Semua Bab 蛇と桜と朱華色の恋: Bab 111 - Bab 112

112 Bab

外伝 水底に沈む兎の顛末 + 14 +

 清雅からの口づけを受けた水兎は感じたことのない気持ちよさに腰を抜かしていた。胸や秘芽など何度も唇で愛撫されたのに、けして自分の唇にふれることはなかった彼の舌は、とても甘い。もしかしたらこれが神々を悦ばせる桜蜜の味なのかもしれない。神聖なるものだけが味わえる甘露を狼神の末裔である彼から直に与えられたことで、水兎もまた味覚を得ることができたのだろう。「んっ、もっと、もっと…………っ」 「水兎。まさか桜蜜の味がわかるようになったのか?」 「甘くて、美味しいの。清雅の唾液……」 「俺の唾液よりも水兎が気持ち良くなって分泌させる桜蜜の方が甘いぞ?」 「ああん」 一糸まとわぬ姿で身体を寝台のうえに縫い付けられた水兎は清雅の愛撫を受けながら口づけに溺れている。何度も絶頂を味わわされて潤みきった瞳はほんものの兎のように色を赤くしていた。その姿にもっと啼かせたいと清雅が下半身を押しつけて来る。蜜に濡れた白い神衣に隠された彼の分身はすっかり勃ちあがっており、水兎の秘芽にふれていた。「あ……これ」 「挿入れるぞ――!」 「ン――……ッ!」 神衣を押し上げ、褌からはみ出した一物を蜜口にあてられたかと思えば、すぐに蜜壁を擦りたてながら最奥へ侵入してくる。太くて硬く熱いものが一息に挿入され、息が詰まりそうになるが、さんざん可愛がられた水兎の身体は待ちわびていたかのように収斂し、ひくひくと痙攣する。「あぁ、ぁぁっ……」 「痛いか?」 「へいき、です……あぁっ、清雅さん……口吸いして」 「……ああ」 純潔を散らしたばかりの乙女が淫らに接吻をねだる姿に清雅もまたごくりと唾を鳴らす。水兎と繋がってしまったという罪悪感よりも、ようやく手に入れられたという安心感の方が強かった。清雅はゆっくりと腰を動かしながら水兎の唇を啄みつづける。「んっ、はっ、あんっ」 「いいぞ……上手だ」 「清雅さん、に、調教された身体です……からっ!」 喘ぎながら気持ちをぶつけてくる水兎に、清雅が腰を振って応える。すっかり彼の形にされた膣内を何度も何度も抉られて、水兎は無意識のうちに桜蜜を全身の穴という穴から放出させる。甘い香りに酔いそうになりながら、ふたりはひとつになって言葉の応酬を続ける。「神々が放っておかないだけある……裏緋寒の乙女」 「あ、あぁっ!」 「このまま俺がぜんぶ喰らっ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-04
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外伝 水底に沈む兎の顛末 + 15 +

    とても幸せだった。  恋しいと想ったひとに愛を返されて、水兎は満足した。  たとえこの先、何があっても起こっても――……。『覚悟は決めたかえ?』 脳裡に囁かれて、水兎は夢から醒める。  清雅に抱かれ、心の底から結ばれて、水兎は竜神の愛玩花嫁の資格を失った。  その代償が何かは、もう理解している。「――はい、至高神さま」 恋を知らないまま召喚された裏緋寒の乙女は至高神に選ばれたにも関わらず、神嫁になることを拒んだ。  けして結ばれてはならぬと言われた桜月夜の守人と恋に堕ちたから。  水兎は哀れみの目を向けて来る至高神に、にっこりと微笑む。「恋する気持ちを教えていただき、ありがとうございました」 自分はこの恋に殉じる。だから竜神さまの花嫁にはなれない。  神罰に怯えるかと思えば、開き直ってそう応えた水兎の姿に至高神は目をまるくした。『ほんに、人間(ヒト)は愚かで面白いのう』 至高神の言葉とともに水兎の身体が宙に浮かぶ。清雅は腕のなかからちいさな水兎が姿を消そうとしているというのに、すやすやと安心しきった表情で眠っている。「……清雅さん、ごめんなさい」 そして、愛してくれてありがとう。  水兎が彼の額に口づけをすると、ちいさな花が咲く。「さよなら」 水兎は至高神の手を取り、竜神が眠る湖のうえへ転移する。  眠りつづけている竜神はこの地に悪しきモノたちが蔓延っていても起きようとしない。  臆病な竜神を叩き起こすため、至高神は禁忌を犯した裏緋寒の乙女を生贄にすることにした。  表緋寒の代理神はすでに冥界からやってきた邪神に生命を奪われ、いまは空位になっている。残された裏緋寒の乙女ももはや不要の存在である。なぜなら竜糸の緋寒桜は表と裏が揃わなければ意味がないのだから。『それがお主の落とし前のつけかたかえ』 「清雅さんは認めないと思いますけど」 『永き年月を過ごす桜月夜の守
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-05
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