Semua Bab 恋のフレッシャーズ! ~等身大で恋しよう~: Bab 61 - Bab 70

99 Bab

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 ――桐島主任は翌日からも、平日には毎日出勤時と退勤後にわたしの送迎をして下さった。 帰りには必ず「矢神さん、お腹減ってない?」と訊いて下さって、時々は一緒に夕飯を付き合って下さることもあった。 その時はたいてい牛丼屋さんやラーメン屋さん、回転ずしなどのごく一般的なお店。絢乃会長とはいつも高級なお店でお食事をしていると思ったら、「わりとこんなもんだよ」とおっしゃっていてビックリした。それも、会長のリクエストでそうなるらしい。 わたしは入江くん一筋で主任に恋心なんて抱いていないし、主任だって会長と相思相愛なので、これは決してデートなんかじゃないのだけれど。宮坂くんも果たしてそう思っていたかどうか……。   * * * *「――おはようございます」「おはようございま……、どうしたんですか?」 今日も、わたしは主任と一緒に出社してきたのだけれど。秘書室の皆さんの様子がどこかおかしい。小川先輩がスマホを覗き込みながら、眉根をひそめている。「矢神さん、桐島くん、おはよう。――ちょっとこれ見て」「えっ?」「何ですか?」 わたしと主任、二人揃って先輩のデスクに近付きスマホの画面を見せてもらうと、そこに表示されているのはSNSのある投稿だった。『この女は俺のカノジョですが、つい最近別のオトコと浮気してるっぽい。 オトコはカノジョの会社の上司だって。どうせコイツがカノジョを誘惑したんだ。 俺のオンナに手を出すな~~!!(怒) #篠沢商事 #浮気相手に制裁を』 その投稿には、ウチのマンションの前で話し込むわたしと主任を横から撮ったと思しき2ショット写真が添付されている。撮られた覚えなんてないので、きっと隠し撮りだろう。「何、これ。いつの間に……」「またか……」 わたしは気づかないうちに盗撮されていたことに呆然となり、主任はSNSで攻撃されたのがこれで二回目だということにウンザリしているようだ。「業務の一環で、〝篠沢商事〟のタグでこの会社に関する投稿を検索してたらたまたま見つけたの。――私は桐島くんが会長とラブラブなこと知ってるし、矢神さんにも他に好きな人がいるらしいことは分かってるから、別に何とも思わない。でも、何も知らない人はこの投稿を見て、文面どおりに解釈するでしょうね」「あ……、そうですよね」「矢神さん、桐島くん。この投稿した人に心当
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-12
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「でも、これって放っておくわけにはいかないですよね。何か対策を考えないと、わたしはともかく、主任が世間から白い目で見られちゃいますよ」  主任はこの先、絢乃会長との結婚を控えていらっしゃるのだ。会長がどう思われるかは分からないけれど、篠沢家という名家に婿入りするのにふさわしくないと世間の人たちは思うかもしれない。お二人の関係はもう公(おおやけ)になっているから。 「…………分かった。矢神さん、これから一緒に会長室へ行こう。会長に、これからどうするか相談してみようか」 「はい。わたしもその方がいいと思います」  わたしたちの会話を聞いていた小川先輩も、「私もそう思うよ」と同意して下さった。 「というわけなんで、室長。僕と矢神さんは少し業務から外れます。……とはいっても、僕はすぐ仕事に戻れますけど」 「分かりました。指導係の小川さんも承知しているなら、私は構いませんよ。行ってきなさい」 「室長、ありがとうございます。行ってきます」  主任はわたしを連れて、会長室へ。主任がドアをノックして入室すると、デスクから立ち上がって出迎えて下さった会長は主任の後ろにわたしもいることにちょっと驚かれていた。 「おはようございます、会長。矢神さんのことで、ちょっと困ったことが起きたので、二人で相談しに伺いました」 「……おはようございます」 「おはよう、矢神さん、桐島さん。――ちょうどよかった。わたしも今、二人をここへ呼ぼうと思ってたの。こ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-13
