All Chapters of 愛のために我が子を失った悲劇の王妃に憑依したみたいです。推しの息子と二人で幸せに暮らすため、夫はヒロインに差しあげます!: Chapter 121 - Chapter 130

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本編スタート?ついにヒロインが登場!?

 お許し……って?何を………? 「あ、あの?リジー。私は別に何も。」 懸命に怖がらせないように話しかけてみる。 だがリジーは私と一切目を合わそうとしなかった。 結局リジーは、ブルブルと震えて侍医の後ろに隠れてしまった。 明らかに私を怖がってる。 え?何で? 本当に何もしてないんですけど? 「す、すみません。王妃陛下。リジーは少し緊張しているようです。」 代わりに侍医が気を使って私に謝ってくる。 そのあと諫めてもくれたが、具合が悪そうなリジーは、その日は仕事もせずに退勤するという事態に。 ……え?これも、物語の強制力?補正というやつなの? 元々、原作でのアデリナは、とにかくリジーに対して酷い行いばかりした。 でも今の段階ではまだ初対面だし、リジーはローランドと恋仲ではない。 それに私もあんな風に怯えさせるような振る舞いをしたつもりはないんだけど、どうして? とにかく落ち着こう。そしてまずは私に異常に怯えているリジーと仲良くなって、誤解を解くことから始めなきゃ。 ◇ 「私は反対です。アデリナ様。」 「……え?」 リジーと仲良くなるために彼女をお茶会に誘いたいと相談すると、なぜかホイットニーに不満気な顔をされた。 「あの看護師様は……どうにも嫌な感じがするのです。」 「リジーが?そんな、何かの誤解よ。」 確かに今日、ホイットニーはあの場にいた。 だけど、普段穏やかな彼女がここまで露骨に言うなんて。 「とにかく、私はあの者とアデリナ様が仲良くなるのは反対です。 何か、本当に悪い予感がするのです。 ……ただの杞憂だといいのですが……」 「ホイットニー…&hellip
last updateLast Updated : 2025-08-24
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本編スタート?ついにヒロインが登場!?

 今日は美しい花が咲いた王妃宮にリジーを招いてお茶会をしている。 あの日以降リジーは私を避けているようだったが、ローランドの診察時には毎回、立ち会っているらしい。 「リジー?ああ、あの看護師のか? 何?何かを感じたか?…いや、特に何も?」 ついにヒロインに出会ったのだから、ローランドが何か運命のようなものを感じたのではないかと尋ねたが、特に変わりはないみたいだった。 「なぜ、そんな事を……?」 「え……い、いえ。特に意味は。」 その時はローランドに尋ねられて少し戸惑った。 ……確かに私は、なぜそんな事を……?  庭園の、日当たりの良い場所に用意したテーブル。 その上に上品なティーカップセットや、用意されたお茶、豪華なお菓子がズラっと並んでいる。 私は妊婦だから甘いものは控えるように言われてるけど、今日はリジーのために色々用意した。 できるならあんなにドロドロした展開ではく、ヒロインとは仲良くなって終わりにしたい。 清々しい気持ちでローランドと一緒に幸せになって貰いたいから。 向かい側に座っているリジーは、この前よりはいいものの、やはり表情が引き攣っている。 「リジー。今日はお茶会に来てくれてありがとう。遠慮なくいっぱい食べてね。」 「あ……ありがとうございます……王妃、陛下……」 凛とした可憐な声。だけど距離を感じる。 側に控えているホイットニーが心配そうに見ている。 だから大丈夫よ、と私は目配せをした。 しばらく堅苦しい会話を交わした。リジーは遠慮がちにミルクティーを飲んだり、ケーキを少しだけ食べて、やがて視線を逸らしがちに言った。 「王妃陛下……その……お腹を触っても?」
last updateLast Updated : 2025-08-25
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本編スタート?ついにヒロインが登場!?

