「痛たたた……お尻打っちゃった……」 私はお尻を手で押さえながら痛みに悶える。波風ちゃんの方はぶつかる前に浮いたので大丈夫だったがこちらは少しの間走れそうにない。 「分裂……やっぱりお前ら二人合体してたってことなのか?」 「とにかく何があったか教えてくれる? 高嶺のあの姿やゼリルの使ってたブローチについてとか」 その場に居らず配信を見る暇もなかった生人君に何があったのかを事細かに説明する。私では語彙力が足らず波風ちゃんと橙子さんに頼りっきりになってしまったが。 「なるほどね……波風の存在は高嶺のブローチに注ぎ込まれた希望依存だって仮説だったから……それが影響している可能性が高いね」 しっくりくる説明と上手く言語化された文章だ。辻褄も合っていて矛盾もない。 「それでゼリルの使ってのは……」 生人君も察しがついたようで歯切れを悪くする。 「ごめんなさい……アタシがブローチを奪われたせいで……」 「波風ちゃんのせいじゃないよ!!」 自らを罰しようと自責する彼女を必死に止める。あれは私のミスで、そして一人の命を奪った罪だ。それを波風ちゃんにほんの少しでも背負わせるなんてことはできない。 「ん……? それより生人さんブローチは……キュアヒーローに変身するためのアレはどうしたんですか?」 橙子さんが指摘したことで私も気づく。生人君がブローチを付けていないことに。そもそもホテルで変身していなかった時点で不自然だった。 「実は……盗られてしまったんだ。君達が昨日戦ったあの二人に」 サメとクジラのようなイクテュスの二人組だ。生人君なら負けるとは思えないが、きっと卑怯な手段などを取られたのだろう。 「何かあっ……」 「いや、言い訳するつもりはないよ。全部ボクの力不足だからね。この失敗はボクがなんとかする……だから高嶺達は気にしないで」 慰めようとしたわけではないが、かけた声は弾かれる。 力量不足なはずがない。生人君の強さは合体した私達よりも上のはずだし経験なんて比べ物にもならない。 「生人君!!」 その態度に私は言いたくなることがあり、つい声を荒げて彼を驚かせてしまう。 「な、なに?」 「私達は仲間なんだから一人で考え込まないで。私もこの前辛かった時、幻覚に振り回されていた時生人君に助けられた……だから私も力になりた
Terakhir Diperbarui : 2025-07-11 Baca selengkapnya