「瑞紀、もうすぐ着くからな」「はい」 課長はどんな時でも、いつも私の一歩先を歩いてる。 私は時々、課長に追いつきたいって思う時がある。 そして追い越したいって思う時も。 課長の仕事の仕方とか、部下からの信頼の厚さとか。 毎日課長を見ていれば、私には到底追いつけないってことをつくづく実感させられる。 だからいつかは、色んな面で課長に追いつきたいと思う。 そしていつか、課長を追い越したいとも思う。 私の常に一歩先を歩く課長は、私の憧れ。 私もいつかは、課長みたいに仕事が出来て部下からの信頼が厚い人になりたい。 今よりも、もっともっと。 今はこんなに近くにいるのに、なぜだか課長が遠くにいるように感じる。 それは仕事でもプライベートでもそうで、一歩先を歩く課長を見てるとやっぱり不安になることが多い。 時折、課長が遠くて寂しくなったりもする。 だからそう思う度に私は、課長から離れたくないと強く願ってしまう。 それが私のわがままだってことは、わかっているけど。「課長、私課長と離れたくないです」「俺もだよ。俺だって、離れたくない」 課長のことが大好きな私は、このまま離れることがきっと出来ない。 「嬉しい」「そうか。 じゃあ今日は特別に、朝までずっとそばにいてやる」「……本当?嬉しい」「俺も嬉しいよ」 どうして課長は、そんなに優しいのかな。課長は優しすぎる。 多分思ったより嬉しくて、課長がますます好きなんだと実感する。 こんなに誰か好きになったのは、きっと今まで一度もない。 確かに過去に付き合ってた人は何人かいたけど、やっぱり課長ほど好きになったことはなかったと思う。「さ、着いたぞ」「はい」 車を降りてお店の中に入ると、中はすごくレトロな感じがしてキレイだと思った。「レトロでキレイですね」「だろ?俺もこの店の雰囲気が好きなんだ」「わかります。オシャレですよね」「気に入ってくれたみたいで、よかったよ」「私もお店の雰囲気好きです」 課長に案内されたテーブルは窓側の奥で、夜景がキレイに見える所だった。「うわぁ……キレイですね」 本当に景色がいいな……。「だろ?瑞紀が好きそうだと思って、ここの席を予約したんだ」「……ありがとうございます。すごく素敵ですね」 こんな落ち着いた雰囲気のお店で、しかも夜景が
Last Updated : 2025-07-28 Read more