 ホイットニーにレェーヴ。二人も目撃者がいる今の状況だと、明らかにリジーが不利だけど。 「ひ、ひくっ、……ひ、ひどいです。王妃陛下…それにレェーヴ様…… 私はただ、触診しようとしただけなのに突き飛ばすなんて……」 え…………?えええええ!!! 「い、いや、リジー?今のはどう考えても明らかに、私を椅子から突き落とそうとしていたわよね?」 呆気に取られてズバッとリジーに言い返してしまった。 「今のは明らかに王妃への殺人行為だっだよな!? あんた、よっぽど殺されたいんだな?」 力が抜けてしまった私の両腕を支えるレェーヴも、リジーに対して激しく怒鳴った。 さっきは本当にレェーヴのお陰で助かった。 「ひ、ひどい……!! 私は決してそんなつもりはありませんでしたっ、なのにどうしてそんな、濡れ衣を……」 「ぬ、濡れ衣?」 今のが濡れ衣だって言うの? 明らかに私を狙っておいて? しくしくと泣くリジーの姿を見て兵達が騒ついている。どちらの証言を信じたら良いか分からないようだ。 「やはり王妃陛下は……私がローランド様と懇意にしているのが許せないのですねっ…… だからこんな風に私を罠に嵌めようと…… やはり王妃陛下はお噂通りのお方……」 ええええええええええ!!! いやいやいやいや、何言ってんの?リジー。 ローランドと懇意って何? 今はまだ、看護師として侍医に付き添ってるだけでは? それにしても、さっきの顔。 明らかに殺意あったよね? ……はっきり、ローランドは私のものだって言ったよね?
last updateLast Updated : 2025-08-26
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本編スタート?ついにヒロインが登場!?

 しかもセイディはプライドが高く利己主義だから、ただの平民のはずのリジーをこんな風に庇う理由が分からないんだけど。 「やっぱり、アデリナ様は私を睨みつけていらっしゃるわ。きっと昨日も私がローランド様の脈を診たから……」 廊下の先で私と目が合うと、リジーは咄嗟に目を逸らし、怯えたようにセイディの背中にスッと隠れてしまう。 …昨日、リジーがローランドの脈を診たの? それ、初耳なんだけど!!! え?ただの看護師がローランドの脈を直接見るなんてあり得るかな!? 「怯える事なんてないわよ、リジー様。 あんな、権力を盾に陛下と無理やり結婚した方になんか。 陛下に相応しいのはリジー様よ。 美しくてお優しいリジー様の魅力を、陛下はきっと分かって下さるわ。」 そう言ってリジーの肩を抱きしめ、セイディは横目で私を睨みつけてくる。 「そうよ、そうよ……! 陛下に相応しいのはリジー様だわ!」 周囲にいた侍女達も同様だった。 いくら私が嫌いだからって、みんな私の侍女だよね? なのに何でリジーをそこまで? ……こんなのおかしい!!! 相応しくないのは分かってますけど? だからリジーに潔く後を任して、清々しくローランドの元を去りたいのに。 「ステ、オープン……」 [リジー▷この世界のヒロイン Lv50 24歳 クブルク王家専属侍医のスタッフ・看護師 主にローランドとアデリナの医療行為に携わる ヒロイン補正発動中] あ………った。ヒロイン補正発動中……!! つまり私が本来の性悪妻になるよう、物語が強引に仕向けてるって事……? それにまさか、ヒロインの力でセイディ達も言いなりに!? って&
last updateLast Updated : 2025-08-27
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本編スタート?ついにヒロインが登場!?

 ◇ その夜、ローランドはいつものように私の寝室を訪れた。妊婦で今は何もできないと分かっているはずなのに、私と添い寝するためだけに。 「アデリナ……?」 「ローランド………」 いつもと変わらないローランドを見て、なぜだか私は泣きたくなってしまった。 だからつい、ローランドの胸に自ら埋まりに行ってしまったのだ。 どうしたんだろう?私。こんなに気弱になるなんて。 この人の腕に、もう何度も抱かれた。 それがもう随分前の事のように懐かしく思えた。 今はヴァレンティン出産のためにただ一緒に添い寝をするだけの関係なのに、それでも私は確かにローランドの温もりを知っている。 いつかはリジーと幸せになるこの人を、バッドエンドから逃れる為にも手放すのが正解だって分かっているのに。 私が色々と変えてしまった原作を、物語が強引に補正している。それは紛れもない事実。 もう、ローランドもすっかりリジーに心を奪われたのでは?と…… 「アデリナ。どうした? 何か悩みがあるのか? ……最近、お前が看護師のリジーに嫌がらせをしていると言う噂を聞いた。」 やっぱりローランドも聞いていたんだ。 グッと下唇を力を込めて噛んだ。 「ローランドも、その話を信じるのですか? 私がリジーを虐めたと……」 「いや。信じてない。 お前がそんな女じゃないのは分かってる。 だから心配するな、アデリナ。」 いつもと変わらない優しい眼差しをしたローランドが、そのまま私の額にキスをした。 いつの間にこんな風に当たり前のように触れ合うようになって、いつの間にこんな、本物の夫婦みたいに絆みたいなものを感じるようになったんだろう? 「良かった……」 「アデリナ。一人で何かを悩むのはやめ
last updateLast Updated : 2025-08-28
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本編スタート?ついにヒロインが登場!?

