Semua Bab 一通の手紙から始まる花嫁物語。: Bab 81 - Bab 90

102 Bab

27話-5 討伐後のご褒美は。

すると魔は瞬時に避け、尾の先のみが浄化された。しかし、怒った魔はフェリシアに向けて空中から物凄い速さで突っ込んでいく。まずい!「フェリシア!」エルバートは必死な声で叫んだ。するとフェリシアはブローチを右手で掴み、左手をその手に添え、唱える。「ルシア」その瞬間、右手の甲に印が表れ、神々しい光に包まれる。髪は美しいピンクゴールドに染まり、ベールが付いたリボンで両髪を少し編み込まれ、瞳には光が宿る。フェリシアは華やかな美しきドレスをまとった伝説の祓い姫の姿となり、エルバートの瞳により美しく映った。魔は光で眩しがりながらも突っ込んでくる。「シルト」フェリシアは守りの呪文で魔を遠ざけ、祓い姫の姿のまま浮かび上がっていく。「今度はわたしが守ります」エルバートはフェリシアを見守り、フェリシアは浮かび上ったまま手を前に出し、唱える。「消滅せよ(イレーズ)!」その瞬間、フェリシアの祓い姫の力で魔は吹き飛ばされ、浄化されていく。やがて魔は光となり、流星群が降り注いだ。* * *「フェリシア嬢、天空に浮かぶ女神のように治癒の呪文で軍の命まで救って頂いたこと、感謝致します」ユリシーズが礼を言い、黒髪に戻ったフェリシアは恐縮する。「では先にテントに戻ります」「ディアム、ユリシーズ殿下とゼイン殿下を守れ」「はっ」エルバートに命じられたディアムは短く返す。「流星群をおふたりでどうぞご堪能下さい」ユリシーズは、にこりと笑うとゼイン、ハロルド、ディアム、サフィラ、軍達12名を連れて歩いて行く。(まさか、ご主人さまと流星群を見ることになるだなんて。まるで討伐後のご褒美のよう)ふたりきりなると、静かに冬風が吹いた。フェリシアの長い黒髪とエルバートの麻紐でくくった美しい銀髪が微かに揺れる。「ご主人さま、流星群、とても綺麗ですね」「あぁ、お前とこの景色を見られて良かった」細い流れ星が夜空に幾度も輝き、お互いの手が
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28話-1 決して渡さない。

そしてフェリシアはエルバートの手の体温を感じつつ、流星群を見つめた後、手を離し、芝生に隣同士で座る。 するとエルバートが手を重ね、ゆっくりと唇が重なり、両目を瞑った。 * * * しばしの甘い一時(ひととき)は過ぎ、テントに戻る為、ふたりで山を降りる。 思いもよらなかった2度目のキスに動揺が収まらない。 エルバートの顔すら見られず、無言のまま隣をひたすら歩く。 対してエルバートは普段と変わらない様子。 自分のこんな姿にきっと呆れていることだろう。 エルバートに、ぽん、と頭を優しく叩かれる。 大丈夫だと言われているよう。 幸せだ。 こんな幸せがずっと続いて欲しいと願ってしまう程に。 そう思った時だった。 突然、フードを被り仮面で顔を覆った何者かが山林から現れ、 マントの裾を靡かせ、一直線に駆けてくる。 その者が握った短剣の先が鈍く輝く。 矛先は自分の胸元に向いている。 避けられない。 と、思った直後、 エルバートが瞬時に身を挺(てい)して前に出る。 すると鈍い音と共に短剣の先がエルバートの胸元に沈み込む。 フードを被った者が胸元から短剣を抜き、エルバートの体が傾く。 エルバートの崩れ落ちていく姿が、ゆっくりな動きに見え、まるで夢の中にいるようだった。 エルバートが地面に倒れ、麻紐でくくった銀の長髪がこぼれ落ちる。 ふと気づいた時にはフードを被った者はこの場から立ち去っていた。 「ご主人さま!」 フェリシアは叫び、しゃがむ。 「ご主人さま、ご主人さま!!」 何度呼び、少し肩を揺らしてみても返事はなく、両目を閉じている。 魔除けコートを脱がし、高貴な軍服の胸元を見るも血は出ていない。 けれど、予断を許さない状態。 祓い姫の姿で治癒の呪文を唱えた方がより救えるかもしれない。 フェリシアはブローチを右手で掴み、左手をその手に添え、口を開く。
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28話-2 決して渡さない。

