華side夕食後、真珠さんが持ってきてくれた抹茶のロールケーキを小さくカットしてお父様に出した。普段はお菓子や甘いものを自分から口にすることなど滅多にないお父様だが、今日は慶や碧にあげることもなく、黙々とフォークを動かしてきれいに完食していた。「これは、さきほど頂いたものなのか……?」お茶の湯呑みを手に取り、お父様が静かに尋ねてきた。「え、ええ……真珠さんが持ってきてくださったの。茶道教室に用事があって行ったら、私の事故を知ったそうで、心配して家まで来てくれて……とても温かくて素敵な方なんですよ」「そうか……だが、茶道教室の関係者なら一条とは直接関係ないだろう。何故、瑛斗君の会社の社員と一緒にいたんだ。何度か顔を合わせたことはあるが……確か、彼は相原君だったな」「実は、ご縁があって、今、お二人はお付き合いされているんです。だから今日は、送り迎えを兼ねてご一緒に来てくださって……」「そうなのか……不思議な縁もあるもんだな」そう言って、父は湯呑みの温かいお茶をゆっくりと一口飲んだ。その横顔を見つめながら、私は次に何を聞かれるのだろうかと静かに身構えていた。
Huling Na-update : 2026-07-29 Magbasa pa