Lahat ng Kabanata ng 神殿育ちの嫌われΩは、隣国の伯爵αに蕩ける愛を刻まれる: Kabanata 11 - Kabanata 20

51 Kabanata

第10話 ナタリナの大切な主

    ナタリナが十五歳になる年、幼いエマと初めて出会った。  代々騎士の家系であるケイル男爵家に生まれ、男兄弟に囲まれて育ったせいか、ナタリナには結婚願望がなかった。  次々とやってくる縁談話にうんざりしていたナタリナの元へ『幼い聖樹の侍女にならないか』という話が舞い込んだ。その『聖樹』が平民の生まれであり、男子であることを知ったナタリナは、誰も侍女になりたがらないのだろうと思い、弟の世話をするくらいの気持ちで、神殿に入った。  貴族生まれの聖樹が多い中、平民の、しかも男の『聖樹』は、他の『聖樹』達から歓迎されておらず、ナタリナを前にしたエマは、心細そうにしていた。  歳は五つと聞いていたが、ナタリナの生意気な弟とは全く違い、女の子のように可愛らしい。  光に輝く金髪と、煌めくような黄金色の瞳。まるで天使のようで、ナタリナはうっとりと見惚れたものだ。 「……ぼくの、じじょさんですか?」  侍女が何なのかさえ分かっていない顔だ。けれど、ナタリナを窺う瞳が、期待に満ちているのを感じた。 「はい。エマヌエーレ様。このナタリナが、侍女としてお仕えいたします」 「……ぼくと、いっしょにいてくれるの?」 「もちろんです。ずっと、エマヌエーレ様のお側にいます」 「よるも? かえったりしない?」 「ええ。朝も夜も、ずっと一緒ですよ」  ナタリナが優しく答えると、エマの目が輝いた。  トコトコとナタリナの側にきて、ドレスの裾をぎゅっと握る。 「ぼくも、ナタリナといっしょにいるっ」  掴んだ裾を懸命に握りしめる姿に、胸を締めつけられた。  エマは、両親から無理やり引き離され、神殿に入れられたと聞いている。その上、他の『聖樹』からは、のけ者にされているのだ。  ナタリナはその境遇を哀れに思い、同時に、愛らしいエマの側にいられる自分を、幸せだと思った。 (私が、エマヌエーレ様をお守りしなくては!)  使命感に燃えたナタリナは、固く心に誓った。  幼くして家族と生き別れになったエマのために、誠心誠意尽
last updateHuling Na-update : 2025-06-12
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第11話 命よりも大切な御方

    腕を洗っていると、手首にわずかな痣を見つけた。  縛られた跡のようで、思わず目をつり上げる。  昨日まではなかったその跡は、あの外道がエマを傷つけた証拠だ。『聖樹』を傷つけたことが発覚すればマズいのはレオナールの方なのに、最近はこうして、体に痣を残すことがある。 (あの外道がッ!!)  ナタリナは湧き上がる殺意をなだめ、必死に押さえこむ。  代わりに、エマの二の腕を優しくさすりながら、褒め称えた。 「エマ様のお肌はなめらかで、透き通るような美しさですね」 「そ、そんなことないよっ」 「いいえ。エマ様はとても美しいですわ。お肌はすべすべですし、御髪も輝くような金髪ではありませんか」 「ふつうの金髪だと思うけど」  エマが濡れた髪を引っ張って、不思議そうに見つめる。 「普通なんていったら、謙遜が過ぎますよ。エマ様」 「でも、そんなたいそうなものじゃないよ?」 「いいえ。エマ様の瞳の色と揃って、美しいですわ」  ナタリナはあらためてエマの顔を覗き込む。  澄んだ黄金色の瞳は、黄水晶が煌めいているようで、目を見張るほどに美しい。 「エマ様の瞳は、神秘的ですわ」 「神秘的?」 「はい。まるで宝石を埋め込んだみたいに、お美しいです」 「ナタリナ。褒めすぎだよっ」  エマが頬を染めて、小さく呟く。  照れる主人が可愛くて、ナタリナはさらに続ける。 「エマ様の唇も、とても愛らしいですわ。ふっくらして、紅をつけずとも艶がありますもの」 「もう~」  エマは頬を赤くして、プイッとそっぽをむく。  これくらいの賛辞で照れるエマが愛らしい。 (なんて可愛らしい方)  十年以上、侍女として仕えているが、エマは初めて会った頃からずっと可憐なままだ。  男でありながら『聖樹』となったエマは、神殿に入り神官と共に日々禊ぎを行い、厳しい淑女教育を受けて育った。  ナタリナと二人きりの時は気楽な話し方になるが、教養もあり、礼儀
last updateHuling Na-update : 2025-06-13
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第12話 馬車の二人