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「――ねえ、矢神さん。この書き込みをしたのってもしかして、この前話してくれた宮坂って人なんじゃない?」 会長はわたしが言う前に、この投稿が宮坂くんの仕(し)業(わざ)ではないかと見抜かれた。やっぱりこの人、ただ者じゃない。投稿したアカウントは彼の実名ではないのに、そこまで分かってしまうなんて。「わたしもそう思います。桐島主任がわたしの上司だということも知ってますし。……ただ匿名なので、本当にそうなのかどうかはまだ分かりませんけど」 わたしの答えを聞いた会長は、少し考えた後にこんな提案をされた。「こうなったら、プロの手を借りた方がよさそうね。わたしもお世話になった調査のプロを紹介するから、その人にこのアカウントの持ち主を特定してもらいましょう」「会長、それって〈U&Hリサーチ〉のお二人のことですね」「うん。――わたし、今から真弥(まや)さんに連絡取ってみるよ。繋がるといいんだけど」 会長はそう言うとすぐ、スマホで〝真弥さん〟なる女性に電話をかけられた。どうやら主任もよくご存じの人みたいだけれど……。「……主任、つかぬことをお訊ねしますけど。〈U&Hリサーチ〉って? 真弥さんっておっしゃるのはそこの人なんですか?」 わたしは会長のお電話中に、小声で主任に訊いてみた。「えーと、〈U&Hリサーチ〉っていうのは去年の秋、絢乃会長がストーカー被害に遭った時に、犯人を特定してもらった調査事務所なんだ。男女二人だけでやってる小さな事務所なんだけど、腕は確かだよ。で、そこで実際に調査をしてるのが葉(は)月(づき)真弥さんなんだけど、実はまだ高校生なんだって」「高校生?」 腕のいい調査員が高校生だということに、わたしは驚きを隠せない。「そう。会長の一コ下だから、今高校三年生かな。確か通信制高校に通ってるって聞いた。で、そこの所長の内(うち)田(だ)さんっていう男の人が元警視庁の刑事さんでね」「元刑事さん……ですか。じゃあ、警察に顔が利く会長のお知り合いって言うのが……」「その内田さんだよ」「なるほど……」 これで会長にまつわる一つの謎が解けたと同時に、絢乃会長の人脈がいかに広いのかを改めて知った。「……ええ、ありがとう。じゃあ、待ってるね。――矢神さん、真弥さんが今からここに来てくれるって。……ああ、えっと。真弥さんっていうのは――」「先ほど主任
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-15
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 ――それから十分くらいして、会長のデスクの固定電話に内線の着信が入った。 「会長、僕が出ます。――はい、会長室です。――はい、会長にお客さまが二名、ですね。承知してます。入館証の発行をお願いします。よろしく」  内線は受付からだったようで、わたしは宮坂くんが会社まで押しかけて来た時の記憶が甦(よみがえ)り、思わず体を強張らせた。でも、すぐに来客があの男ではないことを思い出し、肩の力を抜いた。 「……矢神さん、大丈夫? 怖いことを思い出しちゃったみたいね」 「あ……、はい。でも、もう大丈夫です。お気遣いありがとうございます」  会長はもちろん、あの男がこのオフィスへ来たこともご存じだから、様子がおかしくなったわたしのことをさりげなく気遣って下さったんだと思う。 「――会長、内田さんと真弥さんが到着されたようなので、僕は一階までお二人を迎えに行って参ります。よろしいでしょうか?」  受話器を置いた主任が、来客――調査事務所のお二人の到着を会長とわたしに告げられた。「迎えに行く」とおっしゃったのは、来客が勝手に重役フロアーまで上がってくることを、この会社のルールで禁じられているからだ。重役フロアーへの来客=お客さまもVIPであることがほとんどだから、でもあるらしい。 「ありがとう。じゃあお願いね」 「かしこまりました。では行って参ります」  主任が退出してから、会長室にはわたしと会長、女性二人だけが残った。 「あの……会長。調査の費用は…
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-16
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「――会長、内田さんと真弥さんをお連れ致しました」 会長室に戻って来られた主任は百八十センチを超える長身の男性と、身長百六十センチくらいのポニーテールの女の子と一緒だった。女の子の方は少し大人っぽいけれど高校生くらいに見えないこともないので、多分彼女が真弥さんだろう。「おかえりなさい、桐島さん。ありがとう。――お二人とも、お久しぶりです。その節はお世話になりました。今日は急にお呼びだてしてしまってごめんなさいね」「いやいや。篠沢会長、お久しぶりっす。あれからウチの事務所、ストーカー関係の調査の依頼が殺到しててかなり儲(もう)けさせてもらってるんだよ。いやもう、篠沢会長さまさまって感じでさ」「ちょっと、やめなよウッチー! みっともない!」 