「ル」「唱えるな」エルバートの阻止の言葉が聞こえ、フェリシアはエルバートの顔を見る。エルバートは目を開けていた。「ご主人、さま…………」フェリシアの右目からぽろっと涙が零れ落ちる。するとエルバートがむくりと起き上がり、涙を手で優しく拭う。「大丈夫、なのですか?」「あぁ、私は大丈夫だ。心配をかけたな」「でも、どうして…………」エルバートは高貴な軍服の胸元のポケットからフェリシアのブローチを取り出す。ブローチの中心に剣先の欠片が突き刺さっていた。「わたしが以前帝都でお渡ししたブローチ……」「そうだ。隣国は危ないと思い、魔除けコートから外し、こちらに入れておいたのだがやはり正解だったな」エルバートはブローチを持ちながら両目を瞑り、優しく微笑む。「お前のブローチが私の命を守ってくれた」「良かった……」エルバートは両目を開け、フェリシアを見る。するとフェリシアは涙ぐみながら笑う。「ご主人さま、ご無事でほんとうに良かった……」「無事ではない」「え」「お前からのブローチが割れてしまった。また直さねば」自分が渡したブローチを大切にして下さっていたことはとても嬉しい。けれど。「ブローチよりも自分のお身体を心配なされて下さい。左の手首が擦れています」「あぁ、倒れた時に擦れたのだろう。大したことはない」「念の為、体全体に治癒の呪文を掛けさせて頂けませんか?」「どうしてもか?」「はい、どうしてもです」エルバートは、はー、と息を吐く。「分かった。宜しく頼む」「クラシオン」フェリシアは両目を閉じて両手を広げ、治癒の呪文を唱える。すると強い光が発動した。両目を開けて見ると、エルバートの左の手首が擦
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28話-3 決して渡さない。

* * *その後、エルバートはフェリシアと共にテントに到着し、ユリシーズ達と合流し、フェリシアとディアムのみ連れて特別なテントに入る。するとエルバートはディアムに全ての事情を話す。そしてディアムがゼインとアベルにその事を伝えるも、カイ、シルヴィオもアベルから聞いたのか、ゼインとアベルと共に特別なテントの中に入って来た。「軍師長、暗殺されかけたって本当ですか!? 心配しましたよー!」カイが声を上げながらエルバートの体を大きく揺らす。「うるさい、静かにしろ。他の者に聞かれたらどうする」「それにフェリシアは今、ここで眠っているんだぞ」エルバートが怒ると、カイは体を揺らすのを止め、黙る。「それでエルバート様、命を狙ってきた者の正体は分かったのですか?」ゼインが問う。「あぁ」エルバートはブローチの中心に突き刺さる剣先の欠片をゼイン達に見せると全員の表情が強張る。山道でも剣先の欠片を見てそういうことだったのかと気づいたが、ここは明るく、より剣先の欠片に装飾された高貴な太陽の模様が鮮明に見える。この天空山、何かあるのかもしれないと思い、様子をずっと伺っていたが、本命の魔も思いの外早く討伐出来たこと、そして流星群でフェリシアとふたりきりにさせたのも、全て計算の内か。まさか、“私の暗殺”が本来の目的だったとはな。「明日、宮殿に戻り次第、皇帝に報告する」エルバートはゼイン達に宣言した。* * *フェリシアは一晩、特別なテントに泊まり一夜を明かし、その翌朝。テントの片付けを手伝い、荷造り等々して下山し、行きと同じくゼイン、サフィラと馬車に乗り、高貴な馬に騎乗したエルバート、ユリシーズ、ディアム、ハロルドとその軍に守られながらエセリアル宮殿へと戻る。その後、しばらくして、皇帝の間に入り、玉座の階段前でゼイン、エルバードと共に跪き、ユリシーズとハロルドも後ろで跪いた。すると側近の代わりに皇帝の隣に立つ麗しき第一皇太子、シトラス・エセリアルが皇帝に目で合図を
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28話-4 決して渡さない。

