Semua Bab 婚約破棄された悪役令嬢は、聖母になりました!?: Bab 61 - Bab 70

90 Bab

第61話。

 もしかしたら自分では? とエルザは思ったのだが違ったみたいだ。残念だと思ったが、それなら何処で居るのだろうか? クリスの言う通りに、まだ生まれ変わっていないのだろうか? クリスを見ると少し寂しそうな表情をしていた。本当は会いたいのだろう。 死んでもなお、生まれ変わって再会ができたのなら素敵な事なのに。「しかし、そこでエルザがリーゼロッテ卿の生まれ変わりだったら面白かったのにな」 レイヴァンが同じ事を考えて発言をしてきた。 エルザとレイヴァンは残念と言っていると、クリスがあっさりと、『リーゼではないが、母上はメアリー夫人の生まれ変わりでもあるぞ?』と言ってきた。エルザとレイヴァンは驚いてしまう。「でも、メアリー夫人は天界にいらっしゃるわよ?」『メアリー夫人の魂は記憶を持った方と記憶を持っていない方で半分こしたんだ。君主が。クリスティーナの母親もメアリー夫人がいいと思ったらしいが、今は自分が憑依できる状態ではない。他の男に任せるのも嫉妬して嫌だったからメアリー夫人に相談して仕方がなく魂を分裂させる事にしたらしい。まぁ、母上やメアリー夫人みたいな清らかで聡明な女性が、また産まれるか分からなかったからでもあるらしいが。その影響もあってか、母上はマナも容姿もよく似ている。同じサファード一族の血縁関係だからの問題だけではない。性格も似ているしな』(私が、メアリー夫人の片方の生まれ変わりだったとは……) だから、会った時に懐かしく感じたのだろうか。今更ながら納得をする。『離れるのが嫌で、仕方がなくメアリー夫人の魂を分裂した』って、ところが若干複雑な気持ちになるが。だからこそ自分が存在したのかもしれない。 それはレイヴァンも同じだったみたいでエルザを強く抱き締めてくる。「仕方がなくではない。エルザはエルザだ。君が産まれてくれて、良かったと私は常に思っている」「レイヴァン様……」 レイヴァンのそんな風に想ってくれていたのだと分かり嬉しく思う。胸が熱くなった。するとクリスは呆れたようにため息を吐いてきた。『そんなの分かっている。君主も最初はそのつもりだったが、メアリー夫人の魂には変わりない。母上を大切に想って見守っていた。現に、もし将来死んで天界に昇ってきたら自分の傍に置こうかと考えていたぐらいだしな』「「えっ……?」」 クリスの言葉にレイヴァ
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第62話。

「「えっ……そうなの!?」」 思わない真実に驚いてしまう。まさか前皇帝がメアリー夫人に恋心を抱いていたなんて驚く。エルザだけではなくレイヴァンも驚いていた。「……それで、どうなったんだ?」『もちろん見事に失恋した。メアリー夫人は君主の妻だからな。いくつになっても、美しく聡明なメアリー夫人に惹かれるのも無理はない。私も応援はできなかったが、ずっと見守ってきた。結局、国のために違う貴族の令嬢と婚約して結婚したが。上手くやっていたが、きっと心の奥底では、まだその想いは残っていたのだろう。あいつは、気弱なくせに、変なところで頑固……一途なところがある。生まれ変わっても母上に惹かれるぐらいだからな。それは執着と言うのか、運命というのか……迷惑と言うか』ブツブツと文句言いたそうに呟いていた。(若干、本音が漏れているわよ?) エルザは、そう思いながらも、チラッとレイヴァンを見る。 レイヴァンは頬を少し赤く染めながらも、考え込んでいた。そしてエルザに気づくと恥ずかしそうに微笑んでいた。「やっぱり、私の想いは本物だったって事だろう。エルザを愛した事は、前皇帝の頃からの変わらないと言う事だ。まさに結ばれるための運命に違いない」「レイヴァン様……」 前皇帝のリアムの想いがレイヴァンに受け継がれていたなんて。 それが巡り巡って今に至るなんて思いもしなかったが。それが運命だとするのなら、エルザはその運命を受け入れたいと思った。同じ気持ちだから。 エルザはレイヴァンと手を取り合った。すると、クリスはため息を吐く。『さて、後はクリスティーナの出産のみだな。その辺は心配していないが……相手はクリスティーナだ。いつも予想外の行動をしてくるから、私も予測はできない。十分気をつけろ』「逆に心配だなぁ……」 クリスの意見に思わず心配する。確かにクリスティーナは相当のお転婆だ。勝手にエルザの魂を無の世界に呼んだりする。 エルザは心配なっていると、突然チクチクとお腹の辺りが痛み出した。(あれ……どうしたのかしら? ズキズキとは違う痛みが?) それにお手洗いに行きたい気も。妊娠中だからお腹が張っただけだろうと思い直すが、何処かにトイレはないだろうか? 近くに小屋があったはずだ。 エルザは休憩や雨宿り用に建ててある小屋がある事を思い出す。「あの……ちょっと近くにある小屋に行
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第63話。