   「おい、ルシアン。その不機嫌な面(つら)をどうにかしろ」  向かいに座る男が、呆れた口調でルシアンを咎めた。  ルシアンは馬車の物見窓から、向かいの男に視線を移動させる。  目の前に座っているのは、ルシアンと同い年の若い男だ。  漆黒の髪に深紅の瞳を持ち、端麗な顔立ちに均整の取れたしなやかな体は、帝国中の令嬢達の憧れの的だ。  しかしルシアンは、長い付き合いである彼の容姿には一切興味がなく、彼の身分すら頓着しない。 「ティエリー。帝都を出てもう二十日経ったぞ。いつになったらランダリエの王都へ着くんだ?」 「あと二日もあれば到着するだろ」 「今日には到着する予定だっただろう?」  ルシアンは苛立ったようにティエリーを睨む。  冷たい眼差しに、ふつうの人間なら震え上がるところだが、ティエリーは楽しげに笑った。 「数日遅れたところで問題はない。式典には間に合うし、街の見物だってできるさ」 「馬で飛ばせば一週間で着くだろう。私は一足先に行くと言ったのに、なぜ君と同じ馬車で移動しなくてはいけないんだ?」 「皇族専用の馬車に同乗しておきながら、不満を言うのはお前くらいだよ、ルシアン」 「私が乗せてくれと頼んだか?」  ルシアンはしかめ面で、ティエリーをギロリと睨む。  皇太子であるティエリーに対し、不遜極まりない態度だ。  通常なら不敬罪で罰せられるが、ティエリーはルシアンの態度を咎める気はない。  帝国の皇太子ティエリーの学友にして、次席補佐官デイモンド伯爵。  それが、帝国におけるルシアンの立場だ。  月光を思わせる銀の髪は背中を覆うほどに長く、人前に出るときはいつも一つに括っている。  ルビーのような美しい瞳は、ティエリーの瞳の色とよく似ていた。 「そう苛立つな。俺達が早く着くと、不都合があるだろ」 「だから私が先に調査すると言っただろう」 「お前は目立つから駄目だ」  ティエリーがばっさりと言い切る。 「帝国では銀髪も珍しくな
last updateHuling Na-update : 2025-06-14
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第13話 可憐な花

   「実際、アルファの跡継ぎを望むのは、貴族も王族も同じだ。先代皇帝の側室も、ランダリエ産だったな。彼女の生んだ子はアルファばかりで、私も感心したものだ」  ティエリーの言葉に、ルシアンはますます眉間にしわを寄せる。  オメガを家畜扱いするのは、帝国では当たり前の風潮だ。  もっとも、ティエリーにとっては、貴族も平民もオメガも等しく駒でしかない。  その証拠に、ティエリーは悪巧みの笑みを浮かべてルシアンを見た。 「ルシアン。王族の番になった聖樹は、ただの飾りじゃない。妃として政治にも携わる」 「……それで?」 「お前が手懐けて、情報を探れ」 「……」 「オメガはアルファに逆らえないだろ? お前の女にしてしまえば、簡単に言うことを聞く」 「この私に、色仕掛けをしろと?」  ルシアンは怒りを露わに、ティエリーを鋭く睨みつけた。 「お前が適任だ」 「王妃や王子妃に、そう簡単に接触できるわけがない」 「一人、ちょうど良い相手がいるだろう?」 「……まさか、第二王子の婚約者のことか?」  ルシアンの問いに、ティエリーは笑顔で頷いた。  さすがにルシアンも声を荒げる。 「子どもに手を出せと言うのか!?」 「もう成人してるだろ。たしか十六だったな」 「十分子どもだ!」 「いいじゃないか。恋に浮かれる年頃だ。お前が甘い声で愛を囁けば、簡単に落ちる」  ティエリーは楽しそうに答えるが、目は笑っていない。  本気で言っているのだ。  ルシアンは舌打ちして、窓の外に視線を移す。 (確かに、情報を得るには適した方法だ)  実行するのがルシアンでなければ、喜んで賛成した。  しかし、オメガを駒にすることには抵抗がある。 「難しく考えるな。帰国すれば二度と会うこともない。後腐れなく遊べる相手だと思って割り切れ」  ティエリーの無責任な言葉に苛立ち、ルシアンは返事をしなかった。 +++ 二日後に
last updateHuling Na-update : 2025-06-15
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第14話 警戒

