Semua Bab 強引な後輩は年上彼女を甘やかす: Bab 11 - Bab 20

46 Bab

01_4 歓送迎会 樹side

……ん。なんか姫乃さんが人気あるのが分かった気がした。この人、悪意がないし雰囲気がとてつもなく柔らかい。包み込まれるような感覚に飲み込まれそうになって、はっと我に返った。「いやー、いいよね。姫ちゃんのその笑顔、癒しだったなぁ」早田さんがしみじみと言った。確かに癒しだ。なんだこれ、世の中にはこんな人がいるんだな。こんな、その場にいるだけで穏やかな雰囲気になる人が。不思議な気持ちに、姫乃さんを不自然にならないようにチラチラと観察した。彼女は積極的に話をするタイプではない。皆の話をニコニコしながら聞いて、相槌をうっている。話を振られれば、柔らかく穏やかな声音で話をする。だけどひとつだけ。彼氏の話を振られるととたんに慌てだす。照れているのかと思っていたけれど、なんか違和感。何かを言いたそうで言えない感じ。そこを本橋さんと近田さんが畳みかけていくので、姫乃さんは困ったように笑う。ふと、目が合った。何でもないようにニコッと微笑まれる。「ビールおかわりする?」「あ、じゃあ。どうも」遠慮なくグラスを差し出した。トクトクと注がれるビール。隣のテーブルからの視線も、ちょっとばかり痛い。姫乃さんからの二回目のお酌。「大野くんって飲んでもあまり変わらないんだね」「あー、うーん。多少酔ってるとは思いますけど」「そうなんだ。羨ましい」「そうですか? 姫乃さんは飲まないんですか?」グラスを見れば半分ほどしか減っていない。これが何杯目かは知らないけど。「私は酔うと大変なことになるから飲まないようにしてるの」内緒だよ、とこっそり教えてくれる。え、なにそれ。内緒なの? 俺に教えていいわけ?あざといな。うん、あざとい。だけどこの人、計算してないだろ。自然体だろ。むしろ天然か。真相はわからないけど、そう思うくらいに姫乃さんは自然。自然すぎて思わずドキッとしてしまう。あー、なるほど。これも人気の秘訣か。俺も今、可愛いなって思ってしまった。一緒の空間にいるとペースを乱されそうになる。隣の先輩たちといるよりずっといい。すごいな、姫乃さん。そんな気持ちがバレたのだろうか、俺は先輩たちに呼び戻された。どうやら嫉妬されてしまったらしい。なんでだよ。自分たちが行け行けって言ったくせに。「いいよな、朱宮さん」「マジ癒し。職場に癒しがいるって最高じゃね?
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-01
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01_5 歓送迎会 樹side

ちょっと飲みすぎたかなと思いながら、電車に揺られる。主賓だったけど二次会はパスした。先輩にどやされすぎて疲れたし。ぼんやり視線を這わせた先に、見覚えのある人が立っていた。姫乃さんだ。同じ電車だったのか。姫乃さんは外の景色を見ながら、時々小さくため息を付いている。何なんだろうか。飲み会の時の困った顔が思い浮かんだ。電車がぐっと揺れる。ゴチっと鈍い音と、「いたっ!」という可愛い声が聞こえた。おいおい、頭ぶつけてないか?「大丈夫ですか?」思わず近づいていた。何かこの人、心配になる。「……だいじょうぶ」顔を真っ赤にしながら、涙目になっている。それ、大丈夫くないだろ。「お、同じ電車だったんだね」「姫乃さんどんくさいですね。飲み会中、なんか無理してる感ありましたけど、悩み事でもあるんですか?」せっかくだし、と思って聞いてみた。軽い気持ちだったんだけど。姫乃さんは目を見開いた。けどすぐにヘラっと笑う。「えっ? いや? ないよ。大丈夫。ちょっと飲み過ぎたのかなー? えへへ」いや、飲んでないだろ。飲んだら大変なことになるって、自分で言ってたじゃないか。「じゃあ彼氏に迎えに来てもらえばいいじゃないですか?」「えっ、うん、そうかな? そうだよね? でも忙しいかも?」あからさまにしどろもどろ。姫乃さん、目が泳いでるんですけど。駅に到着するアナウンスに、「私駅ここだから、じゃあね」と俺に背を向ける。これって照れているわけじゃないよな。彼氏、本当にいるのだろうか。そんな疑問を抱えつつ、「俺もここです」と隣に並ぶ。「えっ?」めちゃくちゃ驚いた姫乃さんを尻目に、先に降りた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-03
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01_6 歓送迎会 樹side

