大神殿には人が溢れていた。 せり上がるように作られた正面の祭壇前には、大神官の姿。 その横には、白い婚礼衣装を身に着けたアイゼルが立っていた。(わたくしの配偶者となる方の立派なこと! 金髪は輝き神々しいほどだわ。青く澄んだ瞳は彼の清廉さを現しているよう。あぁ、わたくしのアイゼルさま。今日からは、わたくしはアイゼルさまの妻となり、アイゼルさまはわたくしの夫となる!) 1人正面を目指して歩くミカエラに有力貴族や友好国の要人たちの視線が注がれる。 「なんと美しいレースだ」「高価なウエディングドレスは国力を誇るよう」「見て、あの耳元の真珠を」「いやいや、それよりもダイヤモンドの大きさと輝きが……」 ベールの下に隠れたミカエラの姿に触れる者などいない。 彼女が身に着けている物は全て国力の誇示なのだ。(わたくしをエスコートする者がいなくても誰も気にしない。この結婚は普通の結婚ではないから) ミカエラの実家であるラングヒル伯爵家からの列席者はいない。 この場には、有力者しかいないからだ。(でもそんなことはどうでもいい。わたくしの孤独は、今日で終わる) 神殿のなかには小さな煌めきがあちらこちらでキラキラしている。 オレンジ色の光に青い色の光。 黄色の光に赤い色の光。紫に緑、様々な色味の光が賑やかに輝いて散っていく。(誰の守護精霊の色だとしても関係ない。そこに飛び交うのは愛だから) ミカエラは、会場を埋めるようにして列なり席に着きコチラを見ている貴賓席の客たちを眺める。 幸せに当てられて自らの幸せを振り返る者もいれば、純粋な嫉妬をぶつけてくる者もいる。(だから何?) 祭壇前に辿り着いたミカエラは笑顔を浮かべて愛しい人を見上げる。 見上げた先の人は愛しげにコチラを見ていてる。(この幸せが永遠でありますようにと願うだけ。わたくしにあるのは、アイゼルさまとの未来だけ) オレンジ色の光と青い色の光が、賑やかに煌めていて浮かれたように2人の間で踊る。(今ここに愛があるのは確実なの。わたくしは愛しているし、愛されている) ミカエラは、国王と王妃の座る席へ視線を向けた。 国王に付き添われて出席している王妃には相変わらず感情の読めないアルカイックスマイルを浮かべて、どこに焦点が合っているのか分からない目をしている。 彼女には、求めていた
Terakhir Diperbarui : 2025-09-14 Baca selengkapnya