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All Chapters of only/otherなキミとなら: Chapter 101 - Chapter 110

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第100話【R15】spouseのaffectionフェロモン

 体をぴたりと添わせているから、互いの股間が擦れ合う。 もう何度も繋がって何度も射精しているのに、ずっと気持ちいい。 「気持ち良かった……。まだ気持ちいい、理玖さん……」  晴翔が理玖を抱き寄せる。 その目にも、まだ欲情が残っている。 「何もかもどうでもよくなるくらい、気持ちいい。これがフェロモンに飲まれてる状態?」  理玖の肩や胸にキスしながら、晴翔が問う。 晴翔の粘膜が触れるたび、痺れるほどの快感が背中を昇る。 快楽の残り香がなかなか消えてくれない。 (一回どころじゃなく、何回もしたのに。全然、収まらない) 「ねぇ、理玖さん、もう一回……」  握った手を晴翔が股間に持っていく。 すっかり濡れた男根はまた硬くなっていた。 「ん、晴翔君が、欲しい……。僕を、孕ませて……」  晴翔の男根を大腿に挟み込んで擦り上げる。 理玖の体を反転させて、後ろから晴翔が理玖に突っ込んだ。 腹の中にいる熱くて硬い男根も、後ろから抱きしめてくれる腕も寄り添う胸も総てが気持ちいい。 何も考えられない頭のままで、欲情に飲まれて理玖は晴翔を受け入れた。  〇●〇●〇  「……くさん、理玖さん……」  聞き慣れた優しい声に、理玖は目を開いた。 晴翔の顔が理玖を覗いている。 一瞬、訳が分からなかった。 (えっ……と、仮眠用のベッドで、晴翔君と……。裸で、寝てる)  ぼんやりしていた頭の中が、少しずつ起きてき
last updateLast Updated : 2025-08-04
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第101話【R18】臥龍岡叶大の情事

 以前と同じようにレンジでホットタオルを作って身体を拭う。 何回シたのだろうと思うくらい、お互いに体中が精液塗れだった。 「対策、考えないといけないね」  spouseのaffectionフェロモンのせいなら、抑制するのも難しい。 何せ、抑える必要がないフェロモンだから、抑制剤が開発されていない。それ以前にaffectionフェロモンが定義されたのが最近だ。 「理玖さんが甘い台詞とか言わなきゃいいんだと思います。俺が興奮しないように」  言い切った晴翔を見上げる。 「言われたくないの?」「いっぱい、言われたい」  間髪入れずに返事とキスが同時くらいに返ってきた。 「場所とか時間を、考えるようにするよ」  理玖だって、照れたり狼狽えたりする可愛い晴翔をまた見たい。 そんな会話を交わしながら、二人は研究室を出た。 同時に、廊下に光が射しているのが見えた。 二つ隣の、臥龍岡の研究室だ。 「臥龍岡先生、まだいるんですかね」  晴翔が不審な目を向けている。 それは理玖も同じだった。 光の射し方が、おかしい。扉が中途半端に開いている洩れ方だ。  晴翔と理玖は顔を見合わせた。 何となく、臥龍岡の研究室の方に足音を忍ばせながら歩く。 「……ぁっ、ぅんっ」  どう聞いても喘ぎでしかない声が部屋から漏れて、理玖は足を止めた。 「もっと、奥、シて……、ぁっ、ぃぃっ」  扉に近付くほどに、ヤっているんだなとわかる声と卑猥な音
last updateLast Updated : 2025-08-05
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第102話《5/26㈪》最後の一人

 金曜日、臥龍岡と佐藤の情事を偶然、目撃した。 モヤモヤして帰ったはずなのに。それ以上に自分たちのaffectionフェロモンの残り香が強くて、部屋に着いた途端、理玖と晴翔はベッドに沈んだ。 それから土日の二日間、ほとんどベッドから出られなかった。 「理玖さん、腰、大丈夫ですか?」  出勤しながら晴翔が問う。 歩き方がカクカクしているんだろうか。 「うん、何とか。歩ける程度には。でも、今日はなるべく座っていたい」  午後の講義で九十分立っていられる自信がない。 今日は椅子を準備しようと思った。 「ですよね。今日は俺もキツイです。二日間、ほとんどヤりっぱとか。流石に初めてです」「僕もだよ……。やっぱり対策、考えようね」「はい……」  晴翔が力なく答える。 疲れと反省が滲んだ顔だ。 (spouseって、こんなにフェロモンの影響を受けるものなんだ。spouseじゃないonlyとotherのフェロモンじゃ、ここまでにはならない)  日曜の夜になって、やっとフェロモンが薄まって、落ち着いた感じだった。昨晩、纏まって眠れたお陰で少し楽だ。 もし眠れていなかったらと思うと、恐ろしい。 (フェロモンを発したきっかけはわかるけど、落ち着いたきっかけがわからないな。体力低下かな。寝ないと流石に死ぬって、本能が感じたのかも)  理論としては、大変に抽象的だ。 その辺りも含めて、affectionフェロモンについての研究を進めようと痛感した。  第一研究棟に向かう前に、今朝は事務に寄り道した。 事務の総合窓口と事務員の休憩室は、第一学生棟一階の南側にある。 
last updateLast Updated : 2025-08-06
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第103話 噂話

