All Chapters of 『役立たず』の『寄せ集め』は最強パーティ: Chapter 11 - Chapter 16

16 Chapters

11.王宮でドラゴン

「あまり広められると困りますが、この城の庭で一番広い所はどこでしょうか?そこで教科書には載っていない事を見せて差し上げます」「あっちのほうにあるぞ?それとも騎士の鍛錬場がいいだろうか?いやいや、騎士達がいるからダメだな」「ではあちらのほうへ行きましょう」 俺達はエイドリアン様の案内で王城で一番広い庭へと行くことにした。 本来、王太子殿下は知らないはずだが、度々勉強を抜け出しているのだろう。「はー、こんなに広くてどうするんでしょう?」「魔法の練習とかに使うらしい。誰が練習するのか知らないが。あとは亡き母上がお茶会で使っていた」 見るからにエイドリアン様が凹んでしまった。「まぁまぁ、見ててくださいよ。エン・ヒョウ・ライ。服が破れるからある程度、脱いでからにしろよ」「「「マコトは破廉恥だな」」」 服敗れたら全裸で帰ることになるんだが?子ども服、家にあったかな? ドラゴン達が本来の姿に戻った。「なんだか爽快だな」「ヒトの体も悪くはないのだが」「やっぱり元の姿の方が……」 予想はしてたけど、王宮の近衛騎士団がやってきた。「こら!私の客だ。手を出すのではない!」「しかし、殿下!ドラゴン……しかも3体。ああ、どうして団長不在の時にこんなことが……」 なんかパニックだけど、大丈夫だよ?「どうですか?エイドリアン様?」「見事だ。マコトにミナミにルイ。ミナミの親戚と言っていたのは嘘という事か?」「エイドリアン様以外もいたためにそのように紹介させていただきました」「うむ」「エイドリアン様、ドラゴンはその鱗の色で属性がわかり、エンの鱗は赤いでしょう?属性は炎。ヒョウの鱗は青、属性は氷。水の上位属性です。ライの鱗は黄色、属性は雷です」「ほぉ、確かに教科書には載っていない知識だな。褒美を取らすぞ」「「「ありがたき」」」「あ、ドラゴン達は王宮の食事を食べてみたいと言ってました!」「それも実現してやろう」 ドラゴン達は再びヒトの姿に戻り、服を着て(面倒だとかいろいろ文句を言っていた)、夕食をご馳走してもらえることを伝えると、喜びハイジャンプしていた。 ……ジャンプし過ぎだ。人間はそんなに高くジャンプできません! 夕食までの間、‘かくれんぼ’をした。 ドラゴン達の誰かが鬼の場合、あいつらは鼻が利くのか? 匂いをたよりに探し出される。チ
last updateLast Updated : 2025-06-04
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12.王宮で渦巻く陰謀

「お前達また来てくれるか?」「エイドリアン様が望むのなら、私達は来ますよ」 エイドリアン様は子供らしい笑顔を見せてくれた気がする。―――あんな父親ならなぁ。 そんな約束をして俺達は王城を後にした。 これで依頼を果たしたことになるのかな? ギルドに行ってみればわかるだろう。「「「デビー!王宮の料理はデビーの料理よりも強かった!」」」 強いって何だ? デビーは元・王宮料理人なんだよ。古傷に塩みたいなことなんじゃ?「それはよかった」 なぜ? デビーに話を聞いてみると、デビーの弟子だった人が現在王宮で料理長をしているようで、「自分は誇らしい」そうだ。 謙虚だなぁ。 デビーはその弟子に王宮の厨房を追い出されたんじゃないか?という疑惑が俺の中で湧いてくる。何と言ってもデビーは平民。今の料理長は伯爵家の次男。 デビーは『料理で喜んでくれる人がいるのが幸せ』というなんとも職人気質な料理人。貴族の汚い抗争とは無縁の世界にいる感じだ。*** 翌日、俺達三人はギルドへと行った。 依頼は達成されたことになるのだろうか?「『寄せ集め』パーティへの依頼はまだ達成されていないそうです」 と、受付嬢は言う。達成条件ってなんだ?「達成条件てなんですか?」「王太子殿下が立派な国王となる事です」「それは…いったい何年後となるんでしょう?」「プププッ、『寄せ集め』パーティが依頼の達成不可能なのか?SSランクって名ばかりだなぁ!」 と、大声で言った。のは、いつものように永遠の光の連中。 とりあえず、邸に帰って作戦会議。「エイドリアン様が国王陛下になるのは一体何年先の話だよ?」「それなんだけどさぁ、この依頼をギルドにしたのって宰相でしょ?今の国王に不満があるってことじゃないかしら?」「あの体(てい)たらくを見れば誰だって嫌になるよ」「ルイの言う通りだな」「それで、仮説なんだけど国王陛下の周りにいた美女に国王陛下が魅了をかけられてるとしたら?そのサキュバス(仮)は1体又は全員でその美女たちの排除または国王陛下の暗殺を依頼したかったとしたら?」「国王陛下の暗殺の依頼は公にできないな。それで王太子殿下の子守りという前提を使った?」「そう。それで「その時に国王陛下の今の状態を見れば不審に思うだろう」というのが宰相閣下の本当の思惑かもしれないわよ?」「
last updateLast Updated : 2025-06-04
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13.作戦実行