    おそらく、エマヌエーレは発情期が近いのだ。  油断していたから、つい当てられただけだと判断し、気を引き締めた。  今朝は、念のために抑制剤を服用してきたので、これ以上は煽られることもないだろう。  ルシアンはいつも通りに、社交用の穏やかな微笑みを浮かべた。  王族との顔合わせを済ませた後、国王と王妃、王太子妃が退出する。この後の打ち合わせは、王太子と第二王子が対応すると聞いていたが、そこへ第二王子の部下が入ってきた。報告を受けた第二王子は「急用ができた」と、嬉々として出ていく。  事前に目を通した調査書の通り、無能な王子に違いない。  王族側で残ったのは、王太子とエマだけになる。  さっそく、式典の打ち合わせに入ろうとするが、ティエリーがいきなりエマヌエーレに向かって話しかけた。 「イーリス殿。式典の打ち合わせは、デイモンド伯としてくれ」 「えっ?」 「私は、ダリウ殿下に用があるのだ」  ティエリーはにこやかに笑って、王太子を振り返る。  王太子も驚いた様子だが、皇太子であるティエリーの言葉に頷くほかない。  ルシアンとエマヌエーレを二人きりにするのは、王族側にとって良いことではないだろう。だが、婚約者として止めるべき第二王子は、すでに退出した後だ。  指名されたエマヌエーレは、不安そうに王太子を仰ぎ見る。  王太子が頷いたのを見て、エマヌエーレは覚悟を決めたようだった。 「かしこまりました。皇太子殿下」  エマヌエーレは緊張した面持ちで、頭を下げる。  ティエリーは満足そうに頷き、ルシアンを振り向いた。 「後は任せたぞ、デイモンド伯」 「はい、皇太子殿下」  ルシアンが頷くと、ティエリーは笑顔でルシアンの肩を軽く叩き、小声で囁いた。 「手懐けておけ」 「……善処します」  気は進まないが、ティエリーの命令だ。  さりげなく手渡されたのは、避妊薬の粉薬。最初から、ルシアンとエマヌエーレを二人きりにさせるつもりだったのだ。
last updateHuling Na-update : 2025-06-16
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第15話 挨拶

    エマは右手で胸元を押さえ、頬を赤く染めて、涙を浮かべていた。  初心な反応に、高揚感を覚える。  ルシアンは薄く唇を開き、舌でぺろりと甲を撫でた。 「ひぁぁんっ」  ビクンッとエマの体が震え、慌てて口を覆い隠す。  エマの甘い声に、笑みが浮かぶ。  ルシアンはさらに、手の甲から指先へと、舌でペロッと軽く舐めていく。 「ひゃんッ! ぁ……だ、ダメですっ」 「エマ。どうか、ルシアンと」 「んぁぁっ……ァッ、る、ルシアン、さまぁ……ぁぁっ」  甘い刺激に耐えきれなかったのか、エマはとうとう降参した。  名を呼ばれたことに満足して、ルシアンはようやくエマの左手を離した。 「ん、っ……ルシアン、様」 「エマ。怯えないで下さい」  ぽろ、と涙をこぼすエマに、優しく微笑んだ。  ハンカチを取り出すと、エマの左手を丁寧に拭う。 「る、ルシアン様っ」 「大丈夫ですよ、エマ」  ルシアンは立ち上がり、エマの頬をそっと撫でる。  戸惑うエマに、優しく言い聞かせる。 「最初に言ったでしょう? 美しいものを愛でるのは紳士の嗜み。これは私の挨拶のようなものです」 「ぁ、あいさつ……?」 「貴方はまだ若いから、世間を知らない。これは婚約者への裏切りではありませんよ」 「ぁっ……ほ、本当ですか?」 「ええ」  ルシアンの微笑みに、エマはホッと息を吐く。  素直に信じる姿を見て、良心が咎めた。同時に、エマの状況を把握する。  番のいるオメガが、他のアルファに反応することはない。  だが、エマはルシアンの接触を拒まず、それどころか甘い声を上げ感じていた。 (エマは、まだ誰とも番っていない)  すでに第二王子の番になっている可能性もあったが、これならルシアンに勝算がある。 (情報を聞き出すくらいはできるだろう)  オメガを利用するのは心苦しいが、ティエリーの命令を無視するほうが厄介だ。  
last updateHuling Na-update : 2025-06-17
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第16話 王太子

