神殿育ちの嫌われΩは、隣国の伯爵αに蕩ける愛を刻まれる의 모든 챕터: 챕터 131 - 챕터 140

206 챕터

第130話 王太子の頼み事

    皇太子の使節団が帰国して四日が過ぎた頃、エマの体は回復し、簡単な書類仕事がこなせるまでになっていた。  その知らせを受け、王太子から呼び出しがあった。  エマは法衣に着替え、南殿の執務室へ向かう。 「エマヌエーレ。元気になったようだな」 「はい。ダリウ殿下」  王太子は、エマを笑顔で迎え入れてくれた。 側に控えていた彼の補佐官たちも、エマに優しい眼差しを向ける。 「色々とお気遣いいただき、ありがとうございます」 「うむ。さて、今後の公務についてだが、そなたが行っていたレオナールの実務は、筆頭補佐官に一任することにした」  今回のブローチ事件で、これ以上エマに負担を掛けられないと判断したのだろう。 「ありがとうございます、ダリウ殿下」  エマは感謝の意を示す。  そして、レオナールの執務官たちのことを思い、胸を痛めた。彼らは、エマよりもずっと前から、レオナールの横暴に振り回されてきた。  風向きが変わった今なら、告発しても彼らに被害は及ばないと判断し、エマは思い切って窮状を訴える。 「恐れながら、申し上げます。筆頭補佐官は、普段から仕事をほとんど執務官に任せています。あの方たちにまで負担が及ぶのは心苦しいです」  エマの申し出に、王太子は眉をひそめ、苦い表情で頷く。 「そなたが言うのであれば、一度、調査せねばならんな」 「ぜひ、お願い致します」  エマは祈るような気持ちで頭を下げた。  王太子に任せておけば、執務官達の負担も軽くなるだろう。  エマが安堵していると、王太子が話を切り出した。 「ところで、エマヌエーレ。一つ頼みがある」 「頼み、ですか?」  エマは目を瞬かせる。  改まって「頼み」というのは珍しい。 「公務の免除を言い渡した手前、話しにくいのだが……私の公務を手伝ってもらいたいのだ」 「ダリウ殿下のお手伝いができるのであれば、ぜひお申し付け下さい」  エマは迷うことなく頷いた。  王太子の元で行う仕
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第131話 新しい公務

   「神殿時代に、挙式の場で祝詞を奏上して、女神の祝福を授ける役目があっただろう?」 「はい。私が担当するのは、平民の方々がほとんどでしたが」  エマが平民出身であることを、神殿内で知らない者はいない。大神殿を訪れる人たちも、他の聖樹と比べて質素な法衣をまとうエマに、察するところはあっただろう。  結婚式を挙げる貴族が、平民出身の聖樹から祝福を望むはずもない。  代わりに、大神殿で結婚式を挙げられるほどの財力を持つ商家の者や、一生に一度きりだからと奮発した平民たちは、心からの笑顔で祝福を授けるエマに、感謝と喜びを表してくれた。 (あのお仕事は、好きだったなぁ)  新しい門出を迎えた夫婦の、晴れやかで幸せな笑顔をすぐ間近で見られるのだ。 「そなたは、あれを役目の一環だと思っているようだが、民は違う」 「え?」 「大神殿で挙式する夫婦は、聖樹の祝福をたいそう喜んだのではないか?」 「あ、はい。ですが、貴族とは違って、想い合って結ばれる方がほとんどですし、そのお相手と結婚されるのですから、当然ではないでしょうか」  エマが答えると、王太子が柔らかく微笑んだ。 「エマヌエーレは、世俗のことに疎いのだな」 「その……何か、違った理由が?」  エマが不思議に思いながら尋ねると、王太子は楽しげに答えた。 「我が国の民が挙式で聖樹の祝福を望むのは、子をたくさん産む聖樹にあやかるためだ」 「……えっ?」 「聖樹の祝福を得ると、子宝に恵まれる。ランダリエでは有名な言い伝えだぞ」 「っ!?」  エマは一瞬で顔を真っ赤にした。 (え!? そうなの!?)  視線をキョロキョロと動かすと、王太子の側で控えていた補佐官たちが、にこりと笑顔で返してくる。 (えぇぇっ!? 僕だけ知らなかったの!?)  恥ずかしさに俯くエマへ、王太子は優しく続ける。 「聖樹の数はそう多くない。平民が大神殿で式を挙げるには、相当な順番待ちと聞く。なあ、ユリック」  王太子が、控えていた中年の補佐官を振り返
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第132話 いい知らせ

