「クリス。君はそれは、何を言っているのか分かっているのか? こういうのは、段階があるだろう。彼女の意思も」『グズグズするな、ヘタレ。貴様は父親の座に就きたいのではないのか? そんなくだらない事を言っている暇があるなら、さっさと孕ませて来い』 無茶難題な事を言ってくる我が息子。そもそも孕ませて来いとか、よく言えたものだ。そんな恥ずかしい台詞を。 レイヴァンも年頃の男だ。まったく考えてない訳ではない。 いずれエルザと……と夢を見た事は一度や二度ではない。しかし、それが違う形で実現しないといけないとは考えてもみなかった。 でもヤらないと、エルザの夫の座だけではなく父親の座も奪われてしまう。レイヴァン自身がヤらないと……。 そう思い直し、今夜それを決行する。名目は罰だ。 レイヴァンは夜になるとエルザが住んでいる『ホワイトキャッスル』に足を運んだ。事前に、そこの管理を任せてある執事長のトムソンには知らせてある。これからの事を考えて事実も。 父の代からずっと長く務めているためレイヴァンの事を仕えてくれる良き理解者だった。だから彼にエルザの事は任せていた。 彼女の専属侍女であるビビアンとルルは突然の訪問に驚いていたが気にする事なく、寝室に向かった。まだ寝ていないはず。 ノックもせずに荒々しく寝室に入って行く。罰を名目にしているからでもあるが、勢いをつけないと怖気づいてしまうからでもある。「レイヴァン様!? どうなさったのですか? こんな遅い時間に?」 エルザはネグリジェ姿だった。薄いネイビーブルー。まるで妖艶な美しさがあった。その姿に心臓がドキドキと高鳴って緊張してしまう。(あっダメだ。演技をしないと……) レイヴァンは,すぐに気を取り直してエルザを睨み付ける。「レイナから聞いたぞ。また君は彼女をイジメたらしいな? わざと転ばして嘲笑いのも腹立たしいのに、大勢居る中で私の婚約者だからと自慢して馬鹿にしてきたと」「わ、私はそんな事はしておりませんわ」 必死に否定するエルザ。そんな事は分かっている。 彼女は、そんなみっともない事はしない。そもそも、こんな遅い時間に言う事ではない。半場無理やりな設定だった。「だったら、彼女が噓を言ったと言うのか? 聖女である彼女が?」「で、ですが……」「そんなに私の婚約者である事が自慢か? もういい……そん
Terakhir Diperbarui : 2025-06-14 Baca selengkapnya