Semua Bab あなたと紡ぐ永遠の愛は奇跡でした。: Bab 61 - Bab 70

90 Bab

chapter61

「そんなことないっすよ。俺は先輩の背中を見て、先輩みたいになりたいって思ったんですよ?」 憧れ……? 私が?  でも、なんか嬉しいな。そう思ってくれてるなんて……。「今も昔も、先輩はずっと俺の憧れです」「……ありがとう、英二」「いえ。それは俺の本音ですよ?」    と、英二は嬉しそうに笑う。「……アンタは、本当に優しいんだね」「いえ」「英二が私の部下で、本当に良かったと思うよ」 英二は本当に優しいし、何より私のことを想ってくれているのが、嬉しい。「ありがとうございます。俺も先輩が先輩で良かったです」「ありがとう」「……でも」「ん……?」    英二は、少し表情を変えて「でも沙織先輩は、きっと今辛い……ですよね?」と私に聞いてくる。「……え?辛いって?」「実は俺、見ちゃったんですよね」「……見たって、なにを?」    なんか……イヤな予感がするような、ないような……。  でもその予感は、当たってしまったようだった。「妊娠検査薬を、使った後です」「えっ……!?」 私は思わず目を見開いた。「英二、アンタまさか……」「はい。……実はあの時から、気づいてました」 そっか……。気付いていたんだ、英二も。  だとしたら、なんであの時言わなかったんだろう……。「じゃああの時なんで、何も言わなかったの?」 だって……見ちゃったん、だよね? 妊娠検査薬が陽性になってるの。「沙織先輩のためですよ、あの時言わなかったのは。……あの状況でもし俺がそんなことを言ったとしても、沙織先輩に余計なお世話だって突っぱねられるだけですし。 それに、沙織先輩のプライベートに口出す必要、ないですしね」「……まあ、確かに」 英二の言う通りだ。沙織のプライベートに私たちが口を出す必要なんてない。「沙織先輩は、誰にも話したくない訳じゃ、なさそうでしたしね。現に、先輩には話したみたいだし」「……うん、確かに」  やっぱり英二は、感が鋭いな。「でもそれって、先輩だからこそ言えたんじゃないんですか?」「え?」「沙織先輩は、先輩のこと信頼してるんですよ。ずっと一緒に仕事してきた仲だし、友達ですしね」 そうなのかな……? 私、信頼されてると思っていいのかな?「そうですよ。じゃなきゃ沙織先輩、隠そうとしたと思いますよ?」「え?」「先輩
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-19
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chapter62

「だから英二も、沙織のこと見守っててあげてね」「はい」 内心私も、沙織がどう決断するのか気になっていた。 沙織自身は大丈夫なんて口には出してはいるけど、本当はすごく悩んでるんだと思う。  航太くんには言わないでって言ったけど、本当 は言うのが怖いと思う。 沙織はああ見えて本当には、すごく弱いから。普段はクールでミステリアスだけど。  みんなから信頼されてる分、沙織自身はすごく弱いのかもしれない。  心の中は繊細で、下手したらすぐ折れてしまいそうなくらい傷つきやすくて、本当にすぐに泣いちゃう時があって。   なんたって沙織の心は、繊細なガラスのハートなのだから。  だからそんな沙織を支えてあげられるのは、ずっとそばにいる私しかいない。  私沙織を支えてあげないとすぐにムチャをするから、身体への負担も大きくなるしね。  そうならないためにも、私が沙織を支えてあげなきゃ。……航太くんのためにも。 そんなことを考えていた時、スマホの着信音が鳴ったのだった。「はいもしもし、佐倉です」「瑞紀?俺だけど」「か、課長……?」 電話は課長からだった。「お前は一体どこで道草食ってるんだ? 約束の時間はとっくに過ぎてるぞ」「約束?……あっ!」 そ、そうだった……。私今日、課長と食事に行く約束してたんだった。「やっと思い出したか」「す、すみません」 私ってば、やっちゃった……。「ったく……今どこだ?」「え? あ、駅の近くです。沙織の家に様子を見に行っていて」「なるほど。……まあそういうことなら、仕方ないな。家で待ってるから、なるべく早く来い」「はい。すぐ行きます」「ああ。じゃあまた後で」 私は電話を切った。「課長、なんですって?」「え? ああ、沙織の様子は大丈夫なのかって」 私はとっさにウソをついた。「……そうですか。ところで、約束ってなんですか?」「え? あ、あれね。大したことないから」 そう言ってみたが、英二は気になるのか「課長と約束、してたんですか?」と聞いてくる。「まあね。 本当は報告書を今日の夜までに出す約束してたんだけど、結局間に合わなかったから明日にすることにした」「……そうですか」 英二はきっと、私のウソに気づいている。 それでもなにも言わなかったのはきっと、私のためだと思う。  英二は私の気持ちを
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-20
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chapter63