 エルザは啞然とする。こんな短時間で急にお腹が大きくなるはずがない。 だとすると、これはどういう事だろうか?  必死に状況を整理させていく。そうして、ある事を思い出す。そういえばクリスティーナは予想外の行動をしてくるから気をつけろとクリスが言っていた。(まさか……クリスティーナがやったの?) まさか……と思ったが、そう考えた方が納得はいく。それよりも、さっきより痛みが増してきた。これは……。 その瞬間だった。痛みと共に破水してしまう。ど、どうしよう……産まれる。 とにかくこの状況をレイヴァン達に伝えないと。そう思い玄関のドアに向かおうとする。しかし、途中で激しい痛みで動けなくなっていた。 これだと外に出て歩くのもままならない。レイヴァンか、クリスが気づいてくれるまで待つしかない。 外は無理でも……せめてベッドのところに。 少し痛みが引いた時に近くのベッドまで向かった。十分に来る痛みだったが、二度目の出産だったため、思ったよりも冷静だ。しかし状況が状況に、このままという訳にはいかない。痛みも増すばかり。 何とかして2人に連絡を……。その時だった。 バタバタとクリスを抱きかかえたレイヴァンが小屋の中に入って来た。「エルザ大丈夫か!?」と言いながら。「えっ……レイヴァン様!?」エルザは驚いていると、すぐに状況を判断したレイヴァンは慌て出す。「クリスがクリスティーナのマナが大きくなったって言っていたんだ。それで慌てて来てみたら……まさか出産間近なのか!?」「……その間近ですわ。急にお腹が大きくなって……ぐっ……」 さっきから子宮の辺りがズキズキと痛み出す。それに、大量の汗も。 するとクリスが何か気づいたのか大きくなる。「クリスティーナがマナを使った形跡がある。母上……ちょっと覗くぞ」 クリスがそう言うとドレスのスカートの裾を捲り上げてきた。「きゃあっ!?」「おい、クリス!?」「やはりな……このまま移動するのは難しいな。もう頭が出ている」「「えっ……頭が!?」」 クリスの言葉にエルザとレイヴァンは驚いてしまう。「頭って……もう?」「お腹が大きくなったのは、クリスティーナがマナで時間を早めただからだ。まったく……母上の体の負担になるから、それはするなと言い聞かしておいたのに。あいつは……せっかちだからな。それよりも、この状態
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第64話。