 色々考えると、国王を魅了したサキュバス(仮)と宰相閣下が組んでいたということが考えられた。 そうなると、エイドリアン様が立派な国王になった時にギルドに支払われるはずの報酬は? 国に貸を作ったと思えばいいのかな? 国は俺達に借りがあるってことになるからいいのか? 微妙なところだな。 まぁ、変な国で暮らしたくないから、このままの方針で。『現・国王も現・宰相閣下も暗殺する。さらに、国王陛下を囲んでいた美女たちも暗殺する』 ということで、話がまとまった。 俺達が暮らす国の王が立派であるために必要な行動として理解してもらおう。 それにしても、ダンジョンでモンスターとかを討伐するのは慣れてるけど、実際に人間を手にかけるのはちょっと気が引けるなぁ。 特に、俺とルイは美女に手をかけるわけで、ちょっと手が引ける。「マコト!ルイ!美女だからって手を抜くんじゃないわよ?悪魔かもしれないんだから!」「わかってるよ」  俺達はエイドリアン様に呼ばれたという事で、再び王城へと行った。 ドラゴン達も連れてきた。 俺達が国王と宰相閣下の相手をしてる間、エイドリアン様の相手をドラゴン達にお願いした。 謁見の間にて、いつもは執務室にいるはずの宰相閣下までいる。不審。「宰相閣下、どうしたのですか?公務は?いつもなら執務室にいらっしゃるはずですのにどうしたんですか?」「虫の知らせというのかな?謁見の間に行かなければいけない気がしたんでね」 こっちとしては手間が省ける。ここに来るまでに、すでに謁見の間付近の騎士達は夢の中。ミナミが無詠唱で眠らせた。ついでに俺達は各種耐性と強化がバッチリついている。「おや?いつものパーティのリーダーはどうしたのですか?」「きちんといますのでご安心を」 ミナミ特製隠密魔法を俺・マコトにはかけている。見えていないようだ。「本日は、国王陛下並びに宰相閣下の命をいただきに参りました。ご安心ください。助けなどを呼んでも声は届きません。近くにいる兵は眠っていますし、付近には防音魔法がかけられています」 さすがに、宰相閣下の顔には焦りが見えるな。「宰相閣下は俺達に国王陛下を暗殺させて、王太子を傀儡の国王とするつもりでしたか?もちろん国王陛下暗殺の罪は俺達に着せて」 宰相閣下の顔色は青くなっていく。「今の状態は、国王陛下をそこの美女
last updateLast Updated : 2025-06-05
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14.エイドリアン裁き

 俺達は一斉に膝を折って敬礼した。…が、宰相閣下はまさかの出来事に対応不可能状態だった。 俺達もまさかの状態だったけど、そこは平民。体が勝手に動いた。これが王族のオーラというやつだろうか? そういえば……俺(俺達?)は国家反逆罪なのか?特に俺・マコトは国王を殺めたわけだし。エイドリアン様の父君……なんだか今更申し訳ない!「『寄せ集め』パーティの皆には貧乏くじを引かせたようで、なんだか面目ないな。特にマコトには一番面倒な役をさせてしまったようで申し訳ない」「殿下が謝罪をする必要などありません!私こそ、殿下の父君の命を殺めてしまい申し訳ないと思っています」 エイドリアン様は4才ながらしっかりとしている。 市井の4才ならば、泣き喚くことだろう。「殿下が頭を下げてはなりませんよ!人の上に立つお方です。そのようなお方は謝罪など……」「ミナミよ。そうは言うものの、人は間違いを犯すものだ。謝罪をすべき時にはするべきだと私は思う。あんなに体(てい)たらくになってしまった陛下を止めるにはああする以外に方法がなかったのだ」 実にしっかりしている。「さて、宰相閣下よ。お前は私を傀儡とするのが目的だったようだな。さっき耳にした。そのために陛下に女をわざと侍らせたとも……」 エイドリアン様の眼光は4才のそれとは異なり、しっかりとしている。 一応、ご遺体などはあまり目に触れないように、ミナミが魔法で防腐等の処理をした上で、目に映らないようにしている。「エイドリアン様!仕方なかったのです!」「国王亡きあと、私を傀儡とし政権を一気に握るつもりだったのでは?」「殿下が仰ったではありませんか!人は過ちを犯すもんだと!私は過ちを犯したのです!」「謝罪をすべきなのだが?」「え?……それは…」「私は幼かろうが、この知力をもって国王を務めあげるつもりだ。お前は私の右腕としては、ハッキリと言おう。愚か者である。よって、今この時より宰相閣下の任を解く」「お許しを!」「許した所でどうになる?お前が賢くなるわけではない。私は自分に相応しい者を既に王城内で見つけている」「……まさか、部屋を抜け出した時に?」「そのまさかだな。一文官にしておくには勿体ない。あとで、直々に迎えに行こう」 元…になるのか?宰相閣下はもう、ガクガクとしている。 社会的地位を失い、年齢的に家庭があ
last updateLast Updated : 2025-06-06
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15.事後処理の後

