Lahat ng Kabanata ng 極めて甘い愛〜若頭を拾ったら溺愛されて困ってます〜: Kabanata 11 - Kabanata 20

31 Kabanata

密かに甘噛み 1

孤独に震えている子猫を拾うみたいなそんな再会だった。雨の中、ゴミ捨て場にセツ君は居た。雫たちが染み込んだアスファルトみたいに、冷たさを身体にまとわせては、ぽつりと存在していた。私は何者か知らないまま、助けた。 どうしても放っておけなかったから、家に連れてきたけど、まさかセツ君だったなんて。すっかり大人になった彼はかっこよくなってた。でも、何1つ聞けないままセツ君は帰ってしまた。 謎が残りながらも、また会う約束をした。2週間以上たった日曜日に、セツ君は私の家を訪ねて来た。もう会えないかと思っていたから、少しほっとする。玄関のドアを開けた時、外はどんよりと曇り空だった。春の匂いが家に入ってくるような微風が吹いていた。その風がセツ君の香水の匂いを私へと運んでいく。匂いはセツ君のものだと簡単に分かるほど、鮮やかに香っていた。一瞬、セツ君が持ってる花束から放たれているのかと思ったけど、違ったみたい。 セツ君はお礼の言葉を添えながら、傘を返してくれた。私は傘を玄関に置いてある傘立てにしまった。するとセツ君は更に、プレゼントだと言って花束を私に差し出した。え?と一瞬にして、私の中の時が止まる。固まってる私に、セツ君は跪きスマートさ全開で渡してきたので、その雰囲気に流されるまま受けとった。戸惑いつつもとりあえず、上がってってよと迎えると、セツ君はお邪魔しますと言いながら丁寧に靴を揃えて家に上がった。セツ君が来ただけで、私の部屋の温度は2人分のあたたかさになったように思える。 全く人を自分の家に呼ばないものだから、それはなんとも不思議な空気感だった。セツ君をリビングのソファに座わらせて、自分は向かいに座布団でいいやと正座しようとしたらーーセツ君が隣に何で来ないのと聞いてきた。「隣、おいでよ」「い、いいよ。私はここで」「帰っちゃおうかな。じゃあ、今日はこの辺で」「えっ!?」「僕に帰ってほしくないよね、だからお願い。隣に来てよ」そんなんズルいよ、セツ君ってば。すぐに帰ってしまったら、また話を聞けない。 仕方ないなと恐る恐る隣に座った。セツ君がそっと私の傍に身体を寄せた。どうしよう⋯⋯いくらなんでも距離が近すぎるって。呼吸する音さえ聞かれてしまいそう。セツ君は嬉しそうに微笑んだ。 まるで私の緊張なんて知らないみたいに。 私は
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密かに甘噛み 2

セツ君は、あの日貸した傘を返しに来てくれただけではなかった。玄関先でもらったのは、深紅の薔薇の花束だった。数えてみると7本ある。セツ君が色や本数にもちゃんと理由があると教えてくれた。意味があるのかと気になったから聞いたけど、それ以上は内緒だって。多分、ずっと仲良くしましょうとかだろうな。あとで調べてみようっと。プレゼントの薔薇は、きっと誰もが美しいとため息を漏らすくらいに華やか。それでいてどこか、近寄りがたいような上品さを漂わせていた。薔薇の色の深みが彼の気持ちを表していたり、とか?花束を渡すセツ君は、迷いがなさそうな真剣な顔をしていた。でも、私がその花束に相応しい女性だと素直に喜べない。 だってその美しさには棘があって、冷ややかな痛みがあるから。なんだか気安くセツ君の気持ちに触れてはならないような気がしてならない。薔薇は異様なまでに馨しい香りを放っていた。とてもじゃないけど、ほんの少しも薔薇に触れる勇気さえない。私の心に戸惑いの色がじわりじわりと広がる。どうしたらいいものか自分の心に聞いてみても、分からない。でも私は小学校の頃、セツ君が好きだった。今はもう違うけど、心のなかで綺麗に飾れるような素敵な思い出。セツ君は凄く優しい。 それは今も変わらない。⋯⋯変わらないのに。
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密かに甘噛み 3

