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70. 表裏

Penulis: Mr.Z
last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-05 21:28:21
 またここでも強烈な地震が起きた。【緊急地震速報】が全員のL.S.から鳴る。

『緊急地震速報です、強い揺れに警戒してください。緊急地震速報です、強い揺れに警戒してください』

 数分の強烈な地震の後、

「無事か!?」

 突然、中央から大きな声がした。

 誰かがこっちに歩いて来る。

 すぐに鎌を構えると、

「待ってくれ! 私はただの人間だ! 敵では無い!」

 いたのは"60代ほどの女性?"で、必死な表情で訴えてきた。

「あ、あなたは!? 下川委員長!?」

 いきなりニイナが叫んだ。

 よく見ると、胸元に"公安のバッジ?"のようなものを付けている。そしてネームプレートに【国家公安委員長 下川シラエ】とあった。

「それほどの者かどうかは、今は怪しいがね。君は"黒夢ニイナ君"だろう?」

「私の事、ご存知なのですか!?」

「もちろんだとも。今一番キている警官だそうじゃないか」

「いえ、私なんてまだまだで⋯⋯下川委員長がご無事で何よりです」

「なんとかね。代わりにいろんな物を失ってしまったよ。見て来ただろう、この新宿警察署の変わり様を」

 下川委員長は何があったのかを説明してくれた。この階に閉じ込められて動けない事、助けてくれた恩人がいた事など。その恩人こそが、まさかの"元警察官だったヒナのお爺さん"だったという。

「すまない、私のせいで君のお爺さんは⋯⋯」

「⋯⋯そう、でしたか」

 ヒナ⋯⋯

 実は前にこっそり話してくれたことがあった。

 ヒナが勇気を出して外へ飛び出した理由。その中には、"帰って来なくなったお爺さんを見つけるためでもある"って。

「いなくなった理由が分かって良かったです。お爺ちゃんも、引退してまでこんな凄い人を守れて、本望だったと思いますので」

「⋯⋯強いな。昔、"町田ギンノスケ"と言えば、知らない者はいないほど素晴らしい警官だったよ。私も幾度となく警備してもらった。なのに、何も返せないまま⋯⋯正直合わせる顔も無い」

 下川委員長がヒナに向かって頭を下げる。

「やめてください、そんな。むしろ、お爺ちゃんの事を最後まで慕って下さって、ありがとうございました」

「ふふ。実はな、君が産まれた時、こっそり抱っこさせて貰いに行った事があるんだ。あの頃から随分と大きくなったもんだ」

「えぇ!? そうだったんですか!?
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  • フォールン・イノベーション -2030-   80. 三階

    「おい! 何してるッ!」 私たちが3階へのエスカレーターへと手をかけた瞬間、後ろから声を掛けられた。 それは、私が話しかけた"あの男の人"だった。「もう言った事、忘れたのか!?」「いえ。どうしても行かなければ、いけない用があるんです」「はぁ? あんたがいくらELだろうが、本当に殺されるぞ! 死んだ連中の中には、ELも数人いたって聞いてる! それに、俺たちは穏便に生きたいんだ! 頼むから問題を起こさないでくれ!」 ⋯⋯前までだったら、ここで踏み止まったのかな でも今の私は違う。大事な人を取り戻す。「⋯⋯すみません。急がないと、取り返しがつかなくなるので」 振り返る事無く、私たちは3階へと上り始めた。足音からして、何人も集まって来ているだろう。きっと、余計な事をする邪魔者と思われてる。それでも今は止まってはダメだ。 3階に着くと、壁全体が"砂嵐状?"になっていた。テレビの砂嵐のようで、目がチカチカする。「⋯⋯なんなのこれ、目がおかしくなりそう」 ノノが不機嫌な顔しながら歩く。たぶん私も同じ顔してる。 3階から下は見渡す事が出来ないようで、"雲のような謎の膜"が張ってあった。2階からも3階の様子は見れないようになっていたけど、こっちから見ると、原因がはっきり分かるようになっている。 私たちが上って来たのが、"北エスカレーター"のため、南へ向けて進んでいく。所々で飲食店があり、うどん、寿司、焼肉、ハンバーガー等、普段ならどれだけ楽しめたのだろう。 その通りを抜けると、"羽田ビジョンマーケットプレイス"と呼ばれる広い商業施設へと出た。 こんなところあったっけ?「ここ、知ってる?」「⋯⋯いえ、知りませんね」「私も知らない~」「⋯⋯分かんない」 聞いても、3人共知らなかった。つまり最近作られたという他無い。「気にせず、国際線出発ロビーの方へ行きましょう」 こういう時、ニイナの冷静な判断はありがたい。おかげでこっちも冷静でいられる。 位置的には、ここが第2ターミナルの中央のはず。もう少し歩くと、オートウォークが始まり、一気に国際線ロビーへと繋がる。「今はルイさん、いないの?」「うん⋯⋯」「そっかぁ」 ヒナがきょろきょろしているが、ルイはどこにもいない。 でも大丈夫、きっと傍にいる。どんな事があっても私は最後まで信じる。 

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  • フォールン・イノベーション -2030-   75. 離別

    「その声⋯⋯新崎さんか!?」「え⋯⋯シンヤ君!?」「おう! やっと会えたな!」「よかったぁ! 生きてたのね!」「ったりめぇだろ! 死ぬわけがねぇ!」 なんとその人影の一人は"シンヤ君"だった。 やっと⋯⋯やっと見つけた⋯⋯! あまりに嬉しくて、泣きそうになる。「お、そっちは?」「この子はノノ。私とルイが昔よく一緒に遊んでいたの、小学生の時にね」「へぇ~、よろしくな!」「えっと、どうもっす」 さらに、残りの二人が霧から姿を現した。「"これ"で来ているのは分かっていたよ、やっと会えたね」「アスタ君ッ! それが"死者生者確認"モノリスってやつなの?」「そう」 アスタ君が触る"真っ赤なお墓?"のようなシステム。あれで私たちが来るのが見えていたという。「"これ"の示す内容が本当に正しいかどうか、分からなかったけど、ここで会えたという事は正しいんだろうね。ニイナも大変だったね、生きていると信じていたよ」「⋯⋯私も⋯⋯ずっと信じていました。こんな嬉しい事、ありません⋯⋯カイも無事でよかった」「ニイナも、な」 二人にニイナは飛び付いた。 初めて涙を流す彼女を見ると、諦めなくて良かったと心から思う。「ひなひー! 会えて嬉しいぜぇ~!」「私もですよ~! それでどうしてそんな格好してるんですか?」「あぁこれはな、アスタの野郎に借りたんだよ! この格好ならよぉ、銃で撃たれた時防いでくれるらしいんだ。"近くの3人以上が同じ服装なら、そういう効果がある"んだとよ!」 それでシンヤ君も"黒い服装"をしてたのね。 なら、前に聞いた目撃情報に納得がいく。「え⋯⋯私、知りませんでした」「ごめんね、どこまで効果があるか分からないから、実際に食らった時に言おうと思ってたんだよ。まぁ効くのが分かったから、さっきカイには言ったんだけどね」「僕がヘマして撃たれちゃって、これのおかげで助かりました」 それぞれが嬉しそうにする中、私は一人、"死者生者確認モノリス"へと近付いた。 ホログラムのタッチパネルが起動する。 安心できた今、"早く確認しなければいけない人"がいる。私は検索欄に【三船類(みふねるい)】と入れる。 何人か同名が一覧に出てきたけど、顔、年齢、身長、体重など、個人情報を比べてすぐに分かるようになっている。 とにかく今は彼の無事が知り

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