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第 140 話

Author: 一笠
凛は輝にスマホの画面を見せて、ニヤリと笑った。「ほら、引っかかった」

「マジか!」輝は喜び、悔しそうに言った。「もっと早く帰ってくればよかった!俺の演技力を披露できたのに!」

「あなたが早く帰ってきてても、優奈はまだ警察で取り調べを受けている。電話をかける機会なんてないわ」

輝は頭を掻いた。「確かに。犯人探しにも時間がかかるし、いきなり見つかったって言っても、優奈は信じないよな」

凛はスマホをしまい、「優奈から目を離さないで。何か異変に気づかれて、また邪魔されたら面倒だわ」と言った。

「ああ!」

輝は壁掛け時計を見て、眉をひそめた。「優奈は電話も終わったのに、どうしてまだ帰ってこないんだ?誰か
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