美羽は完全に酔っていた。誰が誰なのかもわからず、ただひたすら、翔真の後を追い続けていた。どこに行こうと、彼の裾をしっかりと握り、決して手を離そうとしない。翔真は眉間にしわを寄せ、彼女を無理やり席に押し込んだ。「いい加減にしろ。ここに座っていろ。もうついてくるな。今日は俺の結婚式だ、台無しにするな」その声には冷たく鋭い威圧が込められていた。だが、美羽は怯えるどころか、ふらふらと彼の胸元に抱きつく。「翔真さん、離れたくないの……怖いよ……みんなが私をいじめるの……」ぽろぽろと涙をこぼしながら訴えるが、翔真は冷たくその手を振り払った。「何度言わせる。もう我慢しろ。俺は今日——結婚するんだ」容赦なく彼女を突き放し、アシスタントに見張るよう命じると、そのまま壇上へと向かった。マイクを手にし、来賓の前に立つ。「本日は予期せぬ事情により、開始が一時間遅れました。ご迷惑をおかけし、申し訳ありません。ですが、必ずや記憶に残る挙式となることをお約束します。それでは、予定通り式を執り行います」だが、返ってきたのは拍手ではなく、張りつめた沈黙だった。会場全体が凍りつき、司会者すら言葉を失う。翔真の両親を交互に見やりながら、おそるおそる声を発した。「あの……本日の挙式、新婦様のご登場は……?」その一言が落ちた瞬間、空気が一変した。翔真の眉がぴくりと動き、視線が鋭く司会者を射抜く。「今、なんと言った?」その声は氷の刃のように冷たく、場の空気を一瞬で凍らせた。司会者は震えながら、再び言葉を紡ぐ。「新婦様が、まだ……到着されていないと……」「新婦が、来ていない?」翔真の視界が揺らぎ、頭が真っ白になる。否応なく突きつけられた現実に、彼はなおも必死に抗う。「そんなはずない、枝里は……きっと道中で何かあったんだ。事故かもしれない……迎えは?ちゃんと行ったのか?」焦りと混乱に支配され、声が震え始める。そのとき、スタッフの一人が勇気を振り絞って口を開いた。「高峯様、迎えの車は確かに出発しました。ただ、現地では新婦様にお会いできず……高峯様が式の時間をずらすとおっしゃっていたので、ご一緒に来られるものと思って……」その言葉の続きを、誰も必要としていなかった。誰の目にも明らかだ
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