 その後もなぜか、王宮では私がリジーに嫉妬から嫌がらせをしていると言う根も葉もない噂が広がっていった。 ただ、ホイットニーやレェーヴ、BL神殿長のイグナイトだけは違った。 「は?王妃陛下があの看護師に嫌がらせを?  この方が本当にそんな事をすると思いますか?  するならこの方は正々堂々と、真正面から宣戦布告をなさるでしょう。ケンカ越しに。」 「クックック。確かに。  アデリンはすぐ怒るからな。  間違いなく、すぐにグーで相手を殴るタイプだ。」 ……おいっ!  人がツッコミを入れる暇もなく、イグナイトの淡々とした発言に、レェーヴが面白そうに答える。 「お二人とも失礼ですよ、アデリナ様はそんなお方ではありません……!」 ホイットニーが、ムッとして二人に抗議してくれている。 またもや王妃宮に遊びに来ているイグナイトは、今日も甘いケーキを食べて呑気に笑っていた。 「イグナイト?あなた、ここに陛下がいないのに、何で毎日のように来るの?」 「陛下がいなくても問題ありませんよね?」 「い、うん、まあ、ないけど……」 この所ローランドはまた忙しい。  雨季に向けた食糧の確保、毎年流行り出す病に備えるなど、様々な問題で常に走り回っている。  手伝いたいけど、今はジッとしておけと本人に言われてるし。 また熱を出さないか心配だ………  そんな事を思っている間に、リジー登場によって事態はさらに深刻になっていく。  原作小説の強制力。元のストーリーに戻そうとする見えない大きな力が働く。  それは正に神の力と言ってもいい。 リジーがヒロインの、彼女に優しい、この世界。 このままだと、予想以上に早くローランドとの別れが来てしまいそうだ。  だけど、せめてヴァレンティンだけは城で無事に出産したいのだけど……… 
last updateLast Updated : 2025-08-29
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ヒロインとガチバトル!?悪女になったアデリナ

 ◇ 「アデリナ様……!大変です………!」 大きなお腹を抱え、いつもの様に王妃宮で穏やかなティータイムをしていた私の元に、ホイットニーが真っ青になって飛び込んできた。 「ホイットニー?どうしたの?」 息を切らし、ガタガタと小刻みに揺れるホイットニーを、私は咄嗟に支えた。 「っ、アデリナ様……。そのっ。 落ち着いて聞いてください。 つい先ほど、ローランド様の側室候補に…… あのリジーという者の名前が上がっているという報告が……!」 ホイットニーは、今にも泣きそうな顔をして私にそう訴えた。 「側室……候補?」 「はい……」 「え?……でも。確かクブルクの王族は一夫一妻制で、他に愛人などは作ってはいけないはずでは……? 側室なんて制度はなかったでしょう?」 だから原作のローランドもリジーを愛人としてしか側に置けなかった。 その時のローランドの激しい葛藤も確か描かれていた。 「それが……今だにアデリナ様を快く思わない大臣達が裏で手を組んだようです。 若くて綺麗なあの者を側室候補に立て、ローランド様の意識をアデリナ様から引き離すのが狙いの様で……」 「そんな……」 リジーがローランドの側室候補に……? あれからローランドに全く変化はなかった。 相変わらず子煩悩のようだし、私に危ない事はするなと言ってくる。 だけどこうやってリジーとローランドをくっ付けようとするイベントばかりが続けば、物語はあくまでリジーの味方だ、そう言われている気がした。 泣きそうな顔をするホイットニー
last updateLast Updated : 2025-08-29
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ヒロインとガチバトル!?悪女になったアデリナ