あのおとなしかったセツ君と、なんだか違う。今日も高そうな黒いスーツと黒のワイシャツを着てる。香水も大人な香りを醸し出してるし、薔薇の花束だってプレゼントで持ってくる。花束で思い出したけど昔、クローバーと一緒に咲いてる白い花をセツ君が摘んできて、プレゼントしてくれたっけ。そう、昔のセツ君はもっと素朴な感じだった。でも、今はその素朴さを全く感じない。昔のセツ君はどこに居るのかな。 寂しさで心が震えてしまう。薔薇なんてセツ君らしくないよ。そう思うと尚更もらいづらい。セツ君にやっぱり薔薇は受け取れないや、ごめんねと謝った。でも、しゅんとした顔でどうしても、駄目?と言われると断りづらくなってしまい、申し訳ないながらいただくことに。正直このプレゼントちょっと重い、かも。私には薔薇なんて絶対似合わない。それにもう充分すぎるのに、他にもプレゼントだって。セツ君はスーツの内側のポケットから細長いケースを取り出した。中身はホワイトゴールドの細いチェーンに大きめのダイヤモンドが1粒ついたシンプルなデザインのネックレス。この透明な煌めきはきっと、セツ君の真っ直ぐな気持ちなのかな。 もしかして、セツ君にとって私は特別な存在?だって友達として仲良くしたい人に、こんな高価な物を送るかしら。流石にこれはちょっと⋯⋯と断ると、セツ君は花ちゃんがいらないなら捨てるしかないからと言ってきた。「捨てるなんて、もったいないことしないで」 「花ちゃんが受け取ってくれないなら、無意味だ」 セツ君があまりにも迷いなく言うものだから。 私はネックレスを受け取ることにした。つけてほしいと言われて自分でやろうとしたら、セツ君が手伝ってくれた。 私、ここまでしてもらって大丈夫なんだろうか?天罰がくだったりしないかな。
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密かに甘噛み 4

だって私、べたべたに甘やかされてるんだもの。いつか、誰かに私の人生をめちゃくちゃにされたりとか。そう、セツ君を好きな誰かに私は背中を刺されたりして。あんたなんかに雪那は相応しくないのよ。だから、消えてちょうだいなんて。⋯⋯漫画やドラマじゃあるまいし。そんなのあるわけないか。私が変な想像をしている間に、つけられたよとセツ君が耳元で囁いてきた。彼の方を向いて、似合ってるかなと聞いてみた。ネックレスが綺麗すぎて、地味な私には浮いてるかも。「凄く綺麗だよ。だって花ちゃんの美しさに寄り添えるようなダイヤを選んだから。小さすぎると、花ちゃんの引き立て役にならないからね」そんな聞いていて恥ずかしくなるような言葉までさらっと言えるセツ君にときめいてしまいそうな自分が居る。いやいや、セツ君にとって私はただの同級生だよ。でもなんでプレゼントなんて⋯⋯「どうして、私なんかにここまでしてくれるの」もしかして、やっぱり私のことを⋯⋯?セツ君がゆっくり首を横にふって、私なんかじゃないよ。僕の大切な花ちゃんだよと力強く言った。「ここまでしたいんだ。花ちゃんが好きだから。ふふ、僕は幸せ者だな。だって、自分の贈り物を可憐に纏ってる君を見られたんだもの。今日まで生きてきて本当によかったなって」セツ君は私に優しく微笑んでる。どうしよう。ここまで言わせてるし、告白だってされてしまった。プレゼントも断ろうとしたのに、私ってば流されてない?
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密かに甘噛み 5

そういや、高価なものを平気で人にプレゼントするセツ君は一体何の仕事をしているのか気になりすぎる。それとなく聞いてみても、セツ君は笑ってちゃんと答えない。「お金の心配は大丈夫」と話を微妙にずらす。会社の社長なのと尋ねたら、違うよと返された。「でもまあ、責任が重い立場ではあるんだ」とだけ教えてくれた。いや、社長じゃないのに、どうしたらこんな高価なものをあっさりと渡せるの。 私が心配だと言ったら「ん、大丈夫だってば。花ちゃんといる時は仕事のことを忘れたいから、この話は終わりね」と上手い具合にかわしてきた。セツ君って隠しごとばっかりだね。昔だったら私たちの間に隠すことなんて、別になかったのに。むしろ周りには内緒でもセツ君にだけは言えた。でも、よくよく思い出せば私だけがセツ君に内緒の話を打ち明けてた。彼はいつも聞く側だったっけ。私は笑いながら隠してるセツ君の心の奥が知りたい。真実がどんなものかは分からない。だからこそ、ちゃんと教えてほしい。なのに、聞けないなんて。少しでも核心に迫ろうとしたら、必ずかわされる。「どうして私になにも教えてくれないの」「んー?だって⋯⋯ね」やっぱり怪しい。そう思いながらセツ君を見つめると、照れちゃうななんて笑って目線を逸らしてる。視線でさえも、そうやってかわすんだね。ーーねえ、どうしたら昔みたいに心を開いてくれるの。興味本位で聞きたいんじゃないのに。セツ君が心配なんだよーー私の胸に疑いという棘が刺さってはじくじくと痛みが広がる。
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密かに甘噛み 6

