Semua Bab 一通の手紙から始まる花嫁物語。: Bab 91 - Bab 100

102 Bab

29話-4 平穏と、暗雲と。

ディアム、アベル、カイは剣を、シルヴィオは銃を抜き、花びらが舞う中、魔を討伐していく。そして本物の魔のみになった時には夜になっており、エルバートは魔を剣でナナメに美しく斬り、浄化され、光となり、討伐完了。ルークス皇帝に魔の討伐の報告を済ませ、ディアムと共に高貴な馬でブラン公爵邸に帰った時にはすでに深夜だった。エルバートは玄関の扉を開け、駆け込み、はぁ、と息を切らす。「フェリシア、遅くなった」「ご主人さま、おかえりなさいませ」このような寒い玄関でずっと待っていてくれたのか。エルバートは魔除けコートをフェリシアの両肩に掛け、フェリシアと抱き合う。するとフェリシアが自然と涙を零し、エルバートは儚げな顔を浮かべる。今朝、心配な顔をしていた事を分かってはいたが、日帰りだったとはいえ、不安に、そして寂しくさせたのだと自覚せざるを得ない。しかし、朝にはまた勤めに出なければならない。「フェリシア、今宵、月を見よう」「はい」エルバートはフェリシアと月を見る約束を交わした。* * *その日の夜。フェリシアは帰って来たエルバートとバルコニーで約束の月を見ることになった。エルバートはバルコニーの扉を開け、先に出る。フェリシアがバルコニーに出るのを躊躇すると、エルバートは、ふ、と笑う。「フェリシア、おいで」エルバートらしくない柔らかく甘い言葉に胸をときめかせながらフェリシアは差し出された手に自分の手を添え、バルコニーへと出る。バルコニーの柵まで近づき並んで月を見ると、ブラン公爵邸の中庭やアルカディア宮殿でのエルバートの特別な部屋で見た時よりもずっと月を近くに感じた。エルバートに肩を抱き寄せられる。銀の美しい髪を流したエルバートの存在は、月よりももっと近くに感じ、このまま時が止まって欲しいと、離れたくないと思った。けれど、朝はきてしまう。エルバートはルークス皇帝に呼び出しを受けているとのことで、銀の長髪を麻紐でくくり、高貴な軍服を着て玄関の外に立ち、こちらを
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29話-5 平穏と、暗雲と。

* * *しばらくして、エルバートは皇帝の間の階段前で跪き、ルークス皇帝を見つめる。だが、いつもの優しく穏やかな雰囲気はなく、冷たく怒っているようで、エルバートは気を引き締める。するとルークス皇帝がエルバートを玉座から見据える。「先日の魔の討伐の件で、伝えたきことがある」「樹海で魔の危害にあった子供が貴族のご息子であり、討伐が早ければ息子がこのような目には合わなかったと昨夜の茶の席で言われ、我だけでなく、このアルカディア皇国をも恥をかいた」「よって、エルバート、お前に牢獄行きを命じる」牢獄行き、だと?それに昨夜、茶の席にルークス皇帝が参加したとのことはディアムから聞いている。だが、今回の魔で危害にあった子供の情報はない。(私を牢獄行きにする為の虚言か?)いずれにしてもここで牢獄行きになる訳にはいかない。「ルークス皇帝、この度は恥をかかせ、大変申し訳ありません」「違う罪ならばいくらでも受けますので、何卒、牢獄行きだけはお許し下さい」エルバートは深々と頭を下げる。「エルバートよ、顔を上げよ」エルバートは顔を上げる。するとルークス皇帝は立ち上がり、玉座の階段を降り、エルバートの目の前まで歩いてくる。そして鞘から剣を抜く。エルバートはそれに反応し、即座に鞘に右手をかける。「マゾクだけではなく、我をも殺そうとするとは」「やはり、お前は咎人だ」ルークス皇帝は強く宣言し、エルバートの右肩を剣で斬った。跪く体制は崩れ、エルバートは両足を床につき、右肩を左手で押さえる。ルークス皇帝の顔を見ると、とても冷たい顔をし、気づかざるを得ない。ルークス皇帝が、魔に乗っ取られている。「もう良いぞ、入れ!」ルークス皇帝は声を上げる。すると皇帝の間に兵が数人駆け入って来た。「エルバートを今すぐ牢へ連れて行け!」ルークス皇帝が強く兵に命じ、エルバートは兵の2人に両肩を持ち上げられ、立たされる。意識が薄れ、ルーク
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30話-1 月に想いを馳せて。

