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第13話

Penulis: 城間ようこ
last update Terakhir Diperbarui: 2025-05-15 18:40:21

いわゆる、お見合いとも呼べる顔合わせの日。

お父様と同乗していた馬車を降りて案内の者に従って歩き、お父様と謁見の間に待機していると、国王夫妻と立太子されたばかりのウィリード王太子殿下が厳かに入室して各々の席についた。

私は最上級の礼儀でお辞儀をして、玉座から声をかけられるのを、かしこまって待つ。

国王陛下は想像していたよりも親しみをこめて語りかけて下さった。

「そなたは商いで得た収益で孤児院に多額の寄付を行なっていると聞くが、その若さで大した才覚だ。今後の展開はどう考えておるか?」

「恐縮でございます。幸いにも販路は順調に広まっておりますので……今後は貧民街の救済院へ寄付をし、就業支援に着手しようと考えております」

「慈善事業も、そこまでゆくと国政で対応するような領域だな。民を案じる心根は美しいと見るぞ」

「誠にありがたいお言葉と存じます、国王陛下」

すると、王太子殿下が苦々しい口調で水を差したわ。

「慈善事業を理由としても、貴族の令嬢が商いで稼ぐ事を考えるなど、少々品位に欠けると思われるが。しかもまだ齢十四にすぎない少女の考える事となると、早熟に過ぎる」

なるほど……と私は思った。前世ではダリアが殿下を誑かしていたけれど、そうなる素養が殿下にはあるのだわ。

どうやら私は、ダリア抜きにしても殿下から好意的には見られないようね。

そこに落胆と諦念、そして達観を交えて無難な言葉を探していると、国王陛下が先に殿下へ問いを投げかけた。

「そのように言うお前は、王家の者として民の為に力を尽くした事があるのか?」

もっともな言い分だわ。けれど、王太子殿下はつまらなさそうに言い捨てた。

「今はまだ力及ばずとも、いずれ王位を継げば私は国を治める為に尽力致します。それで十分でしょう」

王妃陛下が扇子で溜め息を隠すのが見えて、私は国王夫妻の苦労を垣間見た気持ちになったわ。

仮にも立太子された身なのだから、王太子として国を案じなさいよ。

まあ、実際に貧しい国民へ施している私を、身分や性別と年齢にそぐわないと言って蔑む時点でお察しだけれど。

「ウィリード、お前はまだ青い。しかし王太子となったからには、王子だった頃のように城を抜け出し、平民を装って市街を見て歩く事は許されなくなる事は覚えておくように」

国王陛下が苦虫を噛み潰したような面持ちで告げると、王太子殿下はあからさまな不満顔になった
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