「あははは!! 変身してないとこんな豆腐みたいに切れるんだね!!」 奴は無邪気に、テストで高得点を取った子供のように喜び跳ねる。神奈子は声すらも上げられず、その場に崩れ傷口を抑え苦悶の表情を浮かべる。 「これで二つ……あたし達の勝利も確実に……」 神奈子が殺される。だというのに体が動かない。庇うことも逃げることも。 完全に諦めてしまい殺される様子を見るだけかと思ったが、次の瞬間メサの体は吹き飛ばされて木に激突していた。 「いててて。げっ、この触手は……」 奴が居た場所には巨大な美しい触手が振り下ろされていた。その風圧で落ちた腕は転がり神奈子は力なく倒れ動かなくなる。 「神奈子!! この腕……」 生人さんがギリギリ間に合ってくれた。彼なら変身せずとも人間態のメサを撃破できるはずだ。 「ちっ、覚えてろよキュアヒーローども!!」 しかしメサは怪人態になることなく一目散に逃げていく。 「うぐぅ……」 神奈子が呼吸を荒くさせ小さく呻く。酷い出血量だ。すぐに手当てしなければ死んでしまう。 わたしも手伝った方が良いと、動けるわたしも彼女の手当てに向かうべきだと頭では分かっていた。だが足が動かない。未だに震えて立てない。 「神奈子!! 橙子!! 大丈夫なのだ!?」 リンカルが駆けつける。配信開始時点から全速力で向かっていたのだろう。すぐに手当てできるよう散布薬と痛み止めを既に手に持っている。 「薬じゃ治せない!! 今はいいから痛み止めを!!」 神奈子は錠剤をリンカルから飲まされて幾分か顔色がマシになる。それでも出血は止まらず死に追いかけられる。 「切り口が綺麗だからまだ十分繋がる……痛み止めがあってもキツイと思うけど、少しの辛抱だからね」 生人さんは腕の傷口に細い触手を数本入れ、それを溶接するかのように彼女にくっつける。 「あがっ……あぁぁぁぁ!!!」 溶接した瞬間神奈子は激痛に大声を上げる。傷口から鳴るグチュグチュという不快な音。こちらまで痛みが伝わってくる。 生人さんに体を抑えられ、足をバタつかせ必死に痛みと戦う。その甲斐もあり彼女はなんとか傷を治すが、あまりの痛みに気を失ってしまう。 「橙子……こっちは散布薬でなんとかなるのだ……良かったのだ」 わたしはリンカルに衣服をめくられ薬をかけられる。こ
Terakhir Diperbarui : 2025-06-21 Baca selengkapnya