All Chapters of 愛のために我が子を失った悲劇の王妃に憑依したみたいです。推しの息子と二人で幸せに暮らすため、夫はヒロインに差しあげます!: Chapter 161 - Chapter 170

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ヒロインは悔しい(2)

 だから私はある計画を思い付いた。 あの時、ローランド王の部屋で手に入れておいたアデリナ王妃の髪飾り。 いつか使えるんじゃないかと入手しておいて正解だったわ。 侍医から手に入れた軽めの毒を飲み、その場にアデリナ王妃の髪飾りを置いた。 もちろん死ぬつもりなんてない。 毒を飲んでも、私の部屋にこっそり用意している解毒剤を侍医に投与するよう指示してあるし、私が倒れたらタウゼントフュースラー伯爵にすぐに兵を引き連れ、アデリナ王妃を捕まえるようにと命令している。罪名は嫉妬による側室候補の毒殺未遂。 これで完璧よ!あの女を牢獄にでも放り込めれば、従順な兵に命じて暗殺もできる。 それが終わったらローランド王を落とすチャンスは、いくらでもあるわ………!! ◇ 「リジー。陛下より御命令だ。今晩寝室へ来るようにと。」 目を覚ました私を待っていたのは、ローランド王の寝室へのお誘い。 ランドルフ侯爵は事務的にそう告げ、二人の兵と同行するようにと言った。 聞いた話では、ローランド王は事件直後にアデリナ王妃を北の塔に閉じ込め、彼女ではなくすぐに私の安否を心配して部屋に来てくれたらしい。 これはヒロインの力が働いたと考えても間違いないわ。 「ふふ。ふふふふ……! 目を覚ましてすぐに、ローランド王の寝室へ来いだなんて。 もうこれは完璧に私のものになったって言う証拠ね。あははは!あーはっはっはっ!」 笑いが止まらなかった。 ローランド王の部屋前に到着すると、同行していた二人の兵は足早に去っていった。 そんなに待ち切れないのかしら?全く。ローランド王ったら。 だが。 「え……?リジー……?」 扉を閉めようとしたまさにその時、目の前にあの女が現れた。アデリナ王妃! 
last updateLast Updated : 2025-09-21
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ヒロインは悔しい(2)

 他にもムカつくことがあるわ。 ローランド王とランドルフ侯爵もそうなんだけれど、この王宮にある神殿の神殿長、イグナイト様が私をすごい目で睨みつけてくるの。 金髪碧眼の男よ。 けれどかなりの美形なの。だから最初はローランド王を手に入れたらゆくゆくは彼も私のハーレムに入れてあげようかなって思ったの。 なのに。 「は………。欲まみれのゴミのような女ですね。 あなたがあの王妃陛下に勝てるとでも?」 神殿にお祈りに行った際、すれ違いざまにイグナイト様にポソっとそう言われたの。 あの目と言ったら。当初のローランド王やレェーヴと全く同じ!!嫌悪感丸出し。 しかも。私の故郷であるサディーク国のオデュロン王太子まで。 何でかは知らないけれど、彼は度々王宮を訪れていて、たまに城に滞在する事もあったわ。 女好きで有名だから、すぐ私に魅了されるだろうと思いわざわざ挨拶してあげたのに。 「え……? ローランド王は趣味が変わったのか? 悪趣味だな〜。 だけどこの女が本当に側室になるなら、俺がアデリナ王妃を自国に連れ帰って再婚してもいいけどな〜 子供も俺の子として育てるよ?」 大胆不敵な言葉をヘラヘラと吐き出したオディロン王太子を、ローランド王がキツく睨みつける。 「は……?ふざけないで頂きたい。 アデリナは私の妻です。この国の王妃。 大切な国母です! どこにもやりはしません………!」 さらに。 時々王宮を自由に出入りしているライリーという美少年まで、私を無言で睨みつけてくる。 かと思えばアデリナ王妃の前ではコロッと表情を変え、犬みたいに懐いてる。 何なの? どいつもこいつもアデリナ、アデリナって…… そのポジションは本来私の物だったのよ? ロ
last updateLast Updated : 2025-09-21
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ヒロインは悔しい(2)

