All Chapters of 夏目さん、死なないで！ 社長のアプローチが始まった！: Chapter 131 - Chapter 140

大山は凛が事件に巻き込まれたと聞き、煌を本邸に呼び出して事情を聞いた。あの時から、煌は必ず凛に許してもらえるようにお願いしたいという思いを伝えていたようだった。しかし、その自覚はあまりにも遅すぎた。大山は、優奈が妊娠したことで既に諦めがついてしまったのだから、煌に凛を煩わせに行かせることだけは、決して許すことができなかったのだ。そして、大山は煌を家に閉じ込め、大人しくしているように言った。このところ、大山は煌の反省と誓いを何度も聞かされて、うんざりしていた。今思い出すだけでも、大山は頭を抱えた。「あのバカは、失って初めて大切さに気づくとは......後の祭りだ」凛に変な風に思われ

深夜。誠が部屋に入ってきて報告した。「優奈さんまだ跪いています。夏目家の人々も来ています」さっき誠が部屋に入ってきた時、夏目家の人々の声が聞こえてきた。凛は耳が聞こえないわけでもない。誠也が大声で馬鹿げたことを言っているのが、はっきりと聞こえていた。優奈を跪かせた以上、こうなることは分かっていた。凛の心は全く揺るがなかった。「好きにさせておけばいい」凛は落ち着きはらってぶどうを食べながら言った。「病院側も、好き放題させるわけにはいかないでしょ。警備員が来るわ。あなたたちはもう気にしなくていい」誠は小さく頷いた。「承知しました」誠が出て行った後、礼が入ってきた。今夜は礼の当直だ

優奈の心は沈んだ。聖天は何かを知っているに違いない。しかし、もし彼が決定的な証拠を掴んでいるなら、ここで自分と話をする必要はないはずだ。優奈は落ち着きを取り戻し、怯える様子を見せなかった。「霧島さん、そんなことを聞くってどういうことですか？私が煌さんを愛しているのは、そんなに分かりにくいでしょうか？」「彼と結婚するために、未婚の母になり、姉さんの婚約者を奪った悪女という汚名を着せられても構いません」優奈はうつむき、苦しそうに言った。「自分がひどいことをしているのは分かっています。でも、本当にどうにもできないんです......霧島さん、恋は盲目なんです。自分でもどうにもできないんです」

「もちろん叔父さんに聞いたんだよ。叔父さんは姉さんのメンタルが心配で、俺に仕事を中断して帰って来いって言ったんだ」そう言ってから、輝は自分が余計なことを言ってしまったことに気づき、礼を見て恐る恐る尋ねた。「礼さん、これ、言っちゃダメだった？」礼はため息をついた。もう言ってしまったものは仕方ないだろう。凛は不思議そうに言った。「どうして言っちゃダメなの？」「それは......」輝は困っていた。叔父さんが姉さんのことを好きだから、こんなに気を遣っているなんて、言えるわけがない。「聖天は、夏目さんに余計な心配をかけさせたくなかったんです」礼はフォローするように言った。「きっと、仕事が終

凛は輝にスマホの画面を見せて、ニヤリと笑った。「ほら、引っかかった」「マジか！」輝は喜び、悔しそうに言った。「もっと早く帰ってくればよかった！俺の演技力を披露できたのに！」「あなたが早く帰ってきてても、優奈はまだ警察で取り調べを受けている。電話をかける機会なんてないわ」輝は頭を掻いた。「確かに。犯人探しにも時間がかかるし、いきなり見つかったって言っても、優奈は信じないよな」凛はスマホをしまい、「優奈から目を離さないで。何か異変に気づかれて、また邪魔されたら面倒だわ」と言った。「ああ！」輝は壁掛け時計を見て、眉をひそめた。「優奈は電話も終わったのに、どうしてまだ帰ってこないんだ？誰か