Semua Bab フォールン・イノベーション -2030-: Bab 61 - Bab 70

98 Bab

61. 足枷

「うわ~きれい~!」「こんな場所が」 隣の二人が周りを見渡す。つられて私も。「これ全部、私が植えたの」 ケースに入ってる青い花を前に、しゃがんで彼女は言う。「花も喜んでるように見えますね」「そう? なら頑張って植えた甲斐があるわね」 少し嬉しそう。この数は相当苦労したはず。下から上まで花だらけの一室。この1か所だけ、別世界のよう。 上に"Little Life Garden"と可愛らしい字で書いてある、自分で書いたのかな? こんな壊れた都会の小さな庭園。ほんの少し、癒しを感じられる。「そういえば、お互い名前を知らないわね。住吉カレンよ、ここのみんなには"代表"と呼ばれてる」「新崎ユキです、こちらが町田ヒナ、それであちらが」「⋯⋯黒夢⋯⋯ニイナです」 ニイナが一歩出て言う。「あなた、さっき"黒い能面"を付けていたわね。あの速さ、特別な能力が付いてる?」「⋯⋯身体能力を1.5倍にします。"弓の場合は1.7倍"ですが」 ヒナが「そうだったんだねぇ」と呟く。使用武器に応じて上昇具合が変わるなんてのがあるんだ、全然知らなかった。まだまだUnRuleには謎な事が多い、知らない事ばかり。「似てるわね。私の"これ"と。この鎧は"2倍"、ただし"接近戦の場合だけ"。その黒い能面みたいに常に、とはいかない」「接近戦だけ、ですか。限定的すぎて、弓では使いものになりません」「そうね⋯⋯だからこれは運命だと思った」 カレンさんが立ち上がる。「⋯⋯覚悟を決めて外に出た日の夜だったわ。それまで、本当はこのまま死のうと思ってたの」「意外⋯⋯です」 私が小さく言うと、「そうでもないわ、強がってるだけだから。未だに怖いもの、"アイツら"に近付く時は」 同じだった。ELの恩恵があろうと、怖い物はやっぱり怖い。安心なんて言葉はどこにもない。「初めてアイツを見た時、そこにいた人全員が倒れてた。そんな中で、ただ一人がこっちへ叫んだの、"コイツをやれ"って。どうせ死ぬんだったらと思って、走って剣で突っ込んでやった、そしたら」 カレンさんの視線は"花の鎧"の方へ向く。「私だけが手に入れて、他の人は死んでしまった。あの人たちのおかげで弱ったところをやれただけなのに。今でも考えてしまう、ELもこれも、私でよかったのかなって」「⋯⋯弱音はそこまでにしてもらえま
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-25
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62. 決起

 ここに来る途中、聞いた話。 新宿駅にはさっきまで"大きいヤツ"がいたらしい。 私たちが新宿駅に着くちょうど10分ほど前、それが片付いたそう。あの時ヒナがXTwitterで見た写真は、"その解散する瞬間"だった。 この写真をアップしていたのが、このカレンさん。近辺で何があったかを、写真や動画で常にアップしているそう。その後に、新宿駅の地下は最近危険なのもあり、上がって来たヤツらを対処していたのがノノだった、というのがさっきまでの流れ。 今から新宿花伝との協力捜索になるわけだけど、時間が経って午後3時。「さて、そろそろ」 カレンさんがL.S.を見て言う。すると、左右から重厚感のある音が荒々しくし始めた。見ると、それぞれ"松と竹の派手な人?"の後ろにさらに数人、ゆっくりと歩いて来る。これは⋯⋯仲間って事でいいのよね? さっきカレンさんが仲間を呼んだって言ってたけど⋯⋯また変わった人たちがやってきた。L.S.を見ると、EL仕様の特別製。って事は、この人たちも選ばれた人。「歌舞伎町辺りはどうだった?」 カレンさんの声に、左の"松の人"が首を横へ振る。「御苑や公園の方は?」 続いて、右の"竹の人"が首を横へ振る。「なら、もう"あの場所"か」「!? 行くんですか!?」 驚くノノ。他の新宿花伝組も続いて声を上げる。 "あの場所"? 私は気になって割り込み、「どこですか?」 一言聞いた。すると、「⋯⋯"新宿警察署"よ」 呟くようにカレンさんは言った。「え、警察署?」「⋯⋯ユキ姉は何も知らない?」「う、うん、私は何も」「入った人たちが、まだ一人も出てきてない」「「一人も?!」」 ヒナと私の声がシンクロした。やっぱりヒナも知らなかったみたい。まだあまり出てない情報な気がする。「なんで警察署に? そこには何かあるんですか?」 続けてカレンさんに質問する。「まだよく分かってないわ、何があるのか。"相応の物がある"とだけ伝わってる」「そういや、警察の黒夢なら何か知ってるんじゃない?」 ノノが後ろにいるニイナへと話を振った。ニイナは険しい顔をすると、「⋯⋯知らない、何も」 ん? ニイナ? この後もどうするかの話し合いが続いた。新宿警察署へ本当に行くのかどうか。行けばどうなるだろう。警察を敵に回す事になるのだろうか。どっちにし
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-26
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63. 受付

