ディアム、アベル、カイは剣を、シルヴィオは銃を抜き、花びらが舞う中、魔を討伐していく。そして本物の魔のみになった時には夜になっており、エルバートは魔を剣でナナメに美しく斬り、浄化され、光となり、討伐完了。ルークス皇帝に魔の討伐の報告を済ませ、ディアムと共に高貴な馬でブラン公爵邸に帰った時にはすでに深夜だった。エルバートは玄関の扉を開け、駆け込み、はぁ、と息を切らす。「フェリシア、遅くなった」「ご主人さま、おかえりなさいませ」このような寒い玄関でずっと待っていてくれたのか。エルバートは魔除けコートをフェリシアの両肩に掛け、フェリシアと抱き合う。するとフェリシアが自然と涙を零し、エルバートは儚げな顔を浮かべる。今朝、心配な顔をしていた事を分かってはいたが、日帰りだったとはいえ、不安に、そして寂しくさせたのだと自覚せざるを得ない。しかし、朝にはまた勤めに出なければならない。「フェリシア、今宵、月を見よう」「はい」エルバートはフェリシアと月を見る約束を交わした。* * *その日の夜。フェリシアは帰って来たエルバートとバルコニーで約束の月を見ることになった。エルバートはバルコニーの扉を開け、先に出る。フェリシアがバルコニーに出るのを躊躇すると、エルバートは、ふ、と笑う。「フェリシア、おいで」エルバートらしくない柔らかく甘い言葉に胸をときめかせながらフェリシアは差し出された手に自分の手を添え、バルコニーへと出る。バルコニーの柵まで近づき並んで月を見ると、ブラン公爵邸の中庭やアルカディア宮殿でのエルバートの特別な部屋で見た時よりもずっと月を近くに感じた。エルバートに肩を抱き寄せられる。銀の美しい髪を流したエルバートの存在は、月よりももっと近くに感じ、このまま時が止まって欲しいと、離れたくないと思った。けれど、朝はきてしまう。エルバートはルークス皇帝に呼び出しを受けているとのことで、銀の長髪を麻紐でくくり、高貴な軍服を着て玄関の外に立ち、こちらを
Terakhir Diperbarui : 2025-05-31 Baca selengkapnya