「はい。 もし先輩が俺のものになれば、課長だって文句は……言えないですよね?」「……え?」「俺はずっと先輩が好きなんです。 ずっと先輩が、俺の恋人になればいいなって思ってました」 英二……どうしてそんな顔をするの? どうして……。「先輩が課長が好きだって知ってるから、何回も諦めようとしました。……でも、ムリですよ」「……ごめん」 やっぱり、無理だよ……。「やっぱり俺には、諦めることなんてムリです。 先輩が本当に好きなんです。……自分でも思ったより、愛してるんです」「……英二の気持ちは、わかってる。でも私にはやっぱり、それは出来ない。 私が好きなのは、課長だけなの。本当に……ごめん」 申し訳なさから、思わず英二から目を逸らす。「……じゃあどうしたら、俺の気持ちに応えてくれますか?」「……え?」「教えてください。 どうしたら、俺の気持ちに応えてくれますか?」 そんな悲しそうな顔で見つめられても、私は英二の気持ちには応えることは出来ない……。出来ないの……。「……英二がどうやっても、私の気持ちは絶対に変わらない。それだけは……言える」「っ……なんで。なんで俺じゃダメなんですか? どうして……俺じゃダメなんですか?」 英二はそっと、掴んでいる腕を緩める。「英二は……私にとって、大切な部下だから。 英二は私にとって、弟みたいな人なの」「……弟?」「確かに英二のことは好きだよ。……でもそれは異性としてじゃない。人としてなの」「人として……ですか」 英二はかわいい部下。私にとっては、それ以上になることはないんだ。「そう。英二は私にとって……部下以上にはなれない」「……じゃあ俺はこれからもずっと、"弟"のままですか?」「うん……本当に、ごめんね」「そうですか。……わかりました」 そう言われてゆっくりと離された両腕には、掴まれた赤い跡が付いている。「……英二?」 ジッと見つめていた英二の瞳(め)からは、涙が浮かんでいた。 それは今にも泣き出しそうなくらいで、英二の涙を初めて見る瞬間でもあった。「俺は……俺はやっぱり、課長には勝てないんですね」「英二……泣いてるの……?」 英二の涙が、本気度を表しているように見える。「っ……すいません」 英二の瞳(め)からは、見たことのないくらいの大粒の涙が溢れだしている。「英二、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-21
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chapter64