「では僭越ながら申し上げます」「魔を討伐し、テントに戻る為山道を歩いておりましたところ、何者かにフェリシアが襲われ、庇った所、暗殺されかけた次第にございます」エルバートの言葉を聞いたクロヌ皇帝とシトラスはそれぞれ両目を見開く。「暗殺だと!? それは誠か?」「はい、ここに証拠がございます」エルバートが剣先の欠片が中心に突き刺さったブローチを掲げると、クロヌ皇帝に命じられたシトラスが玉座の階段を降り、それを両手に取り、クロヌ皇帝まで運ぶ。そしてクロヌ皇帝がシトラスに意見を求め、シトラスはクロヌ皇帝に耳元で意見を囁く。「この剣先の欠片に装飾された高貴な太陽の模様はハロルド・ソレイユのものの証。ハロルド、短剣を今ここで抜き、我に見せよ」「承知致しました」ハロルドはそう言って立ち上がり、短剣を鞘から抜き、掲げる。すると短剣の先が刃毀(はこぼ)れしており、フェリシアを含め、クロヌ皇帝とシトラス、ユリシーズが驚く。(ハロルド様が、ご主人さまを刺した暗殺者!?)「そん、な、ハロルド様、どうして……?」フェリシアは震えた声で問う。「ユリシーズ殿下に頼まれたのだろう? 私を暗殺しろと」ハロルドが黙秘するとクロヌ皇帝が口を開く。「ユリシーズ、どういうことだ? 真実を述べよ」「さすがエルバート軍師長、察しが良いな」「全ては祓い姫であるフェリシア嬢を私のものにする為、予め、私のペルシャのような猫の式神をフェリシアの元へ放ち探らせ、魔の討伐は表向きとし、裏でエルバート軍師長の暗殺を目論み、昨夜、ハロルドに実行させた」「ユリシーズ! 貴様、皇帝の顔に泥を塗るとは! この皇国を滅ぼすつもりか!」シトラスが怒鳴るとユリシーズは笑う。「滅ぼすなど、とんでもない。フェリシア嬢が私のものになれば、この皇国は安泰となり、世界一栄え、皇帝も神の存在となろう」「よって、エルバート軍師長、貴方にフェリシア嬢をかけた決闘を申し込む」フェリシアを含めた全員が驚く。「そして皇帝には決闘をこの場で承諾して
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28話-5 決して渡さない。

* * * しばらくして、闘技場に着いたエルバートとユリシーズは向き合い、立つ。 だが、高貴な広い闘技場の観客席にはクロヌ皇帝、シトラス、ゼインはいるものの、 フェリシアとディアム、そしてハロルドの姿が見当たらない。 先程ユリシーズとは反対側の入口の前で心配そうな顔をしたフェリシアの頭を優しく撫で、必ず勝って下さいと言われ、任せろと、観客席で見守っていてくれと言い、ディアムにフェリシアを託し別れた。 だから2人とも観客席にいなければおかしい。 一体、どうなっている? 気にはなるが、まずは決闘に集中せねば。 エルバートとユリシーズは互いに鞘からスッと剣を抜く。 「ではこれより、決闘を開始する」 シトラスの言葉により、2人の決闘が幕を開けた。 その直後、ユリシーズが地面を蹴り、エルバートに向け、剣を横薙に振るう。 するとエルバートは剣でそれを難なく受け止め、押し返す。 そして、剣を交える度に火花のような剣戟(けんげき)の衝撃が途切れることなく続き――、動きを見切ったエルバートはユリシーズの剣を瞬時に避け、剣を上段に構え、振るった。 まさにその時だった。 フェリシアとハロルドがエルバート側の観客席の出入口から姿を現し、エルバートは剣をユリシーズの頭上でピタリと止める。 続いてディアムも出入口から姿を現し、フェリシア達に続いて通路を歩いていく。 そして、観客席の中央でフェリシア達は足を止め、エルバート、ゼイン、クロヌ皇帝、シトラスは驚く。 フェリシアのみ頑丈な紐により後ろで両手を縛られていた。 「フェリシア!」 エルバートは叫ぶ。 「ご主人、さま……」 「エルバート軍師長、ディアム殿は快く我に応じてくれた」 「ユリシーズ殿下に傷を付ければ、フェリシア嬢がどうなるか分かるな?」 ハロルドが問うと、エルバートはやむを得ずユリシーズの頭上から剣を下ろす。 するとユリシーズはエルバートに向けて剣を中段に構え、振るった。 エルバートは瞬時にそれを受け止め、交差した剣を鬩(せめ)ぎ合わせる。 くそ、このままでは。 エルバートはユリシーズの剣を押し返す。 すると押し返えされた剣でユリシーズがわざと自身の髪を少し切り、ハロルドはフェリシアの腹を締め付ける。 「あ……」 「フェリシア!」 エルバートは苦しむフェリシアを見ながら叫
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28話-6 決して渡さない。

