Semua Bab 婚約破棄された悪役令嬢は、聖母になりました!?: Bab 51 - Bab 60

90 Bab

第51話。

『母上、泣くには早いですよ。もしかして父上を生き返らせる事ができるかもしれません』「えっ……それは本当なの?」『はい。クリスティーナがお腹に居るって事は、母上のマナもそれに影響を与えます。死んだ人間を生き返らせる事は本来できません……神以外は。しかしクリスティーナは時の神・クロノス様の次期後継者。私より遥かに大きいマナと能力を持っております。母体はお腹の子に繋がり移行するので母上もその能力が使えるはずです。なので、その能力で父上を生き返らせる事ができるはず』 クリスの言葉にエルザは動揺するが、希望が少し見えてきたような気がしてくる。 それが本当ならレイヴァンを生き返らせる事ができる。「どうやればいいの? 私にできるかしら」『私が手助けします。新たな生命や能力を生み出すのはクリスティーナしかできませんが、私はそれをコントロールするのが得意とします。母上のマナをかなり使う事になりますが構いませんか?』「えぇ、問題ないわ。私の持っているだけのマナで、必ずレイヴァン様……あなたの父親を生き返らせてみせるわ」 上手く行くか分からない。でも少しでも可能性があるのならエルザは諦めたくないと思った。。 レイヴァンがエルザ達を救ったように、今度は自分が救いたい。 エルザはクリスに言われた通りにレイヴァンの胸元に手を置く。そして集中してマナを、ありったけ引き出す。(感じるわ……私のマナだけじゃない、クリスティーナのマナまで。本当に私のお腹に居るのね) あたたかく、強力なマナ。生命力の強さが感じられる。「いいか? 母上。引き出したマナを一点に集中させるように出す。その時に私の言った事を唱えて下さい」「は、はい。分かったわ」 エルザは目を閉じて意識を一点に集中させる。絶対に助けてみせる。そしてレイヴァンと子供達と一緒に幸せになるの!『では、我が君主・クロノスよ。我が力となり我に力を『時間逆行(タイムループ)』』「我が君主・クロノスよ。我が力となり我に力を『時間逆行(タイムループ)」呪文を唱えると黄金の輝きが私達を包み込む。眩しい光りはキラキラとして綺麗。その光りはレイヴァンに吸い込んでいく。しかエルザのマナも吸い込んでしまう。(うっ……頭がクラクラする。でも諦めたくない。お願い……届いて) エルザは負けずにマナを送り続けた。すると吸い込み終わったのか
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第52話。

「あっ……それで聖皇庁はどうなったのですか?」 聖皇は石になってしまった。それに皇族に対して反逆したのだ。そうなると、ただでは済まないだろう。するとクリスがポツリと口を開く。『反逆罪で全員捕まった。皇族を欺き陥れようとしたのだから当然だろうな。上の者は死刑。それ以外もそれなりの処罰をされる。そして聖皇庁は解散させる』「聖皇庁を解散ですって!?」 皇族なみに権力を持っている聖皇庁が、まさか解散させるなんて。 エルザは驚いてしまったがクリスは『当然だ』と言う。『君主を敬うはずの聖皇が、あんな事を企てたのだ。君主も残念がっていた。しかし母上を陥れ、クリスティーナの事もある。これだけで済んだだけでもいい方だろう』 確かに……それもそうだろうが。 こんな結果になって非常に残念だ。胸がズキッと痛む思いだった。するとレイヴァンがエルザの肩をポンッと叩く。「エルザ。君が気にする必要もないさ。これはそうなるべくして、そうなった。悪い事をしたのは彼らだ」「……はい」「それよりも父が俺とクリスの即位式の後に結婚式を挙げようって言って下さった。そこで君は皇妃として即位することになったんだ」「まあ、私が……」「同然だよ。君以外に皇妃に相応しい女性はいない。それに今回の件で君の能力が世間に知られてしまった。もう君のことを『救いの女神』や『時の神に愛されし聖母』とか言いたい放題だよ。もう誰も君のことを悪役令嬢なんて言う者はいない」 レイヴァンは嬉しそうだが少し申し訳なさそうに話してくれた。きっと、そう言わせしまった自分に対して申し訳ないと思っているのだろう。 本当は優しい人だから。エルザはソッと肩の置かれているレイヴァンの手を重ねる。 そしてニコッと頬んで見せた。「それでは、これから忙しくなりそうですわね。皇妃として」「……エルザ」 レイヴァンは感極まったのかギュッとエルザを抱き締める。目尻に涙を溜めながら。「本当に無事で良かった。それにクリスから聞いた。クリスティーナがお腹に居るのだろ? 嬉しいよ。私達の子だ」「フフッ……私も嬉しいですわ。レイヴァン様の子ですもの」「この子に誓うよ。絶対に君と子供達も幸せにしてみせるって」 そう言いながらエルザに誓いを立ててくれた。嬉しい……。 誓いを立ててくれた事に、心の底から嬉しさがこみ上げてきた。 そして
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第53話。

