エイドリアン様が提案したように、領主様に説明をし、エイドリアン様直筆の王命で『森の木を伐採してはならない』という王命を出してもらった。 代替案もその時に提示。 エン・ヒョウ・ライの働きで、エルフの村が守られることとなった。 俺も知らなかった、灰が肥料。は特に有用で、領地の収益がこの年は例年の2倍となった。 領主から『森には手を出さない』という証書を頂き、エルフの村へと戻った。 途中、小癪にも後をつけてきた者がいたので、ミナミに俺達の分身を10体くらい作り、どれが本物かわからなくしつつ、俺達は隠密魔法でこっそりとエルフの村へと戻った。「村長、領主よりこの森に手を出さないという約束を書いた証書をいただき、戻って参りました」「どのような手段で領主にこの森を諦めさせたのだ?」「エンに既存の畑を焼いてもらい―――」「ああ、『焼畑農業』というやつだな」「村長はご存じでしたか」「年の功だな。やはりドラゴン様にこの地は守られているのだな」 ドラゴン達を拝んでるよ。この光景みたらエイドリアン様、大爆笑じゃないか?「村長には、依頼達成という証拠となる証書なりをいただきたく思います」「おお、そうだな」 なんだか、サラッと書かれた。「この文字は読めるだろうか?ヒトが使う文字を真似たつもりなんだが?」 正直……読めない!「スイマセン。読めません。どうしよう?証拠がないと依頼達成とみなされない…」「では、これを授けよう。正直ヒトに渡すと悪用するのでは?と渋っていたのだが、致し方ない」 村長が手渡してくれたのは『大樹の葉』「この大樹の葉には治癒能力があってなぁ。どんな病でも治る!そんなことで、ヒトがこの地を狙っているのだよ」 なるほどなぁ。治癒魔法で病気は治せないもんな。『大樹の葉』は病気も治せるのか。超レアアイテムゲット!「この地に来ることができるもの以外の所有を感じたら、『大樹の葉』は自動的に枯れる。そのようになっている」 前に『ドラゴンの爪』をギルドに盗られたけど、これは盗られる可能性が低いな。 俺達は依頼達成の証明が欲しかっただけだから、枯れてしまう事を説明してもなお奪うのなら、枯れるだろう。俺達の説明を信じるのなら、それはそれで俺達には利となる。***** 俺達は結構久しぶりにギルドへと戻った。依頼達成の報告をしに。「『寄せ集
「領主にその場所を明かすことはできないのだろう?」「信頼のおけるヒトにしか知らせていません。俺らはドラゴンを連れていたので。エルフたちはドラゴンを神聖視しているようです」 ブハッ、ゲホゲホッ。「陛下⁉大丈夫ですか?何なら私がすぐに回復魔法を…」「いや、ドラゴン達が神聖視されてると聞いて、ちょっと面白…いや、失礼だな」「陛下にすら、詳しい場所を言えませんから」 そういう約束だからな。「エルフがある程度の獲物とか木の実を領主に渡すとかは?」「あー、エルフは無駄に木の実などを採る事を良しとしませんからね。あくまでも、自然との共存という感じです」 そのわりにドラゴン達はかなりの歓待を受けてたな。食べ飽きてるものばかりだったけど。「『エルフがいる空間がある』という事も公にしたくないそうで、この問題は難しいのです」「そんな問題、国王にもってくるなよ~。他にもたくさん公務あるんだからな!」 仕方がない。背に腹を変えられない。「この問題を解決出来たら、しばらく秘書としてミナミをお貸ししましょう!」「ほんとだな?約束だぞ?」 チョロい。まだ4才のところがある。「マコト!聞いてないわよ?」「仕方ないじゃん!エイドリアン様の秘書くらいやってやれよ。ギッシュな親父の秘書じゃないんだからさぁ」「比べる対象が酷いなぁ。でもエイドリアン様ならいいだろう?」「ま…まぁいいんだけど。弟みたいな感じだし」 可哀想に恋愛対象ではないとのお言葉を頂きました。 俺達とエイドリアン様との問答が始まった。「エルフの村を引っ越す」「却下です!エルフの村の中央には代々守ってきた大樹があり、そこから動けません。因みに大樹は外部から見ることはできません」 そのくらい俺達でも考えた。さぁ、いまこそそのピッチピチの若い脳ミソを使って何かいい方法を捻り出してください!「エルフとヒトとの共存。特に戦力としてのエルフは有能と聞く。弓が得意だとか?」「何を言ってるのですか?エルフは美形ですよ?そんな戦士が領主の元にいたとしましょう。既存のムキムキマッチョの男は見劣りして仕方がないですよ。領民の女性が皆エルフの戦士にメロメロ。後に何が起こるかというと…」「エルフの戦士の迫害……だな。そうなると、エルフVS.ヒトの図式になってしまう。それは避けたいところだ」「それに、村からエル
