く。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-23
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ep27 王女の部屋

ディリアスに案内され、王女の自室前に王子ふたりが到着する。広い城内の移動はしばしの時間を要した。「王女殿下」ディリアスが部屋のドアをノックする。返事がない。何度かノックを繰り返す。一向に反応がない。いぶかしく思ったディリアスは、ドアノブに手をかけた。「申し訳ございません。少々お待ちくださいませ」と王子ふたりへ丁寧に言ってから、ディリアスはドアを開けて「失礼いたします」と入室した。しっかりとドアを閉めると、部屋の中を確認する。「人の気配がないな......」ディリアスは室内を見まわしながら、天蓋のカーテンに隠れたベッドの手前まで行く。「王女殿下。いらっしゃいますか?」ここでもやはり返事がなかった。仕方ないな、とディリアスはカーテンに手を伸ばした。「失礼いたします」シャッとカーテンを開ける。転瞬、ディリアスはギョッとする。なんとベッドの上に、さっきまで王女が着ていた衣服が散らばっていた。 「天真爛漫にもほどがありますよ......」思わず一人言がこぼれたディリアスは、仕方なく部屋の外へ引き返していった。「お眠りになっていらっしゃるのですかね。やはりご迷惑だったでしょうか」ディリアスが部屋から出てくるなり、フェリックスが言った。「念のため医務室へ行ったようです」ディリアスは恐縮しながら答える。「大変申し訳ございませんが、もう少々お待ちいただけますか?」「かまいませんよ」フェリックスは笑顔で了承した。弟のレイナードは、顔を背けて見えないようにため息をついた。「ありがとうございます」それからディリアスは部下に耳打ちする。速やかに王女殿下を探してお連れして来いと。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-24
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ep28 王女は侍女

【7】時間は少しだけ遡り......。リザレリスとエミルはこっそり部屋を抜け出した。泥棒のように人目の付かないルートを選んで、遠回りに応接室へと向かっていく。「あの、リザさま」「なんだよ」「そこまでなさらなくても......」「ふふん。これなら城の中をうろついていても変じゃないし、王女ってわからないだろ?」ドヤ顔を決め込むリザレリスは、侍女の格好をして白い頭巾まで被っていた。これからお掃除仕事でも始めるみたいに。「そのかわり王女殿下だとバレればルイーズ侍女長に何を言われるか......」エミルは不安を口にする。実はリザレリスの変装衣装は、エミルが風の速さで調達してきたものだった。無論、それがリザレリスの思いつきの命令だったことは言うまでもない。「そん時はおまえが怒られるまでだ」リザレリスはエミルにウインクする。「......お言葉ですが、王女殿下もこってり絞られることになろうかと」「じゃあ見つからないようにしようぜ」リザレリスは前向きだった。というか、彼女は遊び人のノリで楽しんでいた。そうこうしているうちに、目的となる部屋の扉が見えてきた。「リザさま。あの部屋です」エミルはリザレリスに小声で伝えながら、妙に思った。こういう場合、扉の前は警備の者やらで厳重になっているはずだ。なのに誰も立っていない。エミルとしては、部屋の前まで行って「やはり無理ですね」とリザレリスへ言うつもりだった。そうすれば、さすがのお転婆プリンセスも諦めるだろうと。「よっしゃ。こっそりのぞいてやるぞ」何も知らないリザレリスは悪戯少年のような顔でテンションを上げる。エミルは胸に不安を抱きつつも、リザレリスについていく。「エミル。今、人は来ていないよな?」空き巣のようにそそそっとドアの前まで来たリザレリスは、最終確認を行う。「はい。今ならば、大丈夫です」エミルの言葉を聞いてリザレリスは悪い顔で頷くと、ワクワクしながら覗き魔のようにそ〜っとドアを薄~く開けた。「あれ?」「どうなさいましたか?」「誰も、いなくね?」扉の間から見える狭い視界の範囲だったが、誰の姿も見当たらない。何より、話し声が聞こえなかった。「うーん。どういうことだろう」むむむっと考え込むリザレリスの傍で、内心エミルはほっとしていた。不幸中の幸いとはこのことか。ところが、そんな安堵は束
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-25
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ep29 侍女は王女

「そこで何をやっている!」エミルに気づくなり、その者はドカドカと部屋までやってきた。狡猾なタヌキ面に怒りを浮かべて。「ど、ドリーブ様」「お前がなんでそこにいる!会談中ではないのか?」「いえ、中には誰も......」「いないのか?」はい、と頷くエミルを押しのけてドリーブは中に入る。すると彼の視界に飛び込んできたのは、場違いにソファーへ深々と体を預けている侍女だった。「なっ!お前は侍女のくせにそこで何をしている!」ドリーブが声を荒げた。当然だ。特別な来客用の高級椅子に侍女が悠々と身を任せているなど、ありえない。「なんだよ、うっせーな。ドリーブのおっさんか」リザレリスは悪びれることなくドリーブを睨んだ。自分が王女であることを隠すために変装していることも忘れて。「このわたしに向かって侍女ごときが何だその口の効き方は!......ん?」怒鳴りながら侍女へ近づいていき、ドリーブは気づいた。「そのお声とお顔......お、王女殿下!」「そうですけどなにか?」リザレリスはムスっとして訊き返す。相変わらず太々しい王女相手に物を言うのは気が引けたのだろう。「た、大変失礼しました」ドリーブはお辞儀をしてから、即座にきびすを返してエミルに歩み寄っていく。「お、おい。なんで王女殿下がここにいる。床に伏せていることにしてやり過ごすんじゃなかったのか?」「はい。しかし、王女殿下が......」「だ、だからと言って、王子たちと出くわしてしまったらどうするんだ!」ドリーブは必死だった。それはそうだろう。王女の政略結婚を強引にブチ上げたのは彼だ。ただ、あれはあくまで城内と国内世論を味方につけるための政治戦略。〔ウィーンクルム〕との本格的な交渉は、時宜を見極めてから改めて行う算段だった。だから〔ブラッドヘルム〕へ、すでに王子二人がお忍びで来ていたことは完全に想定外だった。運が悪かったとも言えるが、把握できていなかったことは痛恨のミスだった。もちろんドリーブ個人の責任というわけではない。だが、もし問題が起こった場合、ドリーブは政治的責任を免れることはできないだろう。「まだ王子たちは帰ってはいないはずだ!今のうちに王女殿下をお部屋へお連れしろ!そもそもお前はこのような事態にならないためにディリアス公から命を受けているのだろう!?」ドリーブは眼を血走らせ、遅れて入室してき
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-28
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