「各位、覚悟はいいな?」 カレンさんの一言が新宿花伝へ響き渡り、部下たちが声を上げる。 実際の新宿警察署を前にして思う事、なんでこんなところにいるんだろって。犯罪したわけじゃないのに。 むしろ罪を犯してるのは警察側、東京から逃げようとした人々を無差別に殺していたのだから。正義の裁きを下すのは、今度は私たちの方なのかもしれない。「では、只今から行方不明者の捜索を開始する!」 代表のカレンさんを筆頭に、松と竹のチームが続いて入っていき、その後ろに私たち3人。 その途中、一つ深呼吸。大丈夫、ここに来るまでに準備はしてきた。 新宿花伝はここら辺りで有名らしく、道中でよく話しかけられていた。新宿花伝と七色蝶チームが手を組んだぞと話題になっているようで、それがとうとう新宿警察署へ入るって事だから、人だかりが出来ていた。「頼んだぞ~! 俺らはここら辺を守っとくから!」「"松竹梅の三銃士"と七色蝶のとこが組めば、ここもいけるだろ!」「俺もELになれたら参加できたのかな~。まぁでも死にたくねぇ~」 後ろで様々な声がする。"松竹梅の梅"って誰だろうと思ったけど、たぶんカレンさんの事かな。 そしてニイナは黒能面を付け、私たちもフードとお面を付ける。「いいですか、署内は私に続いてください。内部構造はよく知ってますから。一応その格好なら、最悪犯罪になっても逃げきれる可能性はあるでしょう」「やめてよ、入る前から犯罪者になる前提なの」「だって、私だけだと庇いきれませんよ。弁護士のアスタ様と探偵のカイがいればどうにかなりそうですけど」「え、アスタ君って弁護士だったの?」「ほぇ~!」 アスタ君は大学生で弁護士だそうで、特殊ルートでなったそう。警察、探偵、弁護士の三人が揃ってるって、どんなグループなのここ⋯⋯そういやアスタ君、胸元に弁護士バッジ付けてたかも?「さぁ行きましょう! ユキちゃん!」「あ、うん」 そして私たちは、"死人の赤巣窟"へと足を踏み入れた。「⋯⋯違う」「?」「⋯⋯知ってるのと違う」 なんかニイナの様子がおかしい。「こんな大きく【受付】なんて⋯⋯真ん中もこんなに広くない」 !? 突然、床が揺れ始めた。同時に【緊急地震速報】が全員のL.S.から鳴る。『緊急地震速報です、強い揺れに警戒してください。緊急地震速報です、強い揺れに警戒
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-27
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64. 赤影