フェリシアは朝食の皿洗いを済ませた後、気を落ち着かせる為、ブラン公爵邸の中庭の入口から空を見つめる。 すると冬空に白い月が見えた。 朝の月を見るのは初めてで、消え入りそうだけれど、とても綺麗で愛おしい気持ちが自然と湧いてくる。 (今宵、ご主人さまが帰ってきたら、もう一度)好きです、と伝えよう。* * * しかし、いつも通りエルバートを送り出し、決意をしたその日の午後のことだった。 息を切らしたディアムが一人、玄関の扉を開け、ブラン公爵邸に帰って来た。 フェリシアは慌ててリリーシャと共に駆け寄る。 「ディアムさん、どうしたのですか?」 フェリシアが心配そうに尋ねるとディアムがリリーシャに全員集めて欲しいと頼み、やがて、クォーツとラズールも玄関まで駆けてくる。 するとディアムは息を吐き、告げる。 「エルバート様がルークス皇帝に汚名を着せられ、右肩を剣で斬られ、咎人として連行されました」 ルークス皇帝に汚名を着せられる? 右肩を剣で斬られ、咎人として連行? ディアムの余りにも衝撃的な言葉、そして報告にフェリシア達全員が固まった。 「それで、ご主人さま、は?」 フェリシアは恐る恐る尋ねる。 「牢獄で治療を受け、生きておられます」 フェリシアはエルバートが生きている事に安堵しつつ、更に問いかける。 「一体、何が、あったのですか?」 ディアムは問いかけに応じ、 連行されたエルバートが牢で鎖に繋がれ、皇帝の間に入る前に予め、エルバートが牢に入ることになった際は痛めつけて良いとルークス皇帝の許可を得ていた兵達に痛めつけられたこと。 ディアムとアベルのみ牢守の兵に入室を許可され、アベルがエルバートに消毒と包帯を巻く応急処置の治療をしたこと。 その後、ディアムはエルバートとふたりきりになり、樹海で魔の危害にあった子供が貴族のご息子であったこと。 討伐が早ければ息子がこのような目には合わなかったと昨夜の茶の席で言われ、 ルークス皇帝だけでなく、アルカディア皇国をも恥をかいたと、ルークス皇帝が憤怒されたこと。
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30話-2 月に想いを馳せて。

それからしばらく馬車に揺られ、その場所に到着し停止すると、フェリシアは馬車の中からアルカディア宮殿を見つめる。(あの宮殿の牢にご主人さまがいる)それなのに、やっぱり、ただ黙ってここで見つめ続けることは出来ない。フェリシアは耐えきれず言いつけを破り、とっさにリリーシャとは反対側の扉を開け、馬車から飛び出す。「フェリシア様!!」後ろからリリーシャとクォーツの名を呼ぶ声が響き、リリーシャとクォーツが自分の横の扉をそれぞれ開け、馬車から飛び出す姿が見えるもフェリシアは前を向き、アルカディア宮殿に向け、全力で駆けていく。すると。「クォーツ、馬車をお願いします!」「フェリシア様!!」後ろからディアムの必死な声が響き、こちらに向けて駆けてくる足音が聞こえた。振り返る余裕はないけれど、先程のディアムの言葉とふたつの足音から、恐らく、ディアムは馬車から飛び降り、リリーシャもまた馬車から降り、自分を追いかけて来ているのだろう。しかし、ここでふたりに捕まる訳にはいかない。エルバートの元まで助けに行かねばならないのだから。(ご主人さま、ご主人さま、ご主人さま!)フェリシアは必死に駆けながら、エルバートのことを心の中で何度も呼ぶ。けれど。「フェリシア様!!」ディアムの名を呼ぶ声がすぐ後ろから聞こえ、追いつかれたと思った瞬間、フェリシアは左腕を掴まれた。「馬車から勝手に飛び出して、何かあったらどうするおつもりですか!?」「いやっ! ディアムさん、放して!」「放しません! さあ、早く馬車へ」「わたしは決して戻りません!」フェリシアはディアムの左腕を振り払い地面に座り込むと、ドレスのブローチを右手で掴む。そして、「ル」と唱えようとした時だった。ディアムに両肩を持たれ、地面に押し付けられそうになり、両手を地面に突く。「どれだけ抵抗されようとも貴女をアルカディア宮殿には絶対に行かせられません!」「ルークス皇帝が、魔に乗っ取られているのです!」
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30話-3 月に想いを馳せて。

