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All Chapters of only/otherなキミとなら: Chapter 81 - Chapter 90

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第81話 引っ越し済

 部屋の中に入ったら、何もなかった。 家具から本棚、机まで撤去されている状況に、唖然とする。 「え? あれ? 部屋、間違えた?」  晴翔も理解できない顔で國好を振り返っていた。 「では、移動しましょう」  國好が部屋を出ていく。 栗花落に腕を引かれて、理玖と晴翔は二つ隣の201号室に入った。 二部屋隣とは言っても、第一研究棟の二階は、二部屋を繋げたリノベーションがされている。本来、六部屋あったフロアには、三部屋しかない。 理玖が使っていた203号室も、仮眠室がある204号室と繋がっていた。  國好が201号室の扉を開ける。 中に入ると、先週までの理玖の203号室が、そのまま再現されていた。 「週末の内に、僕も引っ越ししたんですか?」  状況が理解できなくて、國好に問う。 ソファに促されたので素直に座った。 勝手知ったる顔で、栗花落がコーヒーを淹れてくれた。 「結論から申し上げると、引っ越しました。大学と相談の上での引っ越しです。ご本人への許可なく、事後報告になり、申し訳ありません」  國好が丁寧に頭を下げる。 テーブルの上に、電源タップを三つ、置いた。 「向井先生の部屋に仕掛けられていた盗聴器です。向井先生に起きた一連の事件の話を聞いて、もしやと調べたら案の定でした。折笠の件に追われて対応が遅れたことも、お詫び申し上げます」  隣にかけた栗花落と共に國好が再度、深く頭を下げる。 理玖に起きた事件の話をしたのは、先週の水曜日、折笠の所に行く直前だったから、遅い対応ではないのだろうが。 あまりの話に、咄嗟に返事が出来なかった。 
last updateLast Updated : 2025-07-20
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第82話 折笠事件の闇①

 理玖の推論を静かに聞いていた國好が、小さく息を吐いた。 「やはり、鈴木圭ですか……」  國好が険しい顔で呟いた。 「鈴木君には殺す気などなく、ただ折笠先生を独占したいが故に、主犯の言葉に乗せられたのではないかと考えますが」  言葉を切って、理玖はもう一度、頭の中を整理した。 「そうなると、僕らが来訪する予定の午後二時に狙って折笠先生の心臓を止めるのは難しいだろうという矛盾が生じるので、あのタイミングでの心停止は偶然の可能性が高くなります」  鈴木圭の恋心を利用して興奮剤を盛っていたのなら、明確な日時までは狙えなかった筈だ。偶然に期待するなら、PC画面に表示された『贖罪と懺悔』の意味が薄まる。 (僕らじゃない誰かが、いつ発見したとしても、あのPC画面が見つかれば自殺の可能性を煽るから、それで良かったのかもしれないけど) 「偶然であり必然ともいえます。折笠は毎日定時に服用する強壮剤のサプリがあって、その内服時刻が午後一時だったそうです。カフェイン含有量から見て、心停止の直接の原因はそれだろうと、主治医が話していました」  なるほどと、理玖は納得した。 不定期にも定期的にも興奮剤を使用する折笠のカフェインの血中濃度は高かった。加えて平素からコーヒーを愛飲し、健康系のサプリまで定期摂取していれば、心停止の率は上がる。 (あの時、折笠先生が持っていたカップから零れていたのもコーヒーだった)  午後一時に飲んだサプリが消化吸収されるには三十分から一時間程度を要する。時間的にはピッタリだ。 「サプリが直接の原因になった要因として。恐らく前日までの直近に、普段より強い興奮剤を使用するなどして、血中濃度が平素より上がった為で
last updateLast Updated : 2025-07-21
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第83話 折笠事件の闇②