 あれから、私たち担当部分は見終わって戻って来たけど、誰一人見つからずに今に至る。「おい、小野田はどうした?」 不意にカレンさんが竹チームを見て言うと、「⋯⋯ん? どこ行った? お前ら、見てないのか?」 竹の人の声に、誰も知らないと返事する。 確かに一人いない。「さっきまで後ろにいたはずなんですが⋯⋯」 もちろん私たちも見ていない。「⋯⋯仕方ないやつだな。なら俺たちは一旦、小野田を連れてから行く。カレンたちは先に上へ行ってくれ」「お前たちだけで大丈夫か?」「散々見ただろ、ここには何もいない」「まぁ、そうだが」 ここで竹チーム以外で2階へと行く事になった。エスカレーターへと、チーム順に乗っていく。下を見ると、「お前たちはあっちを探してくれ」と竹の人が指示を出している。 小野田さんはどこに⋯⋯? 2階へ着くと、上に大きく【地域課】と書いてあった。 ってことはここは普段交番や見回りなど、外で見る一般的な警察官が所属するところ、おそらくニイナも同じ。「ねぇ黒夢、ここも間取りが違うの?」「⋯⋯違う。私がいた時、こんなのじゃなかった。もっと個人まりしてるというか⋯⋯こんな区切られた区間は無かった。ちなみに、私がいつも座ってたのはあの辺りで」『緊急地震速報です、強い揺れに警戒してください。緊急地震速報です、強い揺れに警戒してください』 !? また全員のL.S.から【緊急地震速報】が一斉に鳴り、すぐにしゃがむ姿勢を取る。「なんなんだ!? さっきからこの揺れは!?」 お互いに無事を確認し合う。幸い、誰もケガはしていない。それにしても緊急地震速報のあの音、何回聞いても心臓に悪い。 また揺れたせいで、物が常に散乱している。棚の書類や机の物など、一気に散らばっている。横目にカレンさんを見ると、L.S.で誰かと通話を始めていた。「おい、揺れただろ。そっちは無事か?」「ん? こっちは揺れてないが?」「な⋯⋯」「揺れたのか? さっきみたいに」「⋯⋯」「おい、カレン?」「⋯⋯そういう事だ。それで、小野田は見つかったか?」「それがどこ探してもいない。アイツは一体どこに行ったんだ」 すぐ後ろから竹チームが上って来た。すると、『緊急地震速報です、強い揺れに警戒してください。緊急地震速報です、強い揺れに警戒してください』 さらにまた全員
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-28
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65. 同僚

「改めて、2階の捜索を開始する。しっかり付いてくるように!」「は!」 その掛け声でまた4組に分かれ、私たち3人は"あの赤い影の跡近辺"を探索する事にした。ニイナに続いて、また崩れた書類まみれの一室へと入る。 ⋯⋯タバコ臭い ヒナも「うっ」と鼻をつまんでいる。最近は禁煙室しかないのもあって、慣れないこの臭い。もちろん臭い、最悪。 にしても、警察署なんて普段入る事無いから、見る物全てが新鮮というかなんというか。 この【最新警戒人物リスト】なんて書類も、ここでしか見られないかも。 他にも【パトカー担当日割】や【交番担当日割】など、日によってパトカーによる巡回や、交番へ出向く人の名前が記載されている。 へぇ、交番への勤務は1ヵ月毎で変更なのね。 月毎に歌舞伎町、新宿駅東口、新宿駅西口、大久保とつらつらとある。壁には詐欺防止や交通安全、痴漢や盗撮への注意、イベントコラボやアニメコラボなどのデジタルマッピングポスターがある。これらはどの部屋にも似たようなのが張ってあったっけ。 「中はこんなふうになってるんですね~」 周りを見渡すヒナの手には、謎の書類が持たれていた。「なに持ってるの?」「これですか? 【リストラ予定表】ってのがありまして」「へぇ~、見せて」 最近は警察にリストラってあるんだ。公務員にもリストラ制度が入ったって聞いたけど、ここにも皺寄せが来てるのね。 読むと、"AIの超高性能化により人員の削減を行います、ご了承下さい"のような事が書いてある。その代わり、"家でAI監視のような形で給料を出す"とされている。 でも、給料は結構減るみたい。新しい形の仕事が増えてはいるけど、まだまだ待遇が微妙みたい。「⋯⋯ユキ先輩ッ! 下がってッ!!」「?!」 突如、目の前に"赤く透明な何か"が落ちてきた。ニイナが叫ばなかったらこれに飲まれていた。「これ⋯⋯さっきの⋯⋯!」 "小野田さん?"の首から伸びていたアレだった。「ユキちゃんッ!!」「先輩ッ!!」 不意に私へ向かって飛んでヤツをなんとか薙ぎ払うと、分裂するようにして地面へと溶けていった。 全身の鳥肌が凄い、生理的に無理すぎる。「さっきの、ですよねぇ」「⋯⋯そうね。キモすぎでしょ」「あいつ≪天魔神の超重力≫の効果をすり抜けてました。次はよく見ておかないと⋯⋯」 言いながら
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-29
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66. 金扉

