皇太子の使節団が帰国して四日が過ぎた頃、エマの体は回復し、簡単な書類仕事がこなせるまでになっていた。 その知らせを受け、王太子から呼び出しがあった。 エマは法衣に着替え、南殿の執務室へ向かう。 「エマヌエーレ。元気になったようだな」 「はい。ダリウ殿下」 王太子は、エマを笑顔で迎え入れてくれた。 側に控えていた彼の補佐官たちも、エマに優しい眼差しを向ける。 「色々とお気遣いいただき、ありがとうございます」 「うむ。さて、今後の公務についてだが、そなたが行っていたレオナールの実務は、筆頭補佐官に一任することにした」 今回のブローチ事件で、これ以上エマに負担を掛けられないと判断したのだろう。 「ありがとうございます、ダリウ殿下」 エマは感謝の意を示す。 そして、レオナールの執務官たちのことを思い、胸を痛めた。彼らは、エマよりもずっと前から、レオナールの横暴に振り回されてきた。 風向きが変わった今なら、告発しても彼らに被害は及ばないと判断し、エマは思い切って窮状を訴える。 「恐れながら、申し上げます。筆頭補佐官は、普段から仕事をほとんど執務官に任せています。あの方たちにまで負担が及ぶのは心苦しいです」 エマの申し出に、王太子は眉をひそめ、苦い表情で頷く。 「そなたが言うのであれば、一度、調査せねばならんな」 「ぜひ、お願い致します」 エマは祈るような気持ちで頭を下げた。 王太子に任せておけば、執務官達の負担も軽くなるだろう。 エマが安堵していると、王太子が話を切り出した。 「ところで、エマヌエーレ。一つ頼みがある」 「頼み、ですか?」 エマは目を瞬かせる。 改まって「頼み」というのは珍しい。 「公務の免除を言い渡した手前、話しにくいのだが……私の公務を手伝ってもらいたいのだ」 「ダリウ殿下のお手伝いができるのであれば、ぜひお申し付け下さい」 エマは迷うことなく頷いた。 王太子の元で行う仕
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