All Chapters of 青空と海と大地ーそらとうみとだいちー: Chapter 41 - Chapter 42

42 Chapters

041 幸せ・笑顔・感謝

  クリスマスが過ぎ、街は一気に年末の空気に変わっていった。 客の入りもかなり減り、大地たちはこれ幸いと、とまりぎの大掃除に勤しんでいた。 ここは来年の秋を目途に、浩正〈ひろまさ〉と青空〈そら〉が夢見ていた有料老人ホームへと姿を変える。かなりの改装が必要だが、それまで客が気持ちよく利用出来るよう、大地も例年以上に気持ちを込めて動いていた。 そして何より、年が明けるとここで、青空〈そら〉と浩正が結婚式を挙げる。 招待状も既に配り終えていた。常連客は勿論、ここを利用している老人ホームの利用者たちにも配っていた。  * * * しかしそんな中、辛い出来事があった。 クリスマス当日。いつものように利用者たちを迎えた大地たちだったが、そこに中山の姿がなかったのだ。「あれ? すいません、中山さんは」 海の問いに、スタッフが目を伏せた。「中山さんは……二日前に逝去されました」「え……」 海が目を見開く。「嘘、なんで……中山さん、また来るって言ってたのに……この前会った時、あんなに元気だったのに……」 呆然とする海を大地が支える。「大丈夫か」「なんで、どうして……中山さん、あんなに楽しそうに笑ってたのに……突然すぎるじゃない……」「そうだな、そう思う。だけどな、海。これが現実なんだ。別れはいつも突然なんだ」「酷い、酷いよ……中山さん、きっともっと生きていたいって思ってた……それなのに、こんな急に旅立って……早く死にたいって思ってた私が生きてるのに、どうして中山さんが……」「そうだな。でも中山さんにとって海と出会えたこ
last updateLast Updated : 2025-05-08
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042 三者尋問

 「それで? 告白の返事、いつになったらくれるのよ」 とまりぎ忘年会。居酒屋にて。 海の一言に大地がビールを吹いた。 青空〈そら〉はテーブルを叩いて笑っている。「げほっ、げほっ……ど、どうした海、藪から棒に」「薮も棒ももういらないの! そんなことよりどうなのよ!」「お前……もう限界だろ。頼んでやるから水飲んどけ」「限界じゃありませーん。酔ってなんかいませーん」 そう言ってジョッキを持つのを大地が遮る。「いやいや、どう見ても酔ってるから。今日はこの辺でやめとけって」「うっさいなー。あんたは私のお母さんか」「せめて父親って言えよ。って、んなことどうでもいいわ。すいませーん、お冷やひとつくださーい」 個室から顔を出し、大地が店員に声をかける。その隙に海はジョッキを手に、残ったビールを一気に流し込んだ。「ぷはぁーっ! 生きてるって最高―っ!」「ったく……青空姉〈そらねえ〉も笑ってないで止めろよな。誰のせいだと思ってんだよ」「にゃははははっ、悪い悪い」「全く……」  * * * 行きつけの居酒屋で始まった忘年会。一年の思い出や来年の抱負など、鍋を囲み和やかな時間が続いた。 そして話題が、青空〈そら〉と浩正〈ひろまさ〉の結婚式になった。青空〈そら〉が大地の肩を抱き、「大好きなお姉ちゃんを取られて寂しいか? どうなんだよ、このシスコン野郎」と絡むのを見て、海も楽しそうに笑っていた。「それで青空〈そら〉さん、ウエディングドレスはもう決めたんですか?」「この前レンタルの衣装屋に行ってきてね、浩正くんと一緒に決めたよ」「そうなんだー。楽しみだなー、青空〈そら〉さんのウエディングドレス姿」「私は海ちゃんのも見てみたいけどね」「私の…&hell
last updateLast Updated : 2025-05-09
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