通勤ラッシュも過ぎた時間帯だから、人もまばら。 主要駅ではないからよけいに人は少ない。「大野くんここなんだ?」「姫乃さんって最寄り駅ここでした?」「うん、最近引っ越したんだ」「ふーん」それは知らなかったな。朝も帰りも会ったことがない。まさか同じ駅を使っていたとは。先輩たちに知れたら、羨ましがられそうだ。「大野くん家こっちなの? 方面一緒だね。全然気付かなかったなぁ」本当にね。先ほどから姫乃さんは俺の半歩後ろをついて歩く。 昭和かよとツッコミたくなるけど、そういう奥ゆかしさも魅力のひとつなのかもしれないなと、ぼんやり考えているうちにマンションに着いた。「じゃあ俺ここなんで」「ええっ!」姫乃さんは両手を口に当てて、これでもかと驚く。 ん……なんか対応間違えたかな?「どうしたんですか? もしかして家まで送ってほしかったですか?」案外姫乃さんもそういうタイプかと思ったけれど、「違うよ」とすぐさま否定される。じゃあなんだ、うちのマンションがなんかおかしいのか。ここって幽霊出るところじゃないとか言われるのかな、なんて想像したけれど。「大野くんの家、ここ?」「はい」「……私もなんだけど」「はい?」それはさすがに俺も驚いた。 幽霊どころじゃなかったわ。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-13
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01_7 歓送迎会 樹side

いや、まさかね。まさかじゃん。 姫乃さんと同じマンションって。そういや二週間くらい前に引っ越しのトラックが止まっていたけど、あれはもしかして姫乃さんが引っ越して来てたってことなのかな。ここのマンションの家賃は、そんなに高くない。内装はリフォームされているけど築十年だし、最寄り駅から近いけど、その最寄り駅が主要駅じゃない。普通列車しか止まらないところ。姫乃さんの容姿からして、高級そうなところに住んでいそうだったんだけど、人は見かけによらないものだな。しかも姫乃さん、一階だった。女性がひとりで一階に住むとか、あの人の危機管理能力どうなっているんだろう。だって姫乃さん、めちゃくちゃ綺麗で可愛い人なんですけど。大丈夫なのか心配になる。……いや、俺が心配してもどうしようもないけど。 あ、彼氏がいるからいいのか? 待て待て、その彼氏が本当にいるのかどうか。目が泳いでいたのをしっかりと思い出せる。本当は彼氏いないのでは……?そこまで考えて、まあ、どうでもいいかとなった。 俺は別に姫乃さんの彼氏じゃないし、彼氏になりたいとも思っていないし。ただあの人が危なっかしくて放っておけない感じがするだけで、世話を焼く義理はない。俺が焼かずとも、世話を焼きたい人は社内に大勢いるだろうから。いや、どうなんだ。それはそれで危ない気がする。姫乃さん簡単に騙されそうな気がするし、調子に乗るやつも出てきそうな……。気づいたら休日は姫乃さんのことばかり考えてた。 なんでだよ、どうかしてる。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-14
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02_1 隠し事 姫乃side

まさかの大野くんと同じマンションだった。そんな偶然に驚きつつも、休日はまったく大野くんに出会わず、なんら変わりない日々に落ち着きを取り戻した月曜日。出勤日にゴミを出して駅に向かおうとしたところで、マンションから出てきた大野くんにばったり出会ってしまった。「おはようございます」「お、おはよう」駅までの道のりは嫌でも一緒だ。何となく流れで一緒に歩き、そのまま一緒に電車に乗り込んだ。満員電車なので、毎朝座れない。大野くんに促される形で奥の方まで進み、座席の前の吊革につかまった。隣に立つ大野くんは思ったより背が高い。スーツにリュックといった、今どきの若者スタイルだ。スラリとしているのでよく似合っている。一つ目の駅で、私の目の前の席が空いた。「大野くん、すわっ……」”座って”と言おうとしたのに、突然両肩を掴まれ、くるりと向きを変えられる。そしてそのまま空いた座席に押し込まれた。「あ、ありがとう」「ん」座席には私が座り、大野くんは駅で乗ってきた乗客にぎゅうぎゅうと押されている。だけど何事もないかのように、悠々と立っている。背が高い大野くん。長い手足にスーツがよく似合っている。なんだか今日はかっこよく見える。ふと目が合って思わず逸らした。やだ、不自然だったかな。何でドキドキしてるんだろう。悪いことしてるわけじゃないのに。最寄り駅に着くと、人の流れに身を任せる感じで改札までたどり着いた。もうその時には、大野くんは数歩先を行っている。振り返ってくれたので私も駆け寄ろうとしたけれど、背後から名前を呼ばれてそちらを振り向いた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-16
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02_2 隠し事 姫乃side