「あれ、向井先生。おはようございます」  後ろから声を掛けられて、振り返る。 臥龍岡が理玖と晴翔に向かって笑みを向けていた。 「おはよう、ございます」  臥龍岡の後ろを歩く佐藤の姿に気が付いて、理玖の声が若干揺れた。 「おはようございます~、臥龍岡先生。もしかして例の申請書類ですか?」  伊藤が臥龍岡の後ろに立つ佐藤に目を向ける。 佐藤が普通にニコリと笑んで伊藤に会釈した。 「えぇ、その書類を貰いに来ました。助手が欲しい先生は沢山いたみたいだけど、私が勝ち取りましたよ。佐藤さんはいただきました」  臥龍岡が冗談めかして伊藤に笑いかける。 伊藤が可笑しそうに笑った。 「良かったですねぇ。臥龍岡先生はお忙しいから、助手さん、いてくれた方が助かりますよね」  臥龍岡の目が晴翔に向いた。 「向井先生を見ていたら羨ましいなぁと思って。私も空咲君のような真面目で優秀な助手が欲しくなりました」  臥龍岡が晴翔に笑いかける。 晴翔が外向きスマイルで軽く頭を下げた。 「空咲君はダメですよぉ。向井先生の助手固定だから。佐藤さんは見た目そんなだけどオバさんにも丁寧で優しくて良い人だから満足してくださいねぇ」  伊藤が晴翔の襟首を掴んで引っ張った。 突然の行為に晴翔が大きく後ろに下がった。 「女性は皆、レディでしょ。俺、男にも女にも優しくがモットーなの。臥龍岡センセが不満なら、助手交換してもいーよ。俺が向井センセのトコ、行こうか?」  佐藤が前に出て、理玖に手を伸ばした。
last updateLast Updated : 2025-08-07
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第104話 佐藤満流の裏切り①

 第一研究棟の理玖の研究室201号室の前には、國好と栗花落が既に待機していた。 二人の姿を見付けて駆け寄ろうとした理玖の腰が砕けた。 「ぁっ!」  足元から崩れそうになった体を後ろから晴翔が慌てて支える。 「大丈夫ですか?」「ダ……ダメ、かもしれない」  足に力が入らず、支えてくれる晴翔の腕に宙吊り状態になった。 「一先ず、部屋へ。座りましょう」  國好が研究室のドアを開けてくれた。 引き摺られるように中に入って、何とか近くのソファに腰を下ろす。 栗花落がコーヒーの準備をしてくれた。 「金曜は本庁へ行く予定があり、先に上がらせていただきました。その……、お取込み中、のようでしたので。挨拶もせず、すみません」  國好が目を逸らして、もごもごと謝った。 きっと終業時間の頃は絶賛、取り込み中で声など掛けられなかっただろう。 國好と栗花落は理玖の研究室の鍵を持っているから、ばっちり目撃したはずだ。 仮眠室は壁もドアもあるが薄いので、声は間違いなく漏れていただろう。 「こちらこそ、すみません……」  消え入るような声で俯く。 晴翔も思いっきり目を逸らしていた。 「お伝えしたいことも、あったのですが。一先ず、満流の話です」  國好の言葉に、理玖と晴翔は顔を合わせた。 「お二人は今後、佐藤満流に近付かないよう、お願いします」  國好が國好らしからぬ顔をしているように見える。 「佐藤さんが臥龍岡先生の助手に入ったから
last updateLast Updated : 2025-08-08
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第105話 佐藤満流の裏切り②

