Tous les chapitres de : Chapitre 201 - Chapitre 206

206

第200話 洗い流す

    「実は、先ほど報告があったのですが、ワイール伯爵の館に、王太子の補佐官が訪れたそうです」 「補佐官が? まだ伝令は出していないのだろう?」 「はい。第二王子がワイール領に潜伏しているのではないかと、調査に来られたそうです」 「王太子の補佐官ならば、この上ない適任だ。しかし、本物の補佐官かどうか確認しなければならない」 「それでしたら、聖樹様のメイドか護衛騎士に面通しをすれば問題ないかと。補佐官殿は、三日前まで聖樹様の公務に同行していたと仰っていました」 「そうだったのか。ならば、メイドの一人に頼もう。ニコラは、ここの護衛をしてもらわねばならぬ」 「かしこまりました。王太子殿下と、補佐官殿に文をしたためます」 「お前に任せる。確認は不要だ」 「御意」  ノエルは頭を下げると、すぐさま一階の書斎へ向かう。  本来なら、ルシアンが中身をあらためた後に使者を出すが、今はそんな余裕がなかった。  両腕に抱えたエマから、ほのかに甘い香りが漂ってくる。鎮静剤を飲ませ、エマも半分意識を失っているが、火照った躰はそのままだ。 「伯爵様。準備が整いました!」 「ああ。シーシ、お前には使いを頼みたい。詳細はノエルに聞いてくれ」 「はいっ」 「さあ、エマ様、伯爵様。こちらへ」  スースがルシアンたちを脱衣所に案内する。  簡易な長椅子があり、ルシアンは外套に包んだままのエマを、そっと横たわらせた。 「お手伝いいたします」 「エマには触れるな。私が介抱する」 「はい」  ルシアンはスースの手を借りて、腰から剣を外し、ブーツを脱いだ。ジャケットとベストを脱いだ。  着替えをしている間に、シーシがトレイに杯を載せて運んできた。 「伯爵様。ノエル殿から、こちらを召し上がるようにと言伝がありました」 「ああ、そうだったな。助かった」  ルシアンは礼を言って、杯の中身を飲み干す。
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第201話 馬車の中

    「んぁぁっ、ァァ……ぃゃっ」 「そこはダメですよ」  エマが手を伸ばして、蕾から伸びた紐を掴もうとしている。  その手を押さえて、優しく咎めた。 「抜いてはいけません」 「ゃっ……んっ、イク……イきたいっ」 「ここを弄らなくても、イかせてあげますから」  ルシアンはエマの昂ぶりに手を添えて、ゆっくりと扱いた。 「ひゃぁぁんっ!」 「ほら、もうイったでしょう?」 「あぁっ! ぁんっ、もっと……ぁぁぁっ」  エマは背をのけぞらせて、ビクビクと震える。  その淫らな姿に理性を揺さぶられ、ルシアンは奥歯を噛みしめた。 (くッ……ダメだッ、エマをここで抱くわけにはいかないっ!)  エマはまだ、ルシアンのものではない。  王族との婚約破棄が叶っても、エマの所有権はランダリエ王家にある。 (エマは、必ず私がもらい受けるッ! だからこそ、手を出す訳にはいかないッ)  ルシアンは鋼の理性で耐え、エマを清めることに集中した。  エマのフェロモンに負けてしまわぬよう、静香石を抜かずに終わらせるつもりだ。 「ぁんっ、……ぁぁっ!」 「ほら、ここが好きでしたよね?」 「ひゃんっ、ぁ、っ、そこぉ……んぁぁっ」  布で乳首を優しく擦る。  塗られた媚薬がどこまで浸透しているか分からないが、できるだけ洗い落とすつもりだ。 「こんなに勃って……気持ちいいでしょう?」 「ぁっ、きもち、ぃっ、んぁっ、……はぁんっ」  乳首を指先でこねると、エマがイヤイヤと首を振る。  けれど、乳首はピンと尖り、エマは腰を揺らして自らの昂ぶりを扱いた。 「ァァッ……んぁっ、ぁぁ」 「エマ。可愛いですよ」  エマの手に重ねて、昂ぶりを扱く。  悪戯をするように、静香石を指で押すと、ビクンッと躰が跳ねた。 「ひゃぁっ……ぁぁんっ、ぁ
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第202話 メイドの髪飾り

