ぴったりとしまった扉が続いた先に、薄く開いた扉を見付けた。 同時に、複数の人が歩いてくる足音がした。 「やばい、隠れるぞ、礼」 音が礼の手を引いて薄く開いた扉を開けた。 中に入って、礼は目を見張った。 「何、ここ。これ、何……」 想像した以上に広い部屋の中は、知らない道具ばかりが置かれていた。 ホワイトボードに書かれた文字も、張り付けられた紙に書かれた内容も、礼と音には理解できなかった。 置かれた沢山の本は難しそうな英語のタイトルばかりで理解できない。 理解できないモノばかりの中に、明らかに異質な本物があった。 人間の子供だ。 目に力がない。きっと生きていない。 人形のようなそれを明らかに人間の亡骸だと理解したのは、体を血が伝っていたからだ。 足音と話し声が近付いてきた。 慌てた音が、棚の下の引き戸を開けた。 人一人が入れそうな空間に礼を押し込んだ。 「音も、早く!」「俺は別の場所に隠れるから、礼はここから出るなよ!」 しっかりと扉を締められた。 内側から開けようにも、開けられない。 しばらく足音と物音がしていたが、静かになった。 音もどこかに隠れたようだ。 「全く無茶な提案だ。normalを産むな、なんて不可能に決まってますよね」 大人の男の声がした。 「それがRoseHouseの目指す実験結果なんだから、諦めてはいけないよ。現に、WO出生率は九十八パーセントまで上がった。正確性は上がってきているんだ」 優しそうな声
Last Updated : 2025-11-27 Read more