するとエルバートはそれを剣で受け止める。「いや、まだだ。剣を持っているからな」「そうか、ならば」ユリシーズは剣に力を込め、押す。するとその反動で剣は押し返され、ユリシーズはその剣でわざと自身の頬を切る。それを合図にハロルドがフェリシアの腹を更に強く締め付ける。「あ、あ……」フェリシアは苦しみの声を上げ、ディアムはその姿を見ている事しか出来ず、自身の唇を噛み締める。だが、フェリシアはエルバートに向けて必死に告げる。「ご主人……さま……わたしは……大丈夫……」だから、必ず勝てと。苦しい思いをしてもなお、お前の意思は変わっていないのだな。フェリシア、苦しめて、すまない。すぐに決着をつける。「フェリシアはお前になど、決して渡さない」エルバートは宣言し、物凄い殺気をユリシーズに放つ。そして、祓いの神のような立ち姿で、エルバートはユリシーズが握る剣を一瞬で飛ばし、首元に自身の剣先を突き付けた。「それまで! 勝者、軍師長エルバート!」シトラスが結果を告げると、フェリシアがくたっとなり、ハロルドはフェリシアの体を片腕で支えつつ、フェリシアの首を掴む。「ハロルド、どこまで愚かになる気か。その手を今すぐ下ろし、フェリシア嬢を解放せよ」クロヌ皇帝が命じると、ハロルドは首から手を放し、ディアムにフェリシアを渡す。そして、シトラスとゼインがハロルドの元まで行き、ハロルドを捉える。「ユリシーズ、貴様は負けを認め、エルバート軍師長にこの場で謝罪せよ」クロヌ皇帝に命じられ、ユリシーズはエルバートの力を認めざるを得ず、「私の負けだ。この度は申し訳なかった」と言い、深々と頭を下げる。「こちらを見ろ」エルバートが命じると、ユリシーズは頭を上げる。するとエルバートは手を差し出す。「生きて償え」ユリシーズは深く頷き、エルバ
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29話-1 平穏と、暗雲と。

* * * 「エルバート軍師長、及びフェリシア嬢、恩を仇で返すような事態となり、本当に申し訳ない」 しばらくしてフェリシアはエルバートと共に皇帝の間にてクロヌ皇帝から謝罪され、深く頭を下げられる。 エルバートに優しく抱き締められた後、フェリシアは治癒の呪文でエルバートの負傷した左肩と自分を治そうとした。 しかし、疲弊のせいか力は発動せず。 エルバートはディアムに応急処置として左肩を持参のハンカチで結ばれ、情けない気持ちを抱いたまま、エルバートにお姫様抱っこで、この場まで運んでもらったのだけれど……。 まさか、クロヌ皇帝に頭を下げられるだなんて。 「ユリシーズとハロルドについては一旦牢に入れ、称号を剥奪した後、他国へ追放し、ルークス皇帝にもこちらから謝罪するによって、どうかこの件はそれで治めて頂きたい」 (他国への追放。つまり、ユリシーズ殿下とハロルド様は奴隷扱いまで落ちるということ) 自分と同じような思いはさせたくない。 フェリシアは目でエルバートに訴えかける。 するとエルバートは頷き、口を開く。 「クロヌ皇帝、頭をお上げ下さい」 クロヌ皇帝は頭を上げ、エルバートを見る。 「私達は幸い、命を奪われずに済みました。よって、ユリシーズ殿下とハロルド軍師長の罰を減刑して頂きたい」 エルバートの発言にクロヌ皇帝は驚く。 「誠にそれで良いのか?」 「はい」 「では、ふたりの称号は一旦剥奪とし、貧しい領土に追放の上、そこの長と兵士として働かせるというのはどうであろうか?」 「それで構いません」 エルバートはクロヌ皇帝の提案を呑む。 「エルバート軍師長、恩に着る」 「今宵、魔討伐の祝賀会を開くによって、それまでしっかりと休み、是非、参加し楽しんでくれたまえ」 クロヌ皇帝との会話が終わり、フェリシアは皇帝の間に運ばれた時と同じくエルバートにお姫様抱っこをされながら部屋まで運ばれ、ベッドに寝かされる。 するとクロヌ皇帝の命令で祓いの力を持つ医務室の一番腕の良い医師が部屋まで駆けて来て、エルバートは左肩を包帯で巻き直され、フェリシアも診てもらい大丈夫とのことで水分を取った。 そして治療後はエルバートに右手を握られたままベッドで眠りにつき、休めたおかげか、魔討伐の祝賀会の前に目覚めた時には治癒の呪文が使えるようになり、念の為エルバートと自
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29話-2 平穏と、暗雲と。