『フフッ、私もお手伝いするわ。子供を二人も産んでいるもの。クリス。たくさんのバスタオルと、たらいにお湯を持って来て。ぬるま湯でお願いね。そしてレイヴァン様。あなたが赤ん坊を取り上げて』「は、はい。分かりました」「わ、私ですか? 未経験の私にできるでしょうか?」 メアリー夫人は細かく指示を出す。クリスと違い、どれに対して戸惑うレイヴァン。『心配はいりません。私が声で指示を出します。それに、これはレイヴァン様がやるべきですわ。大丈夫……あなたならできます』 優しくハッキリと口調でとレイヴァンに訴えかけた。レイヴァンは一瞬、動揺するが、汗だくになって苦しんでいるエルザを見る。 そして、決断したのか、真っ直ぐと前を向いた。「分かりました。指示をお願いします」 レイヴァンは、メアリー夫人の指示を受けながら赤ん坊を取り上げることに。 まさか皇帝陛下のレイヴァンが……。『大丈夫よ。私がついているから。さあ、エルザ。息を整えて……子宮口が大分開いているわ。そのまま力んで』「はぁはぁっ……んぐっ~」 エルザは必死に力む。その間もレイヴァンは、いつでも産まれてもいいように赤ん坊の頭を支えながら声をかけてくれた。 はぁはぁっと深呼吸をして、もう一度力む。その繰り返しだ。意識が朦朧としてきた。「もう少しだ。頑張れ……エルザ」「母上、メアリー夫人。準備ができました」 クリスが、たくさんのバスタオルをかき集めてきた。たらいには、ぬるま湯が。『ご苦労様。クリスは、バスタオルでエルザの汗を拭いてあげて。後は産まれたら、おくるみに使うわ。レイヴァン様は赤ん坊が出てきたら、へその緒を切って、ぬるま湯で洗って拭いてあげて下さい。へその緒の切り方は教えますから』「「は、はい。分かりました」」 2人は手分けしてメアリー夫人の指示に従う。クリスは、エルザの汗を拭いてくれた。 レイヴァンは、いつ産まれていいように心構えながら何度も励ましてくれる。「もう、少しだ。あと少し……頑張れ。エルザ」「ううっ……ぐっ~」 涙をぐっと我慢しながら、必死に力を込める。すると、赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。おぎゃあ、おぎゃあと大きな泣き声が小屋の外まで聞こえるほどだった。 はぁはぁっと肩で息をする。脱力感が残る中、エルザはレイヴァンを見る。 レイヴァンは慣れない手付きで、恐る恐る
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第65話。

 そう思いながらクリスティーナの手に触れるとギュッと握り返してくれた。そしてニコニコと笑ってくれる。この時を待っていた。(可愛い私の娘) アルセント帝国第一皇女であり、時の神・クロノスの次期後継者。どんな人生を歩むのか分からないけど、いっぱいの愛情を注いであげたいと思った。 するとレイヴァンが「もう一度抱いてもいいだろうか?」と聞いてきた。 エルザはクリスティーナを渡すと、レイヴァンは大事そうに抱き直す。よしよしとあやしながら「クリスティーナ。パパだぞ。パパって言ってごらん?」 またパパと言わせようと話しかけている。この前は失敗して泣かせてしまったが、今回はどうだろうか?  エルザも気にしていると、クリスティーナはジッとレイヴァンを見る。するとニコニコと笑い始めた。「うっ……キャハッ……ぱあぱ」と言いながら。(あっ……ちゃんと言えたわ。パパって……) レイヴァンを見ると、嬉しそうにエルザの顔を見てきた。そして嚙み締めるようにクリスティーナのおでこにキスを落とした。「ああ、そうだ。パパだぞ。我が愛しき娘よ」 その姿は理想の父親と娘そのものだった。エルザは、その姿を見て胸がいっぱいになる。 父親としてレイヴァンを選んでくれたのも嬉しい限りだが、何より理想としていた家族の姿だったからだ。いつか……レイヴァンとそうなりたい。 婚約者として選ばれ、大人になりにつれ思い描いていた光景。一時はレイナが現れ、その夢が消え去りそうになったが、まだ諦め切れなかった。 それが今、現実になっているのだから感情もひと際だ。クリスの出産の時は、それどころではなかったが。クリスの時は喋り出した事への驚きと、状況が状況だったから感情がなかなか追いつかなかった。もちろん我が子を抱けたことは喜びだったが。 レイヴァンの事情を聞いたのも、その時だったから仕方がないだろう。でも今は落ち着いて、この子の誕生を実感ができるので、余計にそう思えるのだろうと思った。 まぁ、予想外の出産経験はしたが……。 まさか山小屋で出産するとは誰も思わなかっただろう。まだ5ヶ月目だった。思わない事態に驚いたが、これはこれで語り継がれていくのだろう。 そういえばメアリー夫人にお礼を言わないと。今回はメアリー夫人に手を貸してもらった。居なかったら危なかっただろう。「あの……メアリー夫人。聞
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第66話