 こうして俺達は立派な国王となったエイドリアン様を目撃することとなった。 立派過ぎて親の心境だろうか?戴冠式には涙が出るかと思った。 戴冠式などの行事に、平民でありながら功績(内容は極秘(前・国王暗殺)だが)により、参加が許可された。 ドラゴン達はその度に王宮での食事を期待していた。 テーブルマナーがなっていないので、別室で俺達は食事をすることとなった。「相変わらず王宮の料理は美味いな!」「「うむ」」 こいつら、エイドリアン様と遊んでたんじゃないのか? 作戦の途中からエイドリアン様が謁見の間に現れた時はかなり焦った。「おい!こないだ来た時(前国王を暗殺した時)、お前らでエイドリアン様と遊んでいたんじゃないのか?」「あの小さな陛下は勘が働くのか?俺達の口を割りおった」 つまり、ドラゴン達が作戦をエイドリアン様に話したんだな?「あの小さいのは賢いと思っていたが、齢4才で国王になるとは肝が据わってる」 そういう問題か? そのおかげで、元・宰相閣下は極刑(エイドリアン様・作)になったわけだが。 社交界ではエイドリアン様の正妃にしようと目論む貴族が続出しているよう。 しかし、エイドリアン様は好みの女性を「ミナミという名の賢者」としている。 ミナミは幼子にモテるなー。   肝心の俺達の報酬だが、没落していく元・宰相閣下の私物が報酬ということになった。 領地・領民は国に返還します。領地経営とか無理! そんな暇あるなら、依頼をこなします。 そもそも平民です! 宝飾品などを現金化。元・宰相閣下の持ち物は全部エイドリアン様が差し押さえているようで、それを頂いては現金化を繰り返しています。  それと、エイドリアン様から王宮パスみたいなものをいただいたので、いつでも好きな時に王城に出入りが可能になった。 「失くすなよ」とエイドリアン様には何度も言われた。重要アイテムをゲットした☆  エイドリアン様は忙しいようだが(公務)、俺達とドラゴン達をたまに王城に呼ぶようになった。 国王としての息抜きも大事だと思う。 ストレートにミナミに会いたいっていうのもあるんでしょ? ドラゴン達はストレートに王宮の料理を喜んでいる。 ドラゴン達が言うには、「王宮の料理はたまに食べるから美味しく感じるのであって、毎日だと飽きる可能性があるな。その
last updateLast Updated : 2025-06-07
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16.エルフからの依頼

 ドラゴン達は日々、『寄せ集め』の邸で黙々とガツガツデビーの料理を食べている。 ……稼がなきゃ。*** 俺達は危機迫り、ギルドへ行った。「依頼はないんですか?」 受付嬢もビックリ。俺達は危機迫ってるからな。受付嬢的には毎回結構な稼ぎだからしばらくは来ないだろうと思ってたんだろう。 甘いな(?)。 うちには食費がかかって仕方のない居候が3匹いるんだよ。 のん気になんかしてられない!「えーと、SSランクって依頼を選べないですけれども、今朝来た依頼で『困っているから助けてほしい』というエルフの村からの依頼が…。村の場所もわかりませんし、困っていること内容も不明ですが…?」「「「受けます!」」」 エルフの村ならこの間、リアルチェスで長々と滞在してた。 『困っていることがわからない?』知るかよ、そんなもん。 というような、ノリでこの依頼を受けることにした。 ギルドの中では、「エルフの村って存在自体伝説だよな…」「そのエルフが困っている事って何だ?」等の声が聞こえた。「流石に今回は『寄せ集め』パーティも依頼が達成できないんじゃねーの?」と永遠の光の連中が飽きずに言う。 ミナミなんかは、もう肩を挙げて「仕方ないわね」的アクションをする。呆れてる? ルイも相手にするのが最早面倒のようだ。 俺も無視して(時間は有限)、依頼達成を目指す。 エルフの村には行ったことがあるということで、ミナミが転移魔法を使って連れて行ってくれた。 この依頼を達成するにあたって、ドラゴン達を連れて行くことにした。 エルフはドラゴンを神聖視してるみたいだし。 俺からすると、食いしん坊3人組って感じなんだけど。  エルフの村の村長にお会いすることにした。 村一番の大木に住んでいらっしゃるということだ。「この齢になってドラゴン様を見ることができるとは!嗚呼、年老いて悪くなってしまった視力が恨めしい‼」 お喜び頂けて光栄です。「えー、ギルドの方にエルフの村が困っているという事だったのですが?」「ああ、村の場所については一般公開しておらん。エルフを奴隷とするヒトがあとをたたなくてな」 耳が痛い話です。「とある森がこの村と繋がっているわけだが……最近、その森を管理している領主が変わったようで、その森を完全に伐採して農地を広げようとしている。農地を広げれば作
last updateLast Updated : 2025-06-07
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