All Chapters of 愛のために我が子を失った悲劇の王妃に憑依したみたいです。推しの息子と二人で幸せに暮らすため、夫はヒロインに差しあげます!: Chapter 131 - Chapter 140

154 Chapters

ヒロインとガチバトル!?悪女になったアデリナ

 ある日リジーが毒で倒れたという騒ぎが起こった。 確かに原作でのアデリナは、リジーに毒を盛ったことがある。 でもそれはあくまで原作だ。私は絶対にそんな事やらない! 幸い解毒はできたらしいが、リジーは今、療養中らしい。 「私は絶対にやってないわよ……!! だから、私の拘束を解きなさい……!!」 「す、すみません王妃陛下……しかし、命令ですので。」 臨月が近くなり、ただでさえ体が思う様に動かないのに、毒で倒れたリジーの近くに私の髪飾りが落ちていたという。それが証拠だと。 そもそもリジーには一週間ほど会ってないのに、そんな私が毒を盛るなんてバカらしい。 動機は嫉妬だという。 どうやらローランドが仕事で出掛けている間、タウゼントフュースラーの企みでそうなってしまったみたいなのだ。 彼が王宮の兵を勝手に動かし、私を拘束してしまったのだ。 「アデリナ………………」 その現場にやっとローランドが、息を切らしながら現れた。 兵に捕まっている私をローランドは何か物言いたげに見つめて…… 「陛下……っ!私はやってな……」 「はあ。……アデリナをあの北塔へ。 暫く拘禁してくれ。見張りも付けて。 念の為、妊婦だから慎重にな。」 「ロー…ランド………?」 ローランドは心底呆れた様に溜息を吐いた。  ………何それ。何よ、その顔。 「リジーの様子は?……見に行く。 侍医を連れてきてくれ………」 そう言って
last updateLast Updated : 2025-08-31
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おまけ原作・性悪妻アデリナの最期

 どうやっても無理だった。 あのリジーとかいう看護師に心を奪われ、彼女を心底愛してしまったローランドを取り返す事など叶わなかった。 初めから。私はローランドに性悪妻だと思われ、その誤解を解けもしなかった。 ただ彼に愛されたかっただけなのに……… 私のせいで苦労させ、病床についたお父様に代わり、私のために自分の父親であるローランドに反旗を翻した、愛する息子、ヴァレンティン。 夫を取り戻したい一心でマレハユガ大帝国の強力な軍事力で挑んだ戦いにも関わらず、ヴァレンティンの率いた軍は大敗した。 そのまま私は捕らえられ、クブルクのこの北塔で監禁されている。 薄暗い部屋。鼠が這う床。 誰もが私の世話を嫌がり、誰も塔に近寄らない。 ローランドに会ったのは先週だった。 「私はリジーを愛してる。 アデリナ。もう私達は終わりだ。 お前とは離婚する。 もうニ度と…私がここに来ることはないだろう。」 そう言ってローランドは相変わらず私を冷たい瞳で睨み付け、リジーの肩を抱いてこの部屋から出て行った。 その後この戦争で、たくさんの人が死んだと報せを受けた。 私が大切に育てていた、あの精鋭部隊は全滅したと聞いた。 あのライリーさえも、ヴァレンティンを庇って自分が囮になり、討たれたと…… あの者はヴァレンティンのように、私にとても懐いてくれていた。 けどもう二度と、彼の明るい笑顔は見れないのだ。 「すまなかった……ライリー…… 私がお前達を買いさえしなければ…… 精鋭部隊になど育てなければ…… 死ぬこともなかっただろうに。」 罪の意識は絶えず溢れ続けた。 ローランドとの十数年に渡る結婚生活が終わり、戦争も終結した。 塔の中で私はずっと罪の意識に苛
last updateLast Updated : 2025-09-01
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どうぞ、どうぞ!夫はヒロインに差し上げます!