がめつい話を始めた男性の鳩尾(みぞおち)に、女の子の正拳突きが見事にヒット。男性は「うっ!」と呻いた。――なるほど、彼女は空手をやっているらしい。そして多分、男性は女の子に頭が上がらないらしい。……これはあくまでわたしの勝手な想像だけれど、強(あなが)ち間違ってはいないと思う。「絢乃さん、お久しぶりです。――で、そちらの女性は?」「こちらは、この春入社されたばかりの矢神麻衣さん。秘書室所属で桐島さんの部下なの。今回の依頼人はわたしじゃなくて、彼女」「初めまして。矢神と申します」 わたしは名刺入れから自分の名刺を抜き出し、男性の方に手渡した。小川先輩や主任から聞いたことだけれど、秘書と言うのは名刺交換をする機会が多いのだそう。「これはご丁寧に。オレは〈U&Hリサーチ〉所長の内田圭介(けいすけ)です」「そして、あたしは調査員の葉月真弥です。……麻衣さん、って呼んでもいいですか? あたしにも名刺下さい」「ええ、どうぞ」 内田さんと真弥さん、それぞれから名刺を受け取り、真弥さんにもわたしの名刺を手渡す。お二人の名刺はパソコンで作成したと思われるオリジナルのものらしい。多分、真弥さんのお手製だろう。「真弥さん、高校生なんですか? さっき、桐島主任から聞いたんですけど。通信制に通ってるんですよね?」「はい、そうですよー。今十八歳で、三年生です。だから麻衣さん、タメ口(ぐち)でオッケーですよ」 真弥さんはわたしより五つ年下なのに、わたしより大人っぽい。そういえば、会長も四つ年下だったっけ。「――さて、では今回の
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-18
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「――ところで、ここに写ってる男性って桐島さんですよね? まさかこの麻衣さんと浮気を……」 真弥さんが桐島主任を非難を込めた目つきで睨んだ。主任は慌てて否定する。「違いますよ! これは、矢神さんのボディーガードを頼まれて、彼女をマンションの前まで送り届けたところを撮られたんです! 断じて浮気なんかじゃないです。そもそも、このことを会長もご存じですから」「……なるほど。まあ、そういうことにしておきます。でも、その男が麻衣さんにつきまとってるのは事実なんですよね? 麻衣さん、SNSはやってます?」「一応アカウントは持ってますけど、最近はほぼ見るだけかな。自分で投稿するのはあまりないです。だから、この投稿のことも秘書室の先輩に見せられるまで知らなくて。あと、その彼がSNSをやってるかどうかも知りません」「なるほどね、分かりました。このアカウントの持ち主のこと、こちらで調べてみます。……それで、麻衣さん。料金のことなんですけど。ウチは調査結果を最低二十万円で買い取ってもらうというシステムを取ってるんです。でも今回は調査に時間がかかりそうなので……」 わたしに質問をしているのは専(もっぱ)ら真弥さんの方で、内田さんは口を挟まない。よっぽど彼女のことを信頼しているから任せているのか、デジタルオンチだから話についていけていないのかどちらなんだろう?「真弥さん、料金はわたしに請求してくれたら大丈夫だから。調査、しっかりお願いね。あともう一つ、貴女方にお願いしたいんだけど」「何ですか? 絢乃さんのお願いだったら、あたし大体のことは聞いちゃいますけど」「お二人のどちらかに、麻衣さんの護衛をお願いしたいの。実は彼女、相手の男性にマンションの前まで押しかけて来られたことがあったらしくて、一人で通勤するのは不安みたいなの。だから桐島さんにガードも兼ねて送迎してもらっていたんだけど、こんなことになっちゃったから。……もちろん、その分の料金も上乗せして請求してもらって構わないから」「いえいえ、それはサービスってことで。ウチは正規の料金だけ支払ってもらえれば。……で、問題はどっちがガードするか、だけど。男性がつくと桐島さんの二の舞になっちゃいそうだね」「じゃあ真弥、お前が麻衣さんについてやってくれるか」「オッケー、了解♪ というわけなんで、さっそく今日の終業後からガードさ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-22
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大好きな彼とわたしの本音 PAGE1