 それも、そのはずだ。降りて来たら皇女が誕生しているのだから。とりあえずエルザの体を気遣い、一番近くにある彼女の実家・サファード公爵家に向かうことに。 久しぶりの里帰りだ。 両親と使用人達は喜んで迎えてくれたが、こちらも早い二人目の孫の誕生に驚いていた。「まあ、この子が時の神の次期後継者なの?」「ほう……これは、また娘に似ていて可愛らしいではないか」 両親はすぐに可愛らしいクリスティーナにメロメロになる。クリスの時は心配ばかりかけたから、今度はゆっくりと孫を見せる事ができたのでエルザも嬉しく思う。 しばらく実家で過ごした後に皇宮に戻ることにする。 レイヴァンは公務があるので、先に戻ることに。久しぶりに家族水入らずしておいでと言ってくれた。 こんな時ぐらいしか、ゆっくりできないのでお言葉に甘えることに。両親と一緒にお茶を飲んだり、子育てのアドバイスをもらったりする。 そんなある日。実家の邸宅に飾られてある肖像画を改めて見ていた。元に戻ったクリスを抱っこしながら。目立つのは大きく飾られてあるメアリー夫人だ。 その隣には時の神・クロノス様が憑依した初代当主が。そして、こちらもクリスが最初に憑依していた頃の肖像画もあった。 黒髪ロングヘアで、雰囲気は少し違うが面影はある気もする。端正な顔立ちにキリッとした眉と切れ長の目が特徴的だ。前世も変わらず美しい青年だったようだ。 そして、初代女性騎士でクリスの妻だったリーゼロッテ。 赤色の髪にポニーテールをしており、キリッとした意志の強そうな目。凛々しい感じの綺麗な女性だった。確かに女性騎士と相応しい容姿をしている。「あら、綺麗な人ね。この方がリーゼロッテ卿なのね」『あぁ、リーゼだ。懐かしいな』 懐かしそうに目を細めて肖像画を見ているクリス。やはり会いたいのだろうと直感で分かった。彼もまたレイヴァンに似て愛妻家なのだろう。 出来たら、また会わせてあげられたらいいのに。好きな人と離れ離れになるのは寂しいものだ。エルザもレイヴァンと離れ離れになると思った時は本当に悲しかった。「リーゼロッテ卿にまた会えるといいわね」『……そうだな』 エルザがそう言うと、少し寂しそうな表情に変わった。会って見たかったなと思いながら肖像画に目線を移す。 その時だった。天井の一ヶ所が光り出し、丸い物体になる。(えっ…
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第67話。

「あっ皇女様。こちらにいらっしゃったのですね!?」「ごめんなさいね、ビビアン。娘が迷惑をかけて」「いえいえ、滅相もございません。他の者にも見つかったと言っておきます。それと、私はエルザ様に報告が。公爵夫人様がお呼びですわ」「母が? 何かしら?」 ビビアンがそう言ってくる。何か用事でもあるのだろうか? エルザは不思議に思いながらも、母の部屋に向かった。クリスティーナも連れて行く。 クリスは本が読みたいと言い、他の侍女と一緒に図書室に。ノックして部屋に入ると母がお茶をしているところだった。「あら、皇女様は無事に見つかったのね?」「はい。たびたびお騒がせして、すみません」「フフッ……いいのよ。あなたと孫達が来てくれたお陰で、屋敷の活気が出て嬉しいわ。さぁ、座って。皇女様を抱かせてもらっても構わないかしら?」 エルザは頷いてクリスティーナを母に渡すと、嬉しそうにあやしてくれた。 お茶を飲みながら子供の話をしていると、母が嬉しそうに口を開いた。「そうそう。呼んだのは、さっき届いた手紙の事なんだけど。どうやらカルバーナ侯爵夫人に、お孫さんが産まれたみたいよ」「えっ? カルバーナ侯爵夫人にお孫さんが!?」 エルザは侯爵家の名前を聞いてハッとする。そういえば、エルザの遠い親戚にカルバーナ侯爵家があった。 よく考えたら、クリスが前世でリーゼロッテと結ばれているのだから、、当然と言えば当然だ。カルバーナ侯爵か……。 サファード一族の血を引く父の親族に当たる。カルバーナ侯爵夫人は母とも仲が良く、幼い頃に何度かお会いした事がある。 途中でエルザは婚約者として皇宮に行ってしまったから、滅多に会う事は無くなったが。若い頃は女性騎士で活躍をしていたらしいが、足の怪我で早々と引退したと、母から聞いた事があった。 あまり社交界に出る方ではなかったし、すっかりと忘れていたが。それに夫人の子はエルザとは年の離れたご子息だった。「それでね。偶然にも同じ日だったらしく。皇女様が産まれたと噂を聞きつけた夫人が、是非皇女様に孫を会わせたいと申し出てきたの。クリス様も含めて……どうかしら? 何だか運命的に思えてならないと、おっしゃっているのだけど」「は、はい。是非……」 こんな驚く偶然があるのだろうか? い エルザはドキドキしている鼓動を必死に抑える。同じカルバーナ侯爵
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第68話。