追いついたリリーシャがディアムの言葉を聞いた瞬間、立ち止まる。 フェリシアもまた、両目を見開き、動揺する。 「しまった、エルバート様から口止めされていたのに」 (優しく穏やかな雰囲気のルークス皇帝がずっと支えて来たご主人さまに汚名を着せたことに違和感を覚えていた) (でも、ルークス皇帝が魔に乗っ取られたのなら、ご主人さまに対する態度や仕打ちも頷ける) けれど。 「ルークス皇帝が、魔に? そん、な、どうして…………?」 フェリシアは問い返すとハッとする。 「以前に宮殿でルークス皇帝が祓い姫の伝説の逸話があり、その祓い姫も魔によく狙われていたと仰って……」 「つまり、祓い姫であるわたしがルークス皇帝に近づいたから魔を呼び寄せた……」 「ルークス皇帝が魔に乗っ取られたのは」 「わたしの、せい」 フェリシアの両目から、ぽろ、と涙が零れ落ちる。 「ご主人さまが牢屋に入ることになったのもわたしの……」 「フェリシア様、違います!」 「リリーシャの言う通りです。貴女のせいでは」 リリーシャに続き、ディアムが庇う。 けれど、自分を責めずにはいられない。 「あ……、う……」 「ご主人、さま……」 「わああああぁぁぁぁ……」 フェリシアは両手を地面に突き、宮殿を見つめたまま、泣き崩れた。 涙は止まることを知らず、徐々に宮殿がぼやけ、 フェリシアは意識を失い、地面に倒れた。 * * * その日の夜。 目覚めたエルバートは寒々とした牢屋の中、フェリシアの身を案じていた。 アルカディア宮殿に高貴な馬で戻って来たディアムから先程聞かされたが、フェリシアは宮殿近くで倒れ、ディアムとリリーシャが馬車まで運び、クォーツが御者をし、ブラン公爵邸まで帰り、今も眠ったままだという。 自分が拘束されたばかりに酷く苦しめてしまった。 そればかりか、牢に鎖で繋がれ、兵達に痛めつけられた時、ようやく、伯母のローゼにフェリシアがずっと奴隷として扱われ、傷が絶えない暮らしをしていた辛さを身を持って思い知った。この上なく、自分が情けない。 フェリシアは当分の間は安静になると思うが、彼女のことだ。 (いずれまた、自分の身を投げ打ってでも私を助けに来ようとするだろう) その時が来る前になんとかこの状態を打破せねば。 エルバートはふと月の光を感じ、窓を見る。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-07
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30話-4 月に想いを馳せて。

そして数日が経った頃。ルークス皇帝の側近、リンクとゼインがエルバートの元を訪れた。「ルークス皇帝がエルバート軍師長をこのような目に合わせるなどおかしいと思っておりましたが、まさか、魔に乗っ取られていたとは……」ルークス皇帝の側近が動揺の声を出す。「しかしながら、魔に乗っ取られた者を助けられた事例はこれまでに一つもなく、前皇帝も亡き者となった。つまり、私共が出来ることはただ一つ」「ルークス皇帝にお隠れ頂くしかないということです」ルークス皇帝の側近が事実を述べると、ゼインは俯き、両目に前髪がかかる。「エルバート様のせいです」「ルークス皇帝は明らかにフェリシア嬢をお慕いしていた」ゼインの言葉を聞き、エルバートの瞳が揺らぐ。「けれど、貴方の存在があるから、お心を押し殺すしかなく、その隙を突かれ、魔に乗っ取られた。私はそう思います」ゼインが話し終えると、ルークス皇帝の側近は両目を瞑り辛辣な顔を浮かべる。どことなく気づいていた。分かっていた。ルークス皇帝がフェリシアに向けるひたすらな秘めき想いを。だが、フェリシアを渡すことなど決して出来ず、ルークス皇帝が発した言葉を信じる他なかった。しかし、その心の甘さがこの最悪な事態を招いた。ルークス皇帝の側近は両目を開け、エルバートを見据える。「ルークス皇帝は公務で多忙を極めており、空くのは月替わりした如月の中旬」「よって、この如月の中旬に私とゼイン殿下、そしてクランドール閣下にも協力を得てルークス皇帝にはこの世からお隠れ頂きます」ルークス皇帝の側近の強き宣言にエルバートは言葉を失い、反論すら出来ない。ルークス皇帝はゼインと共に牢から出て行った。そしてエルバートはこの日の夜、ディアムが持ってきた温かいクリームスープを口にするも味を感じず、眠ることさえも出来ず、ルークス皇帝との日々を思い返す。ルークスが皇帝になる前の6歳の頃、前皇帝が魔によって亡くなった。自分はこの時7歳で、アルカディア宮殿の寝室で酷く落ち込むルークスを立たせ、共に窓から
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-08
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30話-5 月に想いを馳せて。