 それからは、何事もなく平和な日々が過ぎていった。  課長とも仲良く出来ている。藤堂さんのこともあり不安なこともあったけど、藤堂さんも課長には近付かなくなった。  というより、藤堂さんとも仕事の付き合いはあるが、それ以外では付き合わないようにしているみたいだけど。 時間が合えば課長の家に泊まって、一緒に夕食を食べたり、映画を観たりして過ごしている。  たまにデートもする。 この前は一緒に水族館に行って、イルカショーを観たり、ペンギンを見たりしてデートを楽しんだ。 ここ最近、沙織は悪阻がひどいみたいで、今仕事を休んでいるけど、代わりに私が沙織の仕事を引き継いでいる。 悪阻が治まればまた出勤したいと言っているようだけど、あまり無理をしないようにと伝えている。  航太くんも沙織のことを想っているのか、とても心配をしているみたいで、沙織には「心配しすぎ」だと言われているようだけど。「課長、今日何時に終わりますか?」    休憩室でコーヒーを飲んでいる課長に、私は隙を見てそう問いかける。「今日は少しだけ遅くなりそうだ。……どうした?」「あ、いえ。 課長とまたあのイタリアンのお店に行きたいなと思って」 課長と何回かイタリアンのお店に行ってるけど、イタリアンのお店が本当にすごく美味しくて、特に生ハムのサラダとカルボナーラが美味しくて、行くといつもそればかりを頼んでいる。「十九時には終わると思うけど、その後でもいいなら行くか?」「いいんですか?」「ああ、行こう」 課長が笑顔を見せてくれるから、私も自然と笑顔になり「嬉しいです。実は新作のパスタが出来たみたいで、それを食べたかったんです」と伝える。「へえ、新作が出たのか」「そうなんです。新作はピリ辛ミネストローネのスープパスタです」 スマホの画面を課長に見せると、課長は画面を見ながら「おお、美味そうだな」と微笑む。「ですよね。期間限定メニューみたいで、すっごく食べたいんです」「よし、じゃあこれを食べに行こう」「はい!」 課長と期間限定メニューを食べるために、今日一日仕事を頑張ることにした私は、定時で帰るために頑張って仕事をこなした。* * * 「課長!」「瑞紀、いつも待たせて悪いな」 課長と待ち合わせしていたカフェに課長が来たのは、十九時二十分だった。  待ち合わせした場所
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-22
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chapter65

 店員さんがいなくなった後、課長と乾杯をしてワインを一口口の中に流し込む。「うん、美味しいな」「はい。美味しいです」 久しぶりに飲んだワインは格別に美味しかった。「恭平さん、ワインが好きなんですか?」「ああ、一番好きだな」「そうなんですか」  確かに課長はワインをよく飲んでいるイメージがある。「瑞紀はワインよりビールとかが好きだろ?」「はい。ワインは特別な時にしか飲みません」「特別な時?」「恭平さんといる時です」 ワインを普段飲むことはしないけど、課長といる時だけ飲む。 最近の私のお気に入りは、ジントニックとシャンディガフだ。一杯目は生ビール、二杯目はジントニックかシャンディガフだ。「嬉しいことを言ってくれるな」「恭平さんといる時の私は、特別ですよ」「俺も瑞紀との時間は特別だ。 愛おしい人といる時間は、特別以外の何者でもないからな」 課長に言われたことがわかる気がした。 確かに、課長といる時の私は特別だ。 愛おしいと思える人がそばいるだけで、心が安らぐし、ホッとする。「はい」 その後メインのミネストローネパスタが運ばれてきた。「うわー美味しそう」「美味そうだな」  ピリ辛ミネストローネのスープパスタは彩りもいいし、香りも良くて食欲をそそられる。「お好みで粉チーズをかけてお召し上がりください」「ありがとうございます」   二人で「いただきます」と手を合わせてから生ハムのサラダを口にする。「うん、やっぱり美味しい」 「美味いな。このドレッシングが美味いな」「うん、このドレッシングが美味しい」 ピリ辛ミネストローネのスープパスタを頂くと、ちょっとピリ辛なのにコクがあって美味しかった。「んー、これ美味しい!」「美味いか?」「美味しいです。確かに結構ピリ辛なんですけど、コクがあって、ミネストローネの酸味もちょうどいいですね」 でもこのピリ辛が、結構食欲を増進させてくれる気がする。 パスタにもスープがよく絡んでいて、食べやすい。「確かにこのピリ辛がいいな」「ですよね。……あれ、でも結構辛いかも」「粉チーズ掛けたらいいんじゃないか」「そうします」 粉チーズを振り掛けて食べると、辛味が少しマイルドになって食べやすくなる。「粉チーズ掛けたらすごく美味しいですよ」「そうか」「辛味がマイルドに
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-23
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chapter66

