芽衣の今の関心はすべて株のことで、病院に戻る気など毛頭なかった。彼女は涙を浮かべたまま首を横に振り、小さな声で言った。「わかってるわ、深雪さんは今、私に怒ってるのよ。だから私が謝りに行くの。私が謝れば、きっと彼女もあなたのことを許して、もう騒ぎ立てたりしないから、ね?」かつて静雄は、芽衣のこうした理解ある姿勢をとても好んでいた。彼は、物分かりのいい女性こそが自分のそばにいるべきだと信じていたのだ。だが今、彼女が泣きながらすがる姿を見て、なぜか胸の内には不満と苛立ちしか湧いてこなかった。彼は不機嫌そうに眉をひそめた。「とにかく、戻るぞ!」この一言には、もはや一切の我慢がなかった。芽衣はうつ病を装っているだけで、本当は病気など持っていない。だから静雄の言葉の裏の意味も、十分に理解できている。そして何よりも、彼女への態度が以前とは明らかに変わっているのを、ひしひしと感じていた。心の中に不安が広がった彼女は、ほとんど反射的に彼の腕をつかみながら、小声で懇願するように言った。「静雄、全部私が悪いの。だからお願い、そんなに怒らないで。体に悪いわ」「大丈夫だって言ってるだろ」静雄は彼女の手を引き、そのまま車に乗り込んだ。道中、彼は一言も発さず、唇を固く結んだまま、明らかに怒りを抑え込んでいるのが見て取れた。隣の芽衣は、こんな静雄の姿を見るのは初めてだった。胸の中は訳の分からない不安に満たされたが、今は何を言えばいいのかも分からず、結局うつむいて黙ったまま、か弱さを装い続けるしかなかった。これが彼女にとっての得意分野だ。静雄のそばで長年過ごしてきた彼女は、この男をどう扱えばいいか、よく分かっていた。病院に着くと、静雄はいつものように側に残ろうとはせず、ただ彼女を送り届けたあと、無言でその場を去っていった。以前とのこの急激な落差に、芽衣は不安を隠せなかった。部屋に入ると、静雄が完全に姿を消したのを確認して、彼女はまるで発狂したかのように、部屋中の物を手当たり次第に叩き壊した。そこへ入ってきた陽翔は、その荒れた光景を見ながら笑みを浮かべ、冷静に言った。「姉さん、何してるの?結局、松原は送り届けてくれたんだろ?」その言葉を聞いた瞬間、芽衣の顔はさらに険しくなり、不快そうに弟をにらみつけ
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