 そして時の神・クロノスに仕えている番人で皇太子。成長もできるので年齢差を気にしなければ、令嬢にとったら有力物件らしいとビビアンが言っていた。なるほど。 しかも幼児の時の人気も高いらしい。可愛らしくも整った容姿。こちらは年配の夫人達に特に人気で、是非孫娘を嫁がせたいとすでに申し出があるほど。 ちなみに既婚者の若い夫人達には、どちらも人気が高いとか。 あらあら、その年でモテモテだから凄いことだ。クスクスと笑うとクリスは勘弁してくれと、ため息を吐いていた。 そしてお披露目も兼ねたダンスパーティー。 私は、まだ皇妃ではないものの皇太子の母親として出席した。懐かしいパーティーに胸がドキドキと高鳴っていた。それもそのはずだろう。 婚約破棄をされて、幽閉としての形で追い払われていたのだ。なので本当に久しぶりの出席だった。 あの時のエルザは1人で出席をする。そしてレイヴァンはレイナとパートナーを組んだ。あの時の光景が今でも頭の中で鮮明に蘇ってくる。 パートナーとして選ばれなかったショック。何より婚約破棄を言い渡された時は人生が終わったのかと思った。 まさか、あんな事になるなんて思わなかったし、また皇妃として選ばれるなんて思いもしなかっただろう。しかも今はレイヴァンの子供が居る。 何があるか分からないもの。しみじみと考えさせられることばかりだ。「母上。どうかなさいましたか? ぼんやりとなさって」 皇妃の席でぼんやりと物思いに耽しているとクリスが戻ってきた。さっきまでの独身の令嬢達に囲まれていたのに。「ちょっと昔を思い出していただけよ。それよりも、もういいの? せっかく令嬢達とお話ができるのに」「疲れるだけなので構いません。そもそも私は、本来その年ではありませんので」「まあ、フフッ……」「確かにそうね」とエルザはクスクスと笑う。するとクリスは、「良かったら私と一曲ファーストダンスを踊って頂けませんか? 母上」 とダンスを申し込んできた。 それにはエルザの方が驚いてしまった。「えっ……クリスとダンス? あなた踊れるの?」 だってクリスは1歳児で、まだダンスの練習をさせてはいない。のちのち成長と一緒に教えればいいとレイヴァンと話していたぐらいなのに。 しかしクリスは余裕の表情で笑っていた。「何の問題もありませんよ。私を誰だと思っているのです?
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第54話。