「お気遣い深く感謝申し上げます。では、お言葉に甘えて失礼致します」 侯爵夫人はそう言うと、ゆっくりと杖を突きながら歩き出す。私達も速度に合わせてゆっくりと案内することに。 応接間に案内すると、お茶を用意する。そこで、ようやくお互いに顔合わせすることに。「まあ、さすが皇族とサファード公爵家の血を引いているだけあって、端正なお顔立ちをしていらっしゃいますわね。皇太子殿下もお会いできて光栄ですわ」『うむ。それよりも夫人の孫の顔を見せてくれ。このマナ……さっきから気になるのだが』「マナですか? こちらに……孫娘のミシェルです」 やはりクリスも感じるものがあったのだろう。孫を早く見たがっていた。侯爵夫人は乳母に見せるように指示を出した。そして顔を近くで見させてくれた。 赤髪の女の子は、パチッと目を見開いた。キリッとした意志の強そうな目にハッキリした端正な顔立ち。そう、まるで……。『リーゼ!? 間違いない……同じマナと魂の気配がする。この子はリーゼロッテだ』 驚いた表情をするが、ハッキリとそう言い切ったクリス。やっぱり!? もしかしたらと考えた事が現実になった。どうやらカルバーナ侯爵夫人の孫娘は、リーゼロッテの生まれ変わりだったようだ。 同じカルバーナ侯爵家で、クリスティーナと同い年になるなんて。まるで運命の赤い糸で導かれているような気がする。 クリスは興奮気味に目をキラキラさせながらミシェル令嬢の顔をジッと眺めていた。そしてエルザの方に目を向けると『リーゼと婚約する』と言ってきた。 えっ? 息子の突然の申し出に啞然とするエルザと母。 侯爵夫人も「あら、まあ……」と驚いた表情をしているではないか。 いや……さすがにそれは、早くないだろうか?「クリス、落ち着いて。いくらなんでも早いわよ? ミシェル令嬢は、まだ産まれたばかりだし」『問題ありません。私が婚約者として大切に育てますので』「いや……婚約者として育てるとかの問題ではなくて……。困ったわね」 クリスはミシェルがリーゼロッテだと確信すると、すぐにでも婚約したいと言ってくる。しかし、そう簡単な事ではない。 まず皇帝であるレイヴァンに申し込んで、許可を頂かないといけない。それに本人の意思も必要だ。 貴族同士は親の意思で婚約を決めてしまうのがほとんどだが、産まれてすぐに婚約者にさせられるのは
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第69話。

