エマがその箱を受け取ると、ルシアンは代わりに緑のリボンの小箱を手に取った。 そして、柔らかな声で囁く。 「貴方が選んでくれたこの青い鷲のブローチは、私の宝物です」 「えっ?」 「私のブローチを、貴方に預かっていてほしい」 「僕が? ルシアン様の宝物を?」 「ええ」 ルシアンは、手の中の小箱をそっと掲げた。 「貴方を迎えに行く日が来たら……その時、これを貴方に返します」 「ぁっ……!」 エマの瞳に、じわりと涙が浮かぶ。 眦からこぼれていく滴は、熱かった。 (迎えに行く? 今、たしかにそう仰った……!) 聞き間違いかと思った。 けれど、ルシアンの真っ直ぐな眼差しがそれを否定する。 胸の奥が熱くなって、胸の高鳴りが大きくなった。 頬が紅潮し、唇が震えた。 「る、ルシアン様が……僕を?」 勘違い……その可能性もあったけど、期待で心臓が激しく脈打つ。 (僕が、ルシアン様の恋人になれるの?) それは、甘い夢のはずだった。 けれど。 「エマ。私は本気です」 「っ……!」 「必ず、すべてを片づけて、貴方を迎えに行きます。それまで、待っていてください」 「……っ、でも……そんなこと……!」 喜びに震えながらも、頭の隅にレオナールの顔がちらつく。 (本当に……王子から自由になれるの?) 酷い境遇から救われたいと、何度も女神に祈ってきた。 それでも救いは訪れず、エマの絶望的な日々は変わらなかった。 でも……帝国の貴族であるルシアンなら、何かを変えられるのかもしれない。 「エマ。どうか、私の言葉を信じてください」 「っ……信じます、ルシアン様」 エマは大きく頷き、潤んだ瞳で彼を見上げた。 「僕は……ルシアン様を、お慕いしています」 「エマっ」 ルシアンがエマを優しく抱きしめる。 「可愛いエマ
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