    ランダリエ国王の即位二十周年記念式典には、諸外国から貴賓が訪れる。それらの接待をエマがほとんど任されることになったのは、二ヶ月前のことだった。  第二王子の婚約者という立場に加えて、レオナールがやるべき仕事をエマに全て押しつけてきたからだ。 「帝国の皇太子は、兄上が接待するそうだ。他の貴族は貴様がもてなせ」  一方的に命令し、エマをきつく睨んだ。 「いいか。兄上に劣らぬ完璧な接待で、オレの評判を上げるんだ。間違っても、オレの顔に泥を塗るなよ?」 「……かしこまりました」  レオナールに逆らえるはずもなく、エマは一人で準備をする羽目になった。  ナタリナが本館のメイドを捕まえて聞いたところによると、レオナールは皇太子の接待を任されなかったことに腹を立てて、国王の叱責を受けたと言う。  エマと二人で、訪れる帝国貴族をもてなすよう命じたというが、レオナールが従うはずがない。 「陛下は本気で、あの男が真面目に働くと思ってるんでしょうか?」 「ナタリナ。そういうことは言ったらいけないよ」 「誰も聞いてませんわ」  ナタリナはそう言って、悪口を止めない。 「全く、忌々しいこと! ここへ剣を持ち込めるなら、今すぐ叩き斬ってやりたいくらいですわ」  ナタリナは時々、物騒なことを言う。 「ナタリナ」 「冗談です。エマ様」  微笑むナタリナに、エマもそれ以上は咎めなかった。  誰にも聞かれてないことを確かめた上での発言だし、エマ自身も、レオナールがいなくなればいいのにと常々思っていたからだ。  そうしてエマは、一人で準備に奔走することになったが、意外にも手助けしてくれた人がいた。  王太子のダリウだ。  レオナールの兄で、エマより十歳年上の王太子は、聡明で剣の腕も立つ、次期君主に相応しい人物だ。  エマがレオナールの秘書官から大量の仕事を渡され、途方に暮れていたときに、手を差し伸べてくれた。  南殿(なんでん)にある王太子の執務室に呼び出された時は緊張したが、王太子は応
last updateHuling Na-update : 2025-06-18
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第17話 夜伽

    少し躊躇った後、厳しい顔のまま告げた。 「いいか、エマヌエーレ。……万が一、皇太子から夜伽を命じられても、そなたは断れぬ」 「ぇ……?」  一瞬、何を言われたのか分からなかった。  夜伽とはつまり、皇太子と閨を共にするということだ。 「公の場で求められることはない。私がその場にいれば、断れるように口添えはする。だが、もしそなた一人の時に命じられたら、謹んで受けよ」 「ですが! 私は、レオナール王子の婚約者ですっ」  王族の婚約者を夜伽に命じるなど、普通は考えられない。  王太子は哀れむようにエマを見つめた。 「皇太子は、何をしても許される立場だ。正当な理由があれば抗議はできるが、多少の暴挙には目をつむるしかない」  その言葉に、エマは悟った。 「……私がオメガだから、受けねばならないと言うことですか?」 「そうだ」  ためらいなく頷く王太子に、エマは唇を噛んだ。  もしエマがアルファかベータであったなら、ランダリエは非情な命令だと抗議するだろう。 「帝国のオメガは、娼婦と変わらぬ。同時に、我が国の『聖樹』は特別だ。皇太子が特別なオメガとして『聖樹』を所望した場合、受けねばならん」  王太子の言葉に、エマは俯いた。 『聖樹』は、王家の所有物だ。外交のカードとして使われるのは、当然のこと。  国のために、王家のために、道具として扱われるのが定めだと分かっていたが、目の前に突きつけられると、恐ろしくて仕方なかった。 「今残っている『聖樹』で、皇太子の夜伽をできる年齢の者は、そなたしかいない。そして、そなたはまだ正式な妃ではない」  王太子が続けた言葉に、愕然とした。  まさしく、その通りなのだ。  エマがレオナールの婚約者に選ばれたのも、年齢の釣り合う聖樹が他にいなかったから。歳の近い『聖樹』はもう他国の王族へ嫁いだ後だ。  そして、王太子夫妻には子が三人もいる。王家の血筋を残す意味でも、エマは必要ない。  ただ、しきたりによって、王子の婚約者に選ばれただ
last updateHuling Na-update : 2025-06-19
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第18話 静香石