 こうして美味しいものを食べられる喜びはありがたい。 最後にピリ辛で身体が熱くなったので、食べ終わってからデザートのストロベリーとバニラのジェラート頼んでそれも平らげた。「恭平さん、ごちそうさまでした」「気にするな」「この後って……もう帰りますか?」 課長ともう少し一緒にいたいと思っている私は、課長の袖を掴んでそう問いかける。「帰りたくないのは、瑞紀の方だろ?」「……バレましたか」 課長と手を繋ぐと、歩いて十分ちょっとの場所にあるホテルへと入った。 ホテルの部屋に入ると、課長に着ていた服を脱がされる。「すぐしたいと思ったが……まずはシャワーを浴びようか」「はい」 二人でシャワーを浴びながらキスを交わしていくと、課長の手が私の身体のいたる所に触れていく。「かちょ……ダメです」「また課長って言った。やっぱりお仕置きが必要だな」「え? あっ……!」 課長に触れられたところが、段々と熱を帯びていくのがわかる。「ん……恭平、さんっ」 バスルームに響く厭らしい声が、お互いの理性を掻き乱していく。「瑞紀のここ、かわいい」「や、ダメッ……ですっ」  課長ってこんなに情熱な人だっただろうか……と思いしらされる。 課長の唇が、課長のその身体が、私が欲しいと訴えているのかわかる。 触れられたところが熱くて、そして気持ちよくて、さぐに快感に渦に巻き込まれていく。「恭平さん……もう、欲しいです……」「もう俺が欲しいのか? 瑞紀の身体は正直だな」「もう……恥ずかしいっ」 課長は私をお姫様抱っこして持ち上げると、私の身体をバスタオルで少し拭く。 濡れた髪のまま私をベッドへと押し倒して、激しく啄むようなキスをする。「瑞紀、好きだよ」「私も……好きです」 少し愛撫をしてから、避妊具を纏った課長は、私の中にゆっくりと入ってきた。「っ……あっ」 課長の身体の重みが奥深くに留まってきて、甘い声が自然と漏れてしまう。「瑞紀、動くぞ」「うん……っ」 ゆっくりと私の身体を上下に動かしながら、課長は私への熱情をぶつけてくる。 「んっ、あっ……」 そこに乗った愛おしさの熱情を感じて、私は課長の背中に腕を回して、課長を身体の中の深くまで感じていく。「あっ……はぁっ」   気持ちよくて意識が飛びそうになる。 段々と激しく揺れる身体の圧で、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-24
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chapter67

「そうだ。 行き先はアメリカなんだが、どうかね?」  え、アメリカ……? それって、海外研修ってこと……だよね?  ウソでしょ……。本当に? でも、なんで私?「……ちょっと待ってください。 どうして私、なんでしょうか」 常務にそう問いかけると、常務は真剣な目をして「もちろん、それは君が優秀な社員だからに決まっているだろう」と答えてくれた。 もちろん、今回の話がいきなりのことでビックリしている。「……それは、光栄です」 でも頭の中はいっぱいいっぱいで、混乱している。「どうかね? 行く気はないかい?」「……あの、その、研修期間はどれくらいなんでしょうか」 研修期間によって変わってくるけど、どのくらいなのだろうか。「詳しくはまだ未定だが、恐らく一年から二年くらいになるだろう」「……一年から、二年ですか」 思ったより長いんだな……。「こんなチャンスは、めったにないことなんだ。佐倉くんにとっても、プラスになることだと思うんだが。……どうだい?行ってみる気はあるかい?」 一年から二年という月日が、長く感じて躊躇ってしまう。「……すいません。 少し考える時間をいただけませんでしょうか」 常務は「ああ、もちろんだよ。返事はいつでも構わないよ」と優しく返してくれた。「ありがとうございます。 いきなりなので、ちょっとビックリしてしまいまして」「当たり前だよ。私も突然だったね。いきなり申し訳ない」「……いえ、そんな」 私がまさか、こんな話をもらえるなんて。どうして常務は私なんて……。 私は別に普通の平凡な社員だ。 いいのかな、私なんかで。 でももし行くとしたら、一年から二年は向こうに行かなきゃいけないし……。 そうすると、課長とも会えなくなるけど。……でももしそれが私でと言うのなら、私はアメリカに行きたい。 でも、それは課長と離れることになる。……私は一体どうしたらいいのだろう。 でもこんな話、一生に一度あるかないかの大チャンスだ。 きっとここで行くって言わなければ、私にはもうこんな話が二度と来なくなる。「まあまだ時間はたっぷりとある。ゆっくり考えてから、結論を出すといい」「……はい。ありがとうございます」「答えが出たら私の所に来なさい。……でもこのチャンスは、もう二度とないと思いなさい。こんなチャンスをムダにするなとは言わない
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-25
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chapter68