「戻ったか! 援護を頼む!」 これ⋯⋯全部敵なの!? 集合地点に戻ると、多くの警察官が囲まれていた。すぐに私たちも参戦する。「はぁぁぁぁぁッ!」 目にも止まらぬ一閃。彼女の全身にある"梅の花"が咲き乱れ、辺りに眩い花びらが散らばっていく。 ⋯⋯速い これがあの"梅の花の鎧"の効果なの⋯⋯? それだけじゃない。ELに選ばれた"あの力"も加えられてだろう。 っと、見てないで手伝わないと。私は一つのズノウを選ぶ。 ≪白雪の目的地(スノーホワイト・デスティネーション)≫を放つと、奥に"巨大な氷のピン"が留められた。 "冷気の真空撃"がそこに吸われようにして幾つも続く。 その道中にいる敵全てを真っ二つにした。 「なんだ今のは」「おぉ」と新宿花伝が沸く。松の人が「こっちも負けてられん!」と、激しい連撃を繰り出し、そこから一気に部隊士気が上がっていったようだった。「ふぅ」 ようやく大丈夫そうかな。「ユキちゃん、また新しいの使ってたね」「えぇ。この範囲ならこれがいいと思って」「さすがぁ~」「なに言ってんの、ヒナも凄いじゃない」「いやぁ~」「先輩方、置いて行きますよ」 ニイナは変わらず淡々としてるなぁ。 警官になるには、これくらいの切り換えができないといけないのかな。「ねぇユキちゃん、私敬語やめるね」「いいけど、どうしたの急に」「もっと、仲良くいたいなって」「わ、ヒナっ!?」「ぎゅー、ユキちゃん、ぎゅ~」「もう、今だけね」 ヒナが急にくっ付いてきた。こんな時に何してんだか。 中央に集まったところで、数分の休憩を取る事になった。ニイナがカレンさんに"さっきあった事"を報告している。天井から垂れてきた"アレ"について。  他の人は水を飲んだり、軽食を取ったり、横になったり。ヒナと少しの間、二人っきりになる。「全部終わったら、ニイナちゃん呼んで、3人でアイドルグループやらない?」「急になんで!?」「ん~可愛いから! ルイさんだって見る目変わるかもよ~?」「うー⋯⋯それは」「名前はー、"サンスノー・クイーンズ"!」「名前も決まってるの!?」「ユキちゃんの雪と、ヒナの日で太陽と、ニイナちゃんはぶどうのクイーンニーナから!」「ニイナだけ葡萄からなの、なんか笑う」「いいでしょ、ちゃんと考えたんだよ~」「でも、ニイナ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-30
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67. 鬼鎌

 鎌で防いだと思った瞬間、身体から尋常じゃない熱さを感じた。一瞬自分の脇腹を見ると、いつの間にか血塗れになっており、意識した直後に激痛が走った。 痛みでうずくまる暇など無く、ヤツの左手に用意された"黄金の弓"が私へ向けられた。周りには守ってくれる人などいない。 ⋯⋯ シ ヌ ? 何もかも諦めそうになった刹那、鎌が姿を変え、鬼の顔が露わになった。 ≪白雪鬼の死神鎌(スノーホワイトデーモン・デスサイズ)≫は本当はこうなんだと、言い聞かせられるかのように。この反撃がとうとうアイツを一歩引かせた。 でも、まだ誰も戻ってこない。この研究室のような場所、いるのはコイツだけじゃない。 ただ、切れていたズノウの≪天魔神の超重力≫がもう一度張られたのが分かった。向こう側からヒナがどうにか張ってくれているんだ。コイツに効いてるかどうか分からないけど。 ⋯⋯とにかく歯を食いしばれ、ここで倒れたら何もかも終わってしまう。 ⋯⋯会えなくなる。会うまでは⋯⋯倒れ⋯⋯ない⋯⋯!!「んぁぁぁッ!!!」 身体の底から叫んだ。残り全てを振り絞る様に。 私は生きたい。今も、これからも。 鎌に付いている白雪鬼の目が青く光った瞬間、新たなズノウが解放された。"シロイズノウ"の一覧が解禁され、その中の一つを即座に選んだ。「これなら⋯⋯ッ!!!」 ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ⋯⋯ ⋯⋯え?  ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ≪これを使うには体力が足りていないため発動できません≫ ≪これを使うに
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-02
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68. 蝶竜