* * * 眠れないフェリシアはベッドの上でぼんやりしていた。 アルカディア宮殿の近くで倒れ、翌日の朝には目を覚ましたものの、酷くうなされていたようで、しばらくの絶対安静をディアムに強いられ、今宵もベッドで寝ているしかなく、エルバートへの想いを馳せる。 『あぁ、料理が美味かったからだ、白く美しい花も皿にいつも添えていた』 『フェリシア、命懸けで家を守ってくれたこと、礼を言う』 『私がフェリシアにここで共に暮らして欲しいんだが?』 『フェリシア、お前は正真正銘、私の正式な花嫁候補だ』 『満月の深夜だけこうやって満開に咲くんだ。綺麗だろう?』 『――――好きだ』 『そんな顔をするな。宮殿の月はここよりももっと綺麗だ』 『お前のブローチが私の命を守ってくれた』 『フェリシア、今宵、月を見よう』 脳裏にエルバートとのこれまでの思い出が浮かび、そして。『では、行ってくる』エルバートの最後の言葉と顔が浮かぶ度、ただただ大粒の涙だけが零れ、想いがあふれ出るように涙が止まらない。 けれど、泣いてばかりではいられない。 (アベルさんの治療を受けたとはいえ、ご主人さまが受けた右肩の傷はきっと深い) (このままでは、ご主人さまのお命が危うい) フェリシアは翌日の朝。部屋にクォーツを呼ぶと、ベッドから起き上がる。 「フェリシア様、まだ寝ていないと」 「クォーツさん、教会に戻って来ているユナイト教官にご主人さまの右肩の回復をお願いして来て頂けないでしょうか?」 「お願い、致します」 フェリシアはくらっとし、クォーツが体を支える。 「フェリシア様!」 「分かりましたから、さあ、ベッドに」 フェリシアはクォーツに寝かされる。 「それでは、至急、お願いして参ります」 クォーツが急ぎ部屋を出て行くと、 フェリシアはエルバートを想い、祈り続けた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-13
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30話-6 月に想いを馳せて。

そして、如月の中旬の朝。ブラン公爵邸の中庭の入口から白くなった月を見つめるのを少しの間許され、フェリシアは見つめていると突然、顔が整った青年が目の前まで飛んでくる。青年は軍服を着ていてシルヴィオに瓜二つだけれど、こんな時間にここに来るはずかない。「貴方はもしかして……」「はい、俺はシルヴィオの式神です」「主の命令で飛んで参りました」シルヴィオの式神が答えると、リリーシャが自分の名を呼び、慌てて駆けて来て、フェリシアの隣に並ぶ。するとシルヴィオの式神が口を開く。「現在、帝都に魔が複数現れ、アルカディア宮殿までも魔に支配され、混乱状態にあります」シルヴィオの式神に衝撃的な現状を聞かされ、フェリシアとリリーシャは固まる。「その為、アベルとカイが軍を連れ帝都へ、宮殿内は皇帝の側近、ゼイン殿下、クランドール閣下、ディアム様、ユナイト様が対応しておられます」「ご主人さまは大丈夫なのでしょうか?」フェリシアは問いかける。「主が呼び捨ての為、自分も呼び捨てに致しますが、エルバートは牢でユナイト様の右肩の回復の治療を受けたとはいえど、現状、命さえ危うい状況だと言わざるを得ません」「そん、な……」フェリシアは口を両手で覆う。「されど、エルバートは主のライバルゆえ、自分の手で倒す以外命を失うなど容赦しないとのこと」「よって、どうか祓い姫の貴女のお力をお貸し頂きたい」(ご主人さまの元へ向かいたい。けれど……)悩んでいると、リリーシャに右肩をぽんと叩かれる。「エルバート様の危機とあらば、許す他ないですね」「私達も後で向かいますから、フェリシア様は先に向って下さい」フェリシアは涙ぐみながら頷く。「分かりました。わたしを今すぐアルカディア宮殿まで連れて行って頂けますか?」「勿論。その為に飛んで参ったのですから」「ではフェリシア様、左肩を掴んで下さい」フェリシアは右手を伸ばし、左肩を掴む。す
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-14
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31話-1 すべてを救う為に。