「姫ちゃんおはよう」「あ、祥子さん、おはようございます」祥子さんが明るく手を振りながら駆け寄ってきたので、私も祥子さんの方に近付いた。「姫ちゃんこの電車? いつもと方面違うくない?」「実は最近引っ越したんです」「引っ越し? はっ! まさかついに同棲?」「へっ? 違いますよっ」祥子さんは一人盛り上がり、キャーキャー言い出すので私は焦る。同棲だったらどんなによかったか。実は親から、“もう三十になるんだから家を出なさい”と半ば強引に実家を追い出されたのだけど、さすがにそんな事恥ずかしくてとても言えない。「これは大ニュースだわ」私がもたもたしていたので、祥子さんは肯定と受け取りニヤリと笑った。あれ? さっき違うって言ったよね?「ちょっと祥子さん、違いますって」慌ててもう一度否定するも、祥子さんはもう聞く耳持たない。「さっそく真希ちゃんに報告しなくっちゃ」「祥子さんってば~!」今回ばかりはきちんと否定したつもりだったのに、”朱宮姫乃があのエリートイケメン彼氏とついに同棲を始めた”という間違った噂が、社内に瞬く間に知れ渡っていった。なんで……なんでそうなるの……。私が悪い?ハキハキと喋らないから、こんなことになる。私の悪い性格だ。いつまで経っても直らない。こんなんじゃダメだとわかっているのに。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-17
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02_3 隠し事 姫乃side

「はぁ~」思わずため息が漏れた。また嘘が大きくなってしまったんだもの。「同棲なんて憧れちゃいます」「姫ちゃんも最近の子よねー。私が若い頃は同棲なんて親が許さなかったわ」真希ちゃんと祥子さんが好き勝手なことを言い、キャッキャと盛り上がっている。「だから、違いますって」「照れなくてもいいのにー」妄想を暴走させる彼女たちに、私はため息しか出ない。否定しても信じてもらえないので、おしゃべりに付き合う気がなくなった。もういいや、好きにして。同棲してるってことでいいです。はい、おしゃべり終了。私は一人静かに仕事に戻る。「姫乃さん、テレコン借りたいんですけど」「はい、ちょっと待ってね」大野くんが備品を借りに来て、私はテレコンをキャビネットから出すために席を立った。管理台帳に日付や名前を書いていると、大野くんも横に立つ。「姫乃さん、同棲してるの?」突然の話題に、シャープペンの芯がボキッと折れる。「えっ? いや? あの。えっ? なに?」急に何を言い出すんだ。もうっ、大野くんの耳にも入ってるなんて〜〜!動揺してしどろもどろになっていると、大野くんは目を細めて「ふーん」と気のない返事をした。「ま、どっちでもいいけど。でもあのマンション、単身者用だよね?」ギクリ。思わず肩が跳ねる。大野くんは何が言いたいのだろう?「じゃあテレコンお借りします」フリーズした私を尻目に、大野くんはテレコンを持って颯爽と去って行った。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-18
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02_4 隠し事 姫乃side

「はー」今日何度目かわからない、大きなため息。もういろいろと考えすぎて疲れた。祥子さんも真希ちゃんも、悪い人ではないけど恋愛話になるとすぐに暴走してしまうのは、なんとかならないものだろうか。それを止められない私も私……。くっ、反省。退社後、駅前のカツ屋に寄った。今日は月に一度のカツ丼特盛デーで、通常の値段でカツ二枚となる日だ。お得感で癒されるためにも、買って帰るに限る。「特盛ひとつ……」「特盛ふたつで」私がレジで注文するのと被せるように隣に人が立ち、私の注文する声が掻き消された。驚いて隣を見れば、「お、大野くん!」しれっと大野くんが立っていて、私は後退る。「姫乃さんでも特盛食べるんですね」「えっ?!」何だか急に恥ずかしくなって、私は顔を赤らめた。そうか、特盛だなんて女子としてあるまじき行為かも。変なとこ見られちゃったなぁ。そんな態度に、大野くんは不思議そうな顔をする。「なに恥ずかしがってるんですか?」「いや、だって特盛だし」「たくさん食べるのは健康的でいいですよね。好きですよ」ふ、と笑う大野くんの眼差しは優しくて、彼はこんなふうに笑うのだと思わず凝視してしまう。大野くん、笑うと可愛い。それに、好きですよって――。ああ、いや、大野くんの言う“好きですよ”は、そういう意味じゃないってわかってるのに。なぜだか勝手に顔が赤くなってしまって困った。恋愛偏差値低すぎて、ちょっとのことでドキドキしてしまう。ダメだな、私。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-19
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02_5 隠し事 姫乃side