塔に閉じ込められて約一週間。 退屈だ。 あの原作とは違って塔の部屋は快適だったし、頻繁に侍医が来てくれて、胎児の成長が順調かどうかを診てくれる。 結局お風呂の世話も好意的なメイド達がしてくれてるし、用意された食事が妊婦に優しい食事内容だったりする。 妊婦に優しいフカフカのベッドに、大判のブランケットに暖房完備。寒い思いもしてない。 毎回、部屋の掃除もメイド達が来て綺麗にしてくれる。 一応、まだローランドの妻として丁寧に扱われてるって事かな? 何と言ってもヴァレンティンを妊娠中な訳だし、ローランドにとっても初めての我が子だもんね。 そうやって思ったよりも北塔の部屋で快適ライフを満喫していたら、ホイットニーが私を迎えに来てくれた。 「アデリナ様……!お会いしたかったです! 大丈夫ですか?どこか体調が悪くなったりはしてないですか!?」 再会を喜び、ホイットニーは泣きながらは私に抱きつく。 「大丈夫よ、ホイットニー。むしろ動かないから太ったくらいだわ。それよりどうしたの?」 「あ……それが。リジー様が無事に目を覚まされて、ひとまず、それでローランド様が拘束を解く様にと」 「え?……犯人はまだ分かってないのに?」 「はい。……今王室を挙げて捜査中とのこと。 それとローランド様から、アデリナ様に、自分のお部屋に来る様にと伝言が……」 まだ疑いは晴れてないみたいだけど、とりあえず塔からは出して貰えた。 けど……あれからローランドは一度もこの場所に来ていない。 あの時、ローランドに見捨てられた様な気がした。 あれから一週間ぶりに会うけど…… ◇ 馴染みのある、ローランドの寝室までの長い通路を歩く。 暗いからと、近くまではホイットニーが連れ添ってくれた。 緊張する。 あの時のローランドの
last updateLast Updated : 2025-09-01
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どうぞ、どうぞ!夫はヒロインに差し上げます!

 ……うん!!!そうだよ!??めちゃくちゃ戸惑ってるよ!?? あの、心優しいはずのヒロインが。 原作でローランドを献身的に支え、彼を愛し、彼に愛されたリジーがまるで悪女みたいに笑う。 「ご想像通りですよ……? 私、今夜はローランド様と過ごしています。 来てくれと頼まれたので…… 当然ですよね。本来ローランド様に愛されるのは、この私なのですから。 始めは焦ったんです。 王妃陛下のせいで、起きるべき戦争が起こらないと分かった時は…… でも、もう大丈夫です。 今夜……予定通り彼が私を愛してくれましたから。 だから王妃陛下はもう用済みなんですよ。」 [ヒロイン補正進行中▷▷▷…… ヒロインには敵わない] 意識してないのにウィンドウが勝手に開く。 中にローランドがいるの……? ウィンドウの文字が、ヒロインには敵わないとはっきり告げている。 まさかもう…ローランドはリジーに完全に落ちたの? だから私に会いにも来ず、あの時も心底疲れた様に溜息を吐いたの……? 「リジー?何をしている?」 それは紛れもなく、ローランドの声だった。 寝室から聞こえてきた彼の声。 確実にリジーを呼んでいた。 「あ、はあい、ローランド様。 今参ります……!」 可憐な声でリジーは返事をする。 それからもう一度私の方を見て心底優越感に浸ったような顔をした。 「王妃陛下……いえ、アデリナ様。 ご自分の立場を忘れないで下さいね? あなたは所詮は性悪妻。 私とローランド様の恋を盛り上げるための、いわゆる《悪役》。脇役なんです
last updateLast Updated : 2025-09-02
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どうぞ、どうぞ!夫はヒロインに差し上げます!

 ◇ 「一人で城を出る……? そんな身重な体で……?」 とぼとぼと自分の部屋に帰った私を、レェーヴが腕を組んで待ち構えていた。 ホイットニーもいる。さっきの話を聞いて泣いていた。 「うん……直ぐにでも出ようかなと。 ローランドがリジーに恋に落ちてしまったのなら、今後、セイディや大臣達の私に対する風当たりが強くなるはずよ。 毒の件で最悪、濡れ衣を着せられる可能性もあるわ。 そんな苦痛に絶えてまで、王妃でいる必要なんてない。 幸い、アデリナの預貯金はいっぱいあるし、暫くはどこに行っても暮らしていけると思うの。 実家には帰れないわ。お父様は離婚には反対みたいだし…… とにかくもう離婚届を準備するから。 ホイットニー。お願い。私が城を出たらそれをローランドに渡してくれる?」 「い、嫌です……!私はっ、私も一緒にアデリナ様と城を出ます……! お願いです、アデリナ様! どうか私も一緒に、連れて行って下さい…!」 そう言ってホイットニーは、私の隣で、子供みたいに泣いてしまった。 いや……私も泣きたい気分。 「……アデリン。 あんたがここを去るなら、俺がここにいる意味はない。 だから俺も一緒に行くぜ。」 それまで冷静に対話していたレェーヴまでもが、ぽつりと呟く。 「レェーヴ……私に着いて来たら、今みたいな贅沢はできないのよ?」 「…だから?言ったじゃないか。 俺はあんたの腹心だって。 自分の仕える主人に、腹心が着いて行くのは当然だろう?」 格好良くレェーヴが笑った。 まさか、そんな風に言ってくれるとは……&helli
last updateLast Updated : 2025-09-02
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番外編・アデリナの華麗なる復讐《葵となった私が幸せになるまで》

