「四つ葉の……クローバー?」 今も私の耳に揺れるクローバーデザインのイヤリングを思い出して、私はこんなところにもクローバー?ってびっくりした。 「重ねたら現れるデザインっていうのが、ペアって感じがして良いだろう?」 リングを手にした私の手ごと、頼綱《よりつな》の大きな手がそっと包み込んできて、その温かさにトクンッと心臓が跳ねた。 「頼綱……」 嬉しさが込み上げるあまり何て言っていいのか分からなくて、彼の名をポツンと口の端に乗せた私の耳に、頼綱が唇を寄せてささやいてくる。 「愛してるよ、花々里《かがり》。僕とずっと一緒にいてくれるかい?」 「ひゃっ」 私はその声に思わず首をすくめて真っ赤になって。 こっ、こっ、こっ、こんなところでそんなっ。 照れ過ぎるあまり固まってしまった私の手から、一旦シンプルなデザインの結婚指輪を取ると、頼綱《よりつな》がそれをリングケースに戻した。 そうして、代わりに望月《もちづき》デザインの婚約指輪をケースから取り出して、私の左手薬指にはめてくれて。 指輪のハマった私の指をそっとなぞりながら、「僕のはキミにつけて欲しいんだがね?」ってじっと見詰めてくるの。 店員さんが真正面に座っていらっしゃるのに頼綱ってばそんなの全然お構いなしみたいに言うから、私ひとりでドギマギしてしまって、余計に恥ずかしい。 「ねぇ花々里《かがり》。お願い……?」 頼綱のリングを手にしたまま躊躇う私に、おねだりするみたいに頼綱の甘い声音が耳朶を揺らす。 恥ずかしさで潤んだ目になりながら、まるで助けを求めるみたいにチラリと店員さんに視線を投げ掛けたら、ニコッと微笑まれた。 えっと。もしかして……宝石店ではこんなこと、よくあることなのかな? 私が思っているほど、実は大したことではないのかも? そう思った私は店員さんに小さくうなずくと、緊張でフルフル震える手で頼綱《よりつな》の左手薬指にリングを通す。 手が震えているからか、なかなかうまく彼の指――特に男性らしく節くれだった関節の辺り――を通過させられなくて四苦八苦してしまった。 そんな不器用な自分の手際の悪さが、照れくささに拍車を掛ける。 頼綱は、私のモタモタした動作でさえも愛しくて堪らないと言わんばかりの優しい目でじっと見つめてき
Terakhir Diperbarui : 2025-08-22 Baca selengkapnya