「そうね、まあ関係ないわね。 ごめんなさいね、余計なこと聞いて」「いえ。では失礼します」 自分のデスクに戻りため息を付くと、課長にチラッと視線を向ける。 課長は真剣な顔で会議資料に目を通している。 アメリカか……。もしアメリカに行くとしたら、課長とは離れ離れになるってことだよね。 行けるのだから、ぜひ行きたい。 でも課長と離れ離れになるのはイヤ。「……先輩?どうかしました?」「え? あ、ううん。何でもない」 しかし仕事に集中出来る訳もなく、その日一日を終えた。「先輩、お疲れ様でした」「うん、お疲れ様」 私も仕事を終えて休憩所でお茶を飲みながら、ずっと考えていた。「……どうしたらいいの、私」  やっぱりアメリカ、行くべきだよね……。じゃないと、せっかくもらった話が台無しになる。「アメリカ……か」 せっかく自分の学べる場所が出来たのに、迷いばかりが生まれる。 私はお茶をテーブルに置くと、スマホを開く。「あ、もしもし沙織……?」 申し訳ないと思いながらも、沙織に電話した。「瑞紀?どうしたのよ」「体調はどう?」「そうねえ。相変わらずレモン食べてるわよ」 悪阻に悩む沙織であったが、その声は少しばかり明るいように感じた。「そっか。レモン足りてる?」「足りすぎなくらいよ。航太も買ってきてくれたし」「そっか。足りなくなったらまた持ってくね」「ありがとう」 沙織にアメリカ行きのこと、相談したいな。……でもな。 電話越しで躊躇っていると、沙織はすかさず「で?私に何か相談したいことがあるんでしょ?」と言ってくれた。「え?なんでわかったの?」「やっぱりね。なんか暗い声してると思ったら、やっぱりそうだ」 沙織はやっぱり、私のことがよくわかっている。「実はね、ちょっと聞いてほしいことがあって」「じゃあ今から家に来なよ」「え、でも。いいの?体調がまだ良くなってないのに」 と言ったけど、沙織は「今日は比較的安定してるから大丈夫よ。 待ってるから、来なよ」と言ってくれたので「うん、ありがとう。今から行くね」と電話を切った。 カバンを手にして退勤した後、沙織の家へと向かった。* * * 「沙織、時間作ってくれてありがとう」「いいのよ、そんなの気にしなくて」 沙織の家のリビングには、妊娠に関する本がたくさん置かれていた
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-26
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chapter69