 防いだ両腕の隙間から前を覗くと⋯⋯ ― 七色に光る何かが立っていた 竜のような身体、蝶のような羽根。 その"謎の何か?"は、撃たれた"黒い閃光矢"を片手でいとも簡単に掴むと、その矢をなんと"自分の腕?"に装填し始めた。『アァァァ⋯⋯ァァァァァア?』 そこからたった一撃を放っただけで、怪訝そうな顔をしていたアイツを奥へとねじ込んでしまい、その異常な強さが垣間見えた。 まるで"蝶竜?"のようなそれがこっちを向く。 ⋯⋯次は⋯⋯私ってこと⋯⋯? 早く逃げないと⋯⋯! 鎌を構えたまま、私は少しずつ後ずさる。 ⋯⋯何も⋯⋯してこない⋯⋯? その"蝶竜?"はよく見ると、左腕に"七色のL.S."を付けていた。気付いた時にはもう遅く、"蝶竜?"は飛び跳ね、私たちを襲った白いヤツの方へと行ってしまった。 ⋯⋯ダメ、意識が持たない 目が霞んでいく。 あの"蝶竜?"が動く度、弾ける虹の粒子。 私が起きている間に最後に見たもの。あの"蝶竜?"が白いヤツを壊し続ける様だった。「⋯⋯良かった、ユキ姉起きたッ!!」「周りのヤツらがしつこくて、遅れてすみません」「ユキちゃん、服の穴開いて血が付いてるから、心臓に悪かったよぉ⋯⋯」 起きた時にはみんなに心配されていた。周りを見ると、もう何もいなくなっていた。 あの"蝶竜?"もどこにもいない。後ろにも上にも。「あんまり動かない方がいいよ、傷が⋯⋯あれ?」 ヒナが私の血を辿って、開いた服の穴から右脇腹を触ってくる。「⋯⋯ユキちゃんって、医療の知識に詳しいの? 傷口も何もないね?」「え?」 すぐ触ると、確かに貫かれた右脇腹が完全に塞がっていた。表面に血が残っているだけで、跡が何も無い。 拭き取って出て来た皮膚は、傷跡も何も残っていない。こんなの私はできない。 ⋯⋯誰のおかげかなんて、そんの一人しかいない「ルイは⋯⋯どこにっ!?」 思わずヒナを掴んで言うと、「ど、どしたの!? ルイさん、いたの?!」「いた! いたの!! ついさっきここにっ!!」 その声に一気に周りが反応する。 私には分かる。"さっきのアレ"は絶対にそう。 生きてたんだ、やっぱり。信じてた、ずっと。早く謝らなきゃいけないのに。一人にしてごめんって、早く。「誰も見てないの!?」 一人も反応しない。 なんで⋯⋯絶対いたのに
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-03
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69. 金弓