 レェーヴの言葉に、ホイットニーが怒って言い返した。 「アデリナ様を追い出す……? 何バカな事を…… そんな事、ローランド様がお許しになるはずがないわ。 それに、そんな事をすればクブルクはマレハユガ大帝国からの加護を失うというのに…!」 「————そうなっても構わないと確信したからだよ。」 「……どういう意味?」 強い口調のレェーヴに、思わず私は尋ね返した。 「アデリン。 あんたがこれまでしてきた事が、奴らを調子に乗らせる結果となっているんだ。 ずっと問題視されていた俺達、レェーヴン一派を味方に引き入れ、今やルナール率いる俺達の一派は東部地方の強力な防壁となった。 それにアルバ一族と軍事同盟を結んだお陰で、軍事力が上がった。 さらには強敵だったサディーク国と和平条約まで結んだのだから、格段にクブルクの軍事力と国防力が上がった。 仮に他国から狙われたとしても、これまでの様にはいかないだろう。 だから強気に出ている。 あんたを追い出し、都合のいいあのリジーとかいう女を操って、王をいいように動かそうと企んでいるんだ。」 「そんな陰謀が……?」 「ああ。ったく、頭が悪い奴らはこれだから困る。……だからアデリン。もし必要なら言ってくれよ? あの女がアデリンの邪魔になるなら俺が… ヤるから。」 ……何を!?? やれやれと言いながら物騒発言をするレェーヴにこそ、危機感を感じるんですけど。 「何もヤらなくていいわよ、レェーヴ。 むしろ何も殺《や》らないでね?」 このままローランドがリジーと恋に落ちるのは仕方ないにしても、そんな風に二人を利用して操ろうとするのは許せない。 特にローランドには本当に
last updateLast Updated : 2025-08-30
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ヒロインとガチバトル!?悪女になったアデリナ

 [タウゼントフュースラー伯爵▷財務大臣 58歳 Lv.4  現在の親密度マイナス16 ヒロイン補正によりリジーの後継人に リジーを使い、アデリナを追い出そうとしている 子悪党だが、悪巧みに関しては天才的 油断できない] ……めちゃくちゃ企んでるじゃない!!! それにリジーの後継人に?つまりパトロンという事だよね? だったら今、リジーは貴族に?伯爵家の娘ということに…… それなら身分でローランドの側室になれない、というのも変わってくる。 それにこの様子だと、リジーが側室候補だというのはローランドも了承してるっぽい? 「陛下、いえ……ローランド様。 昨日は早くお休みでしたね。体調はいかがですか……?」 王であるローランドにリジーは躊躇いもなく触れ、腕に纏わりつく。しかも名前呼び。 そんな事、普通なら許されない。 何だかもうすでに恋人みたい。 昨日のローランドの体調を知ってる? 妃でもない、リジーが? 名目上の妻の私が、知らないのに。 ローランドは昨夜また、体調が悪かったの? 「あ……アデリナ?」 やっとローランドがこっちに気付いてくれた。 だけどその隣のリジーがすごい目で私を睨みつけてくる。 しかも…… 「王妃陛下……!? お、お許し下さい……!私はただ、昨夜ローランド様の体調を心配して、看病をしただけです! だから、どうか私をそのように睨みつけないで下さい……恐ろしくて堪りません……! この前のように、私を叩かないで下さい!」 「は………?」
last updateLast Updated : 2025-08-30
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ヒロインとガチバトル!?悪女になったアデリナ

 その険悪な雰囲気をぶち壊したのは、紛れもなくローランドだった。  床に伏せているリジーをキッと睨みつけ、ローランドはこちら側に素早く歩いて来て、私を庇うように手を握った。 「アデリナは私の妻だ。  クブルクの王妃だぞ。お前達が何の証拠もなしに陰口を言える相手だと思ってるのか?  それに今、彼女は私の子を妊娠している。  大事な時期に……お前達は噂だけでアデリナの事を疑うと?  逆にリジー。  アデリナに叩かれたというのが本当なら、今すぐその証拠を見せてみろ。  彼女にやられたという傷やあざが、本当にあるのか?」 「陛……下……」 ローランドの冷たい仕草や表情は、一気に財務大臣や陰口を言った、官僚達を黙らせた。 「いえ……傷は下半身にあるため、王には見せられません………。」 まさに氷みたいに冷たいローランドに睨まれたリジーは、顔を真っ青にし、声を震わせた。 「行こう、アデリナ。  今日の仕事はもう終わった。」 「い……いいの?ローランド……リジーをそのままにしても……」 「問題ない。  もしもお前が彼女を罰したいというなら、話は別だが。」 「ううん。罰なんて別に……」 仮にもリジーはヒロインだ。そんな事を出来るはずもない。  優しく私に笑いかけてくるローランドを見て、また胸がギュッンとなる。 うそ、何これ……心臓の病気?  ……心筋梗塞とか? ローランドはリジーを置き去りにし、私と手を繋いだまま、その場を離れた。 ローランドが私を信じてくれている。  それに凄く感動してしまうなんて、近頃の私は本当に変だと思う。  頭では、いつかはローランドがリジーに恋をするのだと分かってるのに。  それなのに、ローランドがリジーの言葉ではなく、私を信じてくれていたから。  まだローランドには、ヒロイン補正がかかっていない? とにかくローランドがまだ私の味方でいてくれて、本当に良かった……… だ
last updateLast Updated : 2025-08-31
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