拓斗は、凛音のことなんて、これっぽっちも気にしていなかった。彼は真剣に友達たちに相談した。「なあ、お前ら、どう告白すれば芽衣にOKしてもらえると思う?」彼らは冗談も言わず、真面目に作戦会議をしてくれた。拓斗は一つ一つメモを取りながら、今回は絶対に成功すると確信した。なのに、いざ告白しようとしたとき、肝心の芽衣がいなかった。彼は焦って会場中を探し回り、ようやく向かいの個室で彼女を見つけた。だが、目に飛び込んできた光景に、拓斗の頭に一気に血が上った。芽衣は服がはだけ、酒臭い月斗に押し倒されていた。彼女の顔は赤く染まり、露出した肌には青あざがいくつもあった。「お前、芽衣に何しやがった!殺すぞ、てめえ!」拓斗は怒り狂い、月斗を引きずり下ろして殴りつけた。その次の瞬間、芽衣が酒瓶を振り上げ、彼の頭に叩きつけた。「おじさんに手を出さないで、私が望んでやったことよ!」拓斗の額から、血がじわりと流れ落ちた。彼は目を真っ赤にして、言葉も出ないまま彼女を見つめた。彼女自身が言っていたはずだ。幼い頃から橘家に預けられて、おじさんの月斗のことは、血が繋がっていなくても尊敬していたって。ふたりの間にやましいことなんて一切ないって。じゃあ、この光景は一体なんなんだ?秀太はブチ切れそうになり、怒鳴りつけた。「芽衣、お前人として終わってるだろ!何年も拓斗を弄んで、あいつはお前のために何でも捨てたんだぞ!命だって差し出す勢いだったのに、裏切るとかマジで最低だな!」芽衣は眉をひそめ、冷たく言った。「そんな言い方しないで。何回言えばわかるの?私は拓斗のことを、ただの友達だって言ってるじゃん。彼が私を手に入れられないからって、代わりを探しただけ」「その代わりと8年も付き合って、別れもしないくせに私に告白し続けて、そっちのほうがヤバくない?私は不倫したくないだけ、間違ってる?」拓斗はその言葉を聞きながら、頭が割れそうなほど混乱していた。彼女の体に残る生々しい痕跡が、目に焼き付いて離れない。耐えきれず、彼はその場で嘔吐しそうになった。汚い。本当に、信じられないくらい汚い。拒まれても、彼女は節度のある子なんだと、信じていたのに。もう、彼女と月斗の姿なんて見たくなかった。拓斗は何も言わず、その場から大股で立ち去った。
Baca selengkapnya