そしてテーブルを見ると、並べられた複数の皿に紫色のスープのようなものが盛り付けられており、フェリシア達3人は驚愕した。「こちらがサフィラさんが作ったお料理でしょうか?」フェリシアは恐る恐る尋ねる。「はい! 鴨肉を赤ワインで煮込んだ料理となります!」サフィラが自慢げに言うと、ディアムがフェリシアの耳元で囁く。「……どうやら、私達が援軍に来る前の魔討伐の際、魔ではなく、サフィラ様の料理で腹痛を起こし倒れていたとシトラス殿下からお聞きしたので、食べない方が宜しいかと」フェリシアは料理よりも更に驚愕な事実を魔討伐の祝賀会の場で知ることとなった。その後、アベル、カイ、シルヴィオにも会い、皆と祝賀会を楽しみ、エルバートとエセリアル宮殿の部屋で眠る最後の時が訪れる。(なんとか仰向けで寝ているけれど、ご主人さまの顔が見られない……)「今宵は背を向けて寝ないのだな」「いつものように寝なくて大丈夫か?」(ご主人さま、よく覚えてらっしゃる……)「はい、だ、大丈夫です」フェリシアは肯定する。すると銀の長髪を流したエルバートに左手を握られる。「ご、ご主人さま!?」「抱き寄せた方が良かったか?」「な」顔全体に熱さを感じると、エルバートは、ふ、と笑う。「か、からかわないで下さい」「至って真剣なんだが」「もうっ、寝ます」エルバートに寝る宣言をしたものの、魔討伐の祝賀会前に一度寝たせいと、ドキドキで眠れなかった。そして、翌日の朝。フェリシアはエルバートとゼインと共に皇帝の間でクロヌ皇帝から勲章と剣、金貨、高級な食物や原料等の魔討伐の報酬をもらう。続けて壊れたブローチも返却されエルバートが受け取ると、フェリシアは行きと同じくゼインと同じ馬車に乗り、高貴な馬に乗るエルバートとディアム、護衛と軍に守られながらエセリアル宮殿の門を出た。それからしばらくの間、馬車に揺られ――、アルカディア宮殿へと帰還し
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29話-3 平穏と、暗雲と。

「フェリシアは祓い姫であり、料理も美味く、とても魅力的である」 「しかしながら、フェリシアは我が認めたエルバートの正式な花嫁候補。そしてエルバートは我の一番に信頼出来る存在」 「だからこそ我は、民の幸せと同様、エルバートとフェリシアの幸せを心から願っておる」 エルバートはルークス皇帝のお言葉を聞き、顔を右手で覆う。 自分のことをそのような存在だと思ってくれていたとは。 それだけでなく、自分とフェリシアの幸せまでも。 対して自分はフェリシアを欲していると答えるのではないかと一瞬焦り動揺し、情けない。 エルバートは顔を覆うのを止め、中庭から立ち去るべく背を向け歩き出す。 エルバートの麻紐でくくった銀の長髪が揺れ動く。 (私はルークス皇帝をこれからもお支えし、守り続ける。例え自分の命に変えてでも) * * * 翌日の朝。 フェリシアはエルバートと共に皇帝の間に行き、ルークス皇帝に挨拶をするとフェリシアは宮殿勤めのお役目を正式に解かれ、馬車に乗り、高貴な馬に乗るエルバートとディアムに守られながらブラン公爵邸へと帰った。 リリーシャ、クォーツ、ラズールに「おかえりなさいませ」と玄関前で温かく出迎えられ、フェリシアは涙し、リリーシャと抱き合う。 こうして、晴れてブラン公爵邸で暮らす日常が戻り、 エルバートは昼前にはアルカディア宮殿へ再び向かい、 その夜、フェリシアは牛の赤ワイン煮込みを作り、 エルバートの為にだけ料理を作るという新年の祝賀会での約束をようやく果たす事が出来たのだった。 けれど、エルバート達とブラン公爵邸で過ごす、穏やかで宝物のような時は瞬く間に過ぎ去って行き、5日後。 エルバートが日帰りで魔の討伐に行くこととなった。 フェリシアはエルバートを玄関の外で見送り、祈る。 (ご主人さまが無事に帰って来られますように) * * * エルバートが魔の討伐の場にあたる樹海の奥に到着したのは昼前のことだった。 ここは帝都の隣にあり、ブラン公爵邸からディアムと共に高貴な馬でアルカディア宮殿へ向かい、宮殿入りした後、アベル、カイ、シルヴィオも連れ、討伐にやって来た。 だが、人の式神のような姿のアンデットの魔がまさか幻影を見せる魔だったとは。 この場所は冬だというのに紫の桜のような花が妙に美しく満開に咲いる木々が整然と並び、地面は
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