(そんな……、アルカディア宮殿が炎に…………)フェリシアが炎に驚き動揺すると、シルヴィオの式神の姿が徐々に薄くなっていく。(この現象はアベルさんの式神の時に見た、力を使い果たす前のものと同じ)「シルヴィオさん、あのっ……」「限界に達したようですが間に合って良かった」「主が参りましたのでこれにて。ご武運を祈っております」シルヴィオの式神は消滅した。するとシルヴィオがフェリシアの元まで駆けて来る。「シルヴィオさん、お会い出来て良かった……」「はい。フェリシア様、無事に到着されたようで何より」「現在、正面扉側は魔に支配されている為、こちらの来賓用の扉側から宮殿の中に入ります。ここもいつ魔に支配されるか分かりません。ですので早く移動しましょう」シルヴィオが返し、共に移動しようとした時だった。ドガァァアアン!突如、爆音と共に、アルカディア宮殿が爆発する。フェリシアはシルヴィオに両肩を掴まれ、共に伏せる体制となり、シルヴィオが瞬時に張った結界によって守られる。「フェリシア様、大丈夫ですか?」「はい」「まさか牢が爆発するとは……」牢が、爆発?(つまり、もうご主人さまは…………)「あ……、あ……」「ご主人、さま……い、や……」「嫌ああああぁぁぁぁっ……!!」フェリシアが悲鳴を上げると、シルヴィオが両肩を掴んだまま起こし、見つめる。「落ち着いて下さい。エルバートは生きています」「え、生き、て?」「はい。あいつのことです。恐らく、脱出したのかと」脱出。そうだ、あのエルバートが牢に囚われたまま、終わる訳など
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31話-2 すべてを救う為に。

フェリシアはお辞儀をし、シルヴィオと共に立ち上がる。そしてシルヴィオ達4名とアルカディア宮殿の来賓用の扉前まで移動すると魔はいなかった。まだ支配されていないよう。良かった。フェリシアは安堵の息を吐き、ドレスのブローチを掴む。(ご主人さま、今、行きます)フェリシアは意を決し、呪文を唱え叫ぶ。「ルシア!」その瞬間、フェリシアの右手の甲に印が表れ、神々しい光に包まれる。ピンクがかった黒髪は美しいピンクゴールドに染まり、ベールが付いたリボンで両髪を少し編み込まれ、そのベールがふわりと浮かび上がる。そして瞳に宿りし光を感じ取り、フェリシアは清楚で華やかな美しきドレスをまとった伝説の祓い姫の姿となった。「では皆さん、参りましょう」フェリシアは守りの呪文「シルト」を唱え、シルヴィオ達4名もそれぞれ結界を張り、アルカディア宮殿の中へと入る。すると炎が立ち込める中、人の式神のような姿をした異形なアンデットの魔と複数遭遇し襲い掛かられ、シルヴィオが銃、クォーツが弓、リリーシャとラズールが剣で魔を浄化していき、フェリシアは結界で跳ね退けながら廊下を突き進んでいく。それからしばらくして皇帝の間近くまで辿り着いた。しかし、炎と複数の魔による邪気の霧で周りが見えなくなってしまう。これでは先に進めない。(この炎と邪気の霧を祓わなければ、ご主人さまにはきっと会えない)(大丈夫。わたし、絶対にご主人さまの元へもう一度会いに行くわ)フェリシアは両指を絡め、祈りの形を取り、瞳を閉じる。するとベールがふわりと浮かび上がるのを感じ、「リヒド」フェリシアは唱え、祈りを捧げた。次の瞬間、天井が少し壊れ、無数の光の雨が降り注ぎ、轟音と共に床に突き刺さり、炎と複数の魔の邪気の霧は浄化された。床も少し割れ、穴も空いているけれど、なんとか調節出来たみたい。フェリシアは安堵し、前を見る。するとエルバートとディアムの姿が両目に映った。ふたりともこちらを見ている。(ご主人さま、生きていた―
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