   「ですが、エマ様。お泊まりの公務となりますと、私以外の侍女やメイドが必要ですわ」 「あ、ダリウ殿下が、必要なら女官を貸して下さるって言ってたけど」  エマは、先ほどの打ち合わせを思い出す。  今はナタリナが琥珀の館を取り仕切っているとはいえ、残っている侍女やメイドは側妃派の者が多い。信頼できない者を公務に同行させるのは、揉め事や情報流出の危険があった。 『必要な物はこちらで揃える。遠慮なくユリックに伝えよ』  王太子はそう言って、楽しげに笑みを浮かべていた。 (あれって、今回の準備も、ダリウ殿下に試されてるってことだよね)  初めての地方公務で、信頼できる部下をどう集めるのか、どのように準備を進めていくのか、上に立つ者としての采配が試されている。試験官は、ユリックだ。 (ユリック殿に、何をどこまで依頼するのかも、見ておられるんだ)  王族の婚約者として相応しいかどうか。そのための試験に思えるが、先日のレオナールの不祥事を王太子はよく思っていないはずだ。  エマがレオナールを支えられるように、という目的でもなさそうである。 (だって、そんなこと一度も言われたことない)  レオナールの補佐官や秘書官は、ことあるごとに「レオナール様の仕事をさせて頂いてるのだから光栄に思え」という態度だが、王太子から押しつけがましい言動は見られない。 (もしかしたら……王子の婚約者としてじゃなくて、僕自身が役に立つかどうか見ておられるのかも)  そう思ったら、胸に温かな光がともった。  王太子の期待に応えることができたら、レオナールから婚約解消された後、助けてもらえるかもしれない。 (ルシアン様は、いつ迎えに来て下さるか分からないから。もしもの時は、ナタリナだけでも助けてもらえるように……そのお願いができるように、僕の価値を示さなきゃ)  エマはぐっと拳を握りしめて、決意を新たにする。 「ナタリナ!」 「はい、エマ様」 「今回の公務、できるだけ殿下の手を煩わせないように、僕たちで頑張ろうね!」 「もちろんです。
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第133話 懐かしい双子

    出発までの六日間は、慌ただしく過ぎていった。  ナタリナは侍女長代理として采配を振るい、エマたちが留守の間は、下級メイドのミナに監視を頼むそうだ。「エマヌエーレ様っ、こちらのことはお任せ下さい!」  明るい栗色の髪を、顎のあたりで切り揃えたミナは、張りきって胸を叩いた。  ナタリナの信頼も厚く、よく気の利く快活な彼女は、エマの一つ年上だ。  彼女は五年前に、イーリス大神殿で希少な聖樹の御守を偶然手に入れ、そのおかげで病気の母親が回復したのだと話してくれた。その御守はエマの作ったもので、その恩を返すためにエマのメイドになったらしい。 (平民の人たちは、お金を払えない人が多かったもんね)  あんな山奥までわざわざやってきても、神官の祈祷は高額すぎて断念する人がほとんどだ。だからエマは、手が空いたときは御守を作って、配るようにしていた。  ミナの手に渡ったのが、たまたまエマの御守だっただけなのに、彼女はエマに深く感謝しているようで、今でも熱心に働いてくれる。  前の侍女長にエマが冷遇されていたときも、こっそり食料を融通したり、外の様子を報告したり、色々助けてくれたらしい。 (明るくて良い子だよね。シーシやスースとも、気が合いそう)  かつて仕えてくれた双子を思い出し、楽しい気分になった。  そして、アレシオン伯爵領へ向かう日は、あっという間にやってきた。  南殿で王太子に挨拶を済ませて、エマはナタリナと、王太子の次席補佐官であるユリックと共に、御用門前の馬車寄せへ向かった。今回の地方公務は、本来は王太子の公務のため、ユリックがその責任者となる。  これから五日間、馬車での移動になるため、みな外出着で身なりを整えていた。  エマは、新調した法衣の上に、厚手の外套を羽織った。象牙色の滑らかなベルベット地に白銀の刺繍が施され、首元には白い毛皮の襟が添えられている。   春とはいえ、温かいのは昼間だけで、馬車ともなれば外気で冷える。馬車の中には、暖を取るための魔道具や毛布が運び込まれているはずだ。 「エマ様、寒くないですか?」
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第134話 エマの花侍(かじ)

