Semua Bab 一通の手紙から始まる花嫁物語。: Bab 71 - Bab 74

74 Bab

25話-4 月を共に見れたなら。

「ほら、今宵の月は美しいであろう?」「は、はい」(こんな目を輝かせて嬉しそうなルークス皇帝は初めてだわ)「身の上話となるが、我はエルバートよりも早く、幼き頃から亡き前皇帝の命令で婚約者候補を与えられていた」「しかし、どの者も地位や権力目当てで、我は断り続け」「ここでエルバートと共によく月を見ていた」(ご主人さまは無心になる為に時々月を眺めるようにしていると前に仰っていたけれど、ルークス皇帝の影響だったのね)ルークス皇帝は月から目線をずらし、フェリシアをじっと見つめる。「だからエルバート以外と月を見るのはお前が初めてとなる」「今宵はしばし、こうして隣で眺めていてはくれないか」(ほんとうは一番にご主人さまと宮殿の月を見たかったのだけれど、ルークス皇帝にそう言われてしまっては拒めない)「わたしで宜しければ、かしこまりました」フェリシアは気持ちを押し殺し、承諾した。* * *その2日後のこと。フェリシアはエルバートと共にルークス皇帝にお呼び出しを受け、門番により開かれた皇帝の間の扉から、髪を一つにくくり、高貴な軍服姿のエルバートと共に中に入る。すると王座の階段の前に何者かが立っているのが見え、床に敷かれた長いレッドカーペットの上をそのまま歩いて行く。王座の階段の前に立っていたのは、美のかたまりの容姿をした高貴な貴族服姿の青年だった。(白き龍のような美しいお方)「エルバートは何度か会っているが、この者は、ゼイン・ヴェルト皇子だ」ルークス皇帝がフェリシアに向けて言う。(え、この方がゼイン・ヴェルト皇子殿下!? 厨房でルークス皇帝と血の繋がりはないけれど次期皇帝だと噂されていたわ。確かお歳はご主人さまより3歳年下だったはず)「ゼイン殿下、初めまして。フェリシア・フローレンスにございます」「フェリシア嬢、初めまして。お噂は聞いておりましたが、やっとお目にかかれ、大変嬉しく思います」「ではこれより本題に入る」ルークス皇帝がそう言い、フェリシア達は並んで跪き、見据える。「隣
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-22
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25話-5 月を共に見れたなら。

「かしこまりました」フェリシアとエルバートは同時に言い、跪いたまま深々と頭を下げた。* * *その後、エルバートはフェリシアとゼインと共に皇帝の間を出る。「エルバート様、少し宜しいでしょうか?」ゼインが問う。「フェリシア、先にディアムと共に部屋に戻っていろ」「かしこまりました」フェリシアはディアムと共に廊下を歩いて行く。「それでお話とは?」「最近、フェリシア様とルークス皇帝、良い雰囲気のようですね」確かに仲の良い噂はあちこちで聞く。見ていても分かる。「ルークス皇帝の側近から先日お聞き致しましたが」「寝室で共に月を眺められたとか」エルバートが両目を見開くと、ゼインはエルバートの耳元で囁く。「……ルークス皇帝の方がフェリシア嬢とお似合いだと思います」エルバートは冷たい顔でゼインを見ると、ゼインは優しく微笑み、それではまた、と言い、去って行った。* * *その日の深夜。フェリシアは眠れず、部屋の近くの廊下で静かに灯るキャンドルを見つめているとエルバートと偶然会った。「フェリシア、一人か?」「はい。シエルさん達には許可を頂いておりますので大丈夫です」フェリシアがそう言うと、エルバードは、はーっと息を吐く。「見回っていたから良かったものの、お前はそうやっていつも一人で行動するが、お前はもう令嬢なのだぞ。宮殿内は安全とはいえ、何かあったらどうするつもりなんだ?」「も、申し訳ありません……」(わたしを心配して怒ってくれたのは分かるけれど、なんだか、ご主人さま、いつもよりお顔が冷たく怒っているような……)「ゼイン殿下から聞いたが」「ルークス皇帝と寝室で共に月を眺めたそうだな」フェリシアの瞳が揺らぐ。「あ、あの、それはお呼び出しされてっ……」「やはり、勤めを承諾し、お前を宮殿入りさせるべきではなかった」
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25話-6 月を共に見れたなら。

