✱ ✱ ✱「お疲れ様でした。お先に失礼します」 今日一日の仕事を終えた私は、帰る準備をした。「……ふう」 今日は、なんだか疲れた。 仕事が大変だったっていうのもあるけど、一番は藤堂さんのことを考えてしまっていたから。 藤堂さんは、私に想いの丈をぶつけてきた。 だから私も、想いの丈を自分なりにぶつけた。 藤堂さんはとても冷たい目で私を見ていたけど、私は課長が好きだから。だから自分なりに気持ちを伝えたつもりだ。 私課長を好きな気持ちは誰にも負けないし、誰よりも課長のことを理解しているつもりだ。 だからこそ、課長を藤堂さんには取られたくないって思った。「……はぁ、帰ろうっと」 私は複雑な気持ちを抱えながら家に帰った。「ただいま」 誰もいないリビングには、静けさだけが残る。「疲れた……」 そのままベッドに直行した私は、疲れていたせいか、いつの間にか眠りに落ちていた。 その日私は、夢を見た。 その夢の内容は、課長と私が結婚していて、かわいい子供もいて、その子供と三人で仲良く暮らしてる夢だった。 その夢の中にいる私はとても幸せそうで、課長も幸せそうだった。 みんな幸せそうに笑っていて、本当に幸せな家庭なんだって思った。 そんな夢を見ていたからか、いつか課長とこんな幸せな家庭を築けていければいいな……なんて思っていた。「……んん……?」 何時間寝ていたかなんて、全く分からない。 ただ覚えているのは、キッチンからいいニオイがしてきたことだけだ。「……んっ」 ふと目を覚まして時計を見ると、時計の針は八時過ぎを示していた。「八時……か」 ……ん? 八時……? えっ……! やばっ!完全に遅刻だ! 急いでベッドから飛び起きて、リビングに向かうと、そこにはーーー。「えっ……?」 えーっ!? な、なんで……!?「な、なななっ……」 ど、どうして……?!「おはよう、瑞紀。起きたか?」 朝からニコッと爽やかな笑みを浮かべる、目の前の男性は、課長だった。「え?……な、なんで?」 なんで課長がここにいるの!? えっ、ちょっと待って! 一体、何がどうなってんの!? 確かに目の前にいるのは課長で、しかも呑気にコーヒーなんて飲んでいるし。「まあまあ、座ってコーヒーでも飲もう、瑞紀」「はい……じゃなくて! なんで
Last Updated : 2025-06-26 Read more