    バシバシッと双子の頭を叩き、無理やりエマから引き離す。 「まったく貴女達は! 少しは成長したかと思えば、まるで変わっていないではないの!」 「きゃっ、ナタリナ様に怒られちゃった~」 「お小言も、久しぶりよね~」  ナタリナの怒りにも堪える様子もなく、肩を寄せ合ってコソコソ話している。  琥珀の瞳は楽しんでいるようで、反省の色は見えない。  そんな双子を前にして、ナタリナの額に青筋が浮かんだ。 「貴女達がそんな調子では、エマ様の恥になるでしょう! さあ、早くご挨拶なさい!」  ナタリナの叱責に、双子は小さく肩をすくめる。互いの目を見合わせて、笑みを交わした。  そして、裾をそっと摘み上げながら、同じ動きで一歩前へ進み出る。流れるような所作で片膝を折り、胸に手を当てて深く頭を垂れた。  凜とした清らかな声を揃えて、エマに挨拶する。 「敬愛なる聖樹エマヌエーレ・イーリス様。再びお仕えできますこと、喜びと感謝を申し上げます」 「二人ともありがとう。これからも頼りにしています」  エマが笑顔で頷くと、双子は同時に立ち上がり、ユリックへと向き直った。  軽やかな仕草で片膝を折り、揃って深く頭を垂れる。 「お初にお目にかかります。ユリック・ハーランド殿。わたくし達は、聖樹エマヌエーレ様にお仕えする花侍……上級メイドの、シトラ・エラルディン、ならびにストラ・エラルディンにございます。以後お見知りおきくださいませ」  声を揃えたその調子は完璧で、まるで舞台の一幕のようだ。  顔を上げた琥珀の双眸は細められ、ユリックを見定めている。柔らかな微笑みを浮かべているが、その瞳は冷徹だった。  身分が上の者を前にしても、物怖じしない。  ふざけているようで、注意深く回りを観察している。主に殉じる覚悟を持った、忠誠心の厚いメイドであるのは間違いなかった。  「……ユリック・ハーランドだ。こたびの公務では、私が指揮を執らせていただく。エマヌエーレ殿には不便のなきよう取り計らう故、そなたらの協力を頂けると助かる」  ユ
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第135話 二年ぶりの再会

    ラミナ子爵家は王都の近くにある小領地で、良質な天然染料で国内外の商会と取引している、中立派の貴族だ。そこの令嬢が、帝国の貴族と結婚していたとは知らなかった。 「あたし達、帝国の貴族ですけど、大神殿にいた時間が長いし~」 「実家に戻ってからは、それなりに遊びましたけど~」  シーシとスースは顔を見合わせて、エマにギュッと抱きついた。 「シィは、エマ様と一緒にいる方がずっと大事です~」 「スゥもです! お父様とお母様には、この二年で十分に子供の役目を果たしてきましたから、心配いらないですよ~!」 「シィはスースと、い~っぱい買い物して、遊びに出かけて、社交界で人脈も作ったし~」 「スゥはお父様を手伝って、経営も覚えましたよ~! とりあえずやることやってきたんで、大丈夫です~」  二人は、はしゃいだ声で楽しそうに報告する。 「そうなんだ? でも、ご両親に引き留められなかった?」 「あ~、お父様には泣かれましたけど、ランダリエに行って、お金になりそうな貴族の顧客を見つけてくる~って言ったら、送り出してくれたよね?」 「そうそう。お父様って涙もろいくせに、ちゃっかりしてるもんね~」  スースが笑いながら、ツインテールを揺らす。 「あたし達、エマ様にずっとお会いしたかったんですよ」  琥珀の瞳をキラキラさせて、エマを見つめる。  期待に満ちた笑顔を見たら、断れるはずがない。 「……ありがとう、二人とも。僕も、シーシとスースに会えて嬉しいよ」 「きゃあっ! エマ様、可愛い!」 「あたし達の天使ですわ~!」  エマの頭に頬を擦りつけて、ぎゅむっと抱きしめてくる。  向かいに座ったナタリナが、眦をつり上げているが、二年ぶりの再会なので我慢してくれてるようだった。 「……それで、貴女達はどうしてこの時期に戻ってくることにしたの?」  ナタリナの問いに、二人はエマに抱きついたまま答えた。 「ランダリエのお祖父様に、エマ様の情報を集めて下さるように、シィとスースでこっそり頼んでたんです~」
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第136話 同行の騎士たち