 だが、すぐに今の状況を察したみたいで、アデリナ王妃は青白い顔をした。 本当に笑いを堪えるのに必死だったわ。 残念だったわね。 ローランド王はもうすっかり私の虜よ。 あなたの役目はもう終わったの……!! 「王妃陛下……いえ、アデリナ様。 ご自分の立場を忘れないで下さいね。 あなたは所詮は性悪妻。 私とローランド王の恋を盛り上げるための、いわゆる《悪役》。脇役なんですよ。 だからもう、あなたは完全に用済みなんです。 悪役は悪役らしく、潔く退場してくださいね。 それではご機嫌よう。さようなら。」 そうして私は、絶望したような顔をするアデリナ王妃の前で扉を閉めた。 最高よ……!!私はヒロインだもの!! 最後は私が勝つに決まってるじゃない!! ————そう思ったのに。 部屋の奥に進むにつれ、やけに照明が煌々と灯っていて少し不思議に思った。 ふと、ベッドに座っているローランド王の姿が見えて一瞬喜んだ。 だが彼だけではなかった。 脇にランドルフ侯爵、それに見慣れない官僚が二人も立っていた。 え……?何これ……? 「リジー。お前がアデリナに罪を着せようと、自分で毒を飲んだという事はすでに分かっているんだ。 殺されたくなければ、素直に罪を認めるんだな。」 そこで私を待っていたのは私を愛するローランド王でも、私を優しく迎え入れてくれるランドルフ侯爵でも、私を見て鼻の下を伸ばす官僚達でもなかった。 「我々は事件の捜査官です。 嘘をつけばあなたの罪は重くなるでしょう。 さあ。白状してください。リジーさん。」 ……終わった。 
last updateLast Updated : 2025-09-22
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ヒロインは悔しい(2)

 ◇ 「罪状、看護師リジーは国王陛下に横恋慕し、王妃陛下に毒殺未遂の罪を着せた上にタウゼントフュースラー伯爵と共謀し、王妃陛下を武力によって抑えつけた。 なおその毒は自ら服毒し、また始めから解毒剤を用意しておくという周到ぶり。 王妃陛下の髪飾りを盗み、証拠品であるかのように偽装した。 それ以前にも王妃陛下のよからぬ噂を広め、王妃陛下の尊厳を踏み躙った。 これにより看護師リジーは……」 あれから私は多くの人々の前で断罪されていた。 何でよ?私はヒロインなのよ? こんなの何かの間違いよ。 ねえ、ローランド王。 私のこと、愛してるわよね? 私に一生楽させてくれるんでしょう? 何でもう誰にもヒロインの力が効かないの? 罪人として裁判所の法廷に立たされ、辛辣な人々の視線を浴びながら、奥の特等席に座るローランド王を見上げた。 有罪判決が下ると、ローランド王がやっぱり氷のように冷たい瞳をして言った。 「私の妻に手を出した。 本来なら死刑にしたいが…… 私の妻はどこかの女と違って心が清らかなのでな。殺せば嫌がるだろうから…… よって看護師リジー。 お前を今すぐサディーク国に強制送還する。 その後は規律に厳しいことで有名な修道院に入ってもらうことにした。そこで一生、貧しい民や、病人達のために尽くすんだな。」 「はい〜。そんなリジーを、このサディーク国の王太子オデュロンが特別監視役となって国に連れ帰る事にしましたよー。 逃げたくても逃げれないからね? 一生、頑張って働いてもらうよう、見てるからね。」 その場に出廷していたオディロン王太子が軽い感じで恐ろしいことをケロッと言う。 それに加えてタウゼントフュースラー伯爵とセイディ達までもが断罪されていた。 「わ、私達は何かの魔法にかかって…!」 伯爵に至ってはアデリナ王妃を捕ま
last updateLast Updated : 2025-09-23
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ヒロインは悔しい(2)

 セイディも初めは私が悪いとか言って暴れていたが、様々な証拠を突きつけられて侍女を解任。 すぐに実家に送り返される上に、しばらく謹慎するよう言い渡された。 「だって……だって〜!! 何であの王妃陛下が、国王陛下に愛されるんですか〜! 私の方が美人だし、私の方が遥かにいい女なのに! 納得いかない!納得いかないですわ〜!」 すごい馬鹿な小娘みたいに、皆の前でワンワン泣いていた。 今はこの馬鹿な女のことなんかどうだっていいわ! まさか、嘘でしょ……! あのサディーク国の修道院と言ったら。 一度入れば二度と出ることはできないと言われている、厳しい規律に縛られた、まさに正義の監獄! 一生、貧乏な平民や病人に死ぬまで尽くさなきゃいけない。 いや。いやよ。私はヒロインなのよ? 何でこうなったの!!! 「リジー。私の妻に手を出したことを、一生後悔するんだな。」 いらない……!! こんな冷たい男なんていらないから、修道院行きは勘弁してよ……!! 「いやっ。」 「嫌じゃないだろ?さ、行くぞ。リジー。」 まるでピクニックにでも出かけるくらいの軽い調子で、オディロンが私の手綱を引いた。 「や、やだあ!!いやー! 私がヒロインなのよ! 私がこの国の王妃になるの! 一生遊んで暮らせると思ったのにー!!!」  ……ちなみにこの小説は未完だが、アデリナの死後の話が、暫くして投稿された。 ローランドは愛するリジーに贅沢をさせたが、やがてリジーは金遣いが荒くなり、性格まで悪くなる。 アデリナと同じ、いや、それ以上に。 ……ローランドは騙されていたのだ。 リジーは初めからこの国を乗っ取るつもりだったのだ
last updateLast Updated : 2025-09-24
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二人の気持ちが通じ合う…?涙のハグ!

