深雪は紗依の言葉の裏にある意味を悟った。静雄と別れたのは、むしろ幸いなことだと告げているのだ。彼女は誠意をこめて頭を下げた。「ありがとうございます」「そんなにかしこまらなくてもいいのよ」紗依は柔らかく笑った。「これからは協力関係になるのだから、もっと頻繁に会いましょう」「はい、よろしくお願いします」深雪は頷き、心の中に感謝の気持ちが広がった。二人はさらにしばらく買い物を続けたが、やがて紗依が時計を見て口を開いた。「そろそろ切り上げましょう。少し用事があるの」「分かりました」深雪は答えた。「では、これで失礼します」「ええ」紗依はうなずき、続けた。「それと、提携の件については帰ってから契約書を用意させるわ。その時に確認して、疑問があれば話し合いましょう」「ありがとうございます」深雪は真摯に答えた。「楽しみにしています」「私も」紗依は微笑んだ。「あなたは本当に有能だわ。きっと良いパートナーになれると信じている」「お褒めいただき光栄です」深雪は謙虚に言った。「必ず全力を尽くして、ご信頼に応えてみせます」「ええ、期待しているわ」紗依はうなずいた。「じゃあ、今日はここで失礼するわね」「はい、お気をつけて」深雪は彼女を入口まで見送り、車に乗り込む姿を見届けてから踵を返した。その頃、芽衣と静雄も別の店から出てきて、ちょうど深雪が紗依と別れる場面を目にした。芽衣は二人の親しげな様子を見て、胸の奥で嫉妬の炎を燃え上がらせた。彼女は静雄の腕をぎゅっと抱き寄せ、悔しさを隠すように口を開いた。「静雄、見た?深雪さんはちゃっかり松下さんに取り入ってるわ」声には妬みが混じっていた。静雄の表情も冴えなかった。まさか深雪がこれほど早く紗依と距離を縮めるとは思っていなかったのだ。「静雄、私松下さんに嫌われちゃったのかしら?」芽衣はわざとらしくしょんぼりと肩を落とし、甘えるように訴えた。「そんなことはない。気にするな」静雄は彼女の手を優しく叩きながら慰めた。「お前はよくやっている」「でも......」芽衣はさらに言葉を重ね、失望をにじませた。「彼女は、どうも私より深雪さんの方を気に入っているように見えるの」「そんなことはないさ」静雄は彼女を安心さ
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