    彼が、第二王子の婚約者であるエマをどう思っているか、よく分からない。王太子がエマを聖樹として大切に扱っているため、同じように接することを決めたようだった。  ナタリナの兄弟騎士は、エマの要請によって任務にあたるため、エマの私的護衛のような立場になるという。  ナタリナと同じ赤毛で、髪を短く刈り込んだ青年が、ナタリナの兄だ。キリッとした顔つきで、背が高い。 「聖樹エマヌエーレ様の警護を務める、パトリック・ケイルです。こたびの任務、誠に光栄でございます。騎士とケイル家の名にかけ、必ず聖樹様をお守りいたします」  強い責任感と誠実さを感じさせる、真面目な騎士である。 「ありがとう。頼りにしています。ケイル中隊長」 「はっ!」  ビシッと敬礼する様は、仕事に徹するときのナタリナに似ていた。  背の高いパトリックの後ろに並ぶのは、ナタリナの弟、ニコラだ。赤毛を肩の上まで伸ばした彼は、小隊長になったばかりだというが、兄と違って愛嬌のある顔をしている。 「ニコラ・ケイルと申しますっ! この度は、聖樹エマヌエーレ様の護衛任務に抜擢いただき、感謝いたしますっ!」  元気いっぱいのニコラは、キラキラと目を輝かせて、エマにを敬礼した。  どうやら、今回の任務が嬉しくてたまらないようだ。 「ケイル小隊長、頼りにしています」 「はいっ! お任せ下さい!」  胸を叩くニコラに、ナタリナが厳しく言った。 「ニコラ。張りきるのはいいけれど、エマ様のご迷惑にならないように」 「分かってますよ、姉上!」 「お前はすぐ、後先考えずに飛び出すのだから、心配だわ」 「それは、姉上も同じじゃ……」  反論しようとしたニコラの頭を、パトリックがバシッと叩く。 「馬鹿者ッ! 聖樹様の前で失礼な態度を取るな!」 「いッ……! く……は、はい。申し訳ありませんっ」  ニコラは涙目になりながら、エマに謝った。  エマは気にしていないが、兄弟はサッとその場を辞して、護衛の配置につく。 (二人とも
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第137話 エマの侍女

    エマがイーリス大神殿に来た当初から、ナタリナはずっとエマの侍女だった。剣を持ったところなんて見たことがない。 (僕が、知らないだけなのかな?)  思い返せば、ときどき物騒な言葉が飛び出してきたが、あれも本気だったんだろうか。  刃物の扱いが上手なのは知っているけど……もしかして、エマの侍女になることを選んだから、騎士を諦めたのだろうか。  そう思うと、少し不安になった。 「ナタリナは……騎士になりたかったの?」  おそるおそる尋ねると、ナタリナが目を見開いた。  驚いた顔で首を振る。 「まあ、何をおっしゃるのですか! 騎士などと、そんな面倒くさい職は考えられませんわ!」 「め、面倒くさい?」 「ええ! まったく、身分の上下関係がうるさいのです。強さこそすべて。それがケイル家の家訓だというのに」  ナタリナは眉間に皺を寄せて、馬車の窓から外を見上げた。  その先には、今回の護衛にあたる騎士の姿が見える。 「あの頃は見習いでしたが、私より弱い上司に従うほど、忍耐がございませんでした。ちょうど、エマ様の侍女になってほしいとお話があり、尊い方にお仕えできる良い機会だと思って引き受けたのです」 「そうだったんだ」 (そういえば、僕が平民で男だったから、誰も聖花女になりたがらなかったんだよね)  エマがイーリス大神殿に来たころは、他の聖樹だけでなく、神官や花侍見習いの子たちも、エマを遠巻きにしていた。一時的に面倒を見てくれたのは、おばあちゃんと呼んでもおかしくない年齢の聖花女で、「おうちにかえりたい」と泣いてぐずるエマを優しくあやしてくれた。その方が、まさか聖花女の頂点に立つ大聖花だとは、当時はまったく知らなかったけど。  そんな大聖花も、エマと一緒にいてくれるのは、昼間だけだった。夜になるとエマは部屋で一人きりになり、泣いて過ごすしかなかった。  寂しくてたまらない日々が続き、泣き暮らしていたときに、ナタリナが侍女としてやってきたのだ。 「僕は、ナタリナが来てくれて、すごく嬉しかったよ」
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第138話 噂のラブロマンス