 何なのだ。この、ふわっとした天使のような小さな生き物は。 という顔をする、ローランド。 「アデリナ。いや、アオイ。 この子は今、一体何ヶ月なのだ? こんなに小さくて弱々しく…これではすぐにでも骨が折れてしまうではないか。」 「何言ってるんですか。そう簡単に折れませんよ。 まだ2ヶ月だから弱々しいのは当たり前だし、骨はこれから強くなるんです。 それに医者には順調だって言われてるんですから、心配しすぎですよ、ローランド。」 あの公開告白の騒動の後、ひとまず互いの誤解が解けた時点でローランドは兵を引き上げさせ、自身は町に残留した。 その後私達が暮らしている家で、改めてヴァレンティンと対面する事になったのだ。 気を遣ってホイットニーとレェーヴは家を出て行き、今は私とヴァレンティンとローランドの三人きり。 さっきホイットニーに至っては泣いていた。 「良かったです…アデリナ様っ、本当にっ。 本当に。やはりローランド様はアデリナ様を一途に思われていたのですね。」 あんな事言われたら、つられて泣くわ。 側にホイットニとレェーヴがいてくれて、本当に良かった。  ベビーベッドの上でじっとこちらを見ているヴァレンティンを、ローランドが恐る恐る眺めている。 まるで繊細な物でも扱うかの様に。 何だか笑える。 だってこんなローランド、滅多に見れない。 「ほら、ローランド。 ヴァレンティンの指を触ってみて下さい。」 そう言って不審な動きをするローランドにヴァレンティンの小さな指を触らせてみる。 「何と……!握り返した。 私の指を握り返したぞ、アオイ!」 ヴァレンティンが反射で指を握り返した事を素直に喜ぶ。 何この人……本当にヴァレンティンの誕生をめちゃくちゃ喜んでくれてるじゃない。 そんなにヴァレンティンが
last updateLast Updated : 2025-09-25
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二人の気持ちが通じ合う…?涙のハグ!

 それからヴァレンティンはまたスヤァ、と眠ってしまい、ローランドと私の間に沈黙が訪れた。 何だか気まずい。久しぶりだから? 色んな事があり過ぎて何を話せばいいのか。 「あ……っ、あのっ!」 「アデリナ、いや、アオイ」 二人同時に顔を合わせ、二人同時に声を発した。 「な、何ですか?ローランド。」 「い、いや、アオイこそ先に」 「あ、いえ、私は別に大したことでは……」 何だかギクシャクしながらお互いの顔をまた見合わせる。 ローランドの顔も真っ赤だけど、私も多分真っ赤だ。 あんな愛の告白をされた後ではどう対応したらいいのか分からない。 だけどローランドが何か覚悟を決めたように咳払いをした。 「じゃ、じゃあ、アオイ。……二人きりの時はお前のことをそう呼んでもいいか?」 「え?ええ、まあ。」 「良かった。美しい響きだから、ずっとそう呼んでみたかったんだ。」 「一体いつから気づいてたんですか? 私がアデリナじゃないって。」 「お前が床で滑って頭をぶつけ、意識不明になった時があっただろう。 あの夜だ。お前は自分の事を寝言でアオイだと言ったんだ。」 「そ、そんな前から?」 それだと本当にだいぶ前になる。 まだ私がローランドの事を好きかどうかも分からなかったあの頃にはすでに? 「そうだ。 お前の事を色々知るうちに、私は『お前』という人間を愛するようになったんだ。」 そう言いながらローランドはそっと近づいてきて、頬を染め、私の両手をギュッと握った。 温かい……。 「だが……すまなかった。アオイ。 私がお前を守るためにした行動とは言え、お前を不安にさせてしまったな。」 ここに来る間、ローランドは事の顛末を詳しく話してくれた。
last updateLast Updated : 2025-09-26
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二人の気持ちが通じ合う…?涙のハグ!

