俺はどこにでもいる普通の在宅ワーカー。またの名を引きこもり。自室という名の城があるというのにどうしてわざわざ外に出て仕事をせねばならない。誰が何と言おうとサラリーマンになどなるものか!これは俺の自論、それも少々過激なものなのだがあえて言おう。「人生における墓場は就職である」と。 無職やニート、社会不適合者、親のすねかじり、親不孝者。そんな心ない言葉が耳に入ることだって当然ある。実際自宅に引きこもってはいるし、そういうような世間からの見られ方をするのも承知の上だ。同居中の母には肩身の狭い思いをさせてしまって申し訳ないと思っている。 だけど、これが俺の生き方だ。極力人との接触を避けて、話すときはいつも端末越し。これが俺だ。この生き方のどこが恥ずかしいというのか。どこに陰口を叩かれるべき要素があるというのか。自ら稼いだ金で家を建て、そこに女手一つで俺を育て上げてくれた母親を呼んで一緒に住む。しかも27歳でだ。引きこもりだから他の人がどうかはわからないがこれでも十分早い方だろう。たぶん……。 同年代よりしっかり働いているし、親孝行もしている。まぁ孫とかは……うん。それ以外は結構うまくやれているし、陰口を叩かれるのは世の偏見のせいだろう。俺は悪くない。今時自宅で稼ぐ方法などいくらでもあるというのに……。 「家から出たくないから」と言って働きもしないで引きこもって親にかねをせびるのはダメだとは俺も思う。家から出たくないのなら、家を出なくても仕事ができる仕組みを作ればいい。俺はネットを介してたくさんの人と繋がり、仕事も貰えて生活もできるようになった。その努力も無視してあーだこーだ言いやがって。苦情入れてやろうか。こちとらそれなりに弁護士との伝手もあるんだぞ! そんな俺は今、何の因果か真っ白のだだっ広い空間にいた。「これって、まさか!異世界召喚ってやつー!?」――告、違います。転生です。 あ、俺死んだっぽい。
Terakhir Diperbarui : 2025-06-03 Baca selengkapnya