 病室でバチっと目を覚ました上坂葵———— ではなく、アデリナ。 「あ、葵……お、お前、目を覚まして?」 呼吸器をし、ベッドに横になったままギロっとクズ夫の翔を睨みつける。 なるほど。これがあのクズ夫ね。 葵を散々泣かし、葵を苦しめた最低不倫男。 ふん……見た目もローランドに比べたら天と地ほどの差があるわね。 背も低いし、輝きもオーラも全くない。こんな奴、どんな男よりも下の下だわ。 葵は何でこんな男が好きだったの? 全く理解に苦しむわ。 それと…… 「あ、……奥さん。良かったあ。目を覚まされて……」 翔の隣にいる、略奪女の星乃麗。 確かに体つきは豊満だが、顔も性格も頭も下の下の下品なだけの女。 全く。こんな女の何がいいの? 良かったなんて、本心じゃないくせに。 翔が惚れてるのはこの、体だけでしょ? まさか顔とか言わないわよね? ふ。だとしたら大笑いだわ。 だってこの女、実はめちゃくちゃ整形してるわよね(浮気調査で発覚した、葵の記憶では)。 まあ、いい。 それにしても葵が住んでるこの国、いや、この時代は何と便利なのだろう。 葵の見てきたもの、知識は全てこの頭の中に入ってる。 さあ。そろそろ初めましょう。 葵に代わって、この元アデリナ・フリーデル・クブルクが、クズ二人に華麗なる復讐を。 まずは呼吸器をブチイッと外した。それに驚くクズ二人。ゆっくり起き上がる。 「あなた……私のバッグを取って下さる? 私の両親が持って来てくれていたでしょう? そこに置いてあるわよね。 化粧ポーチを……自分の顔を見たいの。」 にこりと私は二人に向
last updateLast Updated : 2025-09-03
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番外編・アデリナの華麗なる復讐《葵となった私が幸せになるまで》

 控え室に待たせていた二人をもう一度病室に呼び寄せた。 医者からの説明を受けた二人はいまだに信じられないという顔を晒している。このバカどもが。 「貴方達は、死にかけた私の側で、私が死んだ後の保険金の話をしてましたよね? 私が死ぬのがそんなに待ち遠しかったのですか?」 「お、お前……葵! さっきからその喋り方は何なんだよ!? 気持ち悪いっ!」 「あらあ。何が気持ち悪いのです? 翔。 二人が話してたのを私、聞いてますのよ。」   「は……!生き返ったとたん強気になりやがって! あのまま死ねば良かったのに!!」 「死ねば二人は再婚して、私の保険金で悠々自適に暮らす予定だったんですものね。 ああ……! なんてひどい人なの。 妻に死ねだなんて………」 「だから、その気持ち悪い喋り方はやめ…」 「二人は何年不倫してたかしら? 確か私と結婚して1年も経たないうちに不倫が発覚しているから……もう5年くらい? オフィスで体の関係を持ったり、ホテルでも数えきれないくらい……それに不倫旅行? でしたわよね。」 「……っ、だから何だ! そんなのお前だって了承済みだった筈だろう! 今言うことか!」 「了承済みだなんてそんな…… 愛する夫に《不倫を黙認したら離婚だけはしないでやる》なんて言われたら大人しく従うしかないわよね…… あなたは本当にひどい人だわ。妻にそんな苦痛を強いるだなんて。」 全く。気持ち悪いのは私だわ。 でも今は我慢よ?アデリナ。 可哀想で、悲劇的ヒロインを演じるの。 思惑通り、クズ夫は挑発に乗ってく
last updateLast Updated : 2025-09-03
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番外編・アデリナの華麗なる復讐《葵となった私が幸せになるまで》

 また調子に乗ってモラハラ感を取り戻してきたクズ夫と、ベラベラと自分の不貞を話すクズ女の前で、私はスマホの画面を見せた。 ただ今、録画中である。 「は…………?」 マヌケなクズ夫がマヌケな声を出して静止した。隣のクズ女と二人してピタっと行動が止まる。 ニヤっと笑い、私は停止ボタンを押した。 「この世界は本当に便利よねえ。 そして、不貞行為にはとことん厳しい。 ねえ? 今のやり取り……貴方達の会社の上司や、同僚が聞いたら何て言うかしら?」 元々、葵とクズ夫は同じ職場で働いていた。 だから葵のスマホの中にはクズ夫が働く会社の上司や同僚の連絡先が登録してある。 つまり簡単に情報を共有できる。 サアアッと顔を真っ青にするクズ夫とクズ女。 「や、やめろ……バカな真似はよせ……!」 ベッドの上で握っているスマホを、クズ夫が奪おうと手を伸ばす。 私の手は間・違・えて、動画を一斉送信してしまった。 「ああ、手元が……つい押してしまったわ。 ごめんなさいね?あ、な、た。 うっかり手が滑って、あなたの会社の上司、同僚、そして共通の友人、知人達に今の動画を送ってしまったみたい。 今の最低な会話が皆に聞かれてしまうわね。可哀想な、あ、な、た。」 「このっ………!!」 怒り狂ったクズ夫がブンッと手を振り挙げ、私を殴ろうとしている。 本当にこの愚民が、懲りないわね。 「やめろ………!」 そこにタイミングよく一人の男性が現れた。 顔はクズ夫には似ても似つかないが、正真正銘クズ夫の弟、優《ユウ》である。 「優……?何でお前がここに?」 クズ夫は
last updateLast Updated : 2025-09-03
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番外編・アデリナの華麗なる復讐《葵となった私が幸せになるまで》

