「さあ、アデリナさん……後もう一息ですよ!頑張って……!」 「アデリナ様!頑張って下さい……!」 頑張れ……ませんけど? とある一室のベッドで力む私。それを手助けする平民の助産師。 横でホイットニーが私の手を握って励ましてくれている。 出産は鼻からスイカを出すようなっ痛さって聞いたことあるけど……全然違う!! 痛い!!痛すぎるからあ!!! 「ひえっ、も、無理! 無痛分娩を……無痛分娩を希望します!!」 「何ですか、それ。出産には自然分娩しかありませんよ、アデリナさん。」 なんて事だ……! いくらここが中世ヨーロッパ風の世界観だからって、出産方法くらいは自由選択できるようにして欲しかったよ!! だが耐えた。推しのため。 私の推しのヴァレンティンのため……!! 「おぎゃああ」 そうしてついに誕生した………! ヴァレンティン。愛ラブ、ヴァレンティン! やっぱり想像通りに可愛いヴァレンティン! 私の推しのヴァレンティンがついに!! 「よく頑張りましたね、アデリナさん。」 出産の手伝いをしてくれた助産師がそう言って、産まれたばかりのヴァレンティンを私の腕に抱かせてくれた。 生きてる。呼吸してる。新しい命…… 私とローランドの子供……… ……って!私のバカ!! あんな不倫クズ野郎を思い出す必要なんかないわ!! 「ヴァレンティン。貴方は私が守るからね。」 ローランドがいなくても、私には愛しのヴァレンティンがいる。 二人で生きていけ
Last Updated : 2025-09-05 Read more