二宮楓(にのみや かえで)は南都で有名な令嬢であった。そして、彼女がこれまでにした最も突拍子もないことといえば、兄の宿敵と三年間も密かに交際し、そして、数えきれないほどのプライベート動画を彼に撮らせていたことだった。マイバッハの中で、彼女は裸だった。一方、彼はきちんと服を着ており、傍らにはスマホが置かれていた。「相馬さん......」彼女は小さな声で、柔らかな口調で彼を呼んだ。「もう......撮らないで......くれない?」如月相馬(きさらぎ そうま)の動きが一瞬止まり、そして低い笑い声が漏れた。彼は顔を上げ、漆黒の瞳に彼女の顔が映っていた。そこには、甘やかしとからかいが入り混じった感情が見て取れた。「どうしたんだ?恥ずかしいのか?」「安心しなよ、誰にも見せないさ。君が恋しくなった時に見るだけだ。楓ちゃん、俺を満足させてくれないか?ねえ?」楓は「楓ちゃん」という言葉に耳まで赤くなり、まるで彼の声に操られているかのように、拒否する言葉が出てこなかった。どれくらいの時間が経っただろうか、車の揺れが止み、全てが終わった。相馬はゆっくりとベルトを締め終わると、頭を屈め彼女の目を見つめながら髪を撫でた。「この後、会食があるんだ。先に運転手に君を送らせるよ。後で君のところへ行くから、ね?」楓は小さく頷き、柔らかな声で「うん」と答えた。相馬が車から降りた後、楓は服を着た。まだ少しぼんやりとしていた。運転手を呼んで帰ろうとしたその時、相馬のカードケースが座席に落ちていることに気づいた。彼女は急いでカードケースを手に取り、車のドアを開けて追いかけた。相馬の会食場所の個室を尋ね、彼女はドアの前に辿り着いた。個室のドアは少し開いていた。楓が入ろうとしたその時、中から笑い声が聞こえてきた。「相馬さん、今のはなかなか激しかったな。俺が入ってきた時、マイバッハ全体が揺れてたよ。もし二宮健治(にのみや けんじ)が妹があんな風に相馬さんの下で快楽に溺れてるって知ったら、怒り狂うだろうな」楓の頭の中が真っ白になり、雷に打たれたように立ち尽くした。「ははは、相馬さんと健治はもう何年も犬猿の仲だから。南都の二宮、北都の如月って呼ばれているぐらいだね。そうでなければ、相馬さんがわざわざ美人救出劇を計画して、健治の妹を救って、自分に惚れ
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