瑛斗side(華はまだ来ていないようだな……。遅れてくるなんて珍しい)約束の午後三時を十五分過ぎても、ホテルのロビーラウンジに華の姿は見当たらなかった。 いつも生真面目で、俺よりもずっと早くに待ち合わせ場所へ到着している華だ。結婚していた頃だって遅刻をすることなど一度もなかった。時間や約束に対して誰よりも真摯な華が、連絡もなしに十五分も遅れるなど、どう考えても異常だった。華の到着を待ち侘びながら、気を紛らわせるためにスマホの画面を開き、ニュースサイトをスクロールしてみるが、画面に並ぶ文字がただの記号の羅列に見えて、全く頭に入ってこない。いつもなら熱心に追っている大好きな海外サッカーの試合結果や移籍記事でさえ、今の俺にはただのノイズに過ぎなかった。もう一度時計を見ると既に三十分が経過していた。「さすがにこんなに遅いのはおかしい……。道でも混んでいるのか? いや、それなら、『遅れます』の一言くらい、華なら絶対に事前に連絡を寄こすはずだ。……もしかして、何かあったのか?」嫌な汗が背中を伝う。 胸を掻きむしるような予感に突き動かされ、俺はたまらず華に電話を掛けた。プルルル……、プルルル……。しかし、コール音だけが耳元で虚しく響き続け、華は電話に出ない。心臓が嫌なリズムで脈打ち始める。十数回目のコールの後、留守番電話に切り替わる機械的なアナウンスが流れかけた――その瞬間
Terakhir Diperbarui : 2026-07-17 Baca selengkapnya