 二人の声が絶妙に重なる。 それから、ベッドから起き上がった私を優が自然と支えてくれた。 まるでこちらが本物の夫みたいだ。 「とりあえず帰ろうか、義姉さん。 すぐにでも退院できるみたいだから、手続きはしておいたよ。」 「ええ、良くってよ。」 「……?」 「どうしたの?」 「え?いや……義姉さん、何か死にかけてから雰囲気変わったね……」 優が困ったようにふわりと笑う。 まあ、そうね。 残念だけれど、もう貴方の好きだった葵はこの世界にはいないのよ。 「おい、待て……お前ら!」 まだあのクズ夫が何かをほざいている。 愚か者め。 お前はもう終わりだ。 振り返り、私はまたポケットの中で再起動させていた動画の画面をクズ夫に見せた。 傲慢な笑みを浮かべながら。 「あなた、このスマホの前で暴力を振るう勇気があるんですか?」 「え!?……また動画を撮ってたのか!?」 画面は写ってなくても、生々しい音声は録音されている。 今、マヌケな格好をしているクズ夫にスマホを向けて録画ボタンを押せば、かなりいい絵が撮れるだろう。 またもやクズ夫は愕然とした。本当に学習しない奴だ。 そんなんでよく不倫なんかできたな。 「や、やだあ、どうしよう……上司から電話が……」 ずっと黙っていたクズ女が、スマホを手にしながら震えていた。 「うふふ。 上司に同僚、友人、知人から暫くは熱烈に問い詰められますわね? 自業自得なんですのよ? 葵を……私を裏切った罰なんです。 そして、あ・な・た。 私は貴方とは離婚します。 だから星乃さんとともに、慰謝料の準備
last updateLast Updated : 2025-09-04
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番外編・アデリナの華麗なる復讐《葵となった私が幸せになるまで》

 その後、私とグズ夫はスピード離婚。 優の紹介で優秀な弁護士に依頼できた上に、費用も良心的だったので、慰謝料請求もスムーズ。もちろんこっちの圧勝である。 後から聞いた話しだと、二人の不倫関係は会社で大問題となり、クズ男の方は事実上のクビになったんだとか。 葵と共通の友人、知人からも冷たい目で見られ、親からも縁を切られたという。 またクズ女の方も不倫女と周囲に叩かれて居辛くなり、結局会社を退職したらしい。 お互い高額な慰謝料の支払いに頭を悩ませ、しかも二人して次の就職先がなかなか決まらず、ケンカばかりしていると。 そして二人はすぐに破局を迎えた。 「お前は掃除も洗濯もできなければ、ご飯もろくに作れないんだな! そうと分かってれば、お前となんて不倫するんじゃなかった!」 「何よ! 私だって……あんたみたいに無職でカッコ悪い男、もういらない!!」 「ああ!お前とは終わりだ……! こんな事なら葵と……葵と別れるんじゃなかった!!」 町中で二人が酷いケンカをしている場面を、葵の友人が偶然目撃したらしい。 それからクズ男の方は、本当に後悔しているとか、葵とやり直したいとか、お酒に溺れてはほざいているんだとか。 ふん。愚か者が。 今さら後悔して何になる。 それに私は葵ではないから、お前に対する愛など微塵もない。 ザマァみろだ。永久にお前の元に戻る事はないだろう。 葵を蔑ろにし、苦しめた罰だ! もがき苦しめ!!クズ男め!! そうして無事に葵の復讐を果たした私はと言うと…… その後の生活まで色々とサポートしてくれた優が、今日もまた私の側で囁く。 元々フリーランスで仕事をしていた優が企業し、今ではネットの通販会社を運営している。 そこで私は優に雇われ、働いている。 「義姉さん。これからも側にいてもいい?」 甘い言
last updateLast Updated : 2025-09-04
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