「この状況から導き出される結論は三つ。佐藤さんは折笠先生と臥龍岡先生と古くからの知り合いだった。その為に臥龍岡先生にRISEに勧誘され、断れなくなった。何か弱みを握られていると考えるのが妥当です。故に、表面上は臥龍岡叶大の恋人となりRISEに身を置くことにした」  理玖が指を三つ折って見せる。 「自分の現状と晴翔君の危険を知らせるために、部屋を覗かせたり、僕にセクハラまがいな真似をしたのは、臥龍岡先生に気付かれないよう伝える方法がそれしかなかったから。恐らくスマホなどの通信機器は臥龍岡先生に管理されていて自由に使えない。警察と繋がっているのも、臥龍岡先生には知られている。臥龍岡先生の命令で警察に誤情報を流す羽目になる危険を考慮して、國好さんを切った」  國好の眉間の皺が幾分か緩まった。 「そういえば、金曜の午前中、あのメールの前に別のメールが届いて。WO生体研究所に勤務していた頃に、満流は折笠に世話になったらしいんですが。その関係で知り合ったRoseHouseのスタッフが臥龍岡だったと、情報が送られてきました。本人に名乗られるまで気が付かなかったと」  理玖は、金曜の夜の佐藤と臥龍岡の会話を反芻していた。 「だとすると、臥龍岡先生はその頃には折笠先生の愛人だったんでしょうね。十年前から愛人と、佐藤さんは話していた」「ちょうど、十年くらい前です。満流がWO生体研究所に勤務していたのは三十歳前後だったと思います」  その十年前に、佐藤には折笠と臥龍岡に弱みを握られるような何かがあった。その何かをいまだに引き摺っている。 「あの、馬鹿っ。なんで相談しないんだ。助けてくれって一言、それだけでいいのにっ」  國好が顔を覆って悔しそうに声を噛み潰した。 震える國好の背中を摩る栗花落は、幾分か安堵した表情をしていた。 
last updateLast Updated : 2025-08-08
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第106話《5/27㈫》五年前の真実①

 第一学生棟一階の南側には、総合受付と事務員の休憩室がある。 そこに隣接する形で職員用の会議室が五部屋ある。 理玖と晴翔は一番会議室で、事務長の業平を待っていた。 「こんなにあっさりOKを貰えるとは思わなかったね」  理玖の呟きに晴翔が緊張した面持ちで頷いている。  昨日、國好の情報で五年前の事件の片鱗を知った理玖は、事務長の業平に事件の詳細を聞けないか打診した。 学内で起きた事件だ。警察の介入は浅かったとしても、大学内に記録は残っているかもしれない。記録がなくても、職員にとり記憶に新しい事件であるはずだ。 たった五年前の事件なのだから、覚えている者があってもおかしくない。  何より、理玖は気になっていた。 事務の伊藤は随分と噂話に通じている。教職員同士の関係性にも詳しい。 『そういうの、空咲君にはまだ無理そうよね』  まるで噂を把握するのも事務の仕事であるような言い回しだ。 (よく考えたら、事務員が先生方の部屋を廻って雑務をこなす大学って聞いたことない)  それすらも噂話収集のための手段ではないかと思った。 更には、伊藤の後に現れた事務長・業平の言葉。 『話しが聞きたければ事務長室へどうぞ』  聞けば教えると言わんばかりの台詞だ。  だから試しに打診してみた。 結果、いともあっさり呼び出しがかかった、という仔細だ。  理玖も驚いたし、多少緊張もしているが。 隣に座る晴翔の緊張っぷりが段違いだった。 「晴翔君、大丈夫?」  何と声を掛けたらいいか、わからなか
last updateLast Updated : 2025-08-09
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第107話 五年前の真実②