* * *それから一週間、フェリシアはエルバートとは一切口を聞かず、朝昼晩の食事も別々でシエル達やディアムに心配されつつも年越し前日の夜となった。今宵も食事室で一人の食事。(ご主人さまと出会う前のよう)(ご主人さまを怒らせたのはわたしのせい。なのに今もこんな酷い態度を取ってすれ違って)(年が越えたらご主人さまと隣国に行くというのに)これだから自分はだめなのだ。今となってはもう許してもらえないかもしれないけれど、それでも諦めたくない。フェリシアはそう思い立ち、席から立ち上がり、食事室を出て執務室まで駆けて行く。「ご主人さま、フェリシアです。執務中に申し訳ありません、その」フェリシアが扉の前でそう言うと、内側から扉が開き、必死な顔のエルバートが出て来た。「フェリシア、何かあったのか?」一週間も酷い態度を取り続けていたのに、心配してくれるだなんて。「あります」「ご主人さま、怒らせたわたしが悪いのに、ずっと酷い態度を取ってしまい、申し訳ありません」「許させないことは分かっております。でも、わたし」「ご主人さまと、月が見たい、です」(あ、ご主人さま、冷たい顔をして……。やっぱりもうだめ――――)「フェリシア、私の方こそ、怒り酷いことを言ってしまってすまなかった」エルバートはそう謝罪し、優しく微笑む。「月を見に行こう」* * *しばらくして、フェリシアはある部屋の前にエルバートと共に辿り着く。「あの、ご主人さま、ここは?」「宮殿での私の特別な部屋だ。気分を入れ替えたい時にたまにここへ来る」エルバートはそう説明し、扉を開ける。キャンドルが美しく灯る、落ち着いた休憩室のような部屋だった。「先に白ワインでも飲むか?」「は、はい。わたしが注ぎます」フェリシアはエルバートの代わりに白ワインをふたつのグラスに注ぎ、乾杯して白ワインを飲む。「美味しいです」「それは良かった」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-23
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26話-1 ご主人さまと隣国へ。

フェリシアはエルバートと共に瞳を閉じ、涙を流す。初めてのキスは月明かりのように優しく温かなものだった。* * *そして年が明けた翌日の朝、フェリシアはルークス皇帝の命令でバルコニーに参列することとなった。ルークス皇帝が中心に立ち、左隣のエルバート、右隣のゼインに囲まれ、エルバートの横にフェリシア、ゼインの横にクランドールが立ち並ぶ。(宮殿にお勤めしているとはいえ、わたしがこのような場に立って良いのかしら……緊張するわ)フェリシアはふと、しっかりなさい、とエルバートの母に言われた言葉を思い出す。そうだ、自分はもう令嬢に昇格したのだ。しっかりしなくては。ルークス皇帝が集まった大勢の民と宮殿に仕える者に向けてお言葉を述べる。「新年を無事に迎えられたこと、大変嬉しく思う」「そして、アルカディアの民、宮殿に仕える者全てに感謝し」「今後も皆の為にアルカディア皇国を守り尽す」ルークス皇帝がお言葉を述べ終わると、ワァッと歓声が上がる。ルークス皇帝は笑顔で手を振り、フェリシア達も続けて手を振った。そして夜、新年の祝賀会が大広間で開かれ、豪勢で華やかな料理が白いクロスのかかった各テーブルに並べられ、皆がその料理を食べ、ワインを始め、様々なお酒を飲み明かす中、フェリシアの料理、牛の赤ワイン煮込みはバルコニーに参列した者と皇帝の側近のリンク、エルバートの側近のディアムのみ食すことをルークス皇帝に許された。「軍師長達だけフェリシア様の料理を食べられるだなんてずるいですよー」「これが絶対的権力」赤ワインのグラスを持ったカイとシルヴィオがそう続けて言うと、エルバートがふたりに冷ややかな殺気を飛ばず。「ふたりともその辺にしておいた方がいい」同じく赤ワインのグラスを持ったアベルがなだめ、エルバートが息を吐く。「私の部下達が失礼なことを」ゼインはにこりと笑う。「大丈夫ですよ、このような美しい料理を見たら誰でも食したくなります」「羨ましがるのも仕方ない
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