 レイヴァンは大きな声でそう叫んだ。周りの貴族達は驚いてざわついた。 エルザは慌てて止めようとした。そうしたらレイヴァンは、「それでもエルザの事を愛しているんだ。エルザの身を守るためにお前と手を組み婚約破棄までした。それが彼女を傷つける事になると分かっていたのに。私は許されない事をした。だが……それでもエルザを諦め切れない。どんなに謝っても償い切れないけど……一生かけてもエルザに認められる男になりたい。夫として……」 今にも泣きそうな表情になりながらもハッキリとエルザの前でそう宣言してくれた。「レイヴァン様……私はそんな、あなたが好きですわ」 エルザは驚きながらも感動する。だから素直に言葉が出てきた。 そうしたら周りの貴族達が拍手をしてくれた。エルザ達は驚いて振り返ると。「そんな真実があったのね」「あの婚約破棄は、そんな理由があったとは……」「きっと引き裂かれるような想いだったのね。2人共、なんて可哀想に」 思わない同情心を向けられてしまっていた。 エルザとレイヴァンは思わず顔を見合わせる。するとクリスはフッと笑う。「やるならこれぐらいのことはやらないと。これで父上の罪をとやかく言う者は現れないだろう。婚約破棄の代償には丁度いい恥だろうな」 クリスはそう呟くと、それ以上何も言わずダンスホールから出て行ってしまった。 エルザは、もう一度レイヴァンの方を見る。「まさか……私達のために、あんな言い方を?」「そうだろうな……まったく。相変わらず可愛くない奴だな」 レイヴァンはそう言い、ため息を吐く。しかし呆れながらも微笑んでいた。 気づいているのだろう。これは、わざと怒らせて、本音を皆に知ってもらおうとしたことを。 この間のレイナの件で落ち着いてはいるが。それは彼女が『魅了』の力で国だけではなく皇太子のレイヴァンを惑わしていたこと。陰謀を働いたことだけだ。 そのため婚約破棄は『魅了』のせいか、元々持っていた本心か曖昧になっていた。 元々は親同士が決めた政略結婚だから。 口に出すものは少なくなってはいるが、その関係性に不安になる者も多いだろう。また同じことが起きないとは限らないため。 だからハッキリ線引きをさせたかったのだろう。これは計画した事で本心ではない。 私達は、確かに愛し合っているのだと……。 彼なりの優しさだと知り、
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第55話。

「クリス皇太子様か、皇女様の……?」 私の言葉に驚いた表情をするセイン。それがいいだろう。 今、ひらめいたのだが、なかなかいいアイデアだと思う。それならお互いのためになる。「そう。子供達が大きくなると必要になってくるわ。彼らは特別の存在。だから、私達が守っていかないといけないわ。罰よりも重圧で気苦労も多いと思うけど……だから、あなたの罰にはピッタリでしょう?」 ねっ? とウインクをして見せるエルザ。するとセインは一瞬驚いていたが、すぐにクスクスと笑い出した。「はい……偉大なる新たな皇妃のご慈悲に感謝致します。そして、この命を代えても皇太子と皇女様を守り忠誠する事を誓います」 騎士らしくエルザの手の甲に口づけをして誓いを立ててくれた。エルザはクスッと笑う。 するとレイヴァンが私とセインの間に入り邪魔をしてきた。レイヴァンは、エルザをギュッと抱き締めて引き寄せてくる。「彼女は私の妻になるお方だぞ。無暗に手の甲に口づけするのではない」 もしかしてヤキモチだろうか? ドキドキしながらレイヴァンの顔を見ると不満そうな表情をしていた。「これは、これは新たな皇帝陛下。偉大なる陛下にご挨拶を申し上げます」「畏まった挨拶はいい。それよりも、もう一度言う。彼女は……私の」「分かった、分かった。そんなに強く言わなくても分かっている。俺は彼女に謝りたかっただけだ。それに、もう君の子供達の護衛を任される事になった。だから護衛騎士として一生それを遂行するつもりだ」 セインの言葉にふんっと鼻息を鳴らしているレイヴァン。エルザはそれを聞いていてクスクスと笑っていた。いつもの光景に戻ってきたのを嬉しく思うのだった。 その後。エルザとレイヴァンはクリスの様子を見に行くことに。すると元に戻っており、乳母のケイリー夫人の腕の中で眠ってしまっていた。 どうやらマナも切れてしまったのと、夜も遅いので眠気には敵わなかった様子。ケイリー夫人がクスクスと笑いながら教えてくれる。「あらあら、気持ち良さそうに眠ってしまっているわ」「まったく……偉そうなことを言っても、まだまだ子供だな。寝顔は可愛いのにな」「フフッ……そうですね」 エルザはクスクスと笑いながら、クリスを受け取る。もぞもぞと身体を動かしていたが、またスヤスヤと眠り出す。エルザ達は、それを見てフフッと微笑むのだった。 
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第56話。・皇女・クリスティーナ