沙織は私のことを思ってくれていることも、わかる。「ねえ、もっと前向きに考えてみたら? もしこのチャンスを逃したら、もう次のチャンスはないよ。アンタもわかるでしょ?」「……わかる。 わかるけど、なんで今になって言われるのかな」「え?」「どうせなら、課長に出会う前にその話がでてほしかった。 そしたら私、こんなに悩むことなくてすんなりと決められたのに」 タイミングが悪すぎる……。「まあ、確かにそうね。でもそれは仕方ないよ。……わかってると思うけど、これはアンタにとって、究極の選択なのよ。選んだ道でアンタの人生が変わる」「……究極の、選択」 そっか。……そうだよね。「そうよ。その道を選んだら、アンタはもう後戻りは出来なくなる」    後戻り……出来なくなるか。 確かに、そうだな。  私は考えながらオレンジジュースに手を伸ばす。「でもさ、よく考えてみなよ。 常務がアンタにその話を出したのって、常務がアンタの社員としてのスキルや実力、働きぶりを認めてるからよ?」 そういえば……。「……常務が言ってた」「え?」「常務は、私が優秀な社員だから選んだって言ってた」 私が自分がそこまで優秀だとは思ってなかった。まだまだ未熟で勉強不足だし。「でしょ? ってことは、アンタはそれだけ信用されてるってことでしょ」「……そうかな」「そうよ。だからアンタを選んだんだと思うけどね」 沙織に言われて、私はつい「私は優秀なんかじゃないよ。 まだまだ半人前だし、学ぶこともたくさんあるのに」と口にしてしまう。「そんなことない。アンタは充分実力があるよ。仕事もちゃんと出来るし、人に気を使えるし、部下からも信頼されてて情に厚い。……それに課長にだって、信頼されてるじゃない」「そうかな……?」「そうよ。 アンタはみんなから認められてるわよ。だから自信を持ちなさいよ」「……うん、ありがとう」 そんな私に、沙織が「これはアンタに初めて話すことなんだけどさ」と私を見る。「うん、なに?」「私たちが初めてこの会社に入った時、私実はやめようと思ってたんだよね」「えっ!そうなの?」 知らなかった……そうなんだ。「入ったのはいいけど、ずっと雑用ばかりで、仕事なんてまともにもらえなかったじゃない?」「まあ、そうだね」 なんか、あの頃が懐かしいな……。「あの時
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-26
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chapter70

「良かった。これから車で迎えに行くよ」「ありがとうございます」「位置情報送ってくれるか?」「わかりました」 電話を切り、位置情報を課長のスマホに送った。  するとすぐに【十分で行けると思うから、近くで待ってて】とメッセージが届いた。  【わかりました】と送信して、近くで待つことにした。「言わないと……だよね」     今日タイミングを見て切り出そうかな。なるべく早く決断しないといけないから、早く言わないとだもんね。  それから十分後、課長が運転している車がパーキングに到着したと連絡があった。「課長、お疲れ様です」「待たせて悪いな」「いえ、迎えに来てくれてありがとうございます」「隣乗って」  課長の車に乗り込むと、課長はパーキングでお金を払い車を出庫させた。  課長の横顔はとてもキレイで、とても美しい。何より品がある。    私はこんなに課長が好きなのに、離れるなんて考えられない。  このまま離れることになったら、きっと後悔すると思う。 とてもつなく、後悔する気がする。「瑞紀?どうした?」「……え?」「なんか暗い顔してるな」 課長に視線を向けられたので、「なんでもないです」と答えた。「そうか?」「はい。大丈夫です」 チラッと課長の整った横顔を見る。やっぱり車を運転する課長の姿はカッコイイな。  その姿のあまりのカッコよさに、つい見とれてしまう。「ん?どうした?」「あ、いえ。運転する姿がやっぱりカッコイイなぁ、なんて思って。……すいません」 課長の美しい運転姿はとても安心する。「何カワイイこと言ってんだよ」「えっ」 信号が赤になり車が止まった瞬間、「瑞紀」と名前を呼ばれ、ふいに課長の唇が重なる。「もう、課長……」 これはずるい不意打ちキスだ。「不意打ちキスなんて危ないですよ!事故に遭ったらどうするんですか?」「それはカワイイことを言う瑞紀が悪いな」「え、なんで私っ!?」「瑞紀がかわいいことを言うからだろ?」「かわいいなんて、やめてください」 私はかわいくなんてないし、課長とも釣り合ってない。「なんだ。照れてるのか?」「照れてはいません」 と言ったが、顔が熱い気がしているような、ないような?「瑞紀、顔赤いぞ?」「えっ!ウソッ」「ウソだよ。赤くなんてなってない」 そんな課長に、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-27
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