セツ君にとって、私はどういう存在? 何でも打ち明けられる仲のいい同級生で居たいのに。 この微妙な壁を壊したいけど、正解が見つからないからどうしようもなく、再びセツ君をじっと見るしかない。「花ちゃん、そんなに見ないで。可愛いすぎる」可愛いって⋯⋯セツ君には私がどう映ってるんだろう。きっと、愛らしくて素敵な大人の女性として美化されてるかもしれない。実際の私は、そうじゃない。私はいたって普通のOLで、普段は忙しく仕事をしてる。容姿だって、メイクしたって冴えない顔だし。体型も、モデルみたいにすらっとしてない。   それなのに、カッコいい男性に特別扱いされてしまう私。⋯⋯どう考えたって普通じゃない。今のセツ君をどうも好きになれない自分が居ることに気づいてしまった。どうしよう。セツ君の気持ちに対して申し訳ない。でもでも、気持ちがないなら断るべきだよね。怒ってしまうかな。だって好きじゃないのに好きなフリなんてできないよ。うう、どうしよう。いや、はっきり言おう。「セツ君。あのね、私⋯⋯セツ君を好きになれない、気がする」セツ君の顔を見て真剣に言おうとしたら、悲しませるのが怖くなって、つい曖昧な言葉になってしまった。それでも、ごめんなさいと続けようとした。「そっか。僕は、花ちゃんに好きになってもらいたいな」 私に本気なのは凄く分かる。 真っ直ぐな気持ちでストレートに好きと伝えてくれるから。 なのに⋯⋯どうも今のセツ君は好きになれない。プレゼントを女性に贈るのを、さらっとできるセツ君はかっこよすぎる。素敵な人。完璧すぎる男性って感じ。 ルックスだって派手すぎずスマートだし、気遣いだって自然に出来る。だからだ。完璧すぎるから、好きになれない。 その完璧さは、自分に自信のない私を浮き彫りにさせる。それが悩ましく、ひたすら悲しい気持ちにさせる。背伸びしたって、きっとセツ君の隣には居られるはずない。私よりも、もっと素敵な人に愛されるべき。プレゼントも、好きという言葉も私にはもったいない。私みたいな、平凡な人間にはセツ君の気持ちは、重すぎる。そう思ってしまう私は、なんて嫌な女だろう。
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密かに甘噛み 7

仮に好きになるとしても、今のセツ君をあまりにも知らなさ過ぎる。 ⋯⋯子供の頃の彼の方が好きだった。どんなに時が経っても、セツ君は何ひとつ変わらないでいてほしかった。過去の愛しさから、私は抜け出せず、今という時間においてけぼりにされているよう。私は、大人になってもなんにも変わってないのに。今のセツ君は完璧なはずのに、昔あった大切な『なにか』は欠けてしまったんだ。それは、彼の1番の魅力であった純粋さかもしれない。そういえば小学校の頃を思い出してみると、セツ君は家族の話だけはしてくれなかった。家族は怖いから嫌だって、それだけ。それ以上は聞けなかった。今、セツ君が抱えてるのは家のことなのかな? 「ねえ、セツ君」「ん。なあに、花ちゃん」「なにか悩んでるんだ?もしかして、お家のことかな」「それは⋯⋯」セツ君の顔から笑顔が消え、真剣な顔になった。「昔の弱いままじゃ、大切な人をきっと守れないから。あの時みたいに臆病じゃ、駄目だったんだよ。だから、僕は⋯⋯」僕は強くなったんだ、だから大丈夫。その言葉に、全く揺らぎはなかった。 まるで自身に大丈夫だと言い聞かせてるみたいだった。でも表情はどことなく不安げで、見てるこっちまで心がざわめいてしまうくらい。
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密かに甘噛み 8