     思い出の中では、サファイアベリーが多かったけど、ここではルシアンがメルベランを用意してくれていた。 「わあ! いいんですか?」 「もちろんです。どうぞ」 「ありがとうございます」  エマはニコニコしながら、メルベランを食べて、薬の苦味を忘れる。  エマの馬車旅の記憶は、食事と湯浴みだけで、それ以外は眠っているか、ウトウトしながらエマを抱っこするルシアンの鼓動を聞いていた。  そうしているうちに、いつの間にか王都に到着していたようだ。  エマが目覚めると、フカフカの大きなベッドで眠っていた。 「あれ? 馬車じゃない?」  見慣れない天蓋を不思議に思いながら起き上がると、そこが客間であることが分かった。白を基調にした客間は広々としていて、壁には淡い金の縁取りが施され、高級そうな調度品が飾られている。 「ここは……」 「エマ、起きたのですか?」 「あ、ルシアン様っ」  近くのソファーに座っていたルシアンが、パッと立ち上がり、エマの元に寄った。  ベッド横の椅子に腰掛けて、エマの顔を覗きこむ。  ルシアンは、上質なシャツにズボンを履いただけの装いで、ベストもジャケットも着ていない。室内着のようだが、ルシアンが身につけると、華やかに見えた。 「気分はどうですか? 痛むところはありませんか?」 「えと……大丈夫です」  エマは自分の体を見下ろした。身に馴染んだ法衣姿で、ここはもう王宮なのだろうと推測する。 「もう、王都に着いたのですか?」 「ええ。体調が戻ったようで安心しました。アズレーヌでは、貧血を起こして倒れたと聞き、驚きましたから」 「あっ……僕、貧血で……?」 「慣れない旅で、疲れていたようだと医師から伺いました。私もちょうど任務が終わったところだったので、王宮まで送っていくことにしたのですよ」  ルシアンの説明に、エマは頬を染めた。  道中は、なぜルシアンが一緒にいて
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第203話 北殿の部屋

    「シーシの髪飾りも可愛いね。それはルビーなのかな?」 「はい! あの店、サファイアだけじゃなくて、いろんな宝石がありましたよ!」 「エマ様がお選びになった髪留めも、スゥからミナに渡してありますわ~」 「ミナ、すっごく喜んでましたよ~!」 「良かった。ミナと仲良くなれたかな?」 「はいっ! とっても可愛い子です~」 「あたし達と同じで、エマ様のことが大好きなのですわ~!」  シーシとスースは、にっこり笑う。  三人が仲良くなれたと分かり、エマも嬉しくなった。 「貴女達、おしゃべりはそこまで」  ナタリナが注意するように声を掛けた。 「エマ様の食事が冷めてしまうわ」 「そうでした!」 「エマ様、すぐ準備しますね!」 「そんなに急がなくても、大丈夫だよ」  エマは首を振って答える。 (僕が見せてって言っちゃったから。二人のせいじゃないのに)  けど、シーシもスースも、まるで気にしていないようで、手際よく脚つきの木製トレイを置き、その上に器を並べていく。  その間に、ナタリナがエマに小さな木箱を渡してくれた。 「エマ様。こちらは、エマ様の物ですわ」 「僕の?」  受け取った木箱を開けると、中には小さいルビーのペンダントが入っていた。 「あっ! これ、あの店で買ったやつだよね?」  エマはパッと顔を輝かせて、ペンダントを手のひらに乗せる。爪留めのシンプルな形だが、澄んだ輝きを放つルビーに惹かれたのだ。 (ルシアンの瞳みたいに綺麗だから……よすがにしようと思っていたけど)  エマは、そっとルシアンを振り向いた。  エマの焦がれた赤い瞳が、優しく微笑んでくれる。 「可愛いペンダントですね。どこで買ったのですか?」 「あ、えと……アズレーヌの街で、朝市に行ったときに見つけたんです。シーシとスースの髪飾りと同じお店です」 「そ
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第204話 王太子の執務室