 残りは宮殿のバルコニーで民達にお披露目をしてから披露宴のみ。上階級の貴族達にも挨拶をしないといけないから大忙し。やっと落ち着いた頃には日付が変わってしまった。お風呂を済ませて、エルザはレイヴァンの寝室に向かう。 本来なら今夜は初夜だ。しかしエルザは妊娠しているので、そういう訳にはいかない。 仕方がないと思いながらも少し残念な気持ちだった。寝室に入るとレイヴァンはバスローブを羽織りながらワインを飲んでいた。「さすがに今日は疲れたな。君も飲むか? もちろん妊娠だから、ぶどうジュースだが」「えぇ……頂くわ」 ぶどうジュースを飲むかと誘ってくるレイヴァンにクスッと笑う。そして向かい側の椅子に座るとグラスを手に取り乾杯をする。一口飲んでみると甘酸っぱい味がして美味しい。 飲んでいるエルザをジッと見ていたレイヴァンは徐に口を開いた。「クリスは、もう寝たのか?」「はい。あの子も疲れたみたいで、お風呂に入れた後にぐっすりと。今はケイリー夫人が見ていて下さっていますわ」「……そうか」 どうしたのだろうか? 何故か頬を少し赤く染めて、何か言いたそうな表情をしていた。しかし、途中で思い切ったのかエルザの方を見てくる。「今日は結婚しての初夜だ。だから、君を抱いてもいいだろうか?」「えぇっ!? でも私妊娠していますよ?」 まさかの初夜のお誘いに驚いてしまう。嬉しいと思うのだが……子宮を刺激するのは、ちょっと。流産してしまう恐れがあるため、遠慮しないといけない。お腹にはクリスティーナが居る。「も、もちろんそれは分かっている。だから……素股ならどうだろうか?」「素股!?」  エルザはレイヴァンの言葉に衝撃を受ける。まさか素股を提案されるとは。 それは、内ももに男性の陰茎を挟み刺激する行為のこと。今までやった事はなかったが、皇妃教育の一環として知っていたぐらいだ。思わず頬が熱くなる。 レイヴァンはエルザの手を握る。「今までは早く妊娠して欲しくて、やったことはなかったが……どうだろうか? これなら負担にならないだろうし、妊娠している君にも安全だ。それに、せっかくの初夜なんだ。何もしないなんて……勿体ない。何より君を感じていたい」 頬を赤く染めながらも必死に、そのことを提案してくるレイヴァンを見て、啞然としながらも何だか可愛く思えてきた。(そんなに必死
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第57話。

「それは私もだ。君と初夜を迎えられると思うと、もうこれだ。また君の口でヤってくれないだろうか?」「は、はい。上手くはないですが……」 この前、エルザからヤった行為が、どうやらお気に召したようだった。と言ってもエルザも初めてヤった行為だから次も上手くやれるか分からないが。 レイヴァンは下着を脱ぐ。はち切れそうになるぐらい大きくなった陰茎を私は恐る恐る口に運ぶ。そして口に入れると、少しずつ出し入れする。「……んっ……」 やはり触接触れられるのは苦手のようだ。少しずつ速くしていくと、レイヴァンは声を我慢して唇を噛んでいる様子。頬を赤く染めて目を潤ませている。 ペロッと舐めるとビクッと大きく体を震わせていた。「……んっ……ふぅ……」 可愛いレイヴァン。エルザは嬉しくなり、今度はその唇でレイヴァンの唇を塞ぐ。 エルザからキスに驚いたレイヴァンだったが、途中から夢中で舌を絡ませてくる。そしてエルザはキスをしながらも右手を陰茎に触れる。「あっ……エルザ。何を!?」「少しでも気持ちよくなって頂きたくて」 エルザはそう言いながらレイヴァンのあそこを上下に擦りつける。キスをしながら。 そうしたらレイヴァンは苦しそうにしながら体をビクビクと反応している。「んんっ……ふぅ……はぁっ」 お互いの息が混ざり合う。舌をさらに絡ませて、何度も求め合う。そうしたらレイヴァンが限界が来たのか陰茎はぴゅーっと精液が飛び出てしまった。 どくどくと熱い液が溢れてきてしまう。唇を離すとレイヴァ様は、はぁはぁっと肩で息をしていた。「たくさん出てしまいましたわね」「はぁはぁっ……ああ、そうだな。もうすっかりあなたの虜だよ。本当に悪い女だ」 レイヴァンは、そう言いながらまたキスをしてくる。そしてエルザを押し倒すと、今度は自分の番だと言うように両足を大きく開かせると大事な部分に顔を埋めてくる。 膣内に舌を入れるように舐められ、ビクッと体が反応する。「あっ……ああっ……そこは……」「私ばかり気持ちよくなっていたらダメだからな。エルザはココが弱いだろう?」 そう言いながらエルザの弱い部分を狙って舌を擦りつけてくる。 そこを舐められる度に甘い声が漏れてしまう。「そこ……ダメなの。やあっ……あんっ……」 いやいやと首を振るうが抵抗はしない。シーツを握り絞めながら絶頂になるの
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第58話。