ドラゴン達は日々、『寄せ集め』の邸で黙々とガツガツデビーの料理を食べている。 ……稼がなきゃ。*** 俺達は危機迫り、ギルドへ行った。「依頼はないんですか?」 受付嬢もビックリ。俺達は危機迫ってるからな。受付嬢的には毎回結構な稼ぎだからしばらくは来ないだろうと思ってたんだろう。 甘いな(?)。 うちには食費がかかって仕方のない居候が3匹いるんだよ。 のん気になんかしてられない!「えーと、SSランクって依頼を選べないですけれども、今朝来た依頼で『困っているから助けてほしい』というエルフの村からの依頼が…。村の場所もわかりませんし、困っていること内容も不明ですが…?」「「「受けます!」」」 エルフの村ならこの間、リアルチェスで長々と滞在してた。 『困っていることがわからない?』知るかよ、そんなもん。 というような、ノリでこの依頼を受けることにした。 ギルドの中では、「エルフの村って存在自体伝説だよな…」「そのエルフが困っている事って何だ?」等の声が聞こえた。「流石に今回は『寄せ集め』パーティも依頼が達成できないんじゃねーの?」と永遠の光の連中が飽きずに言う。 ミナミなんかは、もう肩を挙げて「仕方ないわね」的アクションをする。呆れてる? ルイも相手にするのが最早面倒のようだ。 俺も無視して(時間は有限)、依頼達成を目指す。 エルフの村には行ったことがあるということで、ミナミが転移魔法を使って連れて行ってくれた。 この依頼を達成するにあたって、ドラゴン達を連れて行くことにした。 エルフはドラゴンを神聖視してるみたいだし。 俺からすると、食いしん坊3人組って感じなんだけど。 エルフの村の村長にお会いすることにした。 村一番の大木に住んでいらっしゃるということだ。「この齢になってドラゴン様を見ることができるとは!嗚呼、年老いて悪くなってしまった視力が恨めしい‼」 お喜び頂けて光栄です。「えー、ギルドの方にエルフの村が困っているという事だったのですが?」「ああ、村の場所については一般公開しておらん。エルフを奴隷とするヒトがあとをたたなくてな」 耳が痛い話です。「とある森がこの村と繋がっているわけだが……最近、その森を管理している領主が変わったようで、その森を完全に伐採して農地を広げようとしている。農地を広げれば作
こうして俺達は立派な国王となったエイドリアン様を目撃することとなった。 立派過ぎて親の心境だろうか?戴冠式には涙が出るかと思った。 戴冠式などの行事に、平民でありながら功績(内容は極秘(前・国王暗殺)だが)により、参加が許可された。 ドラゴン達はその度に王宮での食事を期待していた。 テーブルマナーがなっていないので、別室で俺達は食事をすることとなった。「相変わらず王宮の料理は美味いな!」「「うむ」」 こいつら、エイドリアン様と遊んでたんじゃないのか? 作戦の途中からエイドリアン様が謁見の間に現れた時はかなり焦った。「おい!こないだ来た時(前国王を暗殺した時)、お前らでエイドリアン様と遊んでいたんじゃないのか?」「あの小さな陛下は勘が働くのか?俺達の口を割りおった」 つまり、ドラゴン達が作戦をエイドリアン様に話したんだな?「あの小さいのは賢いと思っていたが、齢4才で国王になるとは肝が据わってる」 そういう問題か? そのおかげで、元・宰相閣下は極刑(エイドリアン様・作)になったわけだが。 社交界ではエイドリアン様の正妃にしようと目論む貴族が続出しているよう。 しかし、エイドリアン様は好みの女性を「ミナミという名の賢者」としている。 ミナミは幼子にモテるなー。 肝心の俺達の報酬だが、没落していく元・宰相閣下の私物が報酬ということになった。 領地・領民は国に返還します。領地経営とか無理! そんな暇あるなら、依頼をこなします。 そもそも平民です! 宝飾品などを現金化。元・宰相閣下の持ち物は全部エイドリアン様が差し押さえているようで、それを頂いては現金化を繰り返しています。 それと、エイドリアン様から王宮パスみたいなものをいただいたので、いつでも好きな時に王城に出入りが可能になった。 「失くすなよ」とエイドリアン様には何度も言われた。重要アイテムをゲットした☆ エイドリアン様は忙しいようだが(公務)、俺達とドラゴン達をたまに王城に呼ぶようになった。 国王としての息抜きも大事だと思う。 ストレートにミナミに会いたいっていうのもあるんでしょ? ドラゴン達はストレートに王宮の料理を喜んでいる。 ドラゴン達が言うには、「王宮の料理はたまに食べるから美味しく感じるのであって、毎日だと飽きる可能性があるな。その
