それから俺たちは場所を変えた。何で赤ビルに閉じ込められていたのか、紀野大臣は何をしようとしていたのか、どういう関係だったのか、聞きたい事が山ほどある。「聞きたいって事ですよね。僕がなぜあんなところにいたのか」 意外にも、その話を切り込んだのは裏部さんの方からだった。「紀野さんとは仲が良かったんですか?」「いえ、それが全く。一番UnRuleのモンスターに詳しいのが僕だと、どこからか情報を得たようで、拘束されてあの場所へ⋯⋯君たちも見たと思いますが、彼はただネルトになっただけではありません」 一呼吸置くと、その口から衝撃の一言が放たれた。「⋯⋯覇天鱗ローガハルト。三船君が倒したというあの三翼の天魔神と同じ立ち位置にいるモンスター、それを自分の表面にコーティングさせたんです」「はぁ!? どうやってそんな事出来んだよ!?」 シンヤが食い気味に裏部さんを問い詰める。「大臣クラスには"特殊な金と黒のネルト"が用意されているようで、"最強クラスのUnRuleモンスター"を与えられてる人もいるみたいなんです。そのモンスターに対し、これを使ったんです」 なんだこれ? 赤い注射器?「これを当てると、あれらのモンスターを一定の確率で、皮膚の表面にコーティングさせる事ができるんです。でもそれはゲーム上の話であって、現実世界では何が起こるか不明。それを話したら、部下に実験させ始めたんです」「⋯⋯どうなったんですか?」 気になり、俺が聞くと、「全て失敗し、逆にモンスターに食われました。非常に危険なアイテムと化しているんです、これは。なのになぜか自分なら出来ると、あの人だけは成功させたんです」「⋯⋯そんな事が」 隣の二人も、信じられないという顔をしている。「強力なネルトと最強モンスターの2つの力の持ち主、もうどうしようも無かったです」 紀野大臣は自信に満ち溢れた人だった。AIになってもその性格は受け継がれていた。「そんな大臣クラスには23区エリアを任されているようで、紀野大臣は渋谷区エリアの原宿を管理していて、その管理場所が"あの赤ビル"なんですよ」 赤ビルって、そういう場所だったのか。急に出来たと思えば、そんな事をしていたなんて⋯⋯これに気付いている人はいるんだろうか?「特に都心5区は最近一気に変わって、原宿で"不自然な人通り"があったでしょう?」
Terakhir Diperbarui : 2025-05-03 Baca selengkapnya