 ――お昼休み、わたしは今日も入江くん、佳菜ちゃんと一緒に社食でランチを摂っている。ちなみに今日のメニューはわたしはボロネーゼパスタ、佳菜ちゃんはハヤシライス、入江くんはチャーシュー丼だ。「――そういやお前、SNSで桐島さんとの2ショット写真晒されてたよな」「ああ、あれね。あたしも見た」 あの投稿を入江くんも佳菜ちゃんも見ていたらしい。でもまあ、あれだけ拡散されていたら誰が見ていてももう不思議はないのでさすがに驚かない。「うん。でもね、あれは違うの」「分かってるって。どうせアイツだろ、投稿したの。オレは別に何とも思ってねえよ。桐島さんにお前のガード頼んだのもオレだしな。ゴメンな、オレのせいであんなことになっちまって」「……ううん、入江くんのせいじゃないよ。だから気にしないで」「アイツって……、あの宮坂とかいう男だよね? なんか許せないよね! どんだけ独占欲強いのよ。麻衣に近づく男は誰一人として許せないとか、マジで何なのって感じ!」「佳菜ちゃん……」 彼女のセリフは多分、わたしの言いたいことを代弁してくれている。だからこそ、わたしをガードしてくれるのは男性である内田さんではなく女性である真弥さんの方がいいということになったのだ。「実はね、午前中にこの件を主任と会長に相談したら、調査事務所の人が調べてくれることになったの。その探偵さん、会長も前にお世話になった人で、料金も会長が出すって言って下さって。ついでに、ボディーガードもしてもらうことになった。女の子なんだけど、空手の黒帯持ってるから頼りになるんだって」「へえ、よかったじゃん。女同士だったら宮坂も何もしてこねえだろうし、今度こそ安心だな」「……そうだね」 わたしは正直、入江くんの言葉が少々不満だった。その素っ気ない返事に、彼は首を傾げる。「……なに? なんでそんな素っ気ないんだよ、お前」「入江くん、この件に関してはずっと人任せだよね。どうして一度も『オレが守ってやる』って言ってくれないの?」「え……」 わたしが今日までずっと言えずに胸の中にしまっておいた不満を口にすると、入江くんはぐっと言葉に詰まった。「わたしだってホントは入江くんに守ってもらいたいんだよ。いつか電話で言ったのが本音で、翌日『忘れて』とは言ったけど、あれは入江くんとギクシャクしたくないからつい言っちゃっただけな
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-25
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大好きな彼とわたしの本音 PAGE2

 ――定時間際、わたしは予(あらかじ)め連絡先を教えてもらっていた真弥さんにメッセージを送った。〈もうすぐ仕事が終わります。迎えにきてもらっていいですか?〉〈分かりました。お疲れさまです。 今からそちらのビルに向かいます。あたしは外で待ってますね〉 彼女から返信がきたところで、ちょうど終業のチャイムが鳴った。 わたしは急いで帰り支度を整え、まだ仕事を終えていない主任に声をかける。会長秘書とはいっても、ずっと会長室に詰めているわけではないのだ。「――主任、お疲れさまでした。真弥さんが迎えに来てくれるそうなので、わたしはお先に失礼します」「お疲れさま、矢神さん。――そういえば、午後からちょっと元気ないみたいだったけど、大丈夫? 何かあった?」 つくづく、この人の洞察力には恐れ入る。彼が主任になられた理由もこのあたりにあるのだろうか。「……ちょっと、お昼休みに入江くんとやり合っちゃって。彼を傷付けてしまったみたいで後悔してるんです」 わたしは昼休みの社食での、入江くんとのやり取りについて主任に話した。「……入江くんも、そうしたくてわたしのことを人任せにしてるわけじゃなかったんだって。彼も彼なりに悩んでるんだって分かったら、わたし、彼に言ってはいけないことを言ってしまったんだって。何だか彼に申し訳なくて」「うん……。でも、それが君の本心なんだよね? そして、『自分がどうなってしまうのか怖い』って、それが入江くんの本心なんだろ?」「はい」「だったら、お互いの本心を知れるいい機会だったんじゃないかな。たとえ親しい間柄でも、なかなか本心が言えないこともあるからね」「そうなんですね……。あの、会長と主任もそう……なんですか?」「いや、僕らはそんなことないけど。――ほら、もうすぐ真弥さんが迎えに来るんだろ? そろそろ行かないと」 彼女たちの事務所は新(しん)宿(じゅく)にあるらしいけれど、丸ノ内までそんなにはかからないはずだ。「そうですね。それじゃ、失礼します。また明日」「うん、また明日。待ってるよ」「はい」 わたしは室長や小川先輩、他の先輩方や同期のみんなにも挨拶をして、秘書室のオフィスをチェックアウトした。 エレベーターで一階まで下りてエントランスを抜けると、ビルの外に待っていたのは真弥さん一人だった。「――麻衣さん、お仕事お疲れさ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-26
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大好きな彼とわたしの本音 PAGE3