「一緒に食べます?」「えっ?」私が聞き返すのと同時にカツ丼特盛弁当が二つできあがり、目の前にドンと袋が置かれた。 大野くんはそれを持つと、私の背を押す。「さ、かえりましょー」「待って、お金」「奢りますよ」「いやいや、ダメだよ」押し問答をしながらお店を出ると、大野くんは私を歩道の内側に寄せてマンションへ向かって歩き出す。袋も持とうとしたけど譲ってくれない。なんか……なんか……ものすごくムズムズする。さっきまで笑うと可愛いなって思ってたのに、急に頼もしく見えちゃうんだもの。「一緒に食べてくれたらお金もらいますよ」「そんな。……ん、じゃあ奢ってもらおうかな」売り言葉に買い言葉、ではないけれど、変な対抗心で私は意地をはって言い返した。すると大野くんはピタッと止まって私を見据える。「そんなに俺と食べるの嫌? 彼氏に怒られる?」何だか怒っているように感じて、私は口をつぐむ。それに、彼氏に怒られるだなんて、彼氏なんていないのにどう返したらいいんだろう。「本当は彼氏いないんでしょ?」ぐるぐると葛藤する私に追い打ちをかけるように、大野くんはあっけらかんと言い放った。「えっ!」彼氏がいないこと、大野くんは気づいていたの?! 動揺が身体中に広がり、みるみるうちに顔が赤くなる。そんな私を見て、大野くんはふっと笑った。「姫乃さんって単純。わかりやすい」「か、からかわないでっ」あんなに、彼氏はいないと間違いを正したかったのに、いざ他人から言われると恥ずかしさや情けなさが込み上げてくる。真っ赤になった顔が上げられないどころか、思わず目頭が熱くなった。「……すみません、意地悪言って。姫乃さん可愛いから。じゃあ、大人しく帰ります」しゅんとする仕草に、なぜだかこちらが申し訳ない気持ちになってしまう。 別に大野くんは悪くない。ちゃんとしてない私がいけないの。それはわかってる。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-20
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02_6 隠し事 姫乃side

「ごめん大野くん、やっぱりご飯一緒に食べ――」「樹! 今日泊めてよー」意を決して口を開いたのに、その言葉は他の言葉に掻き消される。突然大野くんの腕に絡みつく女性に、私は呆気に取られて言葉を失った。目がくりっとしていて、可愛らしい印象の女性。肩までの髪と、大人っぽいピアスがふわっと揺れる。わっ、可愛いって思わず声に出そうになった。彼女は大野くんの持っている袋を覗き込むと、遠慮のない口調で言う。「私もカツ丼食べたい! 2つあるじゃん」「これは姫乃さんのだから」大野くんがさっと避けつつ、不満気に私を見る。あ、あー、そうだよね。私はお邪魔虫だわ。こんなときにも気が利かなくてごめんなさい。「あ、えーっと、よければどうぞ」そもそもまだお金も払ってないし、大野くんの彼女のようなので二人で食べた方が良いと思う。カツ丼特盛は魅力的だったけど、また来月買えばいいし、それよりも早く帰らなければ彼女に誤解を与えかねない。「じ、じゃあ……」そそくさと退散しようとする私の袖を、彼女がガシッと掴んだ。ええっ! なんで?「ごめんなさい! そんなつもりじゃなくて」ひいっ!こちらもそんなつもりじゃないです!「いいのいいの。二人で食べて」「ダメです。もしかしてお兄ちゃんの彼女ですか?」「えっ、おっ、かっ、えっ?!」大野くんの彼女だと思っていた女性から、まさか“彼女ですか”と聞かれるとは思いもよらず、私はますます混乱する。お兄ちゃん?お兄ちゃんの彼女?ポカンとする私に大野くんは静かに言った。「会社の先輩だよ」「先輩かぁ」「えーっと、お兄ちゃん?」「妹のなぎさです」私はなぎさちゃんと大野くんを交互に見比べる。彼女……じゃなくて、妹?「あ、へぇー。可愛い妹さん。大野くんお兄さんだったんだ。あ、どうぞどうぞ、二人で食べて」「いや、ダメですって」「なぎさは帰れ」「なんでよっ」ギャアギャアと兄妹の押し問答が続く。それぞれの主張のすえ、なぜか三人で一緒にごはんを食べることになってしまった。……ちょっと、よくわからない。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-21
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