「積木理沙と鈴木類は事件後、別れたそうです。鈴木類は当時同学年だった秋風音也と親しく、恋人になったと聞きました」「秋風君? あ、そうか。彼は二年留年しているから」  鈴木類と秋風音也は同学年になる。 つまり、事件をリアルタイムで知っている数少ない学生だ。 「成績は悪くないのに二回も留年するなんて、まるで大学に残りたくてわざと講義を蹴っているようだ。というのは個人的な心象です。今のは、忘れてください」  大変わざとらしい秋風への心象は、理玖も同意だ。 成績云々は知らないが、秋風には大学に残りたい理由があるんだろう。 「積木莉汐は臥龍岡叶大先生の研究室に籠るようになりました。二人は婚約者だったそうです。家同士が決めた婚約で本人たちは決まってから知った、なんて今時珍しいドラマのような関係性だったようですが、仲は良かったですよ。噂ですが」  噂という名目の真実なんだと、理玖も段々わかってきた。 (てことは、積木君と臥龍岡先生は義理の兄弟になるはずだった関係なんだ)  積木の家と臥龍岡の家の親交が深いなら、今でも繋がりはあるのだろう。 足りなかった登場人物が意外なところで見つかった。 「ただ、積木莉汐は事件後、明らかに性格が豹変しました。性格というより、発情発作が増えて、奇行に走るようになった。踊りながら廊下を走り回って、ついには第一研究棟の屋上から滑り落ちて死んでしまった」  晴翔が身を乗り出した。 「それって、月夜の淑女……。七不思議の一つが五年前の事件なんですか?」  ジロリ、と業平に視線を向けられて、晴翔が身を引いた。 「そうですよ。otherの女性が興奮剤でラリって落ちました、なんて言えませんから。幽霊
last updateLast Updated : 2025-08-10
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第108話 五年前の真実③

「理事長には、警察に捜査協力する向井先生と空咲君に対して、ある程度の情報開示とバックアップをするよう仰せつかっております」  なるほど、大学側も巻き込んでの大掛かりな捜査になっていたらしい。 「面倒な話題にようやくたどり着いた、と事務長は言っていましたよね。僕らが対峙している相手の事情を、大学側はどのくらい把握しているんですか?」  業平の細い目が、少しだけ笑んだ。 「組織と首謀者、構成員についてはある程度、お伝え出来ますよ、噂ですが。それから、今噂になっている月夜の淑女と大講堂の幽霊についても」  理玖は首を傾げた。 「大講堂の幽霊?」「第三学生棟五階の大講堂に黒い影が立っているって噂ですよね。月曜日と金曜日に目撃例が多くて、火曜日にも時々目撃されている」  晴翔が頑張って説明している。 何となく、応援したい気持ちになる。 (晴翔君は普段もっと格好良くて頼りになるから! 成長してるから! そういう姿、業平さんにも知ってほしいな)  空咲家の執事をしていたのなら、幼い頃から晴翔を見て知っているんだろう。 もっと成長している姿を見てほしいと思った。 「して? その情報から汲み取る真実は?」  相変わらず淡々と、業平が晴翔に問う。 晴翔が必死に思考を巡らしている。 「……あ。全部、理玖さんの講義が入っている曜日だ」  ぽそりと零した晴翔の言葉に、理玖の肩が大袈裟に震えた。 「え……? 僕、幽霊に憑りつかれてるの?」  小刻みに震える手で晴翔の袖を掴む。 
last updateLast Updated : 2025-08-10
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第109話《5/30㈮》不思議系イケメン

 何もしなくても事件が向こうからやってくる。 ここ最近はずっとそうだが、まただなと思った。  金曜日の二限は一年生のWOの講義だ。 最近は晴翔が荷物を持ってくれてPCの設置までしてくれるから助かっている。講義が終わる頃に合わせて来て、片付けもしてくれる。 至れり尽くせりだ。  今日も大講堂はほぼ満席だった。一年生の受講生は減ることなく開始から同じくらいの生徒数を維持している。 かなり減っていた二年生の受講生も、最近はまた増え始めた。 メディアで話題だった虚像のDollは下火になったのに、意外だ。 (折笠先生が入院して、事実上、本物のDollが解体したからメディアが下火になったのかな)  折笠は昏睡状態が続いており、退院のめどがつかない。 このままだと書類送検されても不起訴になる可能性が高いと國好が話していた。 Dollを潰したかったRISEは、狙い通りの結果を得た。煽る必要がなくなったんだろう。 「あんまり部屋から出ない方がいいんじゃないの? 構内の何処で狙われるかもわからないんだから」  RISEが晴翔を狙っているのは、間違いない。 犯人は構内で、どんな手段を使って狙ってくるかわからない。 業平にメンバーの目星を付けてもらったが、RISEの構成員は全員の面が割れている訳ではない。 前回の白石のように無関係な学生だと思っていた相手が突然、仕掛けてくる可能性は十分ある。 「仕事は仕事ですから。理玖さんだって全く危険がないわけじゃないんだから、二人で一緒に居た方が國好さんたちも守るのが楽だと思います」  理玖はちらりと後ろを振り返った。 少し離れた後方から、さりげなく栗花落が付いてきてくれている。 
last updateLast Updated : 2025-08-11
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