「とはいえ、WOを虐げるnormalは他にもいる。にも関わらず、折笠先生がターゲットになったからには、もっと直接的な理由がありますよね。やっぱり、かくれんぼサークルやDoll関係ですか?」  理玖の問いかけに、國好と栗花落が同時に口を結んだ。 栗花落が國好に目を向けた。 國好が決意したように、理玖と晴翔に向き合った。 「犯人が殺したかったのは、Dollの折笠です。折笠の件で発見された、Dollの集会参加者リストと愛人購入者・セフレ利用者リストには、この大学の教授や准教授の名前が多数、ありました。それだけでも収穫ですが、まだ足りない」  折笠の自殺未遂は当初、自殺他殺の両面から捜査されていた。その経過でかくれんぼサークルの乱交集会の証拠品が押収されるのは不思議ではない。 「興奮剤の種類や入手ルートとかですか?」  理玖は首を傾げた。 「それについても、データと現物を押収しています。かくれんぼサークルの乱交集会では、やはり興奮剤が使われていました。only用、other用は独自のルートから海外の医薬品を取り寄せていたようです。normal用には一般の薬剤やサプリメントを混合して使用していました。ブレンドは折笠が自身で行っていたようです」  理玖は真野の話を思い出していた。 真野がしきりに飲まされたという水は、折笠がブレンドした独自の興奮剤だったのだろう。 (折笠先生なら海外からWO用の興奮剤を取り寄せるのは簡単だ。理研のルートを使えばいい。normal用の薬の入手は、もっと簡単か)  売春防止法に照らし合わせれば、売春買春した人間は基本、罪に問われない。罰せられるのは、斡旋し場所を提供した折笠だろう。 興奮剤についても携わっていたのが折笠なら、違法薬物所持の罪は折笠にある。&
last updateLast Updated : 2025-07-22
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第84話《5/12㈪回想》佐藤満流の録音データ①

「ありがとうございます。後で色々聞かせてください。……佐藤先生」  講堂を走り出した向井理玖から、懐かしい呼び名が飛び出した。 満流の脳裏に十四年前が過ぎった。  飛び抜けて頭が良かった神童は、同世代の子供たちからは浮いていた。IQが80以上違うのだから無理もない。教師の満流ですら理玖との会話には気後れした。 内気で人見知り、物静かな少年は窓際の後ろの席で読書に耽るばかりだ。だから積極的に話しかけた。 話す機会が増えて、素直な質を知り、笑顔が可愛いと知った。 控えめな笑顔の奥に小さな恋慕が見え隠れした瞬間から、記憶が無い。  きっかけは些細な会話だったと思う。 気が付いたら涙でぐちゃぐちゃの理玖の顔を押さえ付けて、突っ込んでいた。  たまたま通りかかったPTAの会長と教頭に取り押さえられた。 あの時、満流の人生は終わった。 (そうだ、終わったんだ。俺はもう、教師じゃない)  話すことなど何も無い。 惰性のような人生を、ただ漫然と生きてきただけだ。 「色々? 嫌だよ」  笑みを含んだ満流の声が理玖に届いたか、わからない。届かなくて良かった。  満流は、床に転がる積木大和を見下ろした。 周囲を確認する。 教壇の近くに医療用の細い注射器が落ちていた。中には白い薬液が満たされている。 「プロポフォールか? 呼吸止まったら、どーすんのかね」  理玖を眠らせて誘拐でもするつもりだったのだろうか。 少なくとも殺す目的では無いだろう。  世界的ダンサーの死因になり一般にも薬剤名が知れ渡った麻酔薬は、鎮静鎮痛作用がある。麻酔導
last updateLast Updated : 2025-07-23
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第85話《5/12㈪回想》佐藤満流の録音データ②

「あ、でも冴鳥先生は忘れ物したんだろ? 探さなくていいの?」  秋風に話を振らせて、冴鳥が頷いた。 「秋風君の友人が心配だから、一緒に行こう。ただ……」  冴鳥が満流に向き直った。 「デニム地のペンケースを見付けたら、持っておいてもらえますか? 向井先生の講義の前が俺の講義で、その時に忘れたようなので。大事なUSBが入っているから、保管しておいてほしいんです」  満流は周囲を見回した。 それらしいものは、見える範囲にはなさそうだ。 「向井先生の荷物に紛れているかもしれないんで、探しておきますよ。見付けたらお届けします」「ありがとうございます」  秋風と共に積木の体を支えて講堂を出ようとした冴鳥が、突然立ち止まった。 積木の体ごと引っ張られて、秋風が軽くよろめいた。 「片付けを頼まれるくらい、佐藤さんは向井先生と仲が良いのですか?」  問われて、言葉に困る。 どう考えても仲良しではない。むしろ理玖にとっては性敵だろう。 「折笠先生と向井先生が仲良しなんでね。その繋がりで仕事のお手伝いは、時々しますよ」  手伝いなど一度もしたことがないが。 むしろ理玖は折笠が嫌いだから仲良しでもない。 共通点はWO専攻の学者で教員である点と、理研という古巣だけだ。 「そうですか。その……、向井先生は、人見知りなど、しない人、でしょうか?」  突然、ナナメな質問が飛んできて、満流は首を傾げた。 「そりゃ、冴鳥先生の方だろ。人見知りしまくり。今日はいっぱい話せたよな」「秋風君が一緒だからね。君がい
last updateLast Updated : 2025-07-23
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第86話《5/12㈪回想》佐藤満流の録音データ③