俺達は一斉に膝を折って敬礼した。…が、宰相閣下はまさかの出来事に対応不可能状態だった。 俺達もまさかの状態だったけど、そこは平民。体が勝手に動いた。これが王族のオーラというやつだろうか? そういえば……俺(俺達?)は国家反逆罪なのか?特に俺・マコトは国王を殺めたわけだし。エイドリアン様の父君……なんだか今更申し訳ない!「『寄せ集め』パーティの皆には貧乏くじを引かせたようで、なんだか面目ないな。特にマコトには一番面倒な役をさせてしまったようで申し訳ない」「殿下が謝罪をする必要などありません!私こそ、殿下の父君の命を殺めてしまい申し訳ないと思っています」 エイドリアン様は4才ながらしっかりとしている。 市井の4才ならば、泣き喚くことだろう。「殿下が頭を下げてはなりませんよ!人の上に立つお方です。そのようなお方は謝罪など……」「ミナミよ。そうは言うものの、人は間違いを犯すものだ。謝罪をすべき時にはするべきだと私は思う。あんなに体(てい)たらくになってしまった陛下を止めるにはああする以外に方法がなかったのだ」 実にしっかりしている。「さて、宰相閣下よ。お前は私を傀儡とするのが目的だったようだな。さっき耳にした。そのために陛下に女をわざと侍らせたとも……」 エイドリアン様の眼光は4才のそれとは異なり、しっかりとしている。 一応、ご遺体などはあまり目に触れないように、ミナミが魔法で防腐等の処理をした上で、目に映らないようにしている。「エイドリアン様!仕方なかったのです!」「国王亡きあと、私を傀儡とし政権を一気に握るつもりだったのでは?」「殿下が仰ったではありませんか!人は過ちを犯すもんだと!私は過ちを犯したのです!」「謝罪をすべきなのだが?」「え?……それは…」「私は幼かろうが、この知力をもって国王を務めあげるつもりだ。お前は私の右腕としては、ハッキリと言おう。愚か者である。よって、今この時より宰相閣下の任を解く」「お許しを!」「許した所でどうになる?お前が賢くなるわけではない。私は自分に相応しい者を既に王城内で見つけている」「……まさか、部屋を抜け出した時に?」「そのまさかだな。一文官にしておくには勿体ない。あとで、直々に迎えに行こう」 元…になるのか?宰相閣下はもう、ガクガクとしている。 社会的地位を失い、年齢的に家庭があ
色々考えると、国王を魅了したサキュバス(仮)と宰相閣下が組んでいたということが考えられた。 そうなると、エイドリアン様が立派な国王になった時にギルドに支払われるはずの報酬は? 国に貸を作ったと思えばいいのかな? 国は俺達に借りがあるってことになるからいいのか? 微妙なところだな。 まぁ、変な国で暮らしたくないから、このままの方針で。『現・国王も現・宰相閣下も暗殺する。さらに、国王陛下を囲んでいた美女たちも暗殺する』 ということで、話がまとまった。 俺達が暮らす国の王が立派であるために必要な行動として理解してもらおう。 それにしても、ダンジョンでモンスターとかを討伐するのは慣れてるけど、実際に人間を手にかけるのはちょっと気が引けるなぁ。 特に、俺とルイは美女に手をかけるわけで、ちょっと手が引ける。「マコト!ルイ!美女だからって手を抜くんじゃないわよ?悪魔かもしれないんだから!」「わかってるよ」 俺達はエイドリアン様に呼ばれたという事で、再び王城へと行った。 ドラゴン達も連れてきた。 俺達が国王と宰相閣下の相手をしてる間、エイドリアン様の相手をドラゴン達にお願いした。 謁見の間にて、いつもは執務室にいるはずの宰相閣下までいる。不審。「宰相閣下、どうしたのですか?公務は?いつもなら執務室にいらっしゃるはずですのにどうしたんですか?」「虫の知らせというのかな?謁見の間に行かなければいけない気がしたんでね」 こっちとしては手間が省ける。ここに来るまでに、すでに謁見の間付近の騎士達は夢の中。ミナミが無詠唱で眠らせた。ついでに俺達は各種耐性と強化がバッチリついている。「おや?いつものパーティのリーダーはどうしたのですか?」「きちんといますのでご安心を」 ミナミ特製隠密魔法を俺・マコトにはかけている。見えていないようだ。「本日は、国王陛下並びに宰相閣下の命をいただきに参りました。ご安心ください。助けなどを呼んでも声は届きません。近くにいる兵は眠っていますし、付近には防音魔法がかけられています」 さすがに、宰相閣下の顔には焦りが見えるな。「宰相閣下は俺達に国王陛下を暗殺させて、王太子を傀儡の国王とするつもりでしたか?もちろん国王陛下暗殺の罪は俺達に着せて」 宰相閣下の顔色は青くなっていく。「今の状態は、国王陛下をそこの美女