部屋で休んでいると、メリナが控えめに声をかけてきた。「ガネーシャお嬢様、ミーナがお嬢様に呼ばれたと訪れておりますが……」「ミーナ?」「はい、食堂でガネーシャお嬢様にスパイスボトルを手渡したメイドだと申しておりますけれど……」メリナにしては珍しく怪訝そうに言葉を濁しているわ。やはりあのメイドが公爵家の晩餐の場にいたのは不自然な事だったのね。「メリナ、ミーナについて何か知っている事は?」「はい……ミーナは洗濯係の下女ですので、食堂に控えるには分不相応な身かと思われまして」「そう……」メイドの中には、まだまだダリア達を認めていない──蔑視している者も多い。だからと言って下女に目をつけるとは、ダリアも愚かしい程に悪どいわね。従わせられる者なら誰でもいいという浅はかさは馬鹿げてるわ。「いいわ、ミーナを部屋に入れて。メリナ、あなたも傍に控えていていいわ」それから私はかいつまんで晩餐での出来事をメリナに話し、憤慨するメリナをなだめて「ミーナを外に待たせているのは危険だわ」と促した。「ダリアの目にとまる前に招き入れてあげないと、ミーナが何をされるか分からないわ」「よろしいのですか?……かしこまりました」メリナは納得のいかない面持ちだけれど、いいのよ。生き証人は一人でも多い方が有利になるもの。メリナに命じると、すっかり怯えきった様子のミーナが入ってきた。「ミーナ。なぜあなたは、あの場に控えていられたのかしら?洗濯係の下女と聞いたわ。それが晩餐の場に居られるのはおかしくないかしら」「はい、あの……申し訳ございません……それが、先日突然……」「言いにくくとも話してもらわなければ。私は危うく害されるところだったのだから、困るわ」「は、はい。大変申し訳ございませんでした。あの、先日ダリアお嬢様よりお声をかけて頂きまして、私めを条件付きでダリアお嬢様の傍付きにすると仰って頂いて……」下女を傍付きに?この家の家格を何だと思っているのかしら。呆れてものも言えないわ。「そうだったのね。……それで?なぜ私に危害を加えようとしたか、話はそこからでしょう」「申し訳ございません、本当に申し訳ございません……!ダリアお嬢様から、あのボトルをお渡しする事を命じられました……結果次第では、正式に傍付きにして下さると……ですが」そこでミーナは涙ぐんだ。そうよね、失敗に
Terakhir Diperbarui : 2025-05-15 Baca selengkapnya