「俺、秋風音也っていうんだけどさ。宿木サークルのサークル長なんだけど、顧問の臥龍岡先生も、向井先生と話したいって言ってたんだ。WO相談会やりたいんだってさ」  臥龍岡という名とWOという単語を聞いて、満流は思わず前のめりになった。 「WO相談会? 宿木サークルって、何をするサークルなんだ?」  秋風が考えるような仕草をした。 「あー、色々? 好きな本の話とか、悩み相談とか、雑談とか。サークルとか入ってない奴らの溜り場みたいな感じだよ。顧問が臥龍岡先生だから文学の話多めかな。あと、臥龍岡先生が自分がonlyって公表しているから、WOの話も多いぜ」  臥龍岡叶大といえば、文学部の准教授でありながら純文学の作家でもある。甘いマスクと穏やかな語り口、何よりonlyと公表している話題性で、メディアにもしばしば引っ張られている人気者だ。 つくづく慶愛大学は売り文句が付く学者や教授が好きだなと呆れる。 「なるほどね、そりゃ、話聞きてぇわな。WO専攻って、学内に折笠先生と向井先生だけだもんね。けど、臥龍岡先生は折笠先生と昔から仲良しじゃん。よく遊びに来るし、それはもう長居してるぜ。折笠先生に相談すればいーんじゃねぇの?」  特に用事もなく、茶飲み友達風に折笠の研究室に居座っている。 古い関係と折笠が意味深な言い方をしていたから、昔から愛人なんだろう。 さりげなく用事を頼まれて研究室を追い出されることも多い。察して部屋を出るが、戻ったタイミングでまだヤっていたりする。いい加減、愛人とは外で遊んでほしいと思う。 (鈴木の時は俺を追い出さないで始めちゃったけどなぁ。視られるスリルが好きなんだろうな)  視感プレイというか、羞恥プレイというのか。 どんなプレイが好きでも構わないが、巻き込まないで欲しいと思う。 otherの満流は、他人
last updateLast Updated : 2025-07-23
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第87話 Rose House①

 イヤホンを外した晴翔が顔を強張らせている。 「宿木サークルに、RoseHouse……」  理玖は低い声で呟いた。 少なくともRoseHouseには心当たりがあった。 「薔薇の園と表現するRoseHouseなら、恐らくは理研が運営する児童養護施設ですね」  理玖が所属してる国立理化学研究所には、自然科学科健康増進室という部署がある。 その中にWOに関わる部署が存在する。 一つは、WOの生態全般の研究を行う『WO研究部』で、理玖はそこに所属している。  もう一つは『WO少子化対策部』だ。 国策としてWOの人口を増やそうという動きに同調して設けられた部署だ。『WO少子化対策部』の末端に位置付けられているのが、WOに特化した児童養護施設『RoseHouse』だ。 「それなら、俺も知ってますよ。WO特化の養護施設で、保護から健康管理、教育に里親探しまで独自の方法で子供を育てる施設ですよね。赤ちゃんポストもあるって。テレビの特集で観ました」  日本で唯一のWO専門児童養護施設だ。 メディアで特集を組まれる機会も多いので、晴翔も知っているのだろう。 「国が試験的に稼働した施設で、位置付けは一応、理研のWO少子化対策部の外部組織になってる。基本は里親斡旋の施設なんだ。理研が関わっているのは、定期的な健診でデータ収集する目的だよ。人権侵害なんて揶揄する声も時々には、聞くね」  0歳児から受け入れているRoseHouseは検診データを研究に使用する同意を本人に得られない。故に批難する声も大きいが、それ以上に命を救い上げ、通常の病院では対応できないWO特有の病気も含めて子供たちの健康管理を行っている点の方が大きく評価される。  何より最も世間から評価を得ているのは、里親制度
last updateLast Updated : 2025-07-24
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第88話 Rose House②

「覆面警官の噂を流した時点で、かくれんぼサークルはGWの乱交集会を中止するのではないかと考えていました。だが、折笠はそうしなかった」  國好の説明に理玖は半分、納得した心持になった。 「参加者からの強い要望や圧で中止できなかった、とかですか?」  学生が乱交して、しかもその中から好きな愛人やセフレを買える集会など滅多にない。物好きは継続を強く希望するだろう。 中止にしたくても出来なかったのかもしれない。 「それもあるでしょう。収益を考えた結果かもしれません。ですが、Dollを支援してきたバックボーンからの圧、RoseHouseの圧だと、俺は考えています」  理玖は、ぐっと息を飲んだ。 バックでRoseHouseが関わっているのなら、理研も無関係ではなくなる。 「DollはRoseHouseから派生した組織と考えます。恐らくはRoseHouseの関係者が学内に居て、折笠に指示を出していた。裏がとれていないので詳細は話せませんが、可能性は高い」  國好の説明は、どこか曖昧だ。 やはりまだ、理玖たちには話せない事情があるらしい。 「どうしてRoseHouseとDollに繋がりが? RoseHouseは健全な運営をしている組織ですよね。メディアで取り上げられるくらい、有名だし……」  晴翔が戸惑いながら問う。 國好が返答に困っている。 「イイじゃないすか、國好さん。裏取れていなくても、向井先生と空咲さんには話しちゃっても問題ないっすよ」  栗花落がいつもの笑顔で國好を見詰めた。 「RoseHouseってね、住み心地良いし飯うまいし、個室だし。一定以上の教育もしてもらえる。環境は充実してて、住んでる分に何の不自由
last updateLast Updated : 2025-07-25
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第88話 足りないピース①

