下瀬産業のプロジェクト始動会は、多くの注目を集める中で幕を開けた。落札企業の代表として、深雪が壇上に立つ。しなやかな姿を際立たせている。長い髪はきちんとまとめ上げられ、額をすっきりと出した姿は、自信と力強いオーラを全身から放っていた。「皆さまこんにちは。南深雪です。本日、ここで皆さまと共に下瀬産業プロジェクトの始動の瞬間を迎えられることを、大変光栄に思います」澄んだ声が会場に響き渡った。速すぎず遅すぎず、明瞭にかつ力強く発するその話しぶりは、プロ意識と会場を掌握する力を示していた。下瀬産業の幹部たちはそろってうなずき、目に浮かぶのは賞賛の光だった。彼らが深雪を選んだのは、ただ提案の優秀さだけではなかった。彼女が持つ独自の魅力と胆力こそが必ずやチームを率いて、下瀬産業との協働を新たな高みに押し上げると確信させるものだった。「......これから、私たちは下瀬産業と緊密に連携し、『革新・協力・共栄』の理念を胸に、全力で取り組んでまいります。このプロジェクトを業界の新たなブランドに育て上げることをお約束します!皆さまの力を結集すれば、必ずやより輝かしい未来を切り拓けると信じています!」力強く、情熱に満ちたスピーチに、会場は大きな拍手で包まれた。画面越しにその姿を見つめる延浩の胸には、感慨が押し寄せていた。彼女は今や、誰の助けもなく堂々と立つことのできるビジネスエリートにまで成長していた。静雄ですら、今は彼女を見直さざるを得ないのだ。「本当に素晴らしいご講演でした!」始動会が終わったあと、助手が駆け寄り、心からの敬意を込めて言った。「下瀬産業の幹部の方々も、高く評価していましたよ!」「ありがとう」深雪は微笑み、答えた。「でも、これは私ひとりの力じゃない。チーム全員の成果よ。これからも気を緩めず、万全を尽くしましょう」「はい。必ず全力を尽くします!」助手は力強く頷いた。一方その頃、静雄はオフィスで苛立ちを募らせていた。「くそっ!」彼は荒々しく髪をかき乱した。最近は仕事中ですら、たびたび深雪の姿が頭をよぎり、心ここにあらずになることが多かった。「静雄、どうしたの?」芽衣がドアを開け、彼の険しい顔を見て心配そうに尋ねた。「仕事で疲れてるの?少し休んだ方がいいんじゃな
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