すると魔は瞬時に避け、尾の先のみが浄化された。しかし、怒った魔はフェリシアに向けて空中から物凄い速さで突っ込んでいく。まずい!「フェリシア!」エルバートは必死な声で叫んだ。するとフェリシアはブローチを右手で掴み、左手をその手に添え、唱える。「ルシア」その瞬間、右手の甲に印が表れ、神々しい光に包まれる。髪は美しいピンクゴールドに染まり、ベールが付いたリボンで両髪を少し編み込まれ、瞳には光が宿る。フェリシアは華やかな美しきドレスをまとった伝説の祓い姫の姿となり、エルバートの瞳により美しく映った。魔は光で眩しがりながらも突っ込んでくる。「シルト」フェリシアは守りの呪文で魔を遠ざけ、祓い姫の姿のまま浮かび上がっていく。「今度はわたしが守ります」エルバートはフェリシアを見守り、フェリシアは浮かび上ったまま手を前に出し、唱える。「消滅せよ(イレーズ)!」その瞬間、フェリシアの祓い姫の力で魔は吹き飛ばされ、浄化されていく。やがて魔は光となり、流星群が降り注いだ。* * *「フェリシア嬢、天空に浮かぶ女神のように治癒の呪文で軍の命まで救って頂いたこと、感謝致します」ユリシーズが礼を言い、黒髪に戻ったフェリシアは恐縮する。「では先にテントに戻ります」「ディアム、ユリシーズ殿下とゼイン殿下を守れ」「はっ」エルバートに命じられたディアムは短く返す。「流星群をおふたりでどうぞご堪能下さい」ユリシーズは、にこりと笑うとゼイン、ハロルド、ディアム、サフィラ、軍達12名を連れて歩いて行く。(まさか、ご主人さまと流星群を見ることになるだなんて。まるで討伐後のご褒美のよう)ふたりきりなると、静かに冬風が吹いた。フェリシアの長い黒髪とエルバートの麻紐でくくった美しい銀髪が微かに揺れる。「ご主人さま、流星群、とても綺麗ですね」「あぁ、お前とこの景色を見られて良かった」細い流れ星が夜空に幾度も輝き、お互いの手が
Terakhir Diperbarui : 2025-05-26 Baca selengkapnya