 そのまま欲望をエルザにぶちまけたのだった。エルザも激しい行為に絶頂してしまう。お互いに汗をかきながらベッドに倒れ込む。 するとギュッと抱き締めてくれた。「最高だったよ……エルザ。もう君が居ない人生なんてありえない」「私もですわ。レイヴァン様が居ない人生は嫌です」「心配しなくてもいい。これからも君を離すつもりはない。ずっと一緒だ」 レイヴァンはそう言って、エルザのおでこにキスをしてくれた。その感触を感じながら目を静かに閉じるのだった。嬉しさを嚙み締めながら……。 それから2ヶ月後。お腹も五ヶ月が過ぎて大きくなっていく。そんな中、少し離れたサファード公爵家が所有する山にピクニックに行くことに。 実は美しい滝と湖がある。その滝には虹色が輝いており、いつ行っても見ることができる。昔は両親とよく行ったものだ。 今度は息子のクリスと夫であるレイヴァンと行けるのだから楽しみで仕方がない。 馬車で山に登り、行ける所まで行く。そこからは少し歩けば滝が見えてくる。「エルザ、足元には十分気をつけろ。あそこまで大丈夫か?」「大丈夫よ。少し歩いた方が体にいいもの」 レイヴァンは、片方に昼食などが入ったバスケットを持ちながらも、もう一つの手で手を差し伸ばしてくれた。 エルザはクスクスと笑いながら、その手を受け取った。 クリスはエルザが抱っこしている。しばらくすると目的地の滝に着いた。目の前に見えるのは滝に大きな虹がかかっていた。七色に輝き、とても美しい。「なんて素晴らしい虹なんだ」 レイヴァンは、感動した眼差しで見ている。それもそのはずだ。この山『サファード山脈』はサファードが所有する者や民しか入れない。 しかも当主からの許可がいる。そのため皇族でも無暗に入れないため、レイヴァンは初めて登ることになる。 ライリーを含めて護衛騎士と侍女達も連れて来たのだが、ふもとで待機してもらう。家族水入らずになりたかったからだ。「お気に召しましたか?」「あぁ、こんな素晴らしい滝は初めて見る。今まで知らなかったのが勿体なかったぐらいだ」「それは良かったですわ。お父様も快く許可が出して下さいましたし」 先日父にピクニックがしたいと手紙を出したら快く許可をくれた。 婚約中は、あまり婚約を快く思っていないためか許可が下りなかった。警戒していたのもあったのかもしれない。
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第59話。