   「中立派の令嬢達の間では、お二人のラブロマンスで、密かに盛り上がっているのですよ~!」 「えっ、どういうこと!?」  エマはびっくりして声が裏返った。  ナタリナも驚いた顔をしている。 (僕とルシアン様のラブロマンスって、なに!?) 「中立派の令嬢たちは、爵位の低い貴族も多いんですよ~」 「だから、第二王子が嫌いな子も多くって~」 「いつもカミラ様を連れてますし、若い女の子がいれば鼻の下を伸ばすような人だものね~」  レオナールの評判は、下級貴族の間でも良くないようだ。  双子は両脇からエマをギュッと抱きしめて、切実な声で訴える。 「エマ様をないがしろにする男なんて、シィは認めません!」 「スゥだって同じです! あんな男より、デイモンド伯爵様の方がずっと素敵じゃないですか~!」 「スースの言うとおりです! デイモンド伯爵様は、童話に出てくる王子様みたいですもの!」 「そんな方が、エマ様に優しく微笑みかけてる姿をみれば……!」 「密かな片思い? もしくは、禁断の恋!?」 「って、思った方がいたらしくて!」 「禁断の恋に身を焦がす、若い男女の恋物語が、飛ぶように売れてるんですよ~」 「ちょっと待って! それ、物語だよね!?」  エマは慌てて二人を見上げるが、シーシとスースはニコニコしたままだ。 「いやですわ、エマ様。モデルが誰かなんて、知らない者はいませんわよ」 「スースの言うとおりです! 聖樹を金の聖女に、設定を変えてるだけです」 「お茶会で会った中立派の令嬢達は、みな、そのロマンス本を読んでました」 「それで、金の聖女と銀の伯爵のラブロマンス本が、一部で流行しているんです~」  シーシとスースは楽しそうに話すが、その本が側妃派に知れ渡ったらマズイのではないだろうか。  エマとレオナールの婚約は、王命なのだ。それに反するような内容の小説が流行ってるなんて……もしレオナールの耳に入ったら、またエマのせいだと理不尽になじるはずだ。 「大丈
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第139話 ルシアンの任務

   エマのために動いてくれているはずだが、どこにいるのか、何をしているのか、具体的なことは何も知らないのだ。(早く、お会いしたいな) 最後にルシアンと別れてから、もう二週間が経つ。 迎えに来ると言ってくれた約束は、数ヶ月、もしくは数年かかるかもしれない。 次、いつ会えるか分からないこそ、ルシアンが恋しくてたまらなかった。  + + +  ルシアンがワイール領に来てから二週間が経つ。 皇太子から宝飾制作の依頼の判断をするため、という名目で極秘に訪れ、領主の館に滞在していた。 ワイール伯爵は、野心の強い男だが、同時に警戒心も強い。 ルシアンが調査のために動いていることを知られないように、あくまで客人として振る舞った。「ワイール伯爵の奥方は、まだ王都に?」「はい。妻はずっと領地にいるのが退屈なようでして。側妃の話し相手を務めると言いながら、羽を伸ばしているのでしょう」 ワイール伯爵は、へつらうように笑いながら答える。 帝国の皇太子ティエリーを招いた王太子主催の夜会で、レオナールが不祥事を起こしたことは、すでに社交界で広まっていた。その不祥事の被害者であるルシアンに対し、ワイール伯爵は内心で冷や汗ものだったはずだ。 帝国の皇族から宝飾制作の依頼を賜れる絶好の機会を得た直後に、あの騒ぎが起きたのだから。 それでも、打ち合わせ通りにルシアンがワイール領の視察に訪れたことで、安堵したはずだ。これ以上、ルシアンの機嫌を損ねないようにと、レオナールの関係者を遠ざけたようだった。 実際にジゼル側妃は、謹慎を命じられたレオナールが可哀想だと国王に訴え、王太子には激しい抗議をしているらしい。ジゼル側妃の妹であるワイール伯爵夫人が自ら、側妃を慰めるという名目で王都に残っていることは、ワイール伯爵やルシアンにとっても好都合だ。(伯爵夫人は、ワイール領に嫁いだ自分の立場に不満があるようだな) 同じノワジエール侯爵家に生まれた姉妹でありながら、姉は王の側妃
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