「理玖さん、理化学研究所って、ここ数年は資金難で研究部門を削ったりしていましたよね? 国立行政法人ではあるけど、運営は所長に一任されてて、事実上民営化した機関だったと記憶しているんですけど、あってます?」  晴翔の突然の質問に、理玖は顔を上げた。 「え? うん、そんな感じだったと思う。安倍所長が国の依頼を受けて少子化対策に力を入れているから、関わりが薄い部署が幾つか閉鎖されていたよ」  理研の現所長・安倍千晴は優秀な科学者だが、視野が狭い。国の命令に従順だから、研究部門も減る一方で少子化対策に偏りがちだ。 「わかりました。ありがとうございます」  晴翔がニコリと笑んだ。 どこか確信めいた笑顔だと思った。 「問題は、秋風って学生が臥龍岡先生の名前を使って薔薇の園……、RoseHouseの話を振ってきたってことですね。國好さん、佐藤さんは本当に無事ですか?」  晴翔が表情を変えた。 真剣な問いかけに、國好が言葉に詰まった。 「……生きているし、無事です。ただ、身を隠しています。表向き、大学に復帰予定になっていますが、見合わせる方向です」  何とも物騒な事実が國好の口から流れた。 RISEの目を欺くために、事実を隠していたのだろうが。理玖や晴翔の心配を煽らないためでもあったのだろう。 「WO生体研究所にいた佐藤さんがRoseHouseの実情を知っていれば、秋風の暗号めいた言葉は瞬時に理解できる。折笠先生と一緒に殺されていても、不思議じゃなかったですね」  理玖の推察に國好と栗花落が言葉を飲んだ。  もしくは、折笠殺害のために邪魔な佐藤を遠ざける誘導だったのかもしれない。佐藤はまんまと相手の罠に掛かったワケだ。
last updateLast Updated : 2025-07-26
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第89話 足りないピース②

「でも、こんなの、まるで臥龍岡先生が殺したみたいじゃないですか。折笠先生がこの手の本に興味があったとは、思えないですよ」  晴翔の言う通り、折笠は純文学になど興味はないだろう。 そんな折笠がこの壁紙を使う意図があるとしたら。 「研究室に入り浸るほど仲が良かったって、つまりは愛人だったんだろうし、読んではいたかもよ。そういうマメさはある人だから。臥龍岡先生が壁紙使ってってお願いしたら、折笠先生は使いそうな気がする」  会話の録音データの中で佐藤が「よく遊びに来るし、それはもう長居している」と言っている。 現在進行形で頻繁な来訪だと判断して良さそうだ。  何より臥龍岡叶大は折笠の好みドストライクな顔面をしている。地味ではないが派手でもない性格といい、折笠が如何にも好みそうだ。惜しむらくは年齢がやや高いくらいだろうか。 それでも捨てなかったのだがら、お気に入りだったんだろう。 「愛人が出したベストセラーをちゃんと読んで、お願いしたら壁紙も使ってくれる。優しいしマメですね」  晴翔が難しい顔をしている。 何かが納得できないらしい。晴翔の中で折笠に対するイメージとの乖離が激しいのだろう。 「そうなると、鈴木君と同じ方法が臥龍岡先生にも可能になるね。おねだりして興奮剤を飲ませてカフェインの血中濃度を上げる。こっそりコーヒーに興奮剤を混ぜる、とかね。鈴木君より上手に出来そうだ」  晴翔が宿木サークルの会員名簿を手に取った。 「臥龍岡は、自分と同じ殺害方法を鈴木にもさせていたのだろうと思います。鈴木圭も白石凌も宿木サークルで洗脳された可能性が高い。洗脳したのは臥龍岡だろうと踏んでいます」  國好がスマホで検索した画面を見せてくれた。 臥龍岡の書籍一覧だ。 その中に『恋人
last updateLast Updated : 2025-07-27
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