『君主は美しい湖が好まれる。だから、いつでも楽しめるように魔法をかけたそうだ。それだけではない。この山脈は許可なく、入れなくしたのはメアリー夫人と楽しむのに邪魔をされたくなかったからだ。虹の他にもここしか生息していない蝶や動物も居たりするが、それも君主が創り出したモノだ』 確かにこの山脈しかいない蝶や動物が居たりする。子供の頃はエルザも不思議に思えていたが。 ただ湖が綺麗とか住みやすいとかだろうと大人につれて、そう思い直していた。 まさか、そんな理由があったとは……。 エルザは驚いていると、レイヴァンはオレンジジュースが入ったコップに口をつける。「しかし、クリスは前世の記憶を持っているとはいえ、どんな人生を送って来たんだ? 本来なら父親が憑依したとはいえ時の神。母上がそのご加護受けた令嬢だと、皇族より影響は凄そうだが。それに私のご先祖である前皇帝と戦友だと言うし」 クリスの過去に触れるレイヴァンにエルザも気になり耳を傾ける。 皇帝を即位するのを手助けしたのも凄いが、確かに両親は偉大な方々だ。 この子の人生や堂々とした姿勢は、この方々の影響を受けているに違いないだろう。それに、エルザのご先祖だ。もしかして結婚もしていたのだろうか? 兄弟は? 前世のクリスの事は古過ぎて知らない事が多かった。一体どんな生き方をしてきたのだろうか? 『私の過去か? 別に今と変わらないが……まあ、そうだな。父上のご先祖である前皇帝・リアムとは古い付き合いだ。それにもう一人……リーゼロッテ。彼女の存在は大きいな』「リーゼロッテ?」『あぁ、私とリアムと一緒に戦で共に戦った女性騎士の名だ』 女性騎士様の名だったようだ。しかし、その世代では珍しいのではないだろうか? 今では珍しくなくなったものの、やはり騎士は男性が圧倒的に多い。女性騎士団が認められたのも最近の話だ。 女性は優雅に夫や婚約者を一方後ろで立てるのが一般のマナーと、口うるさく言ってもいる貴族は多い。 しかし昔に皇族に貢献して名を残した女性令嬢が居た事が、今の女性騎士が増えるきっかけになったと聞いた事がある。確かその名は……。「あ、もしかして初めての女性騎士様かしら?」『あぁ、そうだ。リーゼロッテ・カルバーナ。アルセント帝国初の女性騎士になった侯爵令嬢の名だ。リーゼの剣術は私達と張り合えるほど強かった。そ
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第60話。

「お前にも夢があったのか?」『私の夢は君主の役に立つ事だ。それ以上でもそれ以下でもない。しかし、そんな中で戦争が激化する。若い騎士である我々も参加する事に。そこで私達は共に戦い、功績を上げる事にした。リアムを皇帝にする事で我々も動きやすくなるように。そして、私も手伝ってリアムは皇帝に、のし上がる事に成功する。そして私は公爵、リーゼは女性騎士としての栄光を手に入れた」「そんな事が……」 ではクリスが騎士として活躍したのは、この2人が影響しただろう。 そして前皇帝に導いた……。では、その後は? どうなったのだろうか?「それで、どうなったの? 戦争が終わったのでしょ?」『あぁ、戦終パーティーがあった。そして、それぞれの道に。リーゼは騎士の道を進みながらも、私の妻として一緒になった』「えぇっ!? なんで、そこでリーゼロッテ卿がクリスの妻になるんだよ?」 状況が分からないレイヴァンは不思議そうな顔をする。「フフッ……あら、気づいていないのね。レイヴァン様。クリスとリーゼロッテ卿は恋仲だったって事ですわ」「そ、そうなのか? でも今の話で、どうやって恋仲になるんだ?」「フフッ……共に戦い、そして心を許せる仲。それに外見や中身もタイプなら、恋人同士になってもおかしくないですわ」 クリスの表情ですぐに分かった。どうやら、この子の好みのタイプは芯の強く心の綺麗な子みたい。リーゼロッテの気持ちも同じだったのだろう。『さすが母上。私はどうやら女性運がいいようだ。母上2人に、リーゼと素晴らしい女性に巡り合っているからな。父上と違って』「どういう意味だ!? それは……。私だって、女性運はいい方だぞ。こんな素晴らしい女性を妻にできるのだからな」 レイヴァンはそう言ってエルザを抱き寄せる。ドキッと心臓が高鳴るが、クリスはハッと笑う。『どうだか……そう言いながら、魔女みたいな女に『魅了』されたのにな』「もう、それはいいだろう!?」 またもやギャーギャーと騒ぎ出す。あぁ、また喧嘩が始まった。 エルザは苦笑いしていると、クリスがため息を入ってくる。『しかし、運命とは皮肉な事だ。まさか父上がリアムの生まれ変わりとは』「えっ? それはどういう意味だ?」 生まれ変わり? レイヴァンと前皇帝・リアムが!?『前に死んだ者は生まれ変わると話しただろう? リアムは死んだ後
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