    式典と貴賓の接待のため、レオナールの従者から発情の抑制剤を少しだけ渡してもらえたが、エマの体調は優れなかった。  発情期はまだ先の予定なのに、軽い微熱が続いている。 (ルシアン様のフェロモンに、あてられたのかも……)  エマは密かにそう思ったが、ナタリナにさえそのことは話さなかった。  式典を明日に控え、夜中まで書き物机で書類の暗記に励んでいたが、それをナタリナが止めた。 「エマ様。薬を用意しましたのでこちらへ」 「薬?」  ナタリナに促されるまま、エマはベッドに腰掛ける。 「抑制剤には及びませんが、熱を下げる効果があるので、少しは楽になるはずです」  ナタリナに渡された小さな器には、緑色の液体が揺れていた。 「私が煎じたものです。鎮静効果のある薬草をすりつぶして、蜂蜜を加えました」 「う……」  見た目も匂いも不味そうだが、ナタリナの善意を無駄にするわけにはいかない。  意を決して、一気に飲み干す。 「んっ……ッ!」  口の中に苦味が広がり、顔をしかめる。  一滴も残さず胃に収めると、ナタリナが優しく微笑み、今度は器に水を足してくれる。  それも飲み干すと、口の中がスッキリした。 「さあ、横になってお休み下さい」 「でも、準備が……」 「先ほど、王太子殿下の使いが参りました。エマ様の容態を心配して下さり、今宵は休むようにとの言づてです」 「ぁ……ダリウ殿下は、お気づきになられてたんだ……」  王太子の指示に従い、貴賓を迎える準備をしていたが、この数日で何度も顔を合わせたので、エマの不調を見抜いたのだろう。  逆に、レオナールはこの一週間ほどろくに顔も見ていない。カミラ嬢と王宮庭園を散策する姿が、たびたび目撃されているそうだ。  ナタリナはエマの肩まで毛布を掛け、優しく告げる。 「朝になったら、起こしに参ります。それまではお休み下さい」 「うん」  横になると、体が急に重くなった。  思った以上に体が
last updateHuling Na-update : 2025-06-20
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第19話 場違いな席

    ベッドの上に座り込み、夜着の裾をめくりあげる。  両足を広げ、股間を空気にさらすと、ひんやりした外気にピクッと震えた。  蕾に左手を伸ばし、軽く触れると、花が開くように盛り上がっている。  発情期ほどではないが、やはりその時期が近いのだと思った。 「ぁ、熱いっ」  指で触れただけで、蕾がうごめいた。  エマは、ゆっくりと人差し指を中に差し込む。 「んんっ、ぁ、ァッ」  すぐにトロトロと愛液があふれてきた。 「んぁぁ、ッ……はぁんっ」  指を飲み込んだ蕾が、きゅっと締めつけ、欲しがるようにうごめく。  敏感な蕾は、指で触れるだけで気持ちいい。  中を掻き回したくなるが、エマは右手に静香石を持った。 「ぁんッ」  入り口にあてただけで、感じてしまう。  敏感な躰に戸惑いながら、少し奥へと押し込んだ。 「ァッ……ん、んぁぁっ!」  慎重に挿入するつもりが、蕾はあっけないほど簡単に、静香石を飲み込んだ。 「ッ、ぁッ、ひぁぁんっ」  蕾を押し広げ、スルッと入ってきた冷たい感触に、体を震わせる。  無機質な魔道具だが、痛みもなく、すぐに蕾に馴染んできた。 「あぁぁんっ、……はぁ、はぁっ」  静香石を飲み込んだ蕾は、悦ぶようにギュウギュウと締めつける。  腰が甘く疼き、エマは無意識に半身を握りしめた。  すでに半勃ちの雄を、上下に扱き出す。 「はぁっ、ァァ、ッ……ひゃぁぁッ!」  あっけなく弾けて、股間を濡らした。  けれど、いちど果てただけでは、熱がおさまらない。  エマは脚を開いたまま、快楽に追われるように、夢中で昂ぶりを扱いた。 「ひゃぁんっ、ぁぁ、ぁんっ、アァァッ!」  ビクビクと躰を震わせ、三回ほど達したところで、ようやく理性が戻ってきた。 「ぅぅ……」  発情期よりマシとはいえ、抑制剤の効き目が悪いせいで、快楽に思考を奪われてしまう。  ベタベタに濡れた
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