 突如L.S.が起動し、その"小さな金のフィギュア"は消えるように入っていった。アイテム欄を見ると、≪全ての犯罪者を蹴散らす【LWS-611】の輝金神物≫といったものが新しく入っており、≪弓の真の姿と邂逅するために使用可能≫と書かれている。 ⋯⋯あれ? ってことは⋯⋯使える人物がここに一人いる。 と感じた瞬間、勝手に手の上にまた出現した。 すると、≪"反撃の立体弓"を真の姿へと上書きしますか?≫と表示された。 "反撃の立体弓"を持つのは⋯⋯そんなの彼女しかいない。「ニイナ、これであなたを"A.EL"へとさせられる」 黒能面を取り、口が開いたまま驚いた顔を見せたニイナ。「そ、それを使えば、わ、私が"A.EL"に⋯⋯なれるんですか?」「えぇ。"反撃の立体弓を真の姿へと上書きしますか?"ってL.S.に出てる。この弓を持ってるのはニイナだけでしょ?」「⋯⋯そう、ですね」 いつもの彼女は何処へ行ったのやら、火照った顔で荒く口呼吸をしている。 このまま使うのもいいけど、ごめんね、ちょっと利用させてもらう。「使う前に、一つ条件があるわ」「⋯⋯はい?」「私にもし何かあった時は、ニイナが"総理を操る真犯人"を探し出して」「⋯⋯いや、それは出来かねます。私たちは今、協力関係にあるんです。ユキ先輩もしっかり生きて、それで一緒に捕まえるんです。もし何かあったらなんて⋯⋯そんな事は起きません」「ニイナちゃんさ、ユキちゃんが起きるまでずっと手を握ってたからね~」「ちょ、ヒナ先輩っ!? それは言わない約束って!?」「え~? そうだっけ~?」 急に始まったヒナとニイナのやり取りに少し吹いた。落ち着いた頃、ニイナは一つ咳払いすると、こっちを向いて「⋯⋯一応、了解です」と。 その瞬間、彼女の弓へと吸い込まれるように"小さな金のフィギュア"は浮き始めた。弓内へと入っていくと、突然弓が霧に包まれ、頭上へと上がっていった。「⋯⋯大丈夫なん⋯⋯ですよね?」 困惑するニイナの横で、「大丈夫だよ」とヒナが笑顔で応える。 そして霧が晴れた先で落ちてきたもの。 まるで"最新戦闘機を模したような金の弓?"だった。 L.S.のホログラムには、≪"反撃の立体弓"は"マルチロールフェイル・ヴィーナス"へと上書きしました≫と出ている。「これが⋯⋯"A.ELの弓"⋯⋯」 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-04
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70. 表裏

 またここでも強烈な地震が起きた。【緊急地震速報】が全員のL.S.から鳴る。 『緊急地震速報です、強い揺れに警戒してください。緊急地震速報です、強い揺れに警戒してください』  数分の強烈な地震の後、 「無事か!?」  突然、中央から大きな声がした。  誰かがこっちに歩いて来る。  すぐに鎌を構えると、 「待ってくれ! 私はただの人間だ! 敵では無い!」  いたのは"60代ほどの女性?"で、必死な表情で訴えてきた。 「あ、あなたは!? 下川委員長!?」  いきなりニイナが叫んだ。  よく見ると、胸元に"公安のバッジ?"のようなものを付けている。そしてネームプレートに【国家公安委員長 下川シラエ】とあった。 「それほどの者かどうかは、今は怪しいがね。君は"黒夢ニイナ君"だろう?」 「私の事、ご存知なのですか!?」 「もちろんだとも。今一番キている警官だそうじゃないか」 「いえ、私なんてまだまだで⋯⋯下川委員長がご無事で何よりです」 「なんとかね。代わりにいろんな物を失ってしまったよ。見て来ただろう、この新宿警察署の変わり様を」  下川委員長は何があったのかを説明してくれた。この階に閉じ込められて動けない事、助けてくれた恩人がいた事など。その恩人こそが、まさかの"元警察官だったヒナのお爺さん"だったという。 「すまない、私のせいで君のお爺さんは⋯⋯」 「⋯⋯そう、でしたか」  ヒナ⋯⋯  実は前にこっそり話してくれたことがあった。  ヒナが勇気を出して外へ飛び出した理由。その中には、"帰って来なくなったお爺さんを見つけるためでもある"って。 「いなくなった理由が分かって良かったです。お爺ちゃんも、引退してまでこんな凄い人を守れて、本望だったと思いますので」 「⋯⋯強いな。昔、"町田ギンノスケ"と言えば、知らない者はいないほど素晴らしい警官だったよ。私も幾度となく警備してもらった。なのに、何も返せないまま⋯⋯正直合わせる顔も無い」  下川委員長がヒナに向かって頭を下げる。 「やめてください、そんな。むしろ、お爺ちゃんの事を最後まで慕って下さって、ありがとうございました」 「ふふ。実はな、君が産まれた時、こっそり抱っこさせて貰いに行った事があるんだ。あの頃から随分と大きくなったもんだ」 「えぇ!? そうだったんですか!?
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-05
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