「私、昔のセツ君が好きだったな」口をついた言葉を自分で感じた瞬間、自分はやっぱり今のセツ君を好きになれないって分かって、心が凍てついた。セツ君の表情がゆっくり変わるのを、ただ見つめてた。目の奥の光がすうっとなくなってるみたいに、底のしれない暗さをまとい始めたように感じた。「昔なんて、もう⋯⋯過ぎたことなのに」いつもよりか甘さのない声でセツ君は呟いた。私は余計だったかも、ごめんって言わなきゃと声をあげようとした。でも、言葉につまる。彼の表情をずっと見ていられなくて、部屋の窓に視線をそらした。   空は重たい鉛色が垂れ流されている。また、雨だなんて。つーっと雫が窓を濡らしているのをじっと見つめてるしかない。濡れた窓のせいで自分が泣いているみたいに思えてきた。私の知っているセツ君がどこにも見当たらない。頼りなくても、臆病でも、ひたすら優しかった昔の彼の方がずっといい。 あの頃の彼はまるで死んだみたい。昔の欠片が一欠すらもない、今のセツ君を心の奥で拒絶してる、自分。 所詮変わらないでいてほしかったなんて、私のわがままなのに。変わったのは間違いみたいに思ってるのはおかしいことなんだ。それなのに、やっぱり寂しい。
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密かに甘噛み 9

「だって、今のセツ君はまるでセツ君じゃないみたいだよ」「僕は僕だ。今の自分を好きになってもらえるように努力するね。ごめんね、花ちゃん。嫌な気持ちにさせて」「嫌というか⋯⋯私、正直こういう贈り物とかされると困っちゃうし、セツ君の気持ちを受け止められないから、辛いの」言うのを我慢していたことが、次から次へとこぼれだす。でも、嘘はつけない。「そっか」セツ君は急に肩を揺らしながら、あはは、と笑い出した。 笑ってるのに楽しさはまるでない、むしろ悲しくて笑ってるというか。 いや、さっきよりも濃厚な暗い闇を宿しているみたいに見える。その目を見ると体温が一気に下がるような、闇の渦に飲まれそうなゾクッとした怖さと緊張がはしった。 「花ちゃんには僕の気持ちは重かったんだ。でも大丈夫。贈り物してるのは、僕の気持ちだから、花ちゃんは受け取るだけでいいんだから、ね?」「⋯⋯セツ君は隠し事してる。だからどうしても好きになれない。何で隠すの。私が知ったらいけないようなコトなの?」「知りたい?僕のことを?嬉しいな。でも、教えられないや。花ちゃんが僕を⋯⋯好きで好きでどうしようもないくらい。ーーそれこそ死にそうな位なら、何もかも教えてあげられるんだけど。ぜーんぶ·····ね」
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密かに甘噛み 10

そうやってまたのらりくらりなんて、させない。「いつも、私に対してかわしたりするけど⋯⋯本当は凄く悩んでるんでしょ。ねえ、教えてよ」セツ君は少し黙って、言葉を選ぶような素ぶりを見せた。「⋯⋯もし、僕が危ない人間だとしたら?」「⋯⋯へっ?」ーー危ない人間だとしたら?私が予想してた返事とは、あまりにも違いすぎる。危ない人って、何?セツ君は優しい人。秘密はたくさんあるけど、危ない人間なはず、ない。上手く言葉を返せない。 頭の中に繰り返し巡る『危ない人間』という響き。セツ君は更に言葉を重ねた。 「そう。もし、僕が実は藤堂組の若頭、つまりヤクザだとしたらーー花ちゃん、僕のこと嫌いになる?」若頭だなんて嘘⋯⋯セツ君が?「え、えっ!?変な冗談だよね?セツ君がヤクザな、わけ⋯⋯」「う⋯⋯ん。まだ隠すつもりだったんだけど⋯⋯まあ、いいか」セツ君はソファにもたれかかっていた身体を起こして、急に着ていた黒いシャツのボタンを外していく。私は、見てはいけないと目を伏せた。「これが僕の秘密、だよ」え、背中?ーー何でと目線を向けるとセツ君の背中には⋯⋯桜と龍がこれでもかと舞っている、鮮やかな入れ墨が刻まれていた。龍がまるでこちらを睨みつけてるみたい。桜は美しい花吹雪として散っていて、それがかえって龍の迫力を引き立たせていた。私は、セツ君がたまらなく怖くなった。心臓が激しく痛いくらいにバクバクしてる。まさか、本当にヤクザだなんて。優しいセツ君が、どうしてなの。信じられない、信じたくない。 でも、あの入れ墨どう見たって本物だよ、ね。 「何気に人に見せないからさ、こういうの。びっくりしたでしょ」ワイシャツを着なおしたセツ君は、まるでなんでもないよ、みたいな態度。 やけに落ち着いた口調で、微笑んでいる。びっくりも何も、一体どういうことなのセツ君⋯⋯!?
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