All Chapters of 明月が一度も来なかった : Chapter 21

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第21話

「浅間グループはね、二年前に事実上経営破綻したのよ。新興企業に次々とシェアを奪われて、今じゃその辺の中小企業以下の規模まで落ちぶれてるわ。こういう系列の店舗も、当然すべて売り払われたの」芽依は思わず目を見張った。あの病院での別れを最後に、深志との関わりは一切絶っていた。ずっとM国を拠点にしてきたため、浅間家がそこまで没落していたことなど、欠片も知らなかったのだ。そんな話をしている最中、隣に座っていた結夏がふいにぐずり始めた。「パパ……気持ち悪いよぅ。吐きそう……」京介が慌てて娘の額に手を当てた。「すごい熱だ。気候の変化に体がついていけなくて、風邪を引いてしまったのかもしれない」芽依たちは急いで席を立ち、タクシーに飛び乗って病院へ向かった。診察室で解熱剤を処方してもらい、薬を飲ませると、結夏はようやく安心したのか、芽依の腕の中でスヤスヤと眠りに落ちた。あどけない寝顔を見下ろしていると、どうしようもないほど愛おしさが込み上げてくる。安堵の息をついて顔を上げた、その時だった。少し離れた心療内科の診察室から、一人の男がふらりと歩み出てくるのが見えた。深志だった。完全に縁を切ってから六年。かつて自信に満ち溢れていた彼の姿はどこにもない。どんよりとした顔には濃い疲労が刻み込まれ、ひどく老け込み、髪には白いものがいくつも混じり始めていた。芽依の姿に気づいた深志は、一瞬ハッと息をのみ、それからどうにか口角を引き上げてぎこちなく笑った。「……久しぶりだね」「ええ、お久しぶり」あれから長い年月を経て、まさかこんな場所で再会することになるとは思ってもみなかった。深志の視線が、芽依の腕の中で眠る結夏に落ちる。「その子は……?」芽依は愛おしそうに結夏の髪を撫でて答えた。「私の娘よ」深志はすべてを悟ったように、静かに何度か頷いた。芽依は眠っている結夏を京介の腕にそっと預け、「少しだけ話してくるわね」と告げた。病院の敷地内にある遊歩道を、芽依と深志は並んで歩いた。時間がすべてを洗い流すというのは本当らしい。こうして顔を合わせても、芽依の心にはもう一欠片の愛情も湧かなかった。それどころか、かつて抱いていたわずかな憎しみすら完全に消え失せ、あとに残っているのは凪のような平穏だけだった。ふと
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