「いいえ……滅相もないですわ。時間は、まだ長いのです。ゆっくりと楽しみながら成長を見守って頂けると幸いです」『フッ……そうだな』  お互いに納得したのか落ち着きを取り戻していた。エルザは不思議に思い、首を傾げる。(あら? 何だか二人共通じるものがあるのかしら?)  その後。話し合いの結果、婚約は保留という事になった。慌てず騒がず。ミシェルが大きくなってから、お互いに納得の上で婚約をする事に。 その間は、婚約者候補として申し込むとの事だった。ミシェルの将来が楽しみだ。記憶に残ってくれたらいいのけど……。 その数日後。エルザはクリスティーナとクリスを連れて、皇宮に戻る。すでにレイヴァンから聞いていたので驚きはしてなかったが、大変喜んでくれた。「まぁ、なんて可愛らしい皇女様なのでしょう」「これで我が国は安泰です。早く誕生祝いパーティーをしないと」 騒ぎ立てる侍女や騎士達を見てエルザはクスクスと笑う。するとレイヴァンが迎えに来てくれた。エルザを見るとギュッと抱き締めてくれる。「疲れただろう? ゆっくりするといい」「心遣いありがとうございます。それより少しお時間いいかしら? フフッ……お話したい事があるの」「何だい? それぐらい構わないけど」 レイヴァンは不思議そうに首を傾げるが、エルザはフフッと微笑んだ。 クリスティーナ専用の部屋でお茶する事になり案内される。慌てて準備をしたとレイヴァンは言っていたが、いざ入って見ると可愛いらしい部屋に驚かされた。 ピンクと白をモチーフにしたインテリア。たくさんのぬいぐるみやおもちゃが置かれていた。中央にはベビーベッドが。とても女の子らしい部屋だ。「まぁ、素敵。クリスティーナにピッタリの部屋ね」 クリスティーナも気に入ったのか、見てキャッキャッと声を出して喜んでいる。 レイヴァンは満足げにクリスティーナを抱っこしながらあやしていた。 そしてソファーに座ると、ビビアンとルルがお茶の用意をしてくれる。エルザは、お茶を飲みながらカルバーナ侯爵夫人の事と孫娘のミシェルの事を細かく説明すると、レイヴァンは大変驚いていた。「えっ!? じゃあ、そのカルバーナ侯爵夫人の孫娘が、リーゼロッテ卿の生まれ変わりだったのか?」「はい。私も驚いてしまいましたわ。でも、リーゼロッテ卿に似た容姿をしていて、きっと綺麗な子に育つで
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第70話。

『さすが母上。理解が早い。そうだ……彼女の前世の名はロザンナ。あの女帝気質な振る舞い方は我が君主譲りでな。前に出て、戦うよりも、遠くから面白ろ可笑しく高みの見物する方が好む奴だ。そして君主の次に敵にすると何かと厄介な性格をしている。今回のもどーせ、私が動くと思って、何もしなかったのだろう。アイツも私と同じ憑依した身だからな』 カルバーナ侯爵夫人も憑依した姿だったようだ。 いや……確かにそうなるだろう。過去でクリスと兄妹だったのなら。 しかし、性格が君主譲りとは……だとすると、時の神・クロノスはお会いした事はないが、かなりドSっぽい性格ってことだろうか?「カルバーナ侯爵夫人もいい性格をしているな。それなら、もっと早く現れてエルザの力になってくれても良かったのに」 エルザが考えていると、レイヴァンはそう言ってきた。確かに。 そんな方なら一緒にレイナや聖皇庁と戦ってくれても良かったのにと思った。 そうしたら、レイヴァンも危ない目に遭わなかった。しかしクリスはクスッと笑う。『言っただろう? アイツは戦うよりも面白ろ可笑しく高みの見物が好きだって。私が居るから手を貸す必要はないと判断しただけだ。面白味がなくなるから。もし母上の命が危うくなった時は手を差し伸べたかもしれないが。しかし、逆に手を貸してもらわない方がいいぞ。もしそうなったら、後で父上は無能だと一生罵られていただろう。それこそ、皇族は一生カルバーナ侯爵夫人に頭が上がらなくなるほどに』「……それは嫌だな」 クリスの発言にレイヴァンは眉間にシワを寄せて嫌がる。エルザも、どうなるのかと想像しただけでゾゾッと寒気がした。 きっと、どちらかと立場から上か分からなくなっていただろう。彼の言葉が本当なら、夫人の実力は相当のものだろう。皇族を怯えさせるほどに。 それにしても、凄い縁だと思う。こんなにも過去に関わりが合った人が一遍に現れるなんて……。まるで、そうなるために運命で導かれているようだ。「性格が似ていると言っていたけど、クロノス様も同じ考え方なの?」『まあ、そうだな。私が前世で戦争などに活躍した時も、ロザンナと一緒になって高みの見物をなさっていたぐらいだしな。よほどの事でない限りは口も出さない方だ。まぁ失敗したら、後でしばらく、からかわれるけどな』 キッパリと言い切るクリスに、やはり似た者同士だ
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