木瀬夫人は凛に手を差し出した。「今回、あなたとご一緒できてとても光栄でした。また次の機会を楽しみにしています」凛は木瀬夫人の手を握り返し、なかなか手を離そうとしない。「お手数ですが、あの方へお礼を伝えてください。今夜はこんなすごい名誉をいただいて、本当に感謝しています、と。善行を隠す必要はありません。それに、私は人の好意に甘えたくありません。だから、資金を寄付する際は、私の名前は出さないでください」今夜のチャリティパーティ全体に水を差したくなかったし、余計な騒ぎを起こしたくなかったから、その場で疑問を口にすることはしなかったのだ。でも、人目を避けて、はっきりさせておくべきことは、きちん
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