「――実はね、わたし、好きな人がいて。ボディーガードをしてもらうなら彼がいいってずっと思ってたの。高校の頃からの同級生で、入江くんっていうんだけど、今会社も一緒で。部署は違うけど」 「はい」  電車の車内で運よく座席に座れたわたしは、目の前で吊革につかまって立っている麻衣さんに入江くんのことを話した。スーツ姿のわたしと、黒のパーカーにデニムのショートパンツ、黒タイツに厚底スニーカーの真弥さんの組み合わせ。周りの人からはどんな関係に見えるんだろう? 「でもね、彼はこの件に関してずっと人任せなの。わたしにはそれが不満で、今日のお昼休みにとうとう彼に言っちゃったんだ。『どうしてオレが守ってやるって言ってくれないの?』って」 「まあ、そりゃ言いたくもなりますよねぇ。好きな人に守ってほしいっていうのは、女子なら誰だって思いますもん」  真弥さんみたいに腕の立つ女の子でも、やっぱり守ってほしいものなんだ。多分彼女自身にも、内田さんに助けてもらったことがあったのだろう。 「でしょ? ……でもね、彼の気持ちも分からなくもないの。ストーカーってわたしたちと同じ大学の同級生で、もう三年も前からわたしがつきまとわれてたこと、彼もよく知ってたから。『アイツを目の前にしたら自分がどうなるか分からないから怖い』って言われた。わたしも、元同級生同士が修羅場になるのは見たくないし、彼がそんな男のために暴力を振るうのもイヤなの」 「う~ん、麻衣さんは優しすぎるのかなぁ。これはあくまであたしの持論ですけど、人様に迷惑かけて怖い思いをさせてるストーカー野郎には、鉄拳制裁くらい食らわせて当然ですよ。それが麻衣さんを守るためだったらなおさら」 「そうかもしれないけど……、やっぱり暴力はよくないと思う、話し合いで解決できるのがいちばんいいと思うんだけどな」 「それができるような
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-27
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大好きな彼とわたしの本音 PAGE4

「そういえば、麻衣さん知ってました? 桐島さんが俳優の小(こ)坂(さか)リョウジを蹴り飛ばした動画あったでしょ? あれ、ホントはウッチーの役割だったんですよ。それを、桐島さんが急に乱入してきたんです」「えっ、そうだったの? 知らなかった。わたしは拡散された動画をチラッと見ただけだったから」 あの有名な(?)動画にまつわるエピソード――絢乃会長がイケメン俳優からつきまとわれていたことについてはわたしも聞いていたけれど、まさかあの件にも真弥さんと内田さんが関わっていたなんてビックリだ。「ええ。まあ、その件があったから、あたしたちと絢乃さん、桐島さんとの繋がりができたんですけど。あたし思うんですよね。あの行動って、絢乃さんを守りたいっていう桐島さんの愛情の表れだったんじゃないかって」「うん、わたしもそう思う。だからこそ、入江くんにもそうしてもらいたいんだけど……ムリなのかなぁ。もちろん、彼のもどかしい気持ちも分かってるつもりだけど、少しは主任を見習ってほしい」「好きな人がいたら、誰だってそう思うはずです。『大切な人を守りたい』って。それは男女関係ないです。あの件だって、最初は嫌がらせの被害に遭ってる桐島さんを守りたいって絢乃さんが依頼して来たんですよ。でも、桐島さんも守られてばかりはイヤだって思ったんでしょうね。……でも、『守りたい』っていう気持ちを行動に移せる人はなかなかいないです。それこそよっぽどの勇気がなければ」「…………うん」「その入江って人、麻衣さんを守りたいっていう気持ちがあるだけまだ幸せじゃないですか。その人には勇気がないだけなんです。でも間違いなく、麻衣さんは彼から大事に想われてますよ」「そう……だね。真弥さん、ありがとう」「いえいえ」 わたしは真弥さんの言葉に励まされた。そして、入江くんに対して申し訳ない気持ちにもなった。帰ったら、電話で彼に謝らないと。「真弥さんと内田さんはどうなの? そこのところ。っていうか、真弥さんは内田さんのどういうところを好きになったの?」「えっ? う~ん、話してもいいですけど……。引かないで下さいね?」「……うん」 〝引かないで〟ってどういうことだろう? もしかして真弥さん、とんでもない秘密を抱えてる?「実はあたし、子供を堕(お)ろしたことがあるんです。ちょうど去年の今ごろに」「うん……って、え
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-28
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