 私、ヒロインじゃないけどいいのかな? 私がローランドを…… 涙がポロポロと出てくる。 自分でも、びっくりだ。 本当に。本当に私—————— 「アオイ。すまない……すまなかった。 もう絶対にしない。 これからはもう絶対に、お前を不安になどさせない。」 切実な声で、ローランドがギュウッと私を抱きしめ、熱い体で包み込んでくれた。 相変わらずローランドは逞しくて私なんかすっぽり埋まってしまう。 私もちゃんと言わなきゃ。 「っ……ローランド……ううん。ごめんなさい。 私も状況だけで判断せず、もっとちゃんとローランドと話をするべきだったと反省しています。 だから、早とちりして本当にごめんなさい」 やがて額にキスが落とされる。 熱い唇の感触がした。 懐かしいキスだった。 優しい声と安心する匂い。 この温かさ。全部覚えている。 見上げるとローランドがまた微笑んでくれていた。 「それなら、これからは互いに隠し事はなしにしよう。 もう二度と、お前も子供も失いたくはないからな。 ………愛してる、アオイ。 もう二度と離さない。離れない。」 「は、はいっ……」 「これからはお前もヴァレンティンも、一生守ると誓うよ。だから泣くな……」 「はい。ローランド………私も。」 私も素直になろう。 「私もローランドを愛しています———」 自然と出た言葉に私自身もローランドもめちゃくちゃ驚いていた。 「そうか……
last updateLast Updated : 2025-09-27
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そして始まるイチャイチャ!馬鹿夫婦と言われて……

 ◇ 「なあ。アデリン。お前は初手から間違ってたんだよ。」 「何が……!?」 久しぶりに戻ってきた王宮で、唐突にレェーヴが言った。 あの後私が城に到着するなり、メイド達やイグナイト、先に戻っていたレェーヴにホイットニー、そしてなぜかローランド母にまで帰宅を熱烈に歓迎されてしまった。 しかもアデリナパパに至っては怒りと喜びの電報まで。 そんな中で何より疲れたのが、ローランドの親バカぶりである。 王宮に着くなりローランドは、産まれてくる王子専用の部屋へ私を案内した。 広くて日当たりの良い部屋には、高そうな服や靴、豪華なベビーベッド(なんか、見る限り十台以上もある)や贈り物なんかが所狭しと並べられていた。 だがそれでもまだ足りないとローランドは従者達に追加で命令する始末。 「ベビー服専門のデザイナーを呼べ! ヴァレンティンの服を作らせるぞ!」 「いや、要らない要らない、もうすでに百着以上あるじゃないですか。 そんなに作ったって、ヴァレンティンはすぐ大きくなるんですから……全く。」 とにかくローランドを中心に、ヴァレンティン誕生で城の者がお祭り騒ぎだった。 この件は後日改めて、王室で祝うという。 それが終われば今度は国民の前でお披露目をすると。 そんな訳で、ローランドは溜まった仕事をしてくれとランドルフに執務室へ強制的に連行されて行った。 部屋には私とレェーヴ、そしてホイットニーの三人が残されていた。 とにかくそんな怒涛の一日の終わりに。 「だから。 お前は当初、ローランド王と離婚するつもりだったんだろう?」 「何だそれか……うん、まあね。 でもなぜかローランドに執着されて……」 ソファの上でだらしなくしている私に、またレェーヴが意味深な事を尋ねてくる。 少し眠い。ヴァレンティンは今、任命された乳
last updateLast Updated : 2025-09-28
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そして始まるイチャイチャ!馬鹿夫婦と言われて……

 「とにかく!男って奴は〜 好き!好き!って来られたらドン引いてしまう生き物なんだよ。分かったか? アデリン。これはお前が国を支えていく上で大切な処世術だ……」 「全く、一体何言ってるんですか。レェーヴ。 そんな事よりアデリナ様はすごく眠そうですよ。」 後ろでホイットニーが荷物を片付けながら呆れたように溜息を吐いている。部屋は私が出て行った時のまま何も変わっていなかった。 私の眠気もそろそろ限界だ。 「ふむふむなるほど……じゃあこれからはローランドに好き好きって言えばいいのね?」 「え……?いや、違………今それだと、今度は逆効果で」 その時、レェーヴの背後にローランドが立っていて、入れ替わるようにして私の前に跪いていた。 「あれ?ローランド? いいところに来ましたね。 ふふ。ローランド…… 好きです。だあい好き。」 「……そうか。私もお前のことが大好きだ。 アデリナ。」 熱を含んだ、潤んだ瞳で私を見上げているローランドにわざとしがみ付いた。 「……!!」 「ローランド。だあい好き。愛してます。 ……ねえ、こんな風にベタベタしたら私のこと、嫌いになりますか?」 その時、目の前で「氷の王」と呼ばれていた男がふっと心底面白そうに笑った。 「アデリナ。 そんな事をして、私が今さらお前を嫌いになると思うか? だとしたらそれは大間違いだな。 どうなるか、教えてやる。」 「おい〜馬鹿夫婦。ったく、そこでイチャイチャするなって……」 「こら!レェーヴ!ほら、さっさと行きますよ!うふふ。お二人にせねば。」 つまんないと言ったレェーヴの声に、
last updateLast Updated : 2025-09-29
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