     けれど、ルシアンはため息をついて、とんでもないことを口にした。 「当然です。それに、私としては、エマの部屋を天耀宮に用意して頂きたかったのです。断られてしまいましたが」 「えぇっ!? 天耀宮は、王族専用の迎賓館ですっ。僕なんかが使えるお部屋ではありませんっ」  エマはびっくりして首を振った。  けれど、ルシアンは納得してない顔で、ため息をつく。 (ルシアン様、本気だったんだ)  エマとしては、そんなことにならなくて良かったと、胸をなで下ろす。そして、王太子の配慮に改めて感謝した。 「そ、それで……ルシアン様は、いつまでいらっしゃるのですか?」 「いつまで、とは?」 「その、任務が終わったと仰っていたので、もう帝国に戻られるのかと……」 「ああ。もうしばらく、ここに滞在する予定です」 「本当ですかっ?」  エマはパッと顔を輝かせる。  明日にでも帰ってしまうのではと思っていたから、ホッとした。  ルシアンは優しく微笑んで、エマの髪を撫でる。 「せっかく貴方に会えたのです。どうか、貴方の側にいさせてください」 「は、はいっ」  請うように言われて、また頬が熱くなる。  キスをねだってしまわないように、エマは食事に集中することにした。  + + +  ダリウは南殿にある執務室に補佐官達を集め、協議を行っていた。  ここ一週間ほど、慌ただしい事態が続いていたが、対処していくうちに、とんでもない事実が発覚したのだ。  まず、レオナールは、自室での謹慎を命じたにも関わらず、ジゼル側妃の手引きによって王宮を抜け出していた。脱走を公にすれば、ダリウの監督不行き届きをノワジエール侯爵に責められることは目に見えている。 (まったく、忌々しいことだ)  ジゼル側妃が手引きしたと分かっていても、確実な証拠はない。  ダリウは自らの近衛隊に指示を出し、密かにレオナー
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第205話 王太子と皇太子の密談

     今後、ティエリーから今回の騒動の補償として、エマの所有権を譲るように要求されても、こちらは断れない。その口実が、ダリウの手にもたらされたのだ。 (ティエリー殿下は、大した御方だ)  デイモンド伯が密売疑惑でレオナールを拘束したことで、ランダリエ側は取り調べに手を出すことができなくなった。  レオナール達が王宮に輸送された当初は、ダリウも国王や大臣達の意向を汲み、身柄の引き渡しを試みた。しかし、偽装されたサファイア原石が帝国献上品に混じっていた事実が明らかになり、引き下がるしかなくなった。  もし「ランダリエの人間は、自分たちの手で取り調べを行うべきだ」などと主張すれば、すなわち偽装工作に関与したと疑われるからだ。  その結果、ダリウが帝国側での取り調べを容認しても、さほど批判は出なかった。  ダリウにしてみれば、水面下でティエリーと取引済みであり、ノワジエール侯爵を失脚させるための、不正の証拠が出揃うのを待つだけで良い。 (ティエリー殿下には、大きな借りが出来たな)  取引の条件も、帝国へ献上するサファイア原石の量が増えるくらいで、それほど厳しいものではない。ダリウが王位を継げば問題なく対応できる範囲だ。  何より、エマをティエリーに譲ることは、決してエマを不幸にはしない。 「我々の勝負は、王家審問だ」  ダリウは、ルシアンから入手した極秘の報告書に目を通す。  すでに裏付けを取ってあるが、万が一にも失敗は許されない。 「決して、騒ぎが外に漏れぬよう、警備と厳重に頼む」 「はっ。かしこまりました!」  ダリウは協議を終えると、人目を避けて北殿へ向かった。  非公式で滞在している帝国皇太子ティエリーの部屋だ。彼の存在は伏せられており、天耀宮ではなく、北殿の一室があてがわれている。 (反皇太子派を油断させるため……そして、逃げ場を塞ぐためか)  ノワジエール侯爵とワイール伯爵はすでに拘束